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2016年01月07日
昨年12月16日付け「同題記事」の続きですが、その記事はFRBが利上げを決定した昨年12月16日(現地時間)の直前に書いたもので、その時点の円相場は1ドル=121円前後でした。
そして本日(1月6日)の午後9時(日本時間)現在の円相場は1ドル=118.40円と、そこから「円高」になっています。
FRBが予想通りに利上げしたので「とりあえず材料出尽くし」であるとか、そのあとに日銀が追加緩和を見送ったため「とりあえず円安加速が一服」とも考えられるかもしれませんが、潮の流れが「はっきり」と変化していると感じます。
実は昨年12月28日と1月3日に配信したメルマガ「闇株新聞 プレミアム」にも、「そろそろ円安終了」「円高反転は近い」と書いておきました。またその 前には日本の機関投資家、事業法人、個人などの外貨(資産)購入が急増したコスト水準から、1ドル=118円あたりにトリガーポイントがあるとも書いてお きました。
トリガーポイントとは、そこを円高に突破するとさらに円高になる「断崖絶壁」のようなポイントのことですが、その時点では 「その時期」は特定できていませんでした。しかしここで本誌の想定よりもかなり早くトリガーポイントに接近しているため、急いで記事にすることにしまし た。
まず本誌が「そろそろ円安終了」と考えた理由はたくさんありますが、とりあえず3つだけ挙げておきます。しかし理由がいくら揃っていても、それだけで「円安終了」あるいは「円高反転」になるわけでもありません。
その1、日本の経常収支の黒字が急激に拡大していること
日本の暦年ベースでみた経常収支の黒字は、2014年1~12月の2.6兆円が過去最少ですが、2015年は発表済みの1~10月だけで14.4兆円もの 黒字となっています。このままだと2015年1~12月には17兆円くらいの黒字となり、これは2010年の19.4兆円に近い黒字になります。2010 年の年間平均円相場は1ドル=88円でした。
経常収支の黒字拡大の最大要因は原油価格下落による貿易収支の大幅改善ですが(円安効果で はありません)、少なくとも日本にとって外貨余剰(円高要因)となるはずです。また原油価格下落は一時的ではなく、かなり長期間継続する可能性が強く日本 における外貨余剰はまだまだ続くはずです。
その2、日本の機関投資家による高水準の対外投資は持続不能であること
実は公的資金を含む機関投資家の対外投資が急増したのは2014年10月の日銀追加量的緩和の前後からであり、そこから発表済みの2015年10月までの 13か月で海外の株式・ファンドを21.0兆円、中・長期債を12.2兆円も買い越しています。これが円相場を1ドル=105円から125円(2015年 6月)まで円安にした最大要因と考えられます。
足元では海外の株式市場、債券市場(特に低格付け債など)、そして何よりも直近の円相場といった対外投資環境が思わしくないため、2015年10月までの「狂ったような」対外投資が今後も継続するとは考えにくく、最大の円安要因が剥落していることになります。
さらに本誌がトリガーポイントと考える1ドル=118円に接近しているため、一部の対外資産の売却あるいは為替ヘッジ(ドル売り)が出る可能性も強く、ここからは円高要因が加わることになります。
その3、 昨年後半以降、FRBの利上げペースを過剰に見積もり過ぎていること
本年元旦の日経新聞に掲載された企業経営者や評論家による本年の為替予想アンケートでは、1ドル=120円~130円と「円安予想」が圧倒的に多数派でし た。これこそ日本全体がFRBの利上げペースを過剰に見積もり、「円安」を過剰に期待してしまっていることを示します。
実は本誌はそういう意味で元旦の相場(とくに為替)予想アンケートを重宝しています。「円安予想」が多いということは、日本全体が「円安」を前提にした投資行動を取ってしまっていることを示しており、逆に「円高要因」となることが多いからです。
しかし最も重要なことは、こういう現象がそろっても、それですぐに相場の転機(ここでは円高反転)が来るとは限らず、そこから1年以上もかかってしまうこともあります。
実際に転機(ここでは円高反転)が来たかどうかは、実際の値動きで判断するしかありません。またこのまま一直線に円高に向かうということもありません。まだまだ日銀の追加緩和や、それによる円安を期待する日本人が多いからです。
しかしここからは「多少円安に戻ったら自信を持って円買い・ドル売り」であることだけはわかります。そしてこれは(まさかとは思いますが)日銀がさらなる追加量的緩和に踏み切っても、変更の必要はないと考えます。
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