ロシア軍、シリアで戦闘に参加 アサド政権支援
2015年09月10日 ロイター
[モスクワ/ベイルート/ワシントン 9日 ロイター] - ロシア軍が、内戦の続くシリアでアサド政権軍を支援するため、戦闘に加わったことが分かった。事情に詳しいレバノンの関係筋3人が明らかにした。
ロシア軍のシリア内戦への関与拡大は米国が懸念する事態。ただ、レバノンの関係筋によると、戦闘に参加しているロシア軍兵士は、今のところ少人数だという。
複数の米当局者は、ロシアが最近シリアに戦車揚陸艦2隻や輸送機などを派遣し、少数の海軍歩兵部隊も派遣されたと述べた。ロシア側の意図は不明だという。
しかし、米当局者の1人は、シリアのアサド大統領の拠点である港町ラタキア近郊で航空基地を整備しているのではないかとの見方を示した。この基地が出撃拠点となる可能性があり、米当局者もその可能性を否定しなかった。
一方、ケリー米国務長官は、ロシアのラブロフ外相にロシア軍のシリアでの動きに関する報道について懸念を伝達。内戦の悪化につながると強い警戒感を示した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150910-00000015-reut-n_ame
帝政ロシアからの常套手段
これで難民はヨーロッパへ加速的に流れる
EUはウクライナ批判やロシア包囲どころではなくなり
ロシアはウクライナ方面の安定化の為の時間稼ぎが出来るようになる。
ロシアはいつもこうだ、第二戦線を作り上げて相手を搦め手で締め上げる
◆シリアへの軍事介入を始めたロシア
ロシア側の見方とその狙い
2015年09月10日 小泉悠 WEDGE Infinity
ここ数日、ロシアがシリアに軍事介入を始めたのではないかとの観測が高まっており、米国も懸念を表明し始めた。筆者も別の媒体(http://bylines.news.yahoo.co.jp/koizumiyu/20150906-00049218/)で詳しく検証したが、様々な傍証からシリアにロシア軍がかなりの規模で展開していることはほぼ確実と思われ、一部では軍事作戦に参加している可能性も考えられる。
だが、それが事実であるとして、ロシアの狙いは何であろうか。これについてロシアの軍事評論家で有力紙『独立新聞』の軍事問題記者であるウラジミール・ムーヒンの見解が『独立新聞』に掲載されたので以下に紹介したい。
『独立新聞』に掲載されたムーヒンの見解
(翻訳)
ウラジミール・ムーヒン「ダマスカスはロシア軍人を待っている:ウラジミール・プーチンは国連総会でシリアに対する具体的な支援策を提起するだろう」『独立新聞』2015年9月7日
米国は、シリアにおいてロシアが軍事プレゼンスを増強し、ロシア連邦の軍人がバシャール・アサド側について戦闘に参加することを真剣に恐れている。先週の 土曜日、ジョン・ケリー米国務長官はこの問題についてセルゲイ・ラヴロフ露外相と電話会談を行った。西側メディアでは、ロシア軍人やロシアの最新型兵器が シリアに存在し、戦闘行動に参加しているという多くの記事(写真を含む)がこの以前から出回っていた。そしてついにプーチン露大統領がこうした主張を否定 するまでになったのである。
米国務省報道官が述べたところによると、米国務長官はセルゲイ・ラヴロフに対 し、「同地(『独立新聞』註:シリアを指す)におけるロシアの軍事プレゼンス増強の懸念が事実であるとすれば、個別の戦闘が紛争の更なるエスカレーション につながる可能性がある」と伝えたという。これに対する我が外相の反応は明らかでない。しかし、ロシアの報道各社は、ラヴロフとケリーがシリアに関する協 議をニューヨークで継続する見込みであると伝えている。同地では9月15-22日にかけて第70回国連総会が開催される。
その年次会合では、ウラジミール・プーチンの演説が予定されている。ラヴロフは以前、この機会に、ロシアはシリア情勢を収拾するための独自案を提案する計 画だと述べていた。特に国連安保理においては、対「イスラム国(IS)」連合の設立を検討するよう提案が行われるであろう。これは安保理に「完全な法的正 統性を与え、国際社会の支持を取り付ける」ことを目的としたものとされる。ウラジミール・プーチンは、金曜日、すでに多くの政府がこの構想を支持している と述べた。同人はこの問題に関して、対IS軍事作戦にロシアが参加することを云々するのは時期尚早であるとマスコミとの会見において発言している。大統領 は、記者の質問に答えて、「我々は様々な可能性を検討しているが、しかし、あなたが今おっしゃったようなこと(『独立新聞』註:軍事作戦への参加を指す) は我々の議題とはなっていない」と述べた。また、大統領は「シリアの我が友人達、そして同地域の各国との協議を進めることになろう」とした。
一方、『ニューヨーク・タイムズ』紙は先週の金曜日、匿名の米政府関係者の話として、シリアの空軍基地にロシア軍の先遣隊と移動式航空管制システムが現れ たと報じた。これに先立ち、イスラエルのメディアでは、アサド政権側に立って戦うスンニ派勢力の情報として、シリアにはロシア人パイロット、最新型の Su-34及びSu-27戦闘機、そして「プチェラ-1T」無人偵察機が到着したと報じた。ロシア外務省は先週、この情報を否定している。だが、過去2週 間の間に少なくとも3隻のロシアの揚陸艦(「ニコライ・フィルチェンコフ」、「コロリョフ」、「ノヴォチェルカッスク」)と練習艦「スモーリヌィ」が「カ モフラージュネットを被せた武器とともに」ボスポラス海峡を通過したというトルコのメディアには情報には何も言及がなかった。英『タイムズ』は最近、ロシ アの軍人と見られる人物が最新型のBTR-82A装甲兵員輸送車に乗って政府側部隊の側で戦う映像を紹介した。これには会話を拾ったらしいトランスクリプ トが付されていた。
軍事専門家であるユーリー・ネトカチョフ少将は、ロシアの軍事顧問団の増強はまったく当 然のことであると見ている。「彼らは当然、自らの同僚達とロシア語で話している。そしてシリア軍人の多く、特に将校は我が国の軍事教育施設で学んでいるの だから、ロシア語をよく知っている。したがって、無線の会話でロシア語が聴こえてきても当然なのだ」と彼は言う。また、ネトカチョフ将軍は、シリアでロシ ア人が戦闘行動を行っているとは考えていない。同人は、「我々はシリアに対して非常に充分な支援と物資、軍人の訓練、武器を提供している」という金曜日の プーチン発言を引用した。
だが、将来的にロシアの軍人がISとの戦いに参加することは排除されていないよう だ。第一に、アサド政権に忠実な「アル・ワタン」紙の情報によれば、ロシアは地中海沿岸のジャブラに新たな軍事基地を建設することを計画しており、ダマス カスはこれに好意的な反応を示しているという。ラタキアの南方25kmにあるジャブラは、シリア最大の港にしてこの地域の中核都市であり、バッシャール・ アサドを支持するアラブ・ムスリムの居住地である。
ロシア海軍の物資装備拠点があるタルトゥース港と異な り、同地は部隊や艦隊が安全に集結し、より多くの予備物資や武器を集積する上で好適な条件を備える。第二に、ウラジミール・プーチンはウラジオストクにお いて、ロシアの参加する連合を結成する可能性を示唆した。「我々はテロリズム及び過激主義との戦いに関する何らかの国際連合を結成することを実際に望んで いる」とした上で、同人は、「我々は国防当局のラインで連絡を取っており、最近、モスクワでこの紛争(『独立新聞』註:シリアとイラクにおける紛争を指 す)と関わりのある国々の参謀本部の指導部と協議を行った」と述べた。
第三に、アサド政権を支援するロシ ア、イラン、中国が対IS連合の主要参加国となるとの観測がマスコミで流れている。最近モスクワを訪問したイランのモハメド・ジャワド・ザリフ外相は、テ ロリズム及び過激主義との戦いにおける経済的な協力関係以外の優先分野として、イランとロシアの連携を挙げた。そして中露は今年5月、シリア沿岸から遠く ない海域で合同軍事訓練を行っている。
このようにしてみれば、中東地域におけるロシアの軍事的な活発さに対 する米国の懸念は理解できるものだ。ペンタゴンはすでにアサド政府軍に対する爆撃を考慮し始めているが、シリア軍の戦闘序列にロシア軍人が含まれる可能性 があれば、このようなシナリオは排除される。アサド政権がISよりも危険性が少ないと信じるイスラエルは、この点では米国に同調していない。旧ソ連やロシ ア出身の国民も勤務しているイスラエル国防軍では、米国とは異なり、イスラム過激主義との戦いのためにロシアが軍事連合を形成することはより実際的である と見なされている。
(翻訳終わり)
ロシアがシリアに軍事介入を始める狙いとは
ムーヒンは、シリアへのロシア軍展開に関する欧米及び中東の報道を手際よくまとめた上で、これが単なる軍事顧問団の増強に過ぎないとするネトカチョフ少将 の主張(プーチン大統領の主張に沿ったもの)を引用している。シリアの軍人の多くがロシア語を喋れるのだというネトカチョフの主張の正当性はさて措くとし て(バッシャール・アサド大統領の父であるハーフィズ・アサド大統領をはじめとして、シリア軍人にソ連・ロシア留学組が多いことは事実であるが)、 BTR-82A装甲兵員輸送車やSu-34戦闘爆撃機のようにロシア軍しか保有していない装備がシリアで目撃されている以上、ただの「軍事顧問」であると する主張はかなり根拠薄弱であろう。ムーヒンは敢えてこの点に踏み込まずにお茶を濁しているが、軍事評論家である同人にもこの点はよく分かっている筈だ。
これはこれでシリア介入に関するロシア側の立場を知る上では興味深いが、さらに注目したいのは、その狙いに関する部分である。ロシアがシリアに軍事プレゼ ンスを展開し、しかもそれがシリア軍と一体となってしまえば、米国は容易にアサド政権への攻撃を行う訳にはいかないとムーヒンは見ている。
記事中でも触れられているように、米国はロシアの軍事プレゼンスが紛争の「エスカレーション」につながりかねないとの懸念を示しているが、むしろこのよう な懸念を惹起することこそがロシアの狙いであるのかもしれない。いうなればシリアに展開するロシア軍は単にアサド政権を支えるだけでなく一種の「トリッ プ・ワイヤ」(朝鮮半島で最前線に配備されている米軍と同様、同盟国への攻撃があれば域外大国の介入につながりかねないことを相手国に認識させるためのも の)としての役割を期待されているのであり、その存在によって米軍の対アサド政権攻撃を回避することがロシアの狙いなのだと考えられよう。米軍は2013 年からシリア領内への空爆を開始し、今年8月にはトルコのインシルリク基地を拠点として無人機及び有人機でISの拠点を攻撃しているが、今のところアサド 政権側の部隊には攻撃は及んでいない。
また、記事中でも触れられているように、ロシアは今後、シリア紛争を ISに対する「対テロ戦争」と再定義することを狙っている。つまり、「アサド政権vs反体制派」であった当初のシリア内戦にISが参入してきたことを契機 に、「IS vs 反IS連合(アサド政権+反体制派+その他諸国)」へと紛争の構図を書き換えてしまおうということだ。
8月11日に行われたロシアとサウジアラビアの外相会談において、ラヴロフ外相はロシア、中東諸国、アサド政権による「対IS連合」の創設を提起したもの の、この際は反アサド政権を掲げるサウジアラビアの同意を得られることなく終わった。だが、ロシアが依然としてこの構想を諦めていないことは、記事中でも 引用されているプーチン大統領やラヴロフ外相の発言からも明らかである。
ところでロシアがシリアで軍事プレ ゼンスの増強を始めたのは今年8月半ば以降と見られるが、これはムーヒンが触れている9月の国連総会を見据えたものであろう。シリアにおける軍事プレゼン スによって米国の対アサド政権攻撃を封じた上で改めて対IS連合構想を提起し、これを認めさせる思惑があるものと思われる。
その背景には、IS対策のためにアサド政権を容認してもよいのではないかとの空気が一部の西側諸国に見られるようになってきたことであろう。今年3月、ケ リー米国務長官が「最終的にはアサド政権と交渉する必要がある」と述べたことや、記事中で触れられているイスラエルの態度に見られるように、ロシアは「大 連合」構想でアサド政権の生き残りを図るチャンスが出てきたと読んでいるのではないか。
ただし、サウジアラ ビアとの交渉決裂からも想起されるように、「大連合」構想の成立は簡単な話ではない。この場合、まさにプーチン大統領が「将来の可能性」として示唆してい るように、ロシアが公にシリアで対IS軍事作戦に踏み切ることも考えられよう。いずれにせよ、目前に迫った国連総会でプーチン大統領が何を語り、各国がど のような反応を示すかが注目される。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5352
これで、欧米はISISを叩くふりをしてシリア攻撃をすることが出来ない。万が一米 軍や欧州の戦闘機がロシア軍を空爆すれば、必ずプーチンは報復するだろう。それこそプーチンの罠に嵌ることになる。まかり間違えば、第三次世界大戦の口火 をきることになる。今の米国にもEUにもそんな余裕は無い。
◆イラン核合意から得られる中露の戦略的利益
2015年09月08日 岡崎研究所 WEDGE Infinity
8月4日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙で、ハドソン研究所のハーマン上席研究員が、イラン核合意により中東に大パワーシフトが起きる、中露は イランとの政治経済関係を全面的に拡大し米国の影響力を削ぎながら同地域での重要なプレイヤーになるだろう、と警鐘を鳴らしています。
すなわち、今般のイラン核合意から最大の利益を得る国はロシアと中国である。両国は既にイランを通じて影響力を確実に拡大している。モスクワ・北京・テヘラン枢軸は今や確実のものであり、これはスエズ動乱以後中東の最大のパワーシフトである。
中露は、当初からイランの核開発を支援してきた。それにもかかわらず両国は国連などで非難されるどころか、反対にオバマ政権は、安保理制裁をかけるために両国との協力に腐心してきた。中国は石油の輸入規制からの例外まで認められた。
中露は、情報技術から石油ガスに至るまで制裁解除を全面的に利用するだろう。中国はイランのエネルギー部門に既に210億ドル以上の投資をしており、制裁 解除後はそれが倍になる可能性もある。中国のイラン原油輸入は現在60万BDであるが、100万BD以上になる可能性もある。
通常兵器の輸入規制も解除される。イランは凍結資産の解除により1000億ドルの資金を手にするが、中露から大量の兵器を買い付けるだろう。ロシアは Su-30戦闘機やS-400などの対ミサイルシステムなどを売ろうとするだろう。中国は、JF-17戦闘機やJ-20ステルス戦闘機、039型ソン級潜 水艦や巡航ミサイルをイランに供与することができる。潜水艦や巡航ミサイルはホルムズ海峡の支配を確立するのに役立つ。
さらに重要なことは、今後イランは、ロシア、中国の戦略的利益の増進を図るだろうということだ。ロシアの東地中海での海軍力の増進を助けるシリアのアサド 大統領への一層のテコ入れもするだろう。中国は、イランを戦略パートナーに格上げし合同軍事演習を拡大するだろう。上海機構へも加盟させるだろう。また、 イランは中国のシルクロード経済圏構想の前進基地になるだろう。
今回の合意がイラン核兵器開発にどういう影響を与えようとも、合意の地政学上の影響は極めて大きい。三国の枢軸ができ、中露が中東の重要プレイヤーになることは、米国の影響力を確実に侵食するものであり、その意味合いは計り知れない、と述べています。
出 典:Arthur Herman ‘The Moscow-Beijing-Tehran Axis’(Wall Street Journal, August 4, 2015)
http://www.wsj.com/articles/the-moscow-beijing-tehran-axis-1438704822
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極めて興味深い、直截な分析であり、賛同できます。今回のイラン核合意には、核兵器開発を実際に阻止できるかどうかということと中東の地政学への影響とい う2つの側面があることは、これまで指摘されてきていることですが、この記事は、後者の側面に注目し、中露両国がイランを通じて影響力を拡大し米国の影響 力は確実に低下すると主張しています。相当の説得力があります。とくにイランが中国のシルクロード構想推進の前進基地になるとの見方には現実味がありま す。
イラン核合意は、これから米議会で審議されます。ケリー国務長官、オバマ大統領が議会への説得を本格化 させています。他方で、イスラエルは議会に対する働きかけを強めています。米議会の今までの関心は、どちらかというと核兵器開発阻止の側面にあったので、 今回のハーマンのような観点からの問題提起が、議会審議に微妙な影響を与えるかもしれません。オバマ大統領は、たとえ議会が合意を拒否する決議を送付して 来ても、拒否権を行使するとしており、今のところ議会で大統領拒否を覆すために必要な3分の2は確保できないと見られています。しかし、議会が拒否の意思 表示を突き付けることになれば、今後の手続きを一層複雑化することは間違いありません。
ハーマンが言う「スエズ動乱以後最大の中東のパワーシフト」にどう対処していくべきかについては、今後更に議論があるでしょうが、現時点でとりあえず重要と思われる点は次のようなことではないでしょうか。
(1)イランを中露両国に任せないで、米日欧等の諸国が、経済、政治の分野での協力を、思慮深く強化していくこと。こちら側も一定程度エンゲージしていかないと、イランを益々中露側に追いやることになってしまいます。
(2)イランとの間で、政策協議を強化すること。米・イラン間には現在外交関係はありませんが、何らかの高級レベルの定期協議の制度化が必要ではないで しょうか。日本も両国協議体制の強化を検討すべきでしょう。イランについて、ここまで決断した以上、合意の履行を見つつ、インドの国際社会での立場を正常 化したように、イランとの関係も正常化する道を進む方が有利かもしれません。
(3)米国が中心になってサウジなどアラブ諸国との結束を強めること。5月のキャンプ・デイビッド会談や8月3日のケリー長官のGCC会議出席等の努力を続けることが重要でしょう。
(4)湾岸戦争の後、米国はベーカー国務長官が主導して速いペースで米露共同主催の中東和平マドリッド会議を構想し、実施しましたが、同様に、早い時期に中東全域を巻き込む何らかの会議を構想し、イランとアラブの信頼を醸成できないものでしょうか。
(5)中露の影響力拡大をバランスするため、米国は中東でのプレゼンスを維持、強化していくこと。他方、これによりアジアのリバランス政策が悪影響を受けないようにすべきことは言うまでもありません。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5320
◆マスコミ:サウジアラビアはロシアとの同盟を必要としている
2015年06月26日 Sputnik 日本
サウジアラビアの国防相を務めるムハンマド・ビン・サルマン王子のロシア訪問は、サウジアラビアが支援を獲得し、新たな同盟国を見つけようとしていることを物語っている。チェコのサイトParlamentnilisty.czは、このように伝えた。
サ ルマン王子は、ロシアのサンクトペテルブルグで開かれた国際経済フォーラムの場で、ロシアのプーチン大統領と会談した。プーチン大統領は会談の席で、サウ ジアラビアに招待されたことに言及し、ぜひ訪問したいとの考えを表した。またサルマン王子は、サウジアラビア国王が、ロシア訪問の招待を受け入れたことを 確認した。
サウジアラビア代表団は、ロシアと、原子力や軍事分野に関する計6つの協定に調印した。 Parlamentnilisty.czの記事では、「石油に関する協力協定は、近い将来、世界の原油価格を再び上昇させるだろう。これは非常に重要、か つ驚くべきことである」と指摘されている。なぜならサウジアラビアは今まで、米国とこのようなことを行ってきたからだ。
記 事の執筆者は、サウジアラビアは、2年連続で原油価格を最低限にまで落として、ロシアに打撃を与えているため、サウジアラビアとロシアの「石油同盟」とい う響きは、サウジアラビアの政策を考慮した場合、自分にとって不思議なものだ、と指摘している。サウジアラビアの王家「サウード家」は、新たな指導部を 持った。その指導部は、サウジアラビアにとって困難な時期であることに関連して、「友人」を増やそうという点で、これまでの指導部とは異なる可能性がある という。記事の中では、「サウジアラビアは、信頼できる国であるものの、最近は、中東における米国のさらに不屈な従属国となり、多くの問題で袋小路に迷い 込み、出口を模索している」と指摘されている。
またサウジアラビアは、リビア、シリア、イラク、そして、度合いは少ないものの、エジプトの情勢不安定化に手をかけたが、これら全ての地政学的、そして現実的な戦いの場は、サウジアラビアの管理下から抜け出てしまった、という。
また原油の低価格によって財政赤字が増え、非常に裕福な国であるサウジアラビアの国民の大多数が貧困に耐えながら暮らしており、不満が高まっている。
記事の中では、「ロシア大統領府は、必ずしもサウジアラビアと、何らかの真剣な同盟を結ぶ必要はないように思われる。なぜなら今、この同盟を一番必要としているのはロシアではなく、サウジアラビアだから」と指摘されている。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20150626/498858.html#ixzz3e7dEOkf3
◆ギリシャ「対ロ制裁に反対」 ロシアと首脳会談
2015/4/9 日本経済新聞
【モスクワ=古川英治】ロシアのプーチン大統領は8日、債務問題で欧州連合(EU)と対立するギリシャのチプラス首相とモスクワで会談した。EU の対ロ制裁への対抗策としてロシアが発動した欧州の農産物の禁輸措置の中で、ギリシャ産の規制を緩和することなどを協議。チプラス首相はEUの対ロ制裁に 反対を表明した。ロシアはギリシャなどの取り込みを進め、EUの切り崩しを狙う。
チプラス首相は会談後の共同会見で「EUの対ロ制裁には賛成していない」「制裁による悪循環を断ち切るべきだ」などと主張した。プーチン大統領は「ギリシャから金融支援の要請はなかった」としたうえで、農業やエネルギー、インフラ分野での協力を提案した。
ウリュカエフ経済発展相によると、ロシアはギリシャ産の果物などの輸入規制を緩和する方向で、ロシアのメドベージェフ首相が9日、チプラス首相に具体策を提案する。プーチン大統領はトルコとの間で計画する天然ガスの供給計画への参加もギリシャに呼びかけた。
チプラス首相は当初、モスクワで5月9日に開く対独戦勝70周年記念式典に合わせて訪ロする予定だったが、金融支援の延長交渉でEUと対立を深める中で訪問を前倒しした。
ギリシャの財政改革を前提とするEUと国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)の金融支援の継続を巡る交渉は難航しており、ギリシャの資金繰りは逼迫している。チプラス首相はロシアに接近する姿勢を見せることで、EUに揺さぶりを掛ける思惑があるとみられる。
ギリシャは経済的な実利の確保も目指している。同国政府によると、イチゴや桃などの果物は対ロ輸出の2割程度を占め、農産物の禁輸措置により2014年後半だけで8000万ユーロ規模の損害が出ている。天然ガスの6割強もロシアからの輸入に依存している。
EUはロシアのウクライナへの軍事介入を受けて導入したロシアの金融機関や銀行を対象にした制裁を延長するかどうかを6月に判断する。延長には加 盟28カ国すべての賛成が必要となる。ロシア政府筋はギリシャが1国で延長に拒否権を発動するとは期待していないとしながら、「EU内の制裁反対勢力を増 やせば、フランスやスペインなど大国も動かせる」と発言した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO85461250Z00C15A4FF2000/
ロシアは帝政初期に旧東ローマ帝国の皇女を嫁に迎えているから、コンスタンチノープルがオスマントルコに陥落させられたときいらい、東ローマ帝国の正当な後継者にして正教会の守護者を任じている。
だから現在のロシア連邦の国章は東ローマ帝国と同じ双頭の鷲だ。
そしてギリシァは冷戦時代に西欧陣営にあったが、文明的にいえば東ローマ帝国に属し、ロシアと同じ正教会である。
ロシアにとってギリシァを自陣営に取り込むことは、大きな地政学的メリットがある。 ロシア黒海艦隊はNATO加盟国である東ローマ帝国を滅亡させた宿敵トルコのコントーロルするボスポラス海峡を通過しなければ地中海に出ることができな い。ギリシァに基地を設けることができれば、その必要はなくなる。
旧西ローマ帝国=カトリックとその後継のプロテスタント=ラテン語文明圏の末裔同士の文明の衝突ということになる。
EUにとってこれ以上底なし沼の援助は難しいと成れば、新たな冷戦を生む可能性がある。最早腰抜けオバマにはどうすることも出来まい。イスラエルもサウジアラビアもエジプトも全部反米にしてしまった。
◆北方領土事業に日本参加を=望まなければ韓国を検討-ロシア知事代行
2015/07/25 時事通信
【モスクワ時事】タス通信によると、ロシア極東のサハリン州のコジェミャコ知事代行は25日、記者会見で「クリール諸島(北方領土と千島列島)発 展の共同プロジェクトに日本も参加するよう今後活発に提案していく」と述べた。一方で「日本にその希望がなければ、韓国などの合弁企業参加を検討する」と の考えを示した。
ロシア政府は23日、現行の「クリール諸島社会・経済発展計画」(2007~15年)の次期計画(16~25年)を閣議決定。予算は700億ルーブル(約1500億円)で、インフラを整備して事実上の支配を固定化する狙いがある。
発展状況を視察するため、メドベージェフ首相は3回目の北方領土訪問を8月にも予定。プーチン大統領の年内訪日を控え、日ロ関係への影響が懸念されている。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201507/2015072500287
◆北朝鮮にロシアが異常接近
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)6月3日(水曜日)
通算第4562号
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中国の北朝鮮冷遇の隙間につけいったロシアの巧緻
最高人民会議議長、国防相、外相らが相次いでモスクワ詣で
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中国の北朝鮮への冷たい態度はまるで氷のように凍てついて、駐平壌大使は軽量級。虫の居所が極端に悪い習近平が言ったことは「中国はこの地域の安定を望んでいるが、政権の安定を望んでいる訳ではない」だ。
この中朝冷却の政治状況に巧みに乗じて北朝鮮に影響力を増大させているのがロシアである。ソ連時代、北の最大の保護者でもあった。
2014年2月以来、両国の要人の往来は激しくなり、金永南(最高人民会議委員長)がソチ五輪に出席したのを皮切りに、同年十月にはリ・スヨン外相、十一月にはヒョン・ヨンチョル国防相がモスクワを訪問した。
答礼にモスクワからはガルシェカ極東開発大臣が3回、ユーリ・ツルゼフ(副大臣)らが平壌を訪問している。
2015年になって四月にヒョン・ヨンチョル国防相が改めてモスクワを訪問し、同年五月に金永南が赤の広場の軍事パレードに参列した。頻度激しい相互訪問に比べると、北京の反応は冷たい。
ロシアは2015年を「北朝鮮友好年」として政治イベント計画中といわれる。
五月9日の軍事パレードに参加しなかった金正恩は、国際デビューの機会を見逃したことになるが、ロシアは北朝鮮に対して暖かい姿勢を続ける。
金正恩が大事な外遊と認識しながらも、平壌を留守に出来ないのは、不在中の軍事クーデターを警戒するからであろう。
ロシア極東部に出稼ぎにでている北朝鮮労働者は、すでに五十万人といわれ、この労賃収入によって、北朝鮮は食料危機を回避しているとも観測されている。
実際にウラジオストクやナホトカをあるくと建設現場には北朝鮮からと見られる労働者が3K現場で働いており、カザフスタンやウズベキスタンの出稼ぎ労働者と一緒に建設作業をしていた。
「2013年二月の三回目の北の核実験以後、中国は対北政策を極端に冷却化させてきた。6者協議も、おそらく16年秋の米国大統領選挙以後に持ち越されるだろう」(ジェイムズタウン財団『チャイナ・ブリーフ』、5月29日号)。
▼中国の苛立ちは本物だが、時間的余裕が狭まった
北朝鮮に対する中国の不快感は宗主国として、家来が言うことを聞かないという単純な理由からの反発、冷遇だが、中国軍の配置を一覧すると、遼寧省の北朝鮮 国境に瀋陽軍区の主力部隊およそ10万から20万人ていどを貼り付けており、いざという場合に軍事介入できる態勢にある。
たとえば親中派の軍人等がクーデターを起こし、非常事態宣言布告後、治安維持のために中国軍を「平和維持部隊」として派遣要請するシナリオが考えられるだろう。
瀋陽軍区は装備に優れ、機動力もある。鴨緑江を挟んだ国境の町=丹東(日本時代の安東)までの鉄道を利用して多くの装甲車、戦車が運び込まれている。それもこれも北朝鮮の核爆弾は、日本向けというより、いつでも中国に向けられる懼れがあるからだ。
中国はロシアの北への急接近を過剰には評価しておらず、その経済的破綻情況を根本から立て直すほどの意気込みも資金もロシアにはないと踏んでいる。むし ろ、この平壌のモスクワ異常接近は、金正恩の危険な綱渡りだと認識している。「ロシアはルーブル下落やインフラ建設能力の問題があり、北朝鮮へおおきなプ ロジェクトを運べない」というアキレス腱があるからだ。
そして北京は北朝鮮の外相の訪問を受け入れても、数時間もまたせたうえ、いままで経験したこともない冷遇で対応した。このことに象徴されるように習近平の絶対的要求は北朝鮮の核開発凍結である。
とはいうものの北京も九月三日に予定している「抗日戦争勝利軍事パレード」には、プーチン大統領の出席に加えて、金正恩の出席を望んでおり、最近、中国外交部は駐平壌大使を外交官僚の重鎮と交替させた。そのうえで食料援助をカードに再接近を試みているフシがある。
http://melma.com/backnumber_45206_6216341/
◆アルゼンチンがSu-24を配備!?英政府フォークランド諸島防衛を見直し
2015/01/02 FlyTeam
アルゼンチンが、ロシアからスホーイSu-24フェンサー戦闘爆撃機12機のリースを受ける模様で、イギリス国防省はフォークランド諸島の防衛について見直しを迫られています。イギリスのDaily Expressが、2014年12月28日に報じています。
ロ シアは、クリミア問題でEUから牛肉や小麦粉などの食料の禁輸措置を受けています。プーチン大統領は2014年7月にアルゼンチンを訪問した際に、禁輸に より不足する食料と、ロシア製兵器の交換を話し合いました。食料と交換される兵器の中にSu-24 12機のリースが含まれています。
Su- 24は2,000マイル(約3,220キロ)の航続力があり、レーザー誘導ミサイルを搭載できる長距離戦闘爆撃機であることから、アルゼンチン本土から フォークランド諸島への攻撃が容易になります。イギリスは国防予算削減のため、フォークランド諸島の防衛に、タイフーン戦闘機4機とレイピア地対空ミサイ ル、1,200名の兵員しか派遣していません。
イギリス国防省では、2020年に空母HMSクイーン・エリザベスが実戦化するまでに、Su-24が配備されたらピンチと考え、対策を検討しているとのことです。
http://flyteam.jp/news/article/44716
ロシアは英国の一番痛いところを狙って来たな。
戦闘は無いにしても、外交戦争では一歩先を越された英国に、果たして対抗策が出せるのか?
2015年09月10日 ロイター
[モスクワ/ベイルート/ワシントン 9日 ロイター] - ロシア軍が、内戦の続くシリアでアサド政権軍を支援するため、戦闘に加わったことが分かった。事情に詳しいレバノンの関係筋3人が明らかにした。
ロシア軍のシリア内戦への関与拡大は米国が懸念する事態。ただ、レバノンの関係筋によると、戦闘に参加しているロシア軍兵士は、今のところ少人数だという。
複数の米当局者は、ロシアが最近シリアに戦車揚陸艦2隻や輸送機などを派遣し、少数の海軍歩兵部隊も派遣されたと述べた。ロシア側の意図は不明だという。
しかし、米当局者の1人は、シリアのアサド大統領の拠点である港町ラタキア近郊で航空基地を整備しているのではないかとの見方を示した。この基地が出撃拠点となる可能性があり、米当局者もその可能性を否定しなかった。
一方、ケリー米国務長官は、ロシアのラブロフ外相にロシア軍のシリアでの動きに関する報道について懸念を伝達。内戦の悪化につながると強い警戒感を示した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150910-00000015-reut-n_ame
帝政ロシアからの常套手段
これで難民はヨーロッパへ加速的に流れる
EUはウクライナ批判やロシア包囲どころではなくなり
ロシアはウクライナ方面の安定化の為の時間稼ぎが出来るようになる。
ロシアはいつもこうだ、第二戦線を作り上げて相手を搦め手で締め上げる
◆シリアへの軍事介入を始めたロシア
ロシア側の見方とその狙い
2015年09月10日 小泉悠 WEDGE Infinity
ここ数日、ロシアがシリアに軍事介入を始めたのではないかとの観測が高まっており、米国も懸念を表明し始めた。筆者も別の媒体(http://bylines.news.yahoo.co.jp/koizumiyu/20150906-00049218/)で詳しく検証したが、様々な傍証からシリアにロシア軍がかなりの規模で展開していることはほぼ確実と思われ、一部では軍事作戦に参加している可能性も考えられる。
だが、それが事実であるとして、ロシアの狙いは何であろうか。これについてロシアの軍事評論家で有力紙『独立新聞』の軍事問題記者であるウラジミール・ムーヒンの見解が『独立新聞』に掲載されたので以下に紹介したい。
『独立新聞』に掲載されたムーヒンの見解
(翻訳)
ウラジミール・ムーヒン「ダマスカスはロシア軍人を待っている:ウラジミール・プーチンは国連総会でシリアに対する具体的な支援策を提起するだろう」『独立新聞』2015年9月7日
米国は、シリアにおいてロシアが軍事プレゼンスを増強し、ロシア連邦の軍人がバシャール・アサド側について戦闘に参加することを真剣に恐れている。先週の 土曜日、ジョン・ケリー米国務長官はこの問題についてセルゲイ・ラヴロフ露外相と電話会談を行った。西側メディアでは、ロシア軍人やロシアの最新型兵器が シリアに存在し、戦闘行動に参加しているという多くの記事(写真を含む)がこの以前から出回っていた。そしてついにプーチン露大統領がこうした主張を否定 するまでになったのである。
米国務省報道官が述べたところによると、米国務長官はセルゲイ・ラヴロフに対 し、「同地(『独立新聞』註:シリアを指す)におけるロシアの軍事プレゼンス増強の懸念が事実であるとすれば、個別の戦闘が紛争の更なるエスカレーション につながる可能性がある」と伝えたという。これに対する我が外相の反応は明らかでない。しかし、ロシアの報道各社は、ラヴロフとケリーがシリアに関する協 議をニューヨークで継続する見込みであると伝えている。同地では9月15-22日にかけて第70回国連総会が開催される。
その年次会合では、ウラジミール・プーチンの演説が予定されている。ラヴロフは以前、この機会に、ロシアはシリア情勢を収拾するための独自案を提案する計 画だと述べていた。特に国連安保理においては、対「イスラム国(IS)」連合の設立を検討するよう提案が行われるであろう。これは安保理に「完全な法的正 統性を与え、国際社会の支持を取り付ける」ことを目的としたものとされる。ウラジミール・プーチンは、金曜日、すでに多くの政府がこの構想を支持している と述べた。同人はこの問題に関して、対IS軍事作戦にロシアが参加することを云々するのは時期尚早であるとマスコミとの会見において発言している。大統領 は、記者の質問に答えて、「我々は様々な可能性を検討しているが、しかし、あなたが今おっしゃったようなこと(『独立新聞』註:軍事作戦への参加を指す) は我々の議題とはなっていない」と述べた。また、大統領は「シリアの我が友人達、そして同地域の各国との協議を進めることになろう」とした。
一方、『ニューヨーク・タイムズ』紙は先週の金曜日、匿名の米政府関係者の話として、シリアの空軍基地にロシア軍の先遣隊と移動式航空管制システムが現れ たと報じた。これに先立ち、イスラエルのメディアでは、アサド政権側に立って戦うスンニ派勢力の情報として、シリアにはロシア人パイロット、最新型の Su-34及びSu-27戦闘機、そして「プチェラ-1T」無人偵察機が到着したと報じた。ロシア外務省は先週、この情報を否定している。だが、過去2週 間の間に少なくとも3隻のロシアの揚陸艦(「ニコライ・フィルチェンコフ」、「コロリョフ」、「ノヴォチェルカッスク」)と練習艦「スモーリヌィ」が「カ モフラージュネットを被せた武器とともに」ボスポラス海峡を通過したというトルコのメディアには情報には何も言及がなかった。英『タイムズ』は最近、ロシ アの軍人と見られる人物が最新型のBTR-82A装甲兵員輸送車に乗って政府側部隊の側で戦う映像を紹介した。これには会話を拾ったらしいトランスクリプ トが付されていた。
軍事専門家であるユーリー・ネトカチョフ少将は、ロシアの軍事顧問団の増強はまったく当 然のことであると見ている。「彼らは当然、自らの同僚達とロシア語で話している。そしてシリア軍人の多く、特に将校は我が国の軍事教育施設で学んでいるの だから、ロシア語をよく知っている。したがって、無線の会話でロシア語が聴こえてきても当然なのだ」と彼は言う。また、ネトカチョフ将軍は、シリアでロシ ア人が戦闘行動を行っているとは考えていない。同人は、「我々はシリアに対して非常に充分な支援と物資、軍人の訓練、武器を提供している」という金曜日の プーチン発言を引用した。
だが、将来的にロシアの軍人がISとの戦いに参加することは排除されていないよう だ。第一に、アサド政権に忠実な「アル・ワタン」紙の情報によれば、ロシアは地中海沿岸のジャブラに新たな軍事基地を建設することを計画しており、ダマス カスはこれに好意的な反応を示しているという。ラタキアの南方25kmにあるジャブラは、シリア最大の港にしてこの地域の中核都市であり、バッシャール・ アサドを支持するアラブ・ムスリムの居住地である。
ロシア海軍の物資装備拠点があるタルトゥース港と異な り、同地は部隊や艦隊が安全に集結し、より多くの予備物資や武器を集積する上で好適な条件を備える。第二に、ウラジミール・プーチンはウラジオストクにお いて、ロシアの参加する連合を結成する可能性を示唆した。「我々はテロリズム及び過激主義との戦いに関する何らかの国際連合を結成することを実際に望んで いる」とした上で、同人は、「我々は国防当局のラインで連絡を取っており、最近、モスクワでこの紛争(『独立新聞』註:シリアとイラクにおける紛争を指 す)と関わりのある国々の参謀本部の指導部と協議を行った」と述べた。
第三に、アサド政権を支援するロシ ア、イラン、中国が対IS連合の主要参加国となるとの観測がマスコミで流れている。最近モスクワを訪問したイランのモハメド・ジャワド・ザリフ外相は、テ ロリズム及び過激主義との戦いにおける経済的な協力関係以外の優先分野として、イランとロシアの連携を挙げた。そして中露は今年5月、シリア沿岸から遠く ない海域で合同軍事訓練を行っている。
このようにしてみれば、中東地域におけるロシアの軍事的な活発さに対 する米国の懸念は理解できるものだ。ペンタゴンはすでにアサド政府軍に対する爆撃を考慮し始めているが、シリア軍の戦闘序列にロシア軍人が含まれる可能性 があれば、このようなシナリオは排除される。アサド政権がISよりも危険性が少ないと信じるイスラエルは、この点では米国に同調していない。旧ソ連やロシ ア出身の国民も勤務しているイスラエル国防軍では、米国とは異なり、イスラム過激主義との戦いのためにロシアが軍事連合を形成することはより実際的である と見なされている。
(翻訳終わり)
ロシアがシリアに軍事介入を始める狙いとは
ムーヒンは、シリアへのロシア軍展開に関する欧米及び中東の報道を手際よくまとめた上で、これが単なる軍事顧問団の増強に過ぎないとするネトカチョフ少将 の主張(プーチン大統領の主張に沿ったもの)を引用している。シリアの軍人の多くがロシア語を喋れるのだというネトカチョフの主張の正当性はさて措くとし て(バッシャール・アサド大統領の父であるハーフィズ・アサド大統領をはじめとして、シリア軍人にソ連・ロシア留学組が多いことは事実であるが)、 BTR-82A装甲兵員輸送車やSu-34戦闘爆撃機のようにロシア軍しか保有していない装備がシリアで目撃されている以上、ただの「軍事顧問」であると する主張はかなり根拠薄弱であろう。ムーヒンは敢えてこの点に踏み込まずにお茶を濁しているが、軍事評論家である同人にもこの点はよく分かっている筈だ。
これはこれでシリア介入に関するロシア側の立場を知る上では興味深いが、さらに注目したいのは、その狙いに関する部分である。ロシアがシリアに軍事プレゼ ンスを展開し、しかもそれがシリア軍と一体となってしまえば、米国は容易にアサド政権への攻撃を行う訳にはいかないとムーヒンは見ている。
記事中でも触れられているように、米国はロシアの軍事プレゼンスが紛争の「エスカレーション」につながりかねないとの懸念を示しているが、むしろこのよう な懸念を惹起することこそがロシアの狙いであるのかもしれない。いうなればシリアに展開するロシア軍は単にアサド政権を支えるだけでなく一種の「トリッ プ・ワイヤ」(朝鮮半島で最前線に配備されている米軍と同様、同盟国への攻撃があれば域外大国の介入につながりかねないことを相手国に認識させるためのも の)としての役割を期待されているのであり、その存在によって米軍の対アサド政権攻撃を回避することがロシアの狙いなのだと考えられよう。米軍は2013 年からシリア領内への空爆を開始し、今年8月にはトルコのインシルリク基地を拠点として無人機及び有人機でISの拠点を攻撃しているが、今のところアサド 政権側の部隊には攻撃は及んでいない。
また、記事中でも触れられているように、ロシアは今後、シリア紛争を ISに対する「対テロ戦争」と再定義することを狙っている。つまり、「アサド政権vs反体制派」であった当初のシリア内戦にISが参入してきたことを契機 に、「IS vs 反IS連合(アサド政権+反体制派+その他諸国)」へと紛争の構図を書き換えてしまおうということだ。
8月11日に行われたロシアとサウジアラビアの外相会談において、ラヴロフ外相はロシア、中東諸国、アサド政権による「対IS連合」の創設を提起したもの の、この際は反アサド政権を掲げるサウジアラビアの同意を得られることなく終わった。だが、ロシアが依然としてこの構想を諦めていないことは、記事中でも 引用されているプーチン大統領やラヴロフ外相の発言からも明らかである。
ところでロシアがシリアで軍事プレ ゼンスの増強を始めたのは今年8月半ば以降と見られるが、これはムーヒンが触れている9月の国連総会を見据えたものであろう。シリアにおける軍事プレゼン スによって米国の対アサド政権攻撃を封じた上で改めて対IS連合構想を提起し、これを認めさせる思惑があるものと思われる。
その背景には、IS対策のためにアサド政権を容認してもよいのではないかとの空気が一部の西側諸国に見られるようになってきたことであろう。今年3月、ケ リー米国務長官が「最終的にはアサド政権と交渉する必要がある」と述べたことや、記事中で触れられているイスラエルの態度に見られるように、ロシアは「大 連合」構想でアサド政権の生き残りを図るチャンスが出てきたと読んでいるのではないか。
ただし、サウジアラ ビアとの交渉決裂からも想起されるように、「大連合」構想の成立は簡単な話ではない。この場合、まさにプーチン大統領が「将来の可能性」として示唆してい るように、ロシアが公にシリアで対IS軍事作戦に踏み切ることも考えられよう。いずれにせよ、目前に迫った国連総会でプーチン大統領が何を語り、各国がど のような反応を示すかが注目される。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5352
これで、欧米はISISを叩くふりをしてシリア攻撃をすることが出来ない。万が一米 軍や欧州の戦闘機がロシア軍を空爆すれば、必ずプーチンは報復するだろう。それこそプーチンの罠に嵌ることになる。まかり間違えば、第三次世界大戦の口火 をきることになる。今の米国にもEUにもそんな余裕は無い。
◆イラン核合意から得られる中露の戦略的利益
2015年09月08日 岡崎研究所 WEDGE Infinity
8月4日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙で、ハドソン研究所のハーマン上席研究員が、イラン核合意により中東に大パワーシフトが起きる、中露は イランとの政治経済関係を全面的に拡大し米国の影響力を削ぎながら同地域での重要なプレイヤーになるだろう、と警鐘を鳴らしています。
すなわち、今般のイラン核合意から最大の利益を得る国はロシアと中国である。両国は既にイランを通じて影響力を確実に拡大している。モスクワ・北京・テヘラン枢軸は今や確実のものであり、これはスエズ動乱以後中東の最大のパワーシフトである。
中露は、当初からイランの核開発を支援してきた。それにもかかわらず両国は国連などで非難されるどころか、反対にオバマ政権は、安保理制裁をかけるために両国との協力に腐心してきた。中国は石油の輸入規制からの例外まで認められた。
中露は、情報技術から石油ガスに至るまで制裁解除を全面的に利用するだろう。中国はイランのエネルギー部門に既に210億ドル以上の投資をしており、制裁 解除後はそれが倍になる可能性もある。中国のイラン原油輸入は現在60万BDであるが、100万BD以上になる可能性もある。
通常兵器の輸入規制も解除される。イランは凍結資産の解除により1000億ドルの資金を手にするが、中露から大量の兵器を買い付けるだろう。ロシアは Su-30戦闘機やS-400などの対ミサイルシステムなどを売ろうとするだろう。中国は、JF-17戦闘機やJ-20ステルス戦闘機、039型ソン級潜 水艦や巡航ミサイルをイランに供与することができる。潜水艦や巡航ミサイルはホルムズ海峡の支配を確立するのに役立つ。
さらに重要なことは、今後イランは、ロシア、中国の戦略的利益の増進を図るだろうということだ。ロシアの東地中海での海軍力の増進を助けるシリアのアサド 大統領への一層のテコ入れもするだろう。中国は、イランを戦略パートナーに格上げし合同軍事演習を拡大するだろう。上海機構へも加盟させるだろう。また、 イランは中国のシルクロード経済圏構想の前進基地になるだろう。
今回の合意がイラン核兵器開発にどういう影響を与えようとも、合意の地政学上の影響は極めて大きい。三国の枢軸ができ、中露が中東の重要プレイヤーになることは、米国の影響力を確実に侵食するものであり、その意味合いは計り知れない、と述べています。
出 典:Arthur Herman ‘The Moscow-Beijing-Tehran Axis’(Wall Street Journal, August 4, 2015)
http://www.wsj.com/articles/the-moscow-beijing-tehran-axis-1438704822
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極めて興味深い、直截な分析であり、賛同できます。今回のイラン核合意には、核兵器開発を実際に阻止できるかどうかということと中東の地政学への影響とい う2つの側面があることは、これまで指摘されてきていることですが、この記事は、後者の側面に注目し、中露両国がイランを通じて影響力を拡大し米国の影響 力は確実に低下すると主張しています。相当の説得力があります。とくにイランが中国のシルクロード構想推進の前進基地になるとの見方には現実味がありま す。
イラン核合意は、これから米議会で審議されます。ケリー国務長官、オバマ大統領が議会への説得を本格化 させています。他方で、イスラエルは議会に対する働きかけを強めています。米議会の今までの関心は、どちらかというと核兵器開発阻止の側面にあったので、 今回のハーマンのような観点からの問題提起が、議会審議に微妙な影響を与えるかもしれません。オバマ大統領は、たとえ議会が合意を拒否する決議を送付して 来ても、拒否権を行使するとしており、今のところ議会で大統領拒否を覆すために必要な3分の2は確保できないと見られています。しかし、議会が拒否の意思 表示を突き付けることになれば、今後の手続きを一層複雑化することは間違いありません。
ハーマンが言う「スエズ動乱以後最大の中東のパワーシフト」にどう対処していくべきかについては、今後更に議論があるでしょうが、現時点でとりあえず重要と思われる点は次のようなことではないでしょうか。
(1)イランを中露両国に任せないで、米日欧等の諸国が、経済、政治の分野での協力を、思慮深く強化していくこと。こちら側も一定程度エンゲージしていかないと、イランを益々中露側に追いやることになってしまいます。
(2)イランとの間で、政策協議を強化すること。米・イラン間には現在外交関係はありませんが、何らかの高級レベルの定期協議の制度化が必要ではないで しょうか。日本も両国協議体制の強化を検討すべきでしょう。イランについて、ここまで決断した以上、合意の履行を見つつ、インドの国際社会での立場を正常 化したように、イランとの関係も正常化する道を進む方が有利かもしれません。
(3)米国が中心になってサウジなどアラブ諸国との結束を強めること。5月のキャンプ・デイビッド会談や8月3日のケリー長官のGCC会議出席等の努力を続けることが重要でしょう。
(4)湾岸戦争の後、米国はベーカー国務長官が主導して速いペースで米露共同主催の中東和平マドリッド会議を構想し、実施しましたが、同様に、早い時期に中東全域を巻き込む何らかの会議を構想し、イランとアラブの信頼を醸成できないものでしょうか。
(5)中露の影響力拡大をバランスするため、米国は中東でのプレゼンスを維持、強化していくこと。他方、これによりアジアのリバランス政策が悪影響を受けないようにすべきことは言うまでもありません。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5320
◆マスコミ:サウジアラビアはロシアとの同盟を必要としている
2015年06月26日 Sputnik 日本
サウジアラビアの国防相を務めるムハンマド・ビン・サルマン王子のロシア訪問は、サウジアラビアが支援を獲得し、新たな同盟国を見つけようとしていることを物語っている。チェコのサイトParlamentnilisty.czは、このように伝えた。
サ ルマン王子は、ロシアのサンクトペテルブルグで開かれた国際経済フォーラムの場で、ロシアのプーチン大統領と会談した。プーチン大統領は会談の席で、サウ ジアラビアに招待されたことに言及し、ぜひ訪問したいとの考えを表した。またサルマン王子は、サウジアラビア国王が、ロシア訪問の招待を受け入れたことを 確認した。
サウジアラビア代表団は、ロシアと、原子力や軍事分野に関する計6つの協定に調印した。 Parlamentnilisty.czの記事では、「石油に関する協力協定は、近い将来、世界の原油価格を再び上昇させるだろう。これは非常に重要、か つ驚くべきことである」と指摘されている。なぜならサウジアラビアは今まで、米国とこのようなことを行ってきたからだ。
記 事の執筆者は、サウジアラビアは、2年連続で原油価格を最低限にまで落として、ロシアに打撃を与えているため、サウジアラビアとロシアの「石油同盟」とい う響きは、サウジアラビアの政策を考慮した場合、自分にとって不思議なものだ、と指摘している。サウジアラビアの王家「サウード家」は、新たな指導部を 持った。その指導部は、サウジアラビアにとって困難な時期であることに関連して、「友人」を増やそうという点で、これまでの指導部とは異なる可能性がある という。記事の中では、「サウジアラビアは、信頼できる国であるものの、最近は、中東における米国のさらに不屈な従属国となり、多くの問題で袋小路に迷い 込み、出口を模索している」と指摘されている。
またサウジアラビアは、リビア、シリア、イラク、そして、度合いは少ないものの、エジプトの情勢不安定化に手をかけたが、これら全ての地政学的、そして現実的な戦いの場は、サウジアラビアの管理下から抜け出てしまった、という。
また原油の低価格によって財政赤字が増え、非常に裕福な国であるサウジアラビアの国民の大多数が貧困に耐えながら暮らしており、不満が高まっている。
記事の中では、「ロシア大統領府は、必ずしもサウジアラビアと、何らかの真剣な同盟を結ぶ必要はないように思われる。なぜなら今、この同盟を一番必要としているのはロシアではなく、サウジアラビアだから」と指摘されている。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20150626/498858.html#ixzz3e7dEOkf3
◆ギリシャ「対ロ制裁に反対」 ロシアと首脳会談
2015/4/9 日本経済新聞
【モスクワ=古川英治】ロシアのプーチン大統領は8日、債務問題で欧州連合(EU)と対立するギリシャのチプラス首相とモスクワで会談した。EU の対ロ制裁への対抗策としてロシアが発動した欧州の農産物の禁輸措置の中で、ギリシャ産の規制を緩和することなどを協議。チプラス首相はEUの対ロ制裁に 反対を表明した。ロシアはギリシャなどの取り込みを進め、EUの切り崩しを狙う。
チプラス首相は会談後の共同会見で「EUの対ロ制裁には賛成していない」「制裁による悪循環を断ち切るべきだ」などと主張した。プーチン大統領は「ギリシャから金融支援の要請はなかった」としたうえで、農業やエネルギー、インフラ分野での協力を提案した。
ウリュカエフ経済発展相によると、ロシアはギリシャ産の果物などの輸入規制を緩和する方向で、ロシアのメドベージェフ首相が9日、チプラス首相に具体策を提案する。プーチン大統領はトルコとの間で計画する天然ガスの供給計画への参加もギリシャに呼びかけた。
チプラス首相は当初、モスクワで5月9日に開く対独戦勝70周年記念式典に合わせて訪ロする予定だったが、金融支援の延長交渉でEUと対立を深める中で訪問を前倒しした。
ギリシャの財政改革を前提とするEUと国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)の金融支援の継続を巡る交渉は難航しており、ギリシャの資金繰りは逼迫している。チプラス首相はロシアに接近する姿勢を見せることで、EUに揺さぶりを掛ける思惑があるとみられる。
ギリシャは経済的な実利の確保も目指している。同国政府によると、イチゴや桃などの果物は対ロ輸出の2割程度を占め、農産物の禁輸措置により2014年後半だけで8000万ユーロ規模の損害が出ている。天然ガスの6割強もロシアからの輸入に依存している。
EUはロシアのウクライナへの軍事介入を受けて導入したロシアの金融機関や銀行を対象にした制裁を延長するかどうかを6月に判断する。延長には加 盟28カ国すべての賛成が必要となる。ロシア政府筋はギリシャが1国で延長に拒否権を発動するとは期待していないとしながら、「EU内の制裁反対勢力を増 やせば、フランスやスペインなど大国も動かせる」と発言した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO85461250Z00C15A4FF2000/
ロシアは帝政初期に旧東ローマ帝国の皇女を嫁に迎えているから、コンスタンチノープルがオスマントルコに陥落させられたときいらい、東ローマ帝国の正当な後継者にして正教会の守護者を任じている。
だから現在のロシア連邦の国章は東ローマ帝国と同じ双頭の鷲だ。
そしてギリシァは冷戦時代に西欧陣営にあったが、文明的にいえば東ローマ帝国に属し、ロシアと同じ正教会である。
ロシアにとってギリシァを自陣営に取り込むことは、大きな地政学的メリットがある。 ロシア黒海艦隊はNATO加盟国である東ローマ帝国を滅亡させた宿敵トルコのコントーロルするボスポラス海峡を通過しなければ地中海に出ることができな い。ギリシァに基地を設けることができれば、その必要はなくなる。
旧西ローマ帝国=カトリックとその後継のプロテスタント=ラテン語文明圏の末裔同士の文明の衝突ということになる。
EUにとってこれ以上底なし沼の援助は難しいと成れば、新たな冷戦を生む可能性がある。最早腰抜けオバマにはどうすることも出来まい。イスラエルもサウジアラビアもエジプトも全部反米にしてしまった。
◆北方領土事業に日本参加を=望まなければ韓国を検討-ロシア知事代行
2015/07/25 時事通信
【モスクワ時事】タス通信によると、ロシア極東のサハリン州のコジェミャコ知事代行は25日、記者会見で「クリール諸島(北方領土と千島列島)発 展の共同プロジェクトに日本も参加するよう今後活発に提案していく」と述べた。一方で「日本にその希望がなければ、韓国などの合弁企業参加を検討する」と の考えを示した。
ロシア政府は23日、現行の「クリール諸島社会・経済発展計画」(2007~15年)の次期計画(16~25年)を閣議決定。予算は700億ルーブル(約1500億円)で、インフラを整備して事実上の支配を固定化する狙いがある。
発展状況を視察するため、メドベージェフ首相は3回目の北方領土訪問を8月にも予定。プーチン大統領の年内訪日を控え、日ロ関係への影響が懸念されている。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201507/2015072500287
◆北朝鮮にロシアが異常接近
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)6月3日(水曜日)
通算第4562号
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中国の北朝鮮冷遇の隙間につけいったロシアの巧緻
最高人民会議議長、国防相、外相らが相次いでモスクワ詣で
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中国の北朝鮮への冷たい態度はまるで氷のように凍てついて、駐平壌大使は軽量級。虫の居所が極端に悪い習近平が言ったことは「中国はこの地域の安定を望んでいるが、政権の安定を望んでいる訳ではない」だ。
この中朝冷却の政治状況に巧みに乗じて北朝鮮に影響力を増大させているのがロシアである。ソ連時代、北の最大の保護者でもあった。
2014年2月以来、両国の要人の往来は激しくなり、金永南(最高人民会議委員長)がソチ五輪に出席したのを皮切りに、同年十月にはリ・スヨン外相、十一月にはヒョン・ヨンチョル国防相がモスクワを訪問した。
答礼にモスクワからはガルシェカ極東開発大臣が3回、ユーリ・ツルゼフ(副大臣)らが平壌を訪問している。
2015年になって四月にヒョン・ヨンチョル国防相が改めてモスクワを訪問し、同年五月に金永南が赤の広場の軍事パレードに参列した。頻度激しい相互訪問に比べると、北京の反応は冷たい。
ロシアは2015年を「北朝鮮友好年」として政治イベント計画中といわれる。
五月9日の軍事パレードに参加しなかった金正恩は、国際デビューの機会を見逃したことになるが、ロシアは北朝鮮に対して暖かい姿勢を続ける。
金正恩が大事な外遊と認識しながらも、平壌を留守に出来ないのは、不在中の軍事クーデターを警戒するからであろう。
ロシア極東部に出稼ぎにでている北朝鮮労働者は、すでに五十万人といわれ、この労賃収入によって、北朝鮮は食料危機を回避しているとも観測されている。
実際にウラジオストクやナホトカをあるくと建設現場には北朝鮮からと見られる労働者が3K現場で働いており、カザフスタンやウズベキスタンの出稼ぎ労働者と一緒に建設作業をしていた。
「2013年二月の三回目の北の核実験以後、中国は対北政策を極端に冷却化させてきた。6者協議も、おそらく16年秋の米国大統領選挙以後に持ち越されるだろう」(ジェイムズタウン財団『チャイナ・ブリーフ』、5月29日号)。
▼中国の苛立ちは本物だが、時間的余裕が狭まった
北朝鮮に対する中国の不快感は宗主国として、家来が言うことを聞かないという単純な理由からの反発、冷遇だが、中国軍の配置を一覧すると、遼寧省の北朝鮮 国境に瀋陽軍区の主力部隊およそ10万から20万人ていどを貼り付けており、いざという場合に軍事介入できる態勢にある。
たとえば親中派の軍人等がクーデターを起こし、非常事態宣言布告後、治安維持のために中国軍を「平和維持部隊」として派遣要請するシナリオが考えられるだろう。
瀋陽軍区は装備に優れ、機動力もある。鴨緑江を挟んだ国境の町=丹東(日本時代の安東)までの鉄道を利用して多くの装甲車、戦車が運び込まれている。それもこれも北朝鮮の核爆弾は、日本向けというより、いつでも中国に向けられる懼れがあるからだ。
中国はロシアの北への急接近を過剰には評価しておらず、その経済的破綻情況を根本から立て直すほどの意気込みも資金もロシアにはないと踏んでいる。むし ろ、この平壌のモスクワ異常接近は、金正恩の危険な綱渡りだと認識している。「ロシアはルーブル下落やインフラ建設能力の問題があり、北朝鮮へおおきなプ ロジェクトを運べない」というアキレス腱があるからだ。
そして北京は北朝鮮の外相の訪問を受け入れても、数時間もまたせたうえ、いままで経験したこともない冷遇で対応した。このことに象徴されるように習近平の絶対的要求は北朝鮮の核開発凍結である。
とはいうものの北京も九月三日に予定している「抗日戦争勝利軍事パレード」には、プーチン大統領の出席に加えて、金正恩の出席を望んでおり、最近、中国外交部は駐平壌大使を外交官僚の重鎮と交替させた。そのうえで食料援助をカードに再接近を試みているフシがある。
http://melma.com/backnumber_45206_6216341/
◆アルゼンチンがSu-24を配備!?英政府フォークランド諸島防衛を見直し
2015/01/02 FlyTeam
アルゼンチンが、ロシアからスホーイSu-24フェンサー戦闘爆撃機12機のリースを受ける模様で、イギリス国防省はフォークランド諸島の防衛について見直しを迫られています。イギリスのDaily Expressが、2014年12月28日に報じています。
ロ シアは、クリミア問題でEUから牛肉や小麦粉などの食料の禁輸措置を受けています。プーチン大統領は2014年7月にアルゼンチンを訪問した際に、禁輸に より不足する食料と、ロシア製兵器の交換を話し合いました。食料と交換される兵器の中にSu-24 12機のリースが含まれています。
Su- 24は2,000マイル(約3,220キロ)の航続力があり、レーザー誘導ミサイルを搭載できる長距離戦闘爆撃機であることから、アルゼンチン本土から フォークランド諸島への攻撃が容易になります。イギリスは国防予算削減のため、フォークランド諸島の防衛に、タイフーン戦闘機4機とレイピア地対空ミサイ ル、1,200名の兵員しか派遣していません。
イギリス国防省では、2020年に空母HMSクイーン・エリザベスが実戦化するまでに、Su-24が配備されたらピンチと考え、対策を検討しているとのことです。
http://flyteam.jp/news/article/44716
ロシアは英国の一番痛いところを狙って来たな。
戦闘は無いにしても、外交戦争では一歩先を越された英国に、果たして対抗策が出せるのか?
堅気の私たちには全く迷惑な話だが、生活圏における抗争や暴力行為はまったく無縁とはいえない話でもある。危険回避には、最低限の知識を持っておく必要があるだろう。
テロ資金凍結法の施行が国会で決定した。施行日は今年の10月5日である。これを期した様に国際的にも国内でも凍結対象であった広域暴力団の山口組が分裂した。
この新興「神戸山口組」はまだ広域暴力団の指定も無い。米国や国連などの国際的テロ・マフィアの指定にもなってはいない。このままだと新たに指定されるまでには1年から1年半はかかるものと思われる。
昨年の司忍6代目山口組の年間収入は、アメリカのビジネス誌『FORTUNE』によると8.6兆円と発表された。
第一位 日本山口組 年収約8.6兆円
山口組は世界最大の反社会組織で、構成員は 2.8万人に上るとされ、主な収入源は自家製の麻薬関連品、賭博、恐喝行為や囲い込みであるとされる。組織内の分類は精緻を極め構成員は一度組織に参加す ると、組織に対する忠誠を誓う必要があり、求心力も高い。日本政府は近年になって取り締まりを強化しているものの、勢力は依然として強大であるとされ る。
第二位 ロシアSolntsevskaya Bratva 年収約9119億円
第三位 イタリアCamorra 年収約5257億円
第四位 イタリア’Ndrangheta年收約4827億円
第五位 メキシコSinaloa Cartel年收約3219億円
http://fortune.com/2014/09/14/biggest-organized-crime-groups-in-the-world/
旧6代目山口組の資産凍結が執行されることになれば、そちらはそれで大きなテロや犯行活動も予想される。まして住民票無登録の不法滞在ともなれば、強制送還逃れにも人質を取っての集団テロも予想がつく。
今回神戸山口組に分離した山健組と宅見組のものと分かっている証券や株式などだけでも、その資産は約2兆円あると推察されている。そちらは今回のテロ資金凍結法からは全くの対象外と言う理不尽な事実となる。 http://www.nikaidou.com/archives/70822
◆「神戸山口組」これが人事一覧と掟だ
2015.8.8 暴力団ニュース~ヤクザ事件簿
世間を震撼させている日本最大の指定暴力団、山口組の分裂劇は今後、どんな展開を見せるのか。この分裂劇の裏側に何があって、真相は何か。
■月会費は大幅減額、組長への贈り物禁止
今月5日、神戸市花隈の山健組本部に、山口組を離れた「神戸山口組」のメンバーたちが集まり、発足に向けて人事や月会費を決めた。
出席したメンバーによれば、人事は次の通りである。煩雑になるが、よそではまだ報じられていないようなので、記すことにする。
神戸山口組の組長は事前予想通り
井上邦雄(山健組組長)
若頭は寺岡修(侠友会、淡路市)
若頭補佐・剣柾和(黒誠会会長、大阪市)
同・織田絆誠(今回、山健組から抜擢)
入江禎(宅見組組長)
副組長・入江禎(宅見組組長、大阪)
正木年男(正木組組長)
総本部長・正木年男(正木組組長、福井県敦賀市)
本部長・毛利善長(毛利組組長、吹田市)
舎弟頭・池田孝志(池田組組長、岡山市)
舎弟・岡本久男(松下組組長、神戸市)
同・宮下和美(西脇組組長、神戸市)
顧問・奥浦清司(奥浦組組長、東大阪市)
若中・池田幸治(真鍋組組長、尼崎市)
同・高橋久雄(雄成会会長、京都市)
同・清崎達也(大志会会長、熊本県八代市)
(順不同)
注目すべきは神戸山口組が新しく決めた月会費の額である。役付き30万円、中堅20万円、若中10万円と安い。弘道会が支配する従来の山口組では若中が支 払う最低額でも100万円以上だから、その10分の1以下といえる。さらに中元、歳暮を組長に贈ることは禁止、組長は誕生日祝いをせず、組長への贈り物も 禁止となった。
従来の山口組では中元の時期、直系組長たちが拠出して司忍組長に贈るカネが5000万円、歳 暮として同じく直系組長たちが分担拠出するのが1億円、1月25日の誕生日祝いにも1億円を司忍組長に差し出している。両派組員の支払額はえらい違いで、 神戸山口組は今の不況にかなっている。
当然、弘道会支配の山口組が行っているミネラルウオーターや日用雑貨品の強制売り付け(月額50万円以上)も神戸山口組はやらない。
メンバーたちの多くは「会費の安さと水などの強制売り付けなしはものすごく助かります。6代目山口組が異常なわけで、執行部は脅迫的に直参たちからカネをむしっている。こういうことをまだ続けるつもりか、常識を疑う」などと批判している。
また6代目山口組が今回、神戸山口組の副組長に納まった宅見組・入江禎組長に対する切り崩し工作を中止するよう指令を出した。これについては、6代目山口組は、よほど入江副組長が握る司忍組長の脱税データと証言が怖いのだろう、との声が参加者からも湧いた。
こうして両派は対決局面に入ったが、まだどこからも拳銃の音は聞こえてこない。両派の並立が長く続くのかもしれない。
http://yakuzanews.blog36.fc2.com/blog-entry-7754.html
■神戸山口組勢力図
組長 – 井上邦雄(四代目山健組組長)
■執行部
入江 禎-副組長(二代目宅見組組長)
寺岡 修-若頭(侠友会会長)
正木年男(正木組組長)
池田孝志(池田組組長)
奥浦清司(奥浦組組長)
毛利善長(毛利組組長)
岡本久男(二代目松下組組長)
剣 柾和(二代目黒誠会会長)
宮下和美(二代目西脇組組長)
高橋久雄(雄成会会長)
池田幸治(四代目真鍋組組長)
清崎達也(大志会会長)
本部:兵庫県淡路市
◆神戸、大阪地区を中心に見ると
神戸山口組参画組織 (現在の勢力)
井上邦雄(四代目山健組組長)(兵庫)
入江 禎(二代目宅見組組長) (大阪)(ミナミ)
寺岡 修(侠友会会長) (兵庫)
正木年男(正木組組長) (福井)
池田孝志(池田組組長) (岡山)
毛利善長(毛利組組長) (大阪)
岡本久男(二代目松下組組長) (兵庫)
剣 柾和(二代目黒誠会会長) (大阪)(北)
奥浦清司(奥浦組組長) (東大阪)
宮下和美(二代目西脇組組長)(神戸)
高橋久雄(雄成会会長) (京都)
池田幸治(四代目真鍋組組長) (尼崎)
清崎達也(大志会会長)(熊本)
・邦尽会(大阪)(中央区)
・竜心会(大阪)(中央区)
・勝心連合(大阪)(中央区)
・秀誠会((大阪)西区)
・生島組(大阪)(浪速)
・姫野組(大阪)(西区)
・兼一会(大阪)(中央区)
・忠心会(大阪)(生野)
・神仁会(大阪)(平野)
・柏田組(大阪)(東住吉)
・牧野興業(大阪)(東大阪)
・禎心実業(大阪)(東住吉)
・竜道会(大阪)(豊中)
・砂子会(大阪)(北)
住吉会から合流
加藤孝次郎 (幸平一家) 東京都板橋区大山金井町
約900人 住吉会きっての武闘派だった
縄張りは広範囲に渡り池袋、上板橋、高田馬場、椎名町、江古田、沼袋、
中野、新宿落合、早稲田、雑司ヶ谷、牛込、神楽坂、中井、目白、
井草、旧二本木一家の埼玉地域。
どうもこちらが本流の山口組になりそうだ。
それと10月5日施行のテロ資金凍結法の対象になっていないことが重要。
6代目山口組は、米国でも国連でも日本国内でも凍結対象になっているが、神戸山口組は広域指定暴力団にもまだ指定されていない。
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住吉会(すみよしかい)は、東京都港区赤坂に本拠を置く博徒系指定暴力団。米政府より薬物や武器の密輸、人身売買等の犯罪に関与する国際犯罪組織と 認定されている。 勢力範囲は1都1道1府16県、構成員は5,900人であり準構成員を含めると約12,800人。(2012年2月時点)
住吉一家を中心とする、歴代の住吉一家総長を重んじる組織である。会内で住吉一家の傘下でない組織は幸平一家のみだった。この幸平一家が抜けたことにより、実質の住吉会は住吉一家となる。もちろん日本国内でも住吉会はテロ資産凍結法の指定暴力に指定されている。
◆山口組分裂で一触即発臨界点越す 防弾チョッキ両陣営に送付
2015.09.09 NEWSポストセブン
“日本最大の暴力団”山口組の分裂が明らかになった。いま最も恐れられているのは分裂による抗争が起きるかどうかだ。日本でもっともヤクザに詳しいライター・鈴木智彦氏が、その可能性について各方面からの情報を基に分析する。
* * *
かなり早い段階で、山口組からの離脱組は自分たちの大義を新聞社経由で発表したがっていることが分かった。抗争になれば大義名分が不可欠になる。
現実には強い者の言い分が筋で、最終的に暴力の勝負とはいえ、離脱という大罪を背負った側は、その理由を喧伝しなければならない。というのも暴力団には「親分が絶対」という建前があり、これをひっくり返すのは難儀なのだ。
だからクーデターの大半はトップが死に、または引退し、親分・子分の疑似血縁制度の縛りが消滅した時に表面化する。その点、今回のクーデターは、極めて異例だ。
「一和会のほうがまだマシだ。今回はみなが司忍六代目と縁を持っている。なにを言ったところで、大義なき逆賊だろう」(山口組二次団体幹部)
1981年に田岡一雄三代目が病死して以降、跡目を巡って勃発した山一抗争(※注)とは、ここが決定的に違う。ヤクザ的な物差しでは、離脱組は明らかに不利なのだ。
【※注/1984年に竹中正久が四代目を襲名したことに反発した反竹中派が「一和会」を結成。竹中組長は一和会に殺害されたが、山口組の報復が激化。1989年の終結までに双方で25人もの死者を出した】
抗争の可能性は極めて高い。暴対法も暴排条例もヤクザのメンツの前には意味がない。確信しているのには理由がある。山口組関係者からかかってくる電話は、明らかに変化している。
http://www.news-postseven.com/archives/20150909_348965.html
◆山口組分裂問題 半グレ同士の対立をもたらす危険性指摘される
2015.09.04 NEWSポストセブン
日本中の注目の的となっている山口組の分裂問題。8月27日、「山健組」を中心に13団体が六代目山口組を離脱することが決定的になった。離脱グループの構成員数は組全体の3分の1近くに上り、今後、新組織を結成すると見られている。
六代目山口組はそれらの団体に対し、「絶縁」や「破門」の処分を出した。特に重い処分が、山健組など5団体が受けた「絶縁」だ。暴力団の事情に詳しいジャーナリストの伊藤博敏氏が解説する。
「絶 縁とは、六代目山口組から“今後一切、ヤクザを名乗って活動してはいけない”と宣告されることです。ところが、山口組の主流をなしていた山健組は“兄弟 盃”を交わすなどして山口組以外の暴力団とも友好的につきあってきた。たとえば、東京・板橋に拠点を置く有力団体は、山口組に次ぐ規模を持つ『住吉会』の 傘下組織だが、山健組と近い。福岡・大牟田に拠点を置く有力団体もそう。そうした全国の団体が、これまで通りに山健組とつきあいを続けることは六代目山口 組にとっては許されない。彼らも六代目山口組と敵対することになります」
日本最大の山口組の分裂は、他団体をも二分する動きに繋がりかねないという。影響はそれだけではない。
「東京の西麻布や六本木などの繁華街では、“半グレ”と呼ばれる不良グループが過去に何度もグループ同士で凄惨な暴力事件を起こしています。彼らは暴力団の影響下にあるので、ヤクザが抗争を始めれば、半グレ連中同士も対立を始める可能性があります」(伊藤氏)
日本全国に広がる抗争の火種――それが山口組分裂がここまで注目される理由だ。
過去、抗争事件には多くの一般人が巻き込まれている。1984年から1989年に山口組の一部が分裂して起こった「山一抗争」の時には、尼崎市のスナックでバンド演奏のアルバイトをしていた19才女性が流れ弾に当たって亡くなる事件も起きた。
当時に比べると警察の取り締まりは厳しくなっているが、予断は許さない。特に繁華街では事件の危険性が高まっている。
過去の事件をみると、事件が頻発しているのは暴力団事務所や幹部自宅やその周辺の路上。クラブやスナックなどのネオン街も危ない。さらに、意外に危険な場所も浮かび上がってきた。
「事 件が起きやすいのは、暴力団幹部が頻繁に訪れている“行きつけ”の場所です。たとえば、繁華街に近いシティーホテルやビジネスホテル。ヤクザの組や幹部に はお気に入りのホテルがあり、宿泊や会合は同じホテルで行うことが多い。過去には、山口組の最高幹部が神戸市内のシティーホテルのティーラウンジで銃撃さ れ、一般人が巻き添えになって亡くなった事件も起きました」(伊藤氏)
繁華街の中の老舗喫茶店も危ない。たばこを吸えたり、ソファがあるなど組員の集合場所になりがちだ。繁華街にあるファミレスが行きつけの打ち合わせ場所になっていることもある。
「かつて山口組の竹中正久四代目組長は愛人宅のマンションに入るところを暗殺されました。その他、持病の治療のために通っている病院の駐車場や出入り口なども待ち伏せされやすく、過去に事件が起きています」(伊藤氏)
※女性セブン2015年9月17日号
http://www.news-postseven.com/archives/20150904_348049.html
東京で危ないのは、六本木と池袋北口西口方面らしい。
事務所近辺とか、暴力団幹部の行きつけの飲み屋とかには近づかない方が得策。
山口組の分裂騒動が大手マスコミの格好の報道テーマになっているが、なぜ日本の暴力団がこれほどまでに勢力を伸ばしてきたかの検証報道は一切されていない。
元公安調査官・菅沼光弘は、2006年10月19日に行われた東京・外国特派員協会における講演で、山口組のナンバー2である高山清司から聞いた 話として、暴力団の出自の内訳は部落(同和)60%、在日韓国・朝鮮人30%、一般の日本人など10%であるという見解を示した。
なお、菅沼の現職時代の担当は共産圏分析。また公安調査庁は暴力団自体が担当外。
山口組顧問弁護士を務めた山之内幸夫は『文藝春秋』昭和59年11月号に寄せた「山口組顧問弁護士の手記」において「ヤクザには在日朝鮮人や同和地 区出身者が多いのも事実である」「約65万人といわれる在日朝鮮人のうち約50%が兵庫・大阪・京都に集中していることと山口組の発展は決して無関係では なく、山口組は部落差別や在日朝鮮人差別の問題をなしにしては語れない」と述べた。
被差別部落の詩人植松安太郎は「ご承知のとおり山口組のなかの70%は部落民だといわれているけれど、関東だって切った張ったのやくざの手下や用心棒のなかには部落民がいっぱいいるわけですよ」と語っている。
「杉並からの情報発信です」
http://blog.goo.ne.jp/yampr7/e/0f36d3bdf48b327b0f29d37979a0f14f
◆ 山口組分裂、それでも大抗争が起きない理由 「やくざの時代」の終焉か?
2015年09月10日 伊藤 博敏 現代ビジネス
司組長が離脱者に送った「通達文書」
本来なら、血で血を洗う抗争が始まっていてもおかしくないが、いまだ静けさを保っているのが、山口組分裂騒動である。
8月末に山口組を割って出た一派は、9月5日に定例会を開き、組長は井上邦雄・山健組組長、副組長は入江禎・宅見組組長、若頭は寺岡修・侠友会会長といった人事を明らかにするとともに、組名は「神戸山口組」で代紋は「山菱」を使うと宣言した。
「親」である司忍6代目を裏切って外に出た「子」の井上組長らが、山口組という名称も代紋も継続使用するというのだから「やくざの論理」では許されない。
だが、山口組のみならず全国の暴力団で、最も資金力のある戦闘部隊を持つと言われる名古屋の弘道会を支配下に置く司組長は、「軽挙妄動を慎め」と、文書で通達。また、山口組に戻りたい離脱者には、「寛容な気持ち」で接するように伝えている。
神戸山口組も同じだ。構成員約3000人で、全国的には約1万人の山口組の3割に過ぎないが、神戸では圧倒、大阪でも五分の勢力を誇る。しかし、抗争を起こすことがないように厳命。それでも「夜の盛り場」でトラブルが起きかねないと、自警団を組んでパトロールしている。
両山口組の関係者はもちろん、警察幹部も他の暴力団幹部も、「山一戦争のようなことはない」と、口を揃えた。30年前にも山口組は、4代目襲名をめぐって分裂、山口組VS一和会の抗争となり、竹中正久4代目を始め25人もの死者を出したが、その“再来”はないというのだ。
第一に挙げられるのは、時代の変化である。
1984 年の山一戦争勃発は、バブル経済の前夜だった。その後、旧住友銀行に山口組の企業舎弟が入り込んで3000億円を闇に流したといわれるイトマン事件、竹下 登政権誕生に功績のあった稲川会会長への謝礼が、4000億円の債務保証となって東急電鉄仕手戦などに繋がった東京佐川急便事件に象徴されるように、バブ ル期、「裏の世界」の住人であるはずのやくざが、「表の社会」を侵食し始めた。
これを放置できなくなった国家 権力は、92年施行の暴対法を皮切りに、改正を重ねて組長の使用者責任を厳格にし、11年には暴排条例を全国施行して、やくざの糧道を絶った。違法行為は もちろん、合法的な事業も禁じられ、配下の組員が犯した罪でも組長が被って賠償責任を取らされる。
がんじがらめのなか、暴力団社会は衰退を余儀なくされ、暴力団の構成員と準構成員を含めた数は、毎年1割減が続いて、14年末には約5万3000人となった。
「儲かっているのは弘道会だけ」という不満
この危機を、内部にあっては厳しい管理、外部とは平和外交路線で乗り切ろうとしたのが山口組である。正確には、司6代目の出身母体でナンバー2の高山清司若頭が会長を務めていた「弘道会方式」と言われる。
執行部への批判は許さず、ウィークデーは神戸の「山口組本部」への“顔出し”を義務付け、上納金は月に80万円以上にアップさせ、ペットボトル入りの水や石鹸、歯ブラシといった日用雑貨品の購入を強制した。
直参と呼ばれる直系組長に、使用者責任が6代目に及ぶような手荒なしのぎをさせず、完全管理下に置き、中央集権的に資金を執行部に集めるシステムの確立である。
一方で、他の団体との盃外交は積極的に進めて友好団体を増やした。指定暴力団の半数は山口組の友好・親戚団体である。そのために、襲名、葬式などの義理事はもちろん、墓参や誕生祝いもかかさず、その平和外交路線の費用もまた傘下への割り当てだった。
結局、儲かっているのは弘道会だけじゃないか――。その鬱積した不満が爆発したのが、渡辺芳則5代目の出身母体である山健組を中核とした今回の分裂騒動だった。
不満は山口組の内部だけではない。
平 和外交路線は実を結び、対山口組の「箱根から先に菱の代紋を掲げさせない組織」だった関東二十日会は、山口組の一員となった国粋会をメンバーに加え、関東 親睦会として再スタートした。確かに、抗争の芽は摘まれた。だが、山口組は他にも、落合金町連合を直参にしており、都合2団体が東京に進出したことにな る。
半グレの代表格である関東連合OBのケツ持ちの主流は弘道会で、芸能界に勢力を築いたのも、暴力団が群雄 割拠する歌舞伎町に拠点を持ったのも弘道会。関東の組織からすれば、「平和外交」と言いつつ、静かに侵食を果たしていい目を見ているのは山口組=弘道会 じゃないか、という思いがある。
今回、5日の定例会に、住吉会のなかの一大勢力である「幸平一家」の加藤英幸 総長が顔を見せて話題となった。住吉会を割って出るかどうかは定かではないが、他にも福岡の浪川睦会など井上組長と信頼関係を結んでいる組は少なくない し、他の組織のなかにも、山口組との関係が危うくなっても神戸山口組と親戚関係を結ぶところがありそうだ。
「やくざの時代」の終焉
司 組長と高山若頭が主導した「弘道会方式」とは、言葉を換えれば、弘道会をトップに暴力団のピラミッドを構築、攻勢を強める国家権力に対抗しようというもの だった。だがそれは、10年前、司6代目のクーデターによって当代の座を奪取された山健組の怨念の前に潰えたことになる。
かつての暴力団社会なら、山口組は分派の神戸山口組をたたきつぶさねばならないが、それは即ち、双方の共倒れを意味する。
そういう意味で、安藤隆春・元警察庁長官が、「弘道会の弱体化なくして山口組の弱体化はなく、山口組の弱体化なくして暴力団の弱体化はない」と、弘道会壊滅作戦を指示したのは正しい。
抗争なき山口組VS神戸山口組の姿は、「やくざの時代」の終焉を物語っている
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45198
◆ 【山口組】 「世界最大の犯罪組織」の分裂危機に海外も注目“出自のタブー”にも言及 ~根源は韓国・朝鮮系vs被差別部落系の争い
2015年08月31日 キムチ速報
「世界最大の犯罪組織」山口組の分裂危機に海外も注目 “出自のタブー”にも言及
http://newsphere.jp/national/20150831-1/
http://newsphere.jp/wp-content/uploads/2015/08/yakuza.jpg
最大の指定暴力団・山口組で組織分裂の動きがあり、警察と政府は大規模な抗争に発展
する恐れもあるとして警戒を強めている。映画などから“YAKUZA”の存在が広く知られる海外でも、複数のメディアでこの話題が詳しく報じられている。(省略...)
◆関西派閥が傘下から離脱か
山口組は神戸市に本拠を置く構成員・準構成員数2万3000人余りの巨大組織だ。
米フォーチュン誌は昨年、世界でダントツの800億ドルの収益を上げたとし、「世界の組織犯罪グループトップ5」の1位に挙げた。これに従えば、日本メディアは山口組を「国内最大の指定暴力団」と表現することが多いが、海外視点では「世界最大の犯罪組織」ということになる。
それだけに、政府もその動きに敏感だ。菅義偉官房長官は28日、山口組内部で混乱の兆候
があると、異例の声明を発表。政府と警察にとっては、組織を弱体化させる絶好の機会だと力を込めた(ウォール・ストリート・ジャーナル紙『Japan Realtime』)。
警察庁によれば、最近、組織運営に不満を唱えた傘下13団体の組長が「絶縁」や「破門」の
処分を受けた。これらの反対勢力が来月初めの幹部会に向け、山口組を離脱し、新たな組織
を立ち上げようとする分裂の動きがあるのだという。
背景には、傘下の名古屋を拠点にする『弘道会』と、『山健組』を中心とした関西グループとの
派閥争いがあると見られている。NHKなどの国内報道によれば、分裂の動きに合わせ、総本部を神戸から名古屋に移そうとする動きもあるという。
六代目の司忍(つかさ・しのぶ、本名・篠田建市)現組長は、『弘道会』出身だ。同組長が
就任した2005年以降、『弘道会』出身者を優遇した人事が行われていることや、組織に収める上納金が高額になったことが、『山健組』を中心とした関西派閥の不満につながっているようだ。
警察当局によれば、司組長派は約7000人、トップが更迭された関西13団体の構成員は合計3300人程度だが、実際に分裂に向かう場合、この通りの勢力図になるかどうかは今のところ
不透明だ。
◆背景に東日本と国際犯罪へのシフトも(省略...)
◆「根源は韓国・朝鮮系vs被差別部落系の争い」と米メディア
フォーチュン誌のランキングでは、山口組は、2位のロシアン・マフィア『ブラトヴァ』(収益85億ドル)を大きく引き離してトップに立っている。同誌は、「中国マフィアなどの東アジアの犯罪グループは、多くは血縁関係で結ばれているが、ヤクザは“入念に作り上げられたヒエラルキー”で結ばれている。メンバーは一度加入すれば、全ての忠誠心を優先的にヤクザ社会に捧げなければならない」と記す。この「世界で最も中央集権化された組織運営」が、群を抜いた収益を上げる鍵だとしている。
山口組の分裂は、この中央集権化されたピラミッドの一角が崩れることを意味する。警察や政府が抗争の一般市民への影響を懸念すると同時に、組織弱体化の千載一遇のチャンスと見るのはそのためだ。組側もそれを十分に認識していると見える。山口組は1980年代にも分裂の危機を迎え、30人以上の死者を出す抗争に発展した。その際には組員を呼び戻すために高額の“退職金”を用意するなどの“年金プラン”を導入し、組員の離反を防いだという(『Daily Beast』)。今回も何らかの懐柔策が取られるかもしれない。
ただし、対立の根はもっと根深い所にあるようだ。『Daily Beast』は、国内メディアがあまり触れない、ヤクザの出自に関する“タブー”に触れている。
同メディアは、日本のヤクザの多くは、帰化した韓国・朝鮮系(または在日韓国・朝鮮人)と、
かつての被差別部落出身者だと指摘する。
そして、「山口組(山健組・関西派)には被差別部落出身のメンバーが多く、『弘道会』は韓国
(・朝鮮)系の割合が高い。これが2つの派閥の緊張を作り出している」と記している。
(内村浩介)
引用元:http://awabi.2ch.sc/test/read.cgi/news4plus/1441007626
http://kimsoku.com/archives/8951553.html
◆<山口組分裂>“分裂に至る病根”になってしまった田岡三代目組長の「山口組コングロマリット化」
http://totalwar.doorblog.jp/archives/45363265.html
中国インチキ政策に世界市場“激怒” 米国で高まる中国への不信感
2015.08.27 zakzak
上海総合指数が暴落続きでクラッシュしたことを受けて、中国当局は緊急利下げを含む追加金融緩和を決めた。だが、中国経済や習近平政権に対する市場の不信 感は根強く、利下げ効果は限定的との見方がある。米国からは9月に予定される習主席の国賓としての訪問を拒否する声が挙がり、国内では政権の基盤が揺らぐ 可能性が高まるなど、八方塞がりに追い込まれた。
26日、上海総合指数は朝方は追加金融緩和を受けてプラスで始まったが、その後は3%超の下落に転じるなど乱高下。5営業日続落し、前日比1・27%安の2927・29で取引を終えた。前日に続いて年初来安値を更新した。
25日の市場で上海総合指数が約8カ月ぶりに3000を下回り、中国人民銀行は同日夜、0・25%の緊急の追加利下げに踏み切ると発表。預金準備率も引き下げる異例の追加金融緩和を決めていた。
大和総研の斎藤尚登シニアエコノミストは、「総合指数が3000の大台を割るまで株価が下がってからやったので、切羽詰まって金融政策を実施した印象を受 ける。追加利下げをしたからといって中国経済の先行きがバラ色になるわけではないが、不動産開発投資には若干明るさが出てくるだろう」と指摘する。
李克強首相は25日午後、「中国には、今年の経済発展の主要目標を達成する能力と条件がある」と強調したが、中国経済は製造業や不動産など幅広い分野で不 振が続いている。市場の疑念は中国株にとどまらず、経済そのものや習政権の不透明な政策運営に及んでいるためだ。人民銀は「中国経済には低下圧力があり、 グローバル金融市場には大きな変動が現れている」と説明した。
人民元の切り下げや、利下げなど金融緩和を進めれば、資金の海外流出や不動産バブルを再燃させる懸念もあるが、一方で景気の低迷を放置すれば習指導部に対する不満も高まるとあって、習指導部は苦しい立場に追い込まれている。
『中国経済まっさかさま』(アイバス出版)の著者で週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏は、「中国経済がインチキだということが世界的にばれてしまった。金融緩和で一時的なカンフル剤となっても、中国経済の本質は変わらない」とみる。
ロイター通信は、「共産党にとって株価急落の最も厄介な点は、市場を操作しようとしたという事実ではなく、取り組みが効果を上げなかったことが白日の下にさらされたことだ。共産党の経済運営能力の面での威信は国内でも国外でもいたく傷ついた」と報じた。
習政権が対策を打ち出しても中国株が下げ止まらない状況について、豪大手メディアは、巨大な岩を山頂まで運んだ瞬間に岩は転がり落ちてまたやり直しという 罰を受けたギリシャ神話の「シジフォスの岩」の逸話にたとえた。そのうえで「神話では罰を受けたのはシジフォス王1人だけだが、習主席は中国の納税者に数 百兆円の損害を与えている」と批判した。
習主席について、米国からも憤る声が出始めた。米大統領選の共和党 候補の1人でウィスコンシン州知事のスコット・ウォーカー氏は、「米国人が苦しんでいる市場の下落は中国の経済減速による部分があり、その中国経済は操作 されている。オバマ大統領は、習主席を招くより、米国の利益を失わせようとする中国に説明責任を取らせるべきだ」と声明を出し、習主席が国賓としての訪米 をキャンセルするようオバマ大統領に促した。選挙戦が背景にあるとはいえ、米国内で中国への不信感が高まっていることをうかがわせる。
前出の勝又氏はこう警鐘を鳴らした。
「一党独裁だった旧ソ連では経済危機が直線的に政治危機につながったが、高い成長で国民の信頼をつなぎ止めていた中国でも、経済危機で中国人民の共産党離れや政変など不測の事態が生じる可能性もある」
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150827/frn1508271140001-n1.htm
◆上海株暴落をチャンスに 無意味な「国際協調」言い出すメディアにはあきれる
2015.8.29 産経ニュース
上海株価は北京の下支え策をぶっ飛ばして、フリーフォール(底なしの下落)だ。「中国発、世界同時株安」だと、世界がパニックに陥っている。そしてどう対 応すべきか、となると、日経新聞などは決まり文句の「国際政策協調を」と叫ぶが、「火元が中国だけに、伝家の宝刀である『国際協調』を引き抜くのが難し い」(25日付ロイター通信)とみるのが正解だ。(夕刊フジ)
本欄で以前から指摘しているように、共産党が支配する異形の市場経済が膨張しすぎて統御できなくなって破綻、自壊。株暴落はその帰結だ。無意味な「国際協調」を言い出す一部メディアの安直さ、無定見ぶりにはあきれる。
それでもまだ中国成長幻想を持ち続ける企業もいるようだが、どんな根拠でそう考えるのか、知りたいものだ。空前絶後の産業部門の設備過剰をみればよい。鉄 鋼は余剰能力が日本の年産規模1億1000万トンの4倍以上、中国自動車産業の総生産能力は国内販売の2倍以上、年間4000万台を超える。
過剰生産は党による市場経済支配の副産物である。鉄鋼の場合、中国国内の需要の5割以上が建設、不動産およびインフラ部門で、党中央が中国人民銀行にカネ を刷らせて不動産開発に回し、需要をつくり出した。自動車部門も党内の実力者たちが利権拡張動機で、影響下に置く国有企業各社の増産、シェアを競わせてき た。
これまでの4~5%の元切り下げ幅程度で、輸出を大幅に伸ばし、過剰生産を緩和できるはずはない。人民銀行がもう一段の元安に踏み出そうとすれば資本逃避はさらに加速しよう。どう転んでも、中国経済も上海株にも回復の見込みはどこにも見当たらない。
日本を含む世界はいかにチャイナリスクを自国経済から遮断するか、リスクをどうチャンスに変えるか腐心するべきだ。条件は目の前にぶら下がっている。
グラフは国際商品市況と中国の鉄道貨物輸送量の推移である。同輸送量は「北京当局のファンタジー」とまで多くの専門家から評される国 内総生産(GDP)に対し、信頼度がかなり高い経済指標である。一目瞭然、中国景気は昨年はじめから下降局面に入り、それに連動する形で鉄鉱石、天然ゴム 相場が下がり、その後を追うように原油相場が急落した。貴金属、穀物市況のトレンドも共通する。
国際商品市 況の低迷は世界景気不安につながるとの見方がメディアでよく報じられるが、変な話である。確かにロシア、中東など資源輸出国にとってみればマイナスだろう が、世界景気を引っ張るのは日米欧など消費国にとってみれば好材料になる。インフレ懸念がないのだから、米国は利上げを急ぐ必要はない。
日本の実質成長率は、消費税増税による後遺症から抜けきれず、前年度に続きこの4~6月期もマイナスが続いている。家計消費、さらに企業の設備投資もよくない。政府と日銀は内需振興に向け財政・金融の両輪をフル回転させるべきだ。 (産経新聞特別記者・田村秀男)
http://www.sankei.com/premium/news/150829/prm1508290014-n1.html
◆「オバマが中国重視日本軽視なのを日本メディアは理解出来ないらしい…」 【中国の反応】
(日本経済新聞より)
日本から見て、どうも腑に落ちないことがある。
オバマ米大統領がしばしば、そこまでしなくてもいいのではないかと思うくらい、中国にリップサービスをすることだ。
たとえば、昨年11月、習近平中国国家主席と会談した後、そろって臨んだ記者会見がそうだ。
中国との協力関係は、アジア戦略の「核心だ」と断言した。
日韓やオーストラリアなどの同盟国より、中国を重視するような印象を与えかねない。
なぜ、そんな発言をするのだろうか。
「オバマ政権は中国による東シナ海や南シナ海での軍拡に危機感が薄い。 だから軽々しい発言が出るのでは」。
日本の当局者からはこんな不満が漏れる。
それだけが理由なら、オバマ政権が交代すれば、状況は変わる。
だが、日本が知らない米中の黙契が背後にあるとすれば、ことはさらに複雑だ。
その一端がうかがえるのかが、日本が多額の援助を注ぎ込むアフガニスタンである。
これまでアフガンへの深入りを嫌がっていた中国が突然、和平の仲介に動き出した。
複数の外交筋によると、中国は昨年11月、アフガン反政府武装勢力であるタリバン幹部を北京に招いた。
昨年10月末には、アフガン復興の国際会議を北京で主催し、アフガンのガニ大統領に3億3千万ドルの援助を約束した。
そこでちらつくのが米国の影だ。
「アフガンの資源開発を狙うだけでなく、和平にも貢献してほしい」。
内情を知る米国の援助関係者によると、米政権は中国に、重ねてこう要請しているという。
中国とアフガンの高官を引き合わせるため、昨年末、米国がひそかに3カ国会合をおぜん立てしたとの情報も流れる。
中国に不信感を抱きながらも、オバマ氏が彼らとの協力をアジア戦略の「核心」と呼ぶわけがここにある。
日本外しをいたずらに警戒する必要はないにしても、アフガンをめぐる外交戦でも米中の蚊帳(かや)の外に置かれるとしたら、やはり寂しい。
http://asiareaction.com/blog-entry-1896.html
「日本の右傾化・ファシスト」と罵るこの「支那共産党」
そもそも「ファシスト」の第一条件とは「一党独裁」である事を自覚していない。
ファシストにファシストと呼ばれれば、簡単な算数の定理で、民主主義となる。
人間の欲とは底無しと言うがこのファシスト集団「支那共産党首脳部」の強欲こそ留まる事を知らない。
この8200万人の党員が年間に掠め取る内外賄賂の総計は約80兆円。(日本の国家予算とほぼ一緒)
温家宝の一族の有する財産、約2兆7000億円とロイターは報じた。お仲間も皆 同額程度の隠し財産を持つという。
日本のメディアは温家宝はオーストラリアに亡命と報じ、習近平が必死で行方を追及し、財産を没収するとか言ってたが、70年戦勝記念の天安門広場の壇上にしっかり姿を現した。
しかも、拘束され完全失脚と報じていた江沢民も曽慶紅、賀国強までが壇上に姿を見せた。
その言い訳をちゃんと報じたメディアがあっただろうか。
VWは世界一を取った代償に、中国の支配を受け入れた
ドイツはこのところ日米と対立し中国に肩入れする事が多いが、過剰投資で経済リスクを負っている。
中国に進出したVWなどの企業は経営権を中国政府に握られ、撤退もできない。
中国に肩入れする欧州
中国の景気が落ち込んで、中国経済の先行きも不透明になっているが、欧州各国は中国に肩入れしているように見える。
イギリスは中国の投資銀行AIIBに真っ先に参加表明し、フランスは中国への技術輸出にとても熱心です。
中でも入れ込んでいるのがドイツで、先日はメルケル首相自ら訪日し、日本もAIIBに参加するよう働きかけた。
2012年に温家宝首相がドイツを訪問したとき、中国は150億ドルの輸入契約を発表しました。
将来はドイツ中国間の貿易を年間3000億ドルに拡大する事でも合意していました。
この後、中国経済の減速で中国の輸入は頭打ちになり、最近は減少しています。
ドイツはユーロ成立以来ずっと好景気だったのですが、これは輸出が好調だったのが原因でした。
ユーロの中で貿易黒字国はドイツだけで、他は全部貿易赤字といっても良い状況です。
するとドイツがいくら輸出しても通貨が安いまま維持され、他のユーロ国が貧しくなります。
もう少し詳しく説明すると、日本のような一国家一通貨の国は、貿易黒字を貯めるとすぐに円高に成ります。
円高になるともう輸出できないので、輸出には明確な限界があり、いくらでも増やす事はできない。
しかしドイツは、ユーロ内貿易赤字国のおかげで通貨が安いままなので、無限に輸出を増やしました。
中国に夢を見たドイツ
日本とドイツの輸出競争力は元々同じくらいで、日本のほうが強かったが、現在はドイツの方が強い。
ドイツの輸出依存度は34%で1/3を超えていますが、日本の輸出依存度は11.5%です。
これはドイツが通貨安の恩恵を受け、日本は円高の打撃を受けたためと考えられます。
そのドイツの輸出先の1位は圧倒的に同じユーロ圏で、何しろ統一通貨で為替変動が無いので、輸出し放題です。
ユーロ加盟国間では関税も無いので、ドイツ製品は制限を受けずに欧州各国に輸出されています。
ギリシャ破綻の一因はおそらく、ドイツに食い物にされた事でしょうね。
輸出先2位がアメリカで3位が中国、中国への輸出は最近まで2桁増を続けていて、期待が大きかった。
VW、ベンツ、BMWなど有名自動車メーカーは中国に巨大工場を建設し、ドイツは中国に賭けました。
中国こそアメリカに代わる超大国になると読んだのですが、賭けは外れたのです。
今や中国のバブルは崩壊し、中国に投資したドイツ資産が回収出来ないのがはっきりしました。
何しろ中国の自動車販売は年間2000万台なのに、生産能力は5000万台以上なのです。
中国の2015年7月までの自動車販売は前年比0.7%増と成長が止まりました。
中国はドイツに希望をもたらすように見えたが、実際はアリ地獄だった
独中蜜月は短期間だった
盗聴事件を契機にドイツとアメリカが対立したのは記憶に新しいですが、このところドイツのアメリカ離れが顕著です。
経済でも安全保障でも、ドイツはアメリカの言い分に反対する事が多く、アメリカは不信感を募らせている。
2014年のウクライナ騒動でも大混乱しましたし、ギリシャ支援や対中国外交でも米独は対立しました。
ドイツは「我々は大国として復活したのだ」という間違った誇りを持っていて、周辺国を食い物にしています。
イタリアや東欧やギリシャを貧困にしたお陰で、ドイツは経済好調なのであって、この状態が続く筈がありません。
中国と築いた深い関係も、日米との対立を引き起こし、過剰投資で損失が発生しようとしています。
日本メーカーはフランス人が社長をやっているアホ企業を除いて、中国に過大な投資を避けてきました。
尖閣騒動以降はもう「いつでも撤退できるように」腰を上げた状態でしか投資していません。
ドイツの3メーカーは中国で薄利多売、増産体制を続けた結果、重大なリスクを背負ってしまいました。
一つは経済リスクで、中国市場が吹っ飛べば、ベンツもVWもBMWも吹っ飛びます。
倒産はしないでしょうが、80年代に日本車の猛攻にさらされた時くらいの危機に陥るでしょう。
二つ目は政治リスクで、中国で商売をするには中国の支配を受け入れなければなりません。
VWを人質に取った中国
例えば中国トヨタとか中国VWとか色々ありますが、所有権は100%中国にあり、ネジ一本国外に持ち出せません。
外資との合弁会社は中国人(つまり中国政府の代理人)が経営権の50%以上を握る事になっています。
これを嫌ったトヨタは中国でのシェアを捨てて、他のメーカーより小規模の工場しか持っていません。
経営権は中国政府にあるので、撤退しようと思っても中国の役員が全員反対すれば、工場を閉鎖する事もできません。
進出した工場と投資した資産は人質に取られてしまい、撤退も閉鎖も売却もできない。
もし撤退に成功しても、資産の持ち出しはできないので、全てを捨てて中国から脱出する事になる。
中国政府は常に外資を叩いて国内企業を優遇しており、定期的な日本企業叩きもこの為に行っている。
日本だけを叩いているのではなく、アメリカもドイツも平等に叩いています。
そうする事で日本車やドイツ車から中国車がシェアを奪う機会を与えているのです。
この先ドイツ企業が中国で大きくシェアを伸ばす可能性は小さく、中国市場が縮小すれば衰退するでしょう。
撤退の準備をしてこなかったドイツ企業は大変な目に遭う可能性があり、既に酷い目に会っています。
生産台数世界一を達成したVWは中国に頼りすぎ、中国に干渉される立場になった。
http://thutmose.blog.jp/archives/39739515.html
◆中国バブル崩壊!中国のAIIBバスに乗れと旗を振った経済オンチ&売国奴リスト
朝日新聞 「アジア投資銀に48カ国・地域 日米抜き、戦略欠き孤立」
日刊ゲンダイ 「悪い高利貸」呼ばわり 首相の放言が招く日本孤立
週刊東洋経済 「日米の孤立を演出、中国AIIBの高笑い」
以下、中国の代弁者になりAIIBへの参加の旗振りを行った売国奴リスト
・政治家 二階俊博、河野洋平、福田康夫、石原伸晃、岡田克也、辻元清美、藤井裕久、志位和夫、江田憲司、小沢鋭仁
・コメンテーター 孫崎享、天木直人、田中均、古賀茂明、須田慎一郎、伊藤惇夫、青木理、姫田小夏
・記者・アナウンサー 川村晃司、岸井成格、龍崎孝、与良正男、福本容子、恵村順一郎、加藤青延
・テレビ・新聞等 NHK、TBS、テレビ朝日、朝日新聞、東京新聞、毎日新聞、日経ビジネス、週刊東洋経済、日刊ゲンダイ
http://ameblo.jp/fuuko-protector/entry-12048082535.html
支那への企業進出を盛んに煽ったのも同じような面々だが、流れに乗り遅れるなと競い 合った企業も、相手が共産党の一党独裁政権ということを軽視していただろう。旧ソ連も支那も共産党独裁政権は、今までしばしば強権発令で、企業の国際的 ルールなど無視して独自の政策を強要してきた。
市場経済導入、金融市場や株式市場開設など、民主主義国にでもなったようにはしゃいで、まんまと罠に陥った。むしろ自ら飛び込んだと言うのが適当なのだろうか。案の定企業秘密や製造技術の詳細まで要求するようになった。相手は名うてのパクリ国家である。
◆「中国よ、さようなら」と李嘉誠
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)9月9日(水曜日)
通算第4651号
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「中国と香港よ、さようなら」を不言実行の李嘉誠(華僑最大財閥)
傘下企業をさらに合併させ、香港の株式市場からも訣別
***********************
前から噂されていたが香港最大財閥の李嘉誠は、本格的に香港から去る。
2011年以来、李嘉誠は中国大陸に保有していためぼしい不動産をほぼ売却した。
上海の金融街に開発していた40階建てのビルも処分し、およそ二兆円の財産を処分した(多維新聞網、2015年9月7日)。
翌2012年以後は、拠点の香港でさえ、土地購入を止めた。
そして傘下の二大企業だった「長江実業」と「ハッチソンワンポア(和記)」を合併し、「長江和記実業」(CKハチソン・ホールディング)として、本社登記をカリブ海のタックスヘブンへ移した。
他方、カナダ、豪などでは資源、エネルギー、インフラ建設などの企業を次々と買収し、香港でも電力、ガス事業を統合し、また本業でもある不動産部門も海外展開を拡大してきた。
そして以前から倫敦の高級住宅地開発などに投資をしてきたが、華僑世界より西側世界への投資比率が急増し、ウォールストリードジャーナルなどによれば、過去18ヶ月で2兆4000億円を投じて西側での事業展開に比重を移していたことが分かった。
つまり、公言はしていないが「中国よ、さようなら」「香港もいずれ、さようなら」を地でいっていることになる。
http://melma.com/backnumber_45206_6257901/
◆中国外貨準備高が急減している
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)9月9日(水曜日)弐
通算第4652号
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
いつまでもあると思うな、親とカネ
3兆3000億ドルとされる中国の外貨準備は、本当にあるのか?
**********************
中国の外貨準備高に「からくり」があることは屡々指摘してきたが、直近の統計数字から判断する限り、それは限りなく空っぽに近いようだ。
8日発表の中国輸出入統計8月速報では、輸出が5・5%の急減、とくに天津港からの輸出は17・3%も減っていた。輸入もじつに13・8%の急減、10ヶ月連続で前月比を割り込んでいた。
上海株がかろうじて3000台を維持できているのは、依然として「売るな」という当局の指令。それでも売りが絶えないため、すでに70兆円以上の資金を投入している。
中国からの資本流失が急増している。
15年上半期だけで5000億ドルが海外へ流れた(シティグループの調査)という。
アフリカの農地買収、スリランカとパキスタンの港湾整備事業、ニュージーランドとカナダのエネルギー企業買収などが最近目立つ投資だが、加えてAIIB、BRICS銀行ならびに「シルクロード構想」への資金拠出が予定されている。
このため保有する米国債や海外資産を取り崩し、さらに当局が目の敵とし始めたのが、海外旅行ブームによる外貨流失の列に加わり、とりわけ敵対する日本への爆買いツアーがやまないことに敵意さえ抱いているかのような論調が華字紙に散見される。
中国一の資産家とされる万達集団(CEO=王健林)は米国の私募債に6億5000万ドルを投じた。王健林ははやくから不動産ビジネスに見切りを付け、米国の映画館チェーンなどを買収してきた。
中国生保ナンバースリーの「安邦保険」はポルトガル企業買収に資金投入直前、ポルトガル当局から待ったをかけられているが、ことほど左様に「海外企業買収」に名を借りて、外国への資本逃避が起きている。
▲中国の対外債務は1兆5000億ドルと見積もられている
2014年末、中国の外貨準備高は3兆9900億ドルとされた。
2015年8月末の速報値で、それは3兆300億ドルに激減した。中国当局の発表でも「外貨準備高は3557億ドルに減った」とされた。
「原因は上海株暴落、人民元切り下げに嫌気しただけの逃避ではない」とするドイチェ銀行のジョージ・サラベロスは「もっとも重要なことは中国の外貨準備の性格の変化であり、世界の金融の流動性と連動している」
また中国の対外債務はすでに1兆5000億ドルに達しており、保有する米国債よりも多く、GDPの15%である。この先、さらに2兆ドルの外貨が必要である。
したがってある日突然、中国の外貨準備はブラックホールに吸い込まれるように消失する危険性が増している。
http://melma.com/backnumber_45206_6257944/
目覚めよ日本!
2015.08.27 zakzak
上海総合指数が暴落続きでクラッシュしたことを受けて、中国当局は緊急利下げを含む追加金融緩和を決めた。だが、中国経済や習近平政権に対する市場の不信 感は根強く、利下げ効果は限定的との見方がある。米国からは9月に予定される習主席の国賓としての訪問を拒否する声が挙がり、国内では政権の基盤が揺らぐ 可能性が高まるなど、八方塞がりに追い込まれた。
26日、上海総合指数は朝方は追加金融緩和を受けてプラスで始まったが、その後は3%超の下落に転じるなど乱高下。5営業日続落し、前日比1・27%安の2927・29で取引を終えた。前日に続いて年初来安値を更新した。
25日の市場で上海総合指数が約8カ月ぶりに3000を下回り、中国人民銀行は同日夜、0・25%の緊急の追加利下げに踏み切ると発表。預金準備率も引き下げる異例の追加金融緩和を決めていた。
大和総研の斎藤尚登シニアエコノミストは、「総合指数が3000の大台を割るまで株価が下がってからやったので、切羽詰まって金融政策を実施した印象を受 ける。追加利下げをしたからといって中国経済の先行きがバラ色になるわけではないが、不動産開発投資には若干明るさが出てくるだろう」と指摘する。
李克強首相は25日午後、「中国には、今年の経済発展の主要目標を達成する能力と条件がある」と強調したが、中国経済は製造業や不動産など幅広い分野で不 振が続いている。市場の疑念は中国株にとどまらず、経済そのものや習政権の不透明な政策運営に及んでいるためだ。人民銀は「中国経済には低下圧力があり、 グローバル金融市場には大きな変動が現れている」と説明した。
人民元の切り下げや、利下げなど金融緩和を進めれば、資金の海外流出や不動産バブルを再燃させる懸念もあるが、一方で景気の低迷を放置すれば習指導部に対する不満も高まるとあって、習指導部は苦しい立場に追い込まれている。
『中国経済まっさかさま』(アイバス出版)の著者で週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏は、「中国経済がインチキだということが世界的にばれてしまった。金融緩和で一時的なカンフル剤となっても、中国経済の本質は変わらない」とみる。
ロイター通信は、「共産党にとって株価急落の最も厄介な点は、市場を操作しようとしたという事実ではなく、取り組みが効果を上げなかったことが白日の下にさらされたことだ。共産党の経済運営能力の面での威信は国内でも国外でもいたく傷ついた」と報じた。
習政権が対策を打ち出しても中国株が下げ止まらない状況について、豪大手メディアは、巨大な岩を山頂まで運んだ瞬間に岩は転がり落ちてまたやり直しという 罰を受けたギリシャ神話の「シジフォスの岩」の逸話にたとえた。そのうえで「神話では罰を受けたのはシジフォス王1人だけだが、習主席は中国の納税者に数 百兆円の損害を与えている」と批判した。
習主席について、米国からも憤る声が出始めた。米大統領選の共和党 候補の1人でウィスコンシン州知事のスコット・ウォーカー氏は、「米国人が苦しんでいる市場の下落は中国の経済減速による部分があり、その中国経済は操作 されている。オバマ大統領は、習主席を招くより、米国の利益を失わせようとする中国に説明責任を取らせるべきだ」と声明を出し、習主席が国賓としての訪米 をキャンセルするようオバマ大統領に促した。選挙戦が背景にあるとはいえ、米国内で中国への不信感が高まっていることをうかがわせる。
前出の勝又氏はこう警鐘を鳴らした。
「一党独裁だった旧ソ連では経済危機が直線的に政治危機につながったが、高い成長で国民の信頼をつなぎ止めていた中国でも、経済危機で中国人民の共産党離れや政変など不測の事態が生じる可能性もある」
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150827/frn1508271140001-n1.htm
◆上海株暴落をチャンスに 無意味な「国際協調」言い出すメディアにはあきれる
2015.8.29 産経ニュース
上海株価は北京の下支え策をぶっ飛ばして、フリーフォール(底なしの下落)だ。「中国発、世界同時株安」だと、世界がパニックに陥っている。そしてどう対 応すべきか、となると、日経新聞などは決まり文句の「国際政策協調を」と叫ぶが、「火元が中国だけに、伝家の宝刀である『国際協調』を引き抜くのが難し い」(25日付ロイター通信)とみるのが正解だ。(夕刊フジ)
本欄で以前から指摘しているように、共産党が支配する異形の市場経済が膨張しすぎて統御できなくなって破綻、自壊。株暴落はその帰結だ。無意味な「国際協調」を言い出す一部メディアの安直さ、無定見ぶりにはあきれる。
それでもまだ中国成長幻想を持ち続ける企業もいるようだが、どんな根拠でそう考えるのか、知りたいものだ。空前絶後の産業部門の設備過剰をみればよい。鉄 鋼は余剰能力が日本の年産規模1億1000万トンの4倍以上、中国自動車産業の総生産能力は国内販売の2倍以上、年間4000万台を超える。
過剰生産は党による市場経済支配の副産物である。鉄鋼の場合、中国国内の需要の5割以上が建設、不動産およびインフラ部門で、党中央が中国人民銀行にカネ を刷らせて不動産開発に回し、需要をつくり出した。自動車部門も党内の実力者たちが利権拡張動機で、影響下に置く国有企業各社の増産、シェアを競わせてき た。
これまでの4~5%の元切り下げ幅程度で、輸出を大幅に伸ばし、過剰生産を緩和できるはずはない。人民銀行がもう一段の元安に踏み出そうとすれば資本逃避はさらに加速しよう。どう転んでも、中国経済も上海株にも回復の見込みはどこにも見当たらない。
日本を含む世界はいかにチャイナリスクを自国経済から遮断するか、リスクをどうチャンスに変えるか腐心するべきだ。条件は目の前にぶら下がっている。
グラフは国際商品市況と中国の鉄道貨物輸送量の推移である。同輸送量は「北京当局のファンタジー」とまで多くの専門家から評される国 内総生産(GDP)に対し、信頼度がかなり高い経済指標である。一目瞭然、中国景気は昨年はじめから下降局面に入り、それに連動する形で鉄鉱石、天然ゴム 相場が下がり、その後を追うように原油相場が急落した。貴金属、穀物市況のトレンドも共通する。
国際商品市 況の低迷は世界景気不安につながるとの見方がメディアでよく報じられるが、変な話である。確かにロシア、中東など資源輸出国にとってみればマイナスだろう が、世界景気を引っ張るのは日米欧など消費国にとってみれば好材料になる。インフレ懸念がないのだから、米国は利上げを急ぐ必要はない。
日本の実質成長率は、消費税増税による後遺症から抜けきれず、前年度に続きこの4~6月期もマイナスが続いている。家計消費、さらに企業の設備投資もよくない。政府と日銀は内需振興に向け財政・金融の両輪をフル回転させるべきだ。 (産経新聞特別記者・田村秀男)
http://www.sankei.com/premium/news/150829/prm1508290014-n1.html
◆「オバマが中国重視日本軽視なのを日本メディアは理解出来ないらしい…」 【中国の反応】
(日本経済新聞より)
日本から見て、どうも腑に落ちないことがある。
オバマ米大統領がしばしば、そこまでしなくてもいいのではないかと思うくらい、中国にリップサービスをすることだ。
たとえば、昨年11月、習近平中国国家主席と会談した後、そろって臨んだ記者会見がそうだ。
中国との協力関係は、アジア戦略の「核心だ」と断言した。
日韓やオーストラリアなどの同盟国より、中国を重視するような印象を与えかねない。
なぜ、そんな発言をするのだろうか。
「オバマ政権は中国による東シナ海や南シナ海での軍拡に危機感が薄い。 だから軽々しい発言が出るのでは」。
日本の当局者からはこんな不満が漏れる。
それだけが理由なら、オバマ政権が交代すれば、状況は変わる。
だが、日本が知らない米中の黙契が背後にあるとすれば、ことはさらに複雑だ。
その一端がうかがえるのかが、日本が多額の援助を注ぎ込むアフガニスタンである。
これまでアフガンへの深入りを嫌がっていた中国が突然、和平の仲介に動き出した。
複数の外交筋によると、中国は昨年11月、アフガン反政府武装勢力であるタリバン幹部を北京に招いた。
昨年10月末には、アフガン復興の国際会議を北京で主催し、アフガンのガニ大統領に3億3千万ドルの援助を約束した。
そこでちらつくのが米国の影だ。
「アフガンの資源開発を狙うだけでなく、和平にも貢献してほしい」。
内情を知る米国の援助関係者によると、米政権は中国に、重ねてこう要請しているという。
中国とアフガンの高官を引き合わせるため、昨年末、米国がひそかに3カ国会合をおぜん立てしたとの情報も流れる。
中国に不信感を抱きながらも、オバマ氏が彼らとの協力をアジア戦略の「核心」と呼ぶわけがここにある。
日本外しをいたずらに警戒する必要はないにしても、アフガンをめぐる外交戦でも米中の蚊帳(かや)の外に置かれるとしたら、やはり寂しい。
http://asiareaction.com/blog-entry-1896.html
「日本の右傾化・ファシスト」と罵るこの「支那共産党」
そもそも「ファシスト」の第一条件とは「一党独裁」である事を自覚していない。
ファシストにファシストと呼ばれれば、簡単な算数の定理で、民主主義となる。
人間の欲とは底無しと言うがこのファシスト集団「支那共産党首脳部」の強欲こそ留まる事を知らない。
この8200万人の党員が年間に掠め取る内外賄賂の総計は約80兆円。(日本の国家予算とほぼ一緒)
温家宝の一族の有する財産、約2兆7000億円とロイターは報じた。お仲間も皆 同額程度の隠し財産を持つという。
日本のメディアは温家宝はオーストラリアに亡命と報じ、習近平が必死で行方を追及し、財産を没収するとか言ってたが、70年戦勝記念の天安門広場の壇上にしっかり姿を現した。
しかも、拘束され完全失脚と報じていた江沢民も曽慶紅、賀国強までが壇上に姿を見せた。
その言い訳をちゃんと報じたメディアがあっただろうか。
◆人民元と株式下落、中国の企業倒産、そして日本企業の連鎖懸念が拡大
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)8月20日(木曜日)
通算第4633号
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
人民元の小幅な切り下げでは「焼け石に水」
中国の個人投資家心理はパニック寸前
*************************
人民元を小手調べのように切り下げてみたが、世界の通貨市場に動揺を与えて、中途半端なまま、輸出増大に直結したという現象はまだない。
人民元高は原油・ガス・鉄鉱石などの原材料の輸入に有利だが、すでに生産の低迷と在庫の積み上げで、あまり意味がない。
それより人民元安はインフレをまねく可能性が高い。
しかし、いま最も懸念されていることは外国資本のエクソダスであり、しかも加速度をつけて中国から大量の資金が逃げ去っている。
社債のデフォルトは太陽光パネルの超日太陽能科学技術集団が嚆矢となって以来、佳兆業集団(不動産開発)などへと続いているが、社債が紙切れになるというのは企業倒産である。
しかも後者の佳兆業集団は社債をオフショアで発行しているため、外国の機関投資家の落胆ぶりは激しく、中国経済への不信が欧米に一挙に広がった。
温州からはじまった企業倒産は中国全土に拡大しており、年末に償還をむかえる社債ならびに融資平台の償還、地方政府の固定資産税の急減により支払い不能状態になるのは目に見えており、現時点でGDP282%という債務は更に急速に増えていくだろう。
国有企業は16万社あるが、最後まで生き残れ、中国共産党がメンツをかけても守る国有企業は最悪の場合、130社でしかないという見方もある。
▲中国の企業倒産が日本にもたらしている悪影響はかなり深刻だ
すでに日本企業への悪影響は顕著にでてきたが、中国の取引先の倒産によって、連鎖倒産に追い込まれた日本企業が目立つようになった。
専門家の山口義正氏が書いた「中国バブル崩壊の足音」(『新潮45』、15年9月号)に拠ると、優良会社と評価の高かった「江守グループは中国現法が不正 な取引で売上高を膨らましていたとこが発覚」し、倒産した。「前期末に225億円あった自己資本は、343億円の債務超過」となっていた。優良企業として 調査会社がノーマークだったのに一夜にして奈落の底に沈んだのだ。
また「昭光通商も、顧客である中国の鉄鋼メーカーが支払い遅延を起したことで、大やけどを負った(中略)。売り掛け債権は回収困難であるとして128億円の特別損出を計上。自己資本の七割が消し飛ぶという深刻な事態に陥った」(親会社は昭和電工)。
住宅設備投資の大手LIXILは、「ドイツの子会社が過去に買収した中国企業で」不正会計が行われており、410億円にものぼる特別損出となって経営がふらつく。同社の株価は2900円台から2300円台へ急落した。
ことほど左様に、中国の経済破談は、日本経済に直截な破壊力をともなっており、日本株の上昇の可能性は当面、遠のいたと見るべきであろう。
http://melma.com/backnumber_45206_6250453/
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)8月20日(木曜日)
通算第4633号
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
人民元の小幅な切り下げでは「焼け石に水」
中国の個人投資家心理はパニック寸前
*************************
人民元を小手調べのように切り下げてみたが、世界の通貨市場に動揺を与えて、中途半端なまま、輸出増大に直結したという現象はまだない。
人民元高は原油・ガス・鉄鉱石などの原材料の輸入に有利だが、すでに生産の低迷と在庫の積み上げで、あまり意味がない。
それより人民元安はインフレをまねく可能性が高い。
しかし、いま最も懸念されていることは外国資本のエクソダスであり、しかも加速度をつけて中国から大量の資金が逃げ去っている。
社債のデフォルトは太陽光パネルの超日太陽能科学技術集団が嚆矢となって以来、佳兆業集団(不動産開発)などへと続いているが、社債が紙切れになるというのは企業倒産である。
しかも後者の佳兆業集団は社債をオフショアで発行しているため、外国の機関投資家の落胆ぶりは激しく、中国経済への不信が欧米に一挙に広がった。
温州からはじまった企業倒産は中国全土に拡大しており、年末に償還をむかえる社債ならびに融資平台の償還、地方政府の固定資産税の急減により支払い不能状態になるのは目に見えており、現時点でGDP282%という債務は更に急速に増えていくだろう。
国有企業は16万社あるが、最後まで生き残れ、中国共産党がメンツをかけても守る国有企業は最悪の場合、130社でしかないという見方もある。
▲中国の企業倒産が日本にもたらしている悪影響はかなり深刻だ
すでに日本企業への悪影響は顕著にでてきたが、中国の取引先の倒産によって、連鎖倒産に追い込まれた日本企業が目立つようになった。
専門家の山口義正氏が書いた「中国バブル崩壊の足音」(『新潮45』、15年9月号)に拠ると、優良会社と評価の高かった「江守グループは中国現法が不正 な取引で売上高を膨らましていたとこが発覚」し、倒産した。「前期末に225億円あった自己資本は、343億円の債務超過」となっていた。優良企業として 調査会社がノーマークだったのに一夜にして奈落の底に沈んだのだ。
また「昭光通商も、顧客である中国の鉄鋼メーカーが支払い遅延を起したことで、大やけどを負った(中略)。売り掛け債権は回収困難であるとして128億円の特別損出を計上。自己資本の七割が消し飛ぶという深刻な事態に陥った」(親会社は昭和電工)。
住宅設備投資の大手LIXILは、「ドイツの子会社が過去に買収した中国企業で」不正会計が行われており、410億円にものぼる特別損出となって経営がふらつく。同社の株価は2900円台から2300円台へ急落した。
ことほど左様に、中国の経済破談は、日本経済に直截な破壊力をともなっており、日本株の上昇の可能性は当面、遠のいたと見るべきであろう。
http://melma.com/backnumber_45206_6250453/
◆中国から抜けられないドイツ経済 アリ地獄ぶり
2015年08月12日 世界のニュース トトメス5世
2015年08月12日 世界のニュース トトメス5世
VWは世界一を取った代償に、中国の支配を受け入れた
ドイツはこのところ日米と対立し中国に肩入れする事が多いが、過剰投資で経済リスクを負っている。
中国に進出したVWなどの企業は経営権を中国政府に握られ、撤退もできない。
中国に肩入れする欧州
中国の景気が落ち込んで、中国経済の先行きも不透明になっているが、欧州各国は中国に肩入れしているように見える。
イギリスは中国の投資銀行AIIBに真っ先に参加表明し、フランスは中国への技術輸出にとても熱心です。
中でも入れ込んでいるのがドイツで、先日はメルケル首相自ら訪日し、日本もAIIBに参加するよう働きかけた。
2012年に温家宝首相がドイツを訪問したとき、中国は150億ドルの輸入契約を発表しました。
将来はドイツ中国間の貿易を年間3000億ドルに拡大する事でも合意していました。
この後、中国経済の減速で中国の輸入は頭打ちになり、最近は減少しています。
ドイツはユーロ成立以来ずっと好景気だったのですが、これは輸出が好調だったのが原因でした。
ユーロの中で貿易黒字国はドイツだけで、他は全部貿易赤字といっても良い状況です。
するとドイツがいくら輸出しても通貨が安いまま維持され、他のユーロ国が貧しくなります。
もう少し詳しく説明すると、日本のような一国家一通貨の国は、貿易黒字を貯めるとすぐに円高に成ります。
円高になるともう輸出できないので、輸出には明確な限界があり、いくらでも増やす事はできない。
しかしドイツは、ユーロ内貿易赤字国のおかげで通貨が安いままなので、無限に輸出を増やしました。
中国に夢を見たドイツ
日本とドイツの輸出競争力は元々同じくらいで、日本のほうが強かったが、現在はドイツの方が強い。
ドイツの輸出依存度は34%で1/3を超えていますが、日本の輸出依存度は11.5%です。
これはドイツが通貨安の恩恵を受け、日本は円高の打撃を受けたためと考えられます。
そのドイツの輸出先の1位は圧倒的に同じユーロ圏で、何しろ統一通貨で為替変動が無いので、輸出し放題です。
ユーロ加盟国間では関税も無いので、ドイツ製品は制限を受けずに欧州各国に輸出されています。
ギリシャ破綻の一因はおそらく、ドイツに食い物にされた事でしょうね。
輸出先2位がアメリカで3位が中国、中国への輸出は最近まで2桁増を続けていて、期待が大きかった。
VW、ベンツ、BMWなど有名自動車メーカーは中国に巨大工場を建設し、ドイツは中国に賭けました。
中国こそアメリカに代わる超大国になると読んだのですが、賭けは外れたのです。
今や中国のバブルは崩壊し、中国に投資したドイツ資産が回収出来ないのがはっきりしました。
何しろ中国の自動車販売は年間2000万台なのに、生産能力は5000万台以上なのです。
中国の2015年7月までの自動車販売は前年比0.7%増と成長が止まりました。
中国はドイツに希望をもたらすように見えたが、実際はアリ地獄だった
独中蜜月は短期間だった
盗聴事件を契機にドイツとアメリカが対立したのは記憶に新しいですが、このところドイツのアメリカ離れが顕著です。
経済でも安全保障でも、ドイツはアメリカの言い分に反対する事が多く、アメリカは不信感を募らせている。
2014年のウクライナ騒動でも大混乱しましたし、ギリシャ支援や対中国外交でも米独は対立しました。
ドイツは「我々は大国として復活したのだ」という間違った誇りを持っていて、周辺国を食い物にしています。
イタリアや東欧やギリシャを貧困にしたお陰で、ドイツは経済好調なのであって、この状態が続く筈がありません。
中国と築いた深い関係も、日米との対立を引き起こし、過剰投資で損失が発生しようとしています。
日本メーカーはフランス人が社長をやっているアホ企業を除いて、中国に過大な投資を避けてきました。
尖閣騒動以降はもう「いつでも撤退できるように」腰を上げた状態でしか投資していません。
ドイツの3メーカーは中国で薄利多売、増産体制を続けた結果、重大なリスクを背負ってしまいました。
一つは経済リスクで、中国市場が吹っ飛べば、ベンツもVWもBMWも吹っ飛びます。
倒産はしないでしょうが、80年代に日本車の猛攻にさらされた時くらいの危機に陥るでしょう。
二つ目は政治リスクで、中国で商売をするには中国の支配を受け入れなければなりません。
VWを人質に取った中国
例えば中国トヨタとか中国VWとか色々ありますが、所有権は100%中国にあり、ネジ一本国外に持ち出せません。
外資との合弁会社は中国人(つまり中国政府の代理人)が経営権の50%以上を握る事になっています。
これを嫌ったトヨタは中国でのシェアを捨てて、他のメーカーより小規模の工場しか持っていません。
経営権は中国政府にあるので、撤退しようと思っても中国の役員が全員反対すれば、工場を閉鎖する事もできません。
進出した工場と投資した資産は人質に取られてしまい、撤退も閉鎖も売却もできない。
もし撤退に成功しても、資産の持ち出しはできないので、全てを捨てて中国から脱出する事になる。
中国政府は常に外資を叩いて国内企業を優遇しており、定期的な日本企業叩きもこの為に行っている。
日本だけを叩いているのではなく、アメリカもドイツも平等に叩いています。
そうする事で日本車やドイツ車から中国車がシェアを奪う機会を与えているのです。
この先ドイツ企業が中国で大きくシェアを伸ばす可能性は小さく、中国市場が縮小すれば衰退するでしょう。
撤退の準備をしてこなかったドイツ企業は大変な目に遭う可能性があり、既に酷い目に会っています。
生産台数世界一を達成したVWは中国に頼りすぎ、中国に干渉される立場になった。
http://thutmose.blog.jp/archives/39739515.html
◆中国バブル崩壊!中国のAIIBバスに乗れと旗を振った経済オンチ&売国奴リスト
朝日新聞 「アジア投資銀に48カ国・地域 日米抜き、戦略欠き孤立」
日刊ゲンダイ 「悪い高利貸」呼ばわり 首相の放言が招く日本孤立
週刊東洋経済 「日米の孤立を演出、中国AIIBの高笑い」
以下、中国の代弁者になりAIIBへの参加の旗振りを行った売国奴リスト
・政治家 二階俊博、河野洋平、福田康夫、石原伸晃、岡田克也、辻元清美、藤井裕久、志位和夫、江田憲司、小沢鋭仁
・コメンテーター 孫崎享、天木直人、田中均、古賀茂明、須田慎一郎、伊藤惇夫、青木理、姫田小夏
・記者・アナウンサー 川村晃司、岸井成格、龍崎孝、与良正男、福本容子、恵村順一郎、加藤青延
・テレビ・新聞等 NHK、TBS、テレビ朝日、朝日新聞、東京新聞、毎日新聞、日経ビジネス、週刊東洋経済、日刊ゲンダイ
http://ameblo.jp/fuuko-protector/entry-12048082535.html
支那への企業進出を盛んに煽ったのも同じような面々だが、流れに乗り遅れるなと競い 合った企業も、相手が共産党の一党独裁政権ということを軽視していただろう。旧ソ連も支那も共産党独裁政権は、今までしばしば強権発令で、企業の国際的 ルールなど無視して独自の政策を強要してきた。
市場経済導入、金融市場や株式市場開設など、民主主義国にでもなったようにはしゃいで、まんまと罠に陥った。むしろ自ら飛び込んだと言うのが適当なのだろうか。案の定企業秘密や製造技術の詳細まで要求するようになった。相手は名うてのパクリ国家である。
◆「中国よ、さようなら」と李嘉誠
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)9月9日(水曜日)
通算第4651号
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「中国と香港よ、さようなら」を不言実行の李嘉誠(華僑最大財閥)
傘下企業をさらに合併させ、香港の株式市場からも訣別
***********************
前から噂されていたが香港最大財閥の李嘉誠は、本格的に香港から去る。
2011年以来、李嘉誠は中国大陸に保有していためぼしい不動産をほぼ売却した。
上海の金融街に開発していた40階建てのビルも処分し、およそ二兆円の財産を処分した(多維新聞網、2015年9月7日)。
翌2012年以後は、拠点の香港でさえ、土地購入を止めた。
そして傘下の二大企業だった「長江実業」と「ハッチソンワンポア(和記)」を合併し、「長江和記実業」(CKハチソン・ホールディング)として、本社登記をカリブ海のタックスヘブンへ移した。
他方、カナダ、豪などでは資源、エネルギー、インフラ建設などの企業を次々と買収し、香港でも電力、ガス事業を統合し、また本業でもある不動産部門も海外展開を拡大してきた。
そして以前から倫敦の高級住宅地開発などに投資をしてきたが、華僑世界より西側世界への投資比率が急増し、ウォールストリードジャーナルなどによれば、過去18ヶ月で2兆4000億円を投じて西側での事業展開に比重を移していたことが分かった。
つまり、公言はしていないが「中国よ、さようなら」「香港もいずれ、さようなら」を地でいっていることになる。
http://melma.com/backnumber_45206_6257901/
◆中国外貨準備高が急減している
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)9月9日(水曜日)弐
通算第4652号
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
いつまでもあると思うな、親とカネ
3兆3000億ドルとされる中国の外貨準備は、本当にあるのか?
**********************
中国の外貨準備高に「からくり」があることは屡々指摘してきたが、直近の統計数字から判断する限り、それは限りなく空っぽに近いようだ。
8日発表の中国輸出入統計8月速報では、輸出が5・5%の急減、とくに天津港からの輸出は17・3%も減っていた。輸入もじつに13・8%の急減、10ヶ月連続で前月比を割り込んでいた。
上海株がかろうじて3000台を維持できているのは、依然として「売るな」という当局の指令。それでも売りが絶えないため、すでに70兆円以上の資金を投入している。
中国からの資本流失が急増している。
15年上半期だけで5000億ドルが海外へ流れた(シティグループの調査)という。
アフリカの農地買収、スリランカとパキスタンの港湾整備事業、ニュージーランドとカナダのエネルギー企業買収などが最近目立つ投資だが、加えてAIIB、BRICS銀行ならびに「シルクロード構想」への資金拠出が予定されている。
このため保有する米国債や海外資産を取り崩し、さらに当局が目の敵とし始めたのが、海外旅行ブームによる外貨流失の列に加わり、とりわけ敵対する日本への爆買いツアーがやまないことに敵意さえ抱いているかのような論調が華字紙に散見される。
中国一の資産家とされる万達集団(CEO=王健林)は米国の私募債に6億5000万ドルを投じた。王健林ははやくから不動産ビジネスに見切りを付け、米国の映画館チェーンなどを買収してきた。
中国生保ナンバースリーの「安邦保険」はポルトガル企業買収に資金投入直前、ポルトガル当局から待ったをかけられているが、ことほど左様に「海外企業買収」に名を借りて、外国への資本逃避が起きている。
▲中国の対外債務は1兆5000億ドルと見積もられている
2014年末、中国の外貨準備高は3兆9900億ドルとされた。
2015年8月末の速報値で、それは3兆300億ドルに激減した。中国当局の発表でも「外貨準備高は3557億ドルに減った」とされた。
「原因は上海株暴落、人民元切り下げに嫌気しただけの逃避ではない」とするドイチェ銀行のジョージ・サラベロスは「もっとも重要なことは中国の外貨準備の性格の変化であり、世界の金融の流動性と連動している」
また中国の対外債務はすでに1兆5000億ドルに達しており、保有する米国債よりも多く、GDPの15%である。この先、さらに2兆ドルの外貨が必要である。
したがってある日突然、中国の外貨準備はブラックホールに吸い込まれるように消失する危険性が増している。
http://melma.com/backnumber_45206_6257944/
目覚めよ日本!
全文入手…統幕から共産党へ流出した文書の「注目部分」
2015年09月03日 DailyNK
デイリーNKジャパンは3日、統合幕僚監部(統幕)が作成して共産党に流出し、共産党の仁比聡平(にひそうへい)氏が2日の参院特別委員会で提示した資料の全文を入手した。
資料は、河野(かわの)克俊統幕長が昨年12月17、18両日の訪米で、デンプシー統合参謀本部議長ら米軍・国防総省幹部7人と会談した内容を記載したもの。当時は法案の作成に向けた自民、公明両党の与党協議が始まっていない段階だった。
「離島をいかに奪回するか」
河野氏は、とくにオディエルノ陸軍参謀総長とのやり取りで安保法制について突っ込んだ発言をしており、直前の14日に投開票された衆院選に触れ「与党の勝利により、来年夏までには終了すると考えている」などと述べている。
ただ、一連の会談で話されたのは、安保法制の問題だけではない。
た とえばオディエルノ氏は、陸上自衛隊と米陸軍がともに強化できる分野として、「離島奪回に際し、いかに戦力を投入するかといったエア・アサルトについて議 論」することの重要性に言及。「ストライカー部隊をいかに投入するか」など、戦術面のテーマについて積極的に発言している。
また、「オスプレイ導入は輸送能力向上の観点から重要であり、陸軍としてはオスプレイ等を使用した離島防衛などの防御要領について支援して参りたい」(オディエルノ氏)とする発言も見られる。
言うまでもなく、「離島奪還」「離島防衛」は自衛隊が中国の軍事力増強を念頭に重視しているものだが、米軍幹部がこれに積極的にコミットする姿勢を見せたものと言えるかもしれない。
一連の会談ではほかにも、日中関係やロシア軍の動向、北朝鮮のサイバーテロ、エボラ出血熱対策が話し合われている。
http://dailynk.jp/archives/51401?ky=yh906
◆オディエルノ陸軍参謀総長との会談(その1)
取扱厳重注意
別紙第1
オディエルノ陸軍参謀総長との会談結果概要
1 日時及び場所
平成26年12月17日(水)1630-1700 米国防総省
2 会談概要
河野統幕長 本日は時間をとっていただいて感謝する。海幕長を務めていたことから、これまでは海軍との交流が多かった。今回は陸軍とも関係を持つことができ喜ばしく思っている。
米陸軍協会年次総会に岩田陸幕長が参加し、よい議論ができたと報告を受けた。今回は情勢認識等について議論できればと思う。
14日に衆院選挙があり、与党が圧勝した。集団的自衛権や安保法制の議論は引き続き進捗するものと認識している。年内に改訂予定であったガイドラインは来 年、安保法制の整備に合わせ発表することとなった。集団的自衛権の行使が可能になった場合は米軍と自衛隊との協力関係はより深化するものと考える。
オディエルノ陸軍参謀長 現在、ガイドラインや安保法制について取り組んでいると思うが予定通りに進んでいるか?何か問題はあるか?
河野統幕長 与党の勝利により来年夏までには終了するものと考えている。
今回はデンプシー議長と日米同盟の深化等について議論するため訪米した。
先日、日米共同方面隊指揮所演習を視察する機会を得、後方支援等の分野において内容が充実しており満足している。海軍種同士はこれまで連携があったが、陸軍同士も協力関係が強化されている。
演習後、ブルックス太平洋陸軍司令官とのセミナーは充実したものであった。
オディエルノ陸軍参謀長 本日はお時間を取っていただき感謝する。岩田陸幕長とはよい関係を築いており、数ヶ月前に訪日した際は、陸上自衛隊の目標について説明を受けた。陸上自衛 隊と米陸軍がともに強化できる分野と陸上自衛隊の能力強化をすべき分野について議論した。また離島奪回に際し、いかに戦力を投入するかといったエア・アサ ルトについても議論することができた。この分野が陸上自衛隊と米陸軍がともに能力を構築できる分野であると考えている。
今回の演習のポイントはストライカー部隊をいかに投入するかというものであり、戦力をいかに展開させるかといった観点から重要な分野と考えている。戦力展開に係る日米協力の強さが関係国に対する良いメッセージとなる。
数ヶ月前、カリフォルニアにあるナショナル・トレーニング・センターにおいて小規模ながら陸上自衛隊と米陸軍が訓練を実施した。これは、相互運用性、情報共有、指揮統制機能の強化の観点から重要であると認識している。
数年来の努力により海軍種間では相互運用性について向上が見られるが、陸軍種間では複雑な問題となっており、今まさに相互運用性の向上について取り組んでいるところである。この分野は我々が今後取り組むべき分野であると考えている。
河野統幕長 日米の取り組みだけでなく日米豪の連携強化についても取り組んでいるところである。米豪共同訓練(タリスマンセイバー)に自衛隊を派遣し、サザンジャッカルーにおいても派遣部隊の拡充をしたいと考えている。
陸上自衛隊においては陸上総隊の設立や水陸両用部隊の設立等大きな改変の時期を迎えている。横須賀における米海軍、海上自衛隊の関係、横田における航空自衛隊と米空軍の関係がよい具体例であると認識しており、陸軍種間では座間が適当であると考えている。
オディエルノ陸軍参謀長 私も座間における連携が重要と考えており、ご支援いただいて感謝する。
3カ国間での連携で言えば日米韓での連携も重要であると考えており、これに対する支援にも感謝する。日米韓陸軍同士での連携について、来春にミーティングを持つべく現在検討中である。
河野統幕長 北朝鮮の脅威については現在も存在しており、この観点から日米韓での連携が重要だと認識している。しかしながら日韓での防衛交流は滞っているので、米国を中心とした3カ国での協力について推進していきたいと考えている。
北朝鮮の脅威という観点から申し上げると、経ヶ岬にTPY2レーダーが設置され本年末に運用を開始すると認識している。このレーダーの設置、運用について全面的に協力したいと考えている。
オディエルノ陸軍参謀長 日米2国間の話に戻ると、これまで陸軍種間では連携強化に取り組んでおり、これからも更なる強化に努めてまいりたい。このような取り組みが北朝鮮をはじめとする周辺国に対して良いメッセージとなると認識している。
防衛交流や演習等あらゆることに取り組み、連携を強化することで北朝鮮、中国に対する良いメッセージとしていきたい。
河野統幕長 日中関係について申し上げたい。11月に開催されたAPECにおいて日中首脳会談が実現したことは日中関係の改善の第一歩と認識している。この首脳会談の 中で日中海上連絡メカニズムの協議再開について確認された。しかしながら、日本側のアプローチに対して中国からは反応がない状況である。
現在、東シナ海においては常時2~3隻の船舶が尖閣諸島周辺で活動しており、最近は40NM以内での活動も活発となってきた。我々はこのような中国の活動に対しては冷静に対応しているところではあるが、中国中央政府の統制が効いているのかと疑問に思う。
これら活動において不測事態を避けるため多国間でCUESを活用し現場でのコミュニケーションを図っている。日米での連携は中国に対して有効な抑止力になっていると認識している。
オディエルノ陸軍参謀長 中国の活動に関して注視して頂き感謝する。中国に対しては外交、軍事等あらゆる手段を用い対応することが重要である。現在取り組んでいるガイドラインや安保法制作業についても有効な手段であると認識しており、引き続き見守っていきたいと考えいる。
河野統幕長 安倍政権の以前は防衛関係費は減少傾向にあったが、現在は増加傾向にあり、陸上自衛隊においてはV-22オスプレイ、AAV7を導入する。
オディエルノ陸軍参謀長 オスプレイ導入は輸送能力向上の観点から重要であり、陸軍としてはオスプレイ等を使用した離島防衛等の防御要領について支援して参りたい。
河野統幕長 貴官の協力に感謝する。
エボラ対応のため連絡官をAFRICOMに派遣し、個人防護具をガーナに空輸した。引き続き、連絡官を通じ情報を収集させ、我々ができることを考えていきたい。
オディエルノ陸軍参謀長 現在2500名強の部隊を派遣している。共有できる訓練としては兵站と訓練が必ず必要となり、これらを充実させることが必要である。
河野統幕長 現在、エボラ対応として連絡官を派遣しているが、今後も常駐させたいと考えている。
オディエルノ陸軍参謀長 AFRICOMにおいては様々な活動を行っており人道支援のみならずテロ対策も重要となっている。過去数年間アフリカ方面で取り組みを実施し、94の活動 を行ってきた。訓練やアドバイザー、能力構築支援が主であり、この分野において連絡官を通じ日本の支援を得られることは米側にとっても有益。日本の様々な 形でのコミットメントに感謝。
河野統幕長 本日は時間をとっていただき感謝
オディエルノ陸軍参謀長 こちらこそ有益な意見交換に感謝
(了)
http://dailynk.jp/archives/51397?krkj=51522
◆共産党に流出の「統幕文書」全文(その2)…ダンフォード海兵隊司令官との会談
取扱厳重注意
別紙第7
ダンフォード海兵隊司令官との会談結果概要
1 日時及び場所
平成26年12月18日(水)1400-1430 米国防総省
2 会談概要
ダンフォード海兵隊司令官 会談に先立ちアーリントン墓地において献花をして下さり感謝申し上げる。日本のパワフルなメッセージが発出できたものと思料。そして貴殿という友人ができたことを嬉しく思う。
河野統幕長 昨日の夕食会でお話ししたが本日は何点か議論したい。
現在自衛隊では水陸両用能力に取り組んでおり、今回のキーンソード(日米合同軍事演習)においても離島奪回訓練を実施した。防衛力整備においてもAAV7(水陸両用強襲車)やオスプレイの導入を決定したところである。
海上自衛隊においては水陸両用戦に供する艦を建造する予定であり、航空自衛隊においては対地攻撃能力の向上を目標とし、陸上自衛隊においては水陸機動旅団を創設することになる。
今後もアイアンフィスト、ドーンブリッツには積極的に参加する、引き続き支援をお願いしたい。(アイアンフィスト=陸自と米海兵隊の合同演習、ドーンブリッツ=米軍主導の多国間水陸両用訓練)
ダンフォード海兵隊司令官 沖縄にはⅢ MEF(第3海兵遠征軍)が展開しており、ウィスラー司令官よりオスプレイの運用要領や水陸両用戦についての助言を受けることができると考える。私は過去に、1日陸海軍(原文ママ)の両用戦を学んだので愛着を感じているところ。
河野統幕長 沖縄県知事選時にはリバティーポリシーの実施、地域情勢に配慮して頂き感謝する。結果として普天間移設反対派の知事が就任したが、辺野古への移設問題は政 治レベルの議論であるので方針の変更はないとの認識である。安倍政権は強力に推進するであろう。(リバティーポリシー=米兵の夜間外出禁止などの勤務時間 外行動指針)
ダンフォード海兵隊司令官 沖縄には3回勤務をしているので地元の状況については良く認識している。この様な問題には忍耐が必要であり状況が好転するまで待つことも必要である。しかしながら、安倍総理は移設を現行計画どおり実施し、沖縄の基地負担を減じる努力をしていくと理解している。
河野統幕長 衆院選挙においては安倍政権与党が圧勝した。安倍首相のリーダーシップによりこのような問題も進展していくものと認識している。
ダンフォード海兵隊司令官 本日、ウィスラー中将とVTC(テレビ会議)を実施するが、強固なREINFORCEMENT(強化、増援)を太平洋で実施すると言うつもり。ウィスラー中将、トゥーラン中将とも連携を強化して欲しい。
河野統幕長 辺野古への移転やキャンプハンセン、キャンプシュワブでの共同使用が実現すれば、米海兵隊と自衛隊との協力が一層深化すると認識している。これにより沖縄の住民感情も好転するのではないか。
ダンフォード海兵隊司令官 北朝鮮の政治状況如何?
河野統幕長 現在、北朝鮮は金正恩体制であり、一見安定している様に見える。しかしながら、何の実績もない金正恩の妹を政府の要職へ配置したり、まだ確定していないが ソニーピクチャーズへのサイバー攻撃といい余裕のない性格と見ている。一見安定しているようで脆いのではないか。不測事態が起きる可能性は否定できない。
ダンフォード海兵隊司令官 北朝鮮は中国と距離を置いているように見えるが?
河野統幕長 中国とのパイプ役であった張成沢が処刑された以降、中国との距離はあるようだ。一方でロシアとの連携を強化しようとしている傾向がある。
現在ロシア空軍のTU-95爆撃機の日本周辺空域での活動、バルト艦隊や黒海艦隊の太平洋における活動も活発化しており、自衛隊としてこれを警戒している。
我々は北方領土問題を抱えているため、西側諸国と同調しつつロシアとの最低限の関係は維持していきたいと考えている。
ダンフォード海兵隊司令官 ロシアはバック トゥー ザ フューチャーだ。
河野統幕長 貴官はアフガンでの勤務が長いと認識しているがISILの状況はどうか?
ダンフォード海兵隊司令官 デンプシー議長とウィニフィルド副議長との間で話があったが、アフガニスタンの状況はパキスタンにおけるタリバンとの関係が深い。パキスタン、アフガニス タン、イラクの状況はそれぞれ個々の問題を有しているが、対処としては共通のものもあると認識している。それは各国の部隊の能力を構築することであり、こ れが米軍としての焦点である。
政治状況としてはアフガニスタン、イラクの大統領が交代し、現時点において事 態は好転しているものと考える。アフガニスタンにおける政権交代当初は我々の努力の効果を下げるものであった。イラクにおいてはマリキ政権時よりも今の方 が色々とやりやすくなっている。いずれにせよ、個々の問題に対処するため、政治、経済、軍事面での取り組みをバランスよく長期的に実施する必要がある。イ ラクでの教訓を生かした政治体制整整備(原文ママ)も重要となる。大統領声明のとおり、イラク、パキスタンへの米国の支援はそれぞれの国、自らが上手く やっていくこと、すなわちガバナンスの構築に重点が置かれているものである。
アフガニスタンにおいては民衆に希望を与えることが重要であり東京会合はこの役割を果たしている。
河野統幕長 衆院選で安倍政権与党が圧勝した。今後は集団的自衛権の議論が進み、集団的自衛権の行使が可能となった場合は自衛隊の役割も拡大することができ、自衛隊と米軍の協力も進化するものと確信している。
ダンフォード海兵隊司令官 水陸両用の訓練、ドーンブリッツやアイアンフィストにおいて、水陸両用の能力、相互運用性は高まった。今後は政治的な法解釈の枠組みが整備されることで真の意味で役割が拡大すると考える。MV-22、AAV7への協力はおしまない。
河野統幕長 オスプレイ、AAV7の話に戻ると、貴官の権限ではないとは思うが、日本としてはオスプレイのリージョナルデポ(地域整備拠点)についても日本に置いて頂きたいと考えている。
ダンフォード海兵隊司令官 岩田陸幕長からも書簡を頂いており、国防長官にも報告している。日本は主要な候補となっていると認識している。
来年1月に硫黄島における日米イベントがあり日本に立ち寄る予定である。東京に行くことが出来れば是非、貴官にも会いたいと考える。本日はお越しいただき感謝する。
(了)
http://dailynk.jp/archives/51416?krkj=51397
◆共産党に流出の「統幕文書」全文(その3)…ワーク国防副長官との会談
取扱厳重注意
別紙第3
ワーク国防副長官との会談結果概要
1 日時及び場所
平成26年12月18日(水)1030-1100 米国防総省
2 会談概要
河野統幕長 本日は時間をとっていただき感謝する。今回は統合幕僚長就任にあたりデンプシー議長に表敬するため訪米した。
ワーク国防副長官 お会いできて光栄である。
河野統幕長 現在、ガイドラインの見直し作業に取り組んでいる。この点に関してOSD(国防長官室)の日本部長ウィンターニッツ氏の貢献に感謝する。
ワーク国防副長官 ガイドラインの見直し作業は進展しており、私だけでなくヘーゲル長官や我々の政治チームも10月の中間報告には満足している。現在は4月の作業完了を期待している。
河野統幕長 我々も集団的自衛権行使に関する閣議決定がなされたことから、改訂されたガイドラインには期待している。
今回は現在検討中である法制をガイドラインの見直し作業と同調させる必要があることから延期となったと認識している。先日の衆議院選挙においける(原文ママ)与党の勝利により政治はさらに安定し、これら作業も進展するであろう。
ガイドライン見直し後は自衛隊と米軍の協力はより深化するものと認識しており、これらの連携強化についてはデンプシー議長とも議論したいと考えている。
ワーク国防副長官 今回の勝利について安倍首相にお祝い申し上げる。これは我々にとっての助けになるだけでなく、安保法制の検討中である日本にとっても良いことであると認識している。
今回はエボラ熱対処に関して安倍首相から尽力していただき、日本は最大のドナーとして連絡官派遣等の貢献に感謝する。連絡官派遣については継続することが適当ではないかと考えている。
河野統幕長 エボラ熱は未だ収束していないが、エボラ熱対処後も連絡官派遣を継続したいと考えており、連絡官を通じ情報を収集、我々のできることを検討して参りたい。 また、自衛隊は海賊対処を実施しているが、ジブチは海賊対処のみならず、他の活動における拠点にしたいと考えている。さらには防衛駐在官の増派も検討して おり、AFRICOM(アメリカ・アフリカ軍)との連携を強化したい。
ワーク国防副長官 自衛隊はこの1年来、防衛能力向上のための様々な取組をしてきた。このような努力の継続のため予算的な制約はあるか?
河野統幕長 これまでの10年間においては防衛予算は減少傾向にあったが、安倍政権になってからは増加傾向にある。中国の活動が活発化していることを踏まえると今後も 防衛予算は増える傾向にあると考える。このような流れの中でF-35、E-2D、グローバルホーク、オスプレイの導入が決まった。
これらの取り組みは日米の相互運用性の向上につながるものであり、日米同盟の強化に資するものである。
また、今回F-35のリージョナルデポ(地域整備拠点)が日本に決まり、貴官をはじめとする関係者に感謝するとともに、本件は相互運用性向上のために重要 な決定であると認識している。オスプレイのリージョナルデポについても日本に置いて頂けるとさらなる運用性の向上となる。
ワーク国防副長官 その件についてはまだ私まで報告がされていない。オスプレイ導入に関して日本国民の不安は低減されただろうか?
河野統幕長 以前に比べ低減されたように思う。
ワーク国防副長官 オスプレイは海兵隊の装備の中ではもっとも安全性の高いものである。しかしながら初期の事故により不公平な評価を受けることとなり残念である。
河野統幕長 オスプレイに関しての不安全性を煽るのは一部の活動家だけである。
ヘーゲル長官が交代することとなり、予算の厳しい中で米国のリバランス政策は継続するのか?
ワーク国防副長官 これは絶対に変わらないものである。大統領も防衛費、非防衛費を問わず予算の強制削減は不適切であると考えている。このような状況の中、大統領は予算を追加したという経緯がある。
来年2月に2015年度の予算が決定するが、その予算の内容としては太平洋における能力強化のための予算の全てが含まれている。
冷戦後、重要な4つの分野、すなわち在韓米軍基地、岩国基地、FRF(普天間代替施設)、グァム移転問題における予算については100%確保されており、計画通りに進捗すると考える。特にグァム移転に関する予算は議会からの制約が解除されたことは大きな変化であった。
このようなことからも議会もリバランス政策を支持しているということであり、国防総省としてもリバランス政策指示の姿勢を継続していく。
河野統幕長 沖縄知事戦(原文ママ)では普天間移設反対の候補者が当選した。普天間移設問題は地方の問題ではなく国の問題であり、安倍政権として立場を変えないものと認識している。
本日は時間をとっていただき感謝する。
ワーク国防副長官 最後に付言させていただきたい。これまで何度も強調してきたことであるが、尖閣問題は5条事態(日米安保条約第5条に当てはまる事態)の対象であると大統 領の他、ヘーゲル長官も明示しているところである。現在の政権が継続する限りこのコミットメントは変わるものではなく日米同盟の強化につながるものである と認識している。
今日は有意義な議論ができた。感謝する。
(了)
http://dailynk.jp/archives/51484?krkj=51416
◆共産党に流出の「統幕文書」全文(その4)…スイフト米海軍作戦部幕僚部長との会談
2015年09月06日 DailyNK
取扱厳重注意
別紙第5
スイフト海軍作戦部幕僚部長との会談結果概要
1 日時及び場所
平成26年12月18日(水)1130-1200 米国防総省
2 会談概要
河野統幕長 太平洋海軍司令官に就任するとのことであり、お祝い申し上げる。太平洋海軍に貴官が、太平洋軍司令官にハリス大将が就任するということで最強の布陣であると認識している。
今後、イージス艦が2隻、横須賀に入港し、ジョージワシントンの後継としてロナルド・レーガンが就役すると認識している。本件は中国に対しての抑止力になると認識している。これに関し、国内的には問題はないもと(原文ママ)考えている。
スイフト海軍作戦部幕僚部長 空母の交代については日本の協力に感謝する。できる限りスムーズな移行が出来るよう尽力したい。また日米合同での出港行事をサンディエゴで実施したいと考えている。空母の運用を支障なく実施するためにも日米で世界にアピールしたいと考えている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
取扱厳重注意
別紙第5
スイフト海軍作戦部幕僚部長との会談結果概要
1 日時及び場所
平成26年12月18日(水)1130-1200 米国防総省
2 会談概要
河野統幕長 太平洋海軍司令官に就任するとのことであり、お祝い申し上げる。太平洋海軍に貴官が、太平洋軍司令官にハリス大将が就任するということで最強の布陣であると認識している。
今後、イージス艦が2隻、横須賀に入港し、ジョージワシントンの後継としてロナルド・レーガンが就役すると認識している。本件は中国に対しての抑止力になると認識している。これに関し、国内的には問題はないもと(原文ママ)考えている。
スイフト海軍作戦部幕僚部長 空母の交代については日本の協力に感謝する。できる限りスムーズな移行が出来るよう尽力したい。また日米合同での出港行事をサンディエゴで実施したいと考えている。空母の運用を支障なく実施するためにも日米で世界にアピールしたいと考えている。
河野統幕長 尖閣周辺での状況は貴官が第7艦隊司令官時代よりも厳しいものとなっている。中国の船舶が2~3隻活動しており、接続水域にも近付いている。第一義的には 海上保安庁の対応となっているが、領海に侵入する場合は海上自衛隊による対処となる。引き続き冷静に対応し、CUES(海上衝突回避規範)を活用し不測事 態を回避するように指示している。
スイフト海軍作戦部幕僚部長 私は艦長として状況が緊迫しているのならどの様な形であれ、上級司令官の指示に従いCUESでなくても、使える手段を使用してコミュニケーションを図る必要があると考えている。
河野統幕長 CUESでさえ返答があったりなかったりする状況である。これまでの傾向としてはシニアの艦長であるソブレメンヌイ級の大型艦はこちらの問いかけに答えないようである。
スイフト海軍作戦部幕僚部長 中国海軍により運用される尖閣対応の艦長は厳選された者であると考えている。
我々は日米でCUESを使用したコミュニケーションについての経験、知見を共有すべきであると考えている。地域全体でのコミュニケーションの問題を全体的に把握する必要があると考える。
河野統幕長 ロシアの活動について話をしたい。ロシアはTU-95の日本周回飛行やバルト艦隊や黒海艦隊の太平洋での活動が活発化している。ベトナムはカムラン湾を給油のために使用させている模様。
スイフト海軍作戦部幕僚部長 海上自衛隊はルーマニア、ウクライナとの演習を黒海で実施するのか?
河野統幕長 そのような計画はない。
スイフト海軍作戦部幕僚部長 この質問をした理由はロシア問題はヨーロッパ、地中海、カスピ海に渡る広域の活動として捉える必要があると考えているからである。
尖閣の問題も、尖閣だけの問題として捉えるのではなく中国の問題として捉える必要がある。個別的に問題を捉えるのではなく全体として問題を捉えることで、 他国の状況を踏まえて協力することが必要となってくる。個別的に問題を扱うと孤立してしまう可能性がある。すでに中国の潜水艦2、3隻がインド洋に進出し ていることも全体として捉える必要がある。
河野統幕長 安倍政権において中国の力による現状変更は認めないという認識のもと、フィリピン、ベトナム等 ASEAN諸国と協力しているところである。
スイフト海軍作戦部幕僚部長 インドは南シナ海での演習の際にベトナムをはじめとする様々な寄港を実施している。この様に戦略的な寄港を実施すべきではないか。
河野統幕長 現在日本は海賊対処のために海上部隊をジブチに派遣している。派遣の際には戦略的な寄港を実施している。
スイフト海軍作戦部幕僚部長 シンガポールやクアラルンプールなど経路上にない港にも寄港し、メッセージを発出すべきではないか。
河野統幕長 対外的なメッセージのためにそのような戦略的寄港は行っている。
時間となってしまった、太平洋海軍司令官の交代式の際にハワイで会えるのを楽しみにしている。
(了)
http://dailynk.jp/archives/51522?ky=yh906
2015年09月03日 DailyNK
デイリーNKジャパンは3日、統合幕僚監部(統幕)が作成して共産党に流出し、共産党の仁比聡平(にひそうへい)氏が2日の参院特別委員会で提示した資料の全文を入手した。
資料は、河野(かわの)克俊統幕長が昨年12月17、18両日の訪米で、デンプシー統合参謀本部議長ら米軍・国防総省幹部7人と会談した内容を記載したもの。当時は法案の作成に向けた自民、公明両党の与党協議が始まっていない段階だった。
「離島をいかに奪回するか」
河野氏は、とくにオディエルノ陸軍参謀総長とのやり取りで安保法制について突っ込んだ発言をしており、直前の14日に投開票された衆院選に触れ「与党の勝利により、来年夏までには終了すると考えている」などと述べている。
ただ、一連の会談で話されたのは、安保法制の問題だけではない。
た とえばオディエルノ氏は、陸上自衛隊と米陸軍がともに強化できる分野として、「離島奪回に際し、いかに戦力を投入するかといったエア・アサルトについて議 論」することの重要性に言及。「ストライカー部隊をいかに投入するか」など、戦術面のテーマについて積極的に発言している。
また、「オスプレイ導入は輸送能力向上の観点から重要であり、陸軍としてはオスプレイ等を使用した離島防衛などの防御要領について支援して参りたい」(オディエルノ氏)とする発言も見られる。
言うまでもなく、「離島奪還」「離島防衛」は自衛隊が中国の軍事力増強を念頭に重視しているものだが、米軍幹部がこれに積極的にコミットする姿勢を見せたものと言えるかもしれない。
一連の会談ではほかにも、日中関係やロシア軍の動向、北朝鮮のサイバーテロ、エボラ出血熱対策が話し合われている。
http://dailynk.jp/archives/51401?ky=yh906
◆オディエルノ陸軍参謀総長との会談(その1)
取扱厳重注意
別紙第1
オディエルノ陸軍参謀総長との会談結果概要
1 日時及び場所
平成26年12月17日(水)1630-1700 米国防総省
2 会談概要
河野統幕長 本日は時間をとっていただいて感謝する。海幕長を務めていたことから、これまでは海軍との交流が多かった。今回は陸軍とも関係を持つことができ喜ばしく思っている。
米陸軍協会年次総会に岩田陸幕長が参加し、よい議論ができたと報告を受けた。今回は情勢認識等について議論できればと思う。
14日に衆院選挙があり、与党が圧勝した。集団的自衛権や安保法制の議論は引き続き進捗するものと認識している。年内に改訂予定であったガイドラインは来 年、安保法制の整備に合わせ発表することとなった。集団的自衛権の行使が可能になった場合は米軍と自衛隊との協力関係はより深化するものと考える。
オディエルノ陸軍参謀長 現在、ガイドラインや安保法制について取り組んでいると思うが予定通りに進んでいるか?何か問題はあるか?
河野統幕長 与党の勝利により来年夏までには終了するものと考えている。
今回はデンプシー議長と日米同盟の深化等について議論するため訪米した。
先日、日米共同方面隊指揮所演習を視察する機会を得、後方支援等の分野において内容が充実しており満足している。海軍種同士はこれまで連携があったが、陸軍同士も協力関係が強化されている。
演習後、ブルックス太平洋陸軍司令官とのセミナーは充実したものであった。
オディエルノ陸軍参謀長 本日はお時間を取っていただき感謝する。岩田陸幕長とはよい関係を築いており、数ヶ月前に訪日した際は、陸上自衛隊の目標について説明を受けた。陸上自衛 隊と米陸軍がともに強化できる分野と陸上自衛隊の能力強化をすべき分野について議論した。また離島奪回に際し、いかに戦力を投入するかといったエア・アサ ルトについても議論することができた。この分野が陸上自衛隊と米陸軍がともに能力を構築できる分野であると考えている。
今回の演習のポイントはストライカー部隊をいかに投入するかというものであり、戦力をいかに展開させるかといった観点から重要な分野と考えている。戦力展開に係る日米協力の強さが関係国に対する良いメッセージとなる。
数ヶ月前、カリフォルニアにあるナショナル・トレーニング・センターにおいて小規模ながら陸上自衛隊と米陸軍が訓練を実施した。これは、相互運用性、情報共有、指揮統制機能の強化の観点から重要であると認識している。
数年来の努力により海軍種間では相互運用性について向上が見られるが、陸軍種間では複雑な問題となっており、今まさに相互運用性の向上について取り組んでいるところである。この分野は我々が今後取り組むべき分野であると考えている。
河野統幕長 日米の取り組みだけでなく日米豪の連携強化についても取り組んでいるところである。米豪共同訓練(タリスマンセイバー)に自衛隊を派遣し、サザンジャッカルーにおいても派遣部隊の拡充をしたいと考えている。
陸上自衛隊においては陸上総隊の設立や水陸両用部隊の設立等大きな改変の時期を迎えている。横須賀における米海軍、海上自衛隊の関係、横田における航空自衛隊と米空軍の関係がよい具体例であると認識しており、陸軍種間では座間が適当であると考えている。
オディエルノ陸軍参謀長 私も座間における連携が重要と考えており、ご支援いただいて感謝する。
3カ国間での連携で言えば日米韓での連携も重要であると考えており、これに対する支援にも感謝する。日米韓陸軍同士での連携について、来春にミーティングを持つべく現在検討中である。
河野統幕長 北朝鮮の脅威については現在も存在しており、この観点から日米韓での連携が重要だと認識している。しかしながら日韓での防衛交流は滞っているので、米国を中心とした3カ国での協力について推進していきたいと考えている。
北朝鮮の脅威という観点から申し上げると、経ヶ岬にTPY2レーダーが設置され本年末に運用を開始すると認識している。このレーダーの設置、運用について全面的に協力したいと考えている。
オディエルノ陸軍参謀長 日米2国間の話に戻ると、これまで陸軍種間では連携強化に取り組んでおり、これからも更なる強化に努めてまいりたい。このような取り組みが北朝鮮をはじめとする周辺国に対して良いメッセージとなると認識している。
防衛交流や演習等あらゆることに取り組み、連携を強化することで北朝鮮、中国に対する良いメッセージとしていきたい。
河野統幕長 日中関係について申し上げたい。11月に開催されたAPECにおいて日中首脳会談が実現したことは日中関係の改善の第一歩と認識している。この首脳会談の 中で日中海上連絡メカニズムの協議再開について確認された。しかしながら、日本側のアプローチに対して中国からは反応がない状況である。
現在、東シナ海においては常時2~3隻の船舶が尖閣諸島周辺で活動しており、最近は40NM以内での活動も活発となってきた。我々はこのような中国の活動に対しては冷静に対応しているところではあるが、中国中央政府の統制が効いているのかと疑問に思う。
これら活動において不測事態を避けるため多国間でCUESを活用し現場でのコミュニケーションを図っている。日米での連携は中国に対して有効な抑止力になっていると認識している。
オディエルノ陸軍参謀長 中国の活動に関して注視して頂き感謝する。中国に対しては外交、軍事等あらゆる手段を用い対応することが重要である。現在取り組んでいるガイドラインや安保法制作業についても有効な手段であると認識しており、引き続き見守っていきたいと考えいる。
河野統幕長 安倍政権の以前は防衛関係費は減少傾向にあったが、現在は増加傾向にあり、陸上自衛隊においてはV-22オスプレイ、AAV7を導入する。
オディエルノ陸軍参謀長 オスプレイ導入は輸送能力向上の観点から重要であり、陸軍としてはオスプレイ等を使用した離島防衛等の防御要領について支援して参りたい。
河野統幕長 貴官の協力に感謝する。
エボラ対応のため連絡官をAFRICOMに派遣し、個人防護具をガーナに空輸した。引き続き、連絡官を通じ情報を収集させ、我々ができることを考えていきたい。
オディエルノ陸軍参謀長 現在2500名強の部隊を派遣している。共有できる訓練としては兵站と訓練が必ず必要となり、これらを充実させることが必要である。
河野統幕長 現在、エボラ対応として連絡官を派遣しているが、今後も常駐させたいと考えている。
オディエルノ陸軍参謀長 AFRICOMにおいては様々な活動を行っており人道支援のみならずテロ対策も重要となっている。過去数年間アフリカ方面で取り組みを実施し、94の活動 を行ってきた。訓練やアドバイザー、能力構築支援が主であり、この分野において連絡官を通じ日本の支援を得られることは米側にとっても有益。日本の様々な 形でのコミットメントに感謝。
河野統幕長 本日は時間をとっていただき感謝
オディエルノ陸軍参謀長 こちらこそ有益な意見交換に感謝
(了)
http://dailynk.jp/archives/51397?krkj=51522
◆共産党に流出の「統幕文書」全文(その2)…ダンフォード海兵隊司令官との会談
取扱厳重注意
別紙第7
ダンフォード海兵隊司令官との会談結果概要
1 日時及び場所
平成26年12月18日(水)1400-1430 米国防総省
2 会談概要
ダンフォード海兵隊司令官 会談に先立ちアーリントン墓地において献花をして下さり感謝申し上げる。日本のパワフルなメッセージが発出できたものと思料。そして貴殿という友人ができたことを嬉しく思う。
河野統幕長 昨日の夕食会でお話ししたが本日は何点か議論したい。
現在自衛隊では水陸両用能力に取り組んでおり、今回のキーンソード(日米合同軍事演習)においても離島奪回訓練を実施した。防衛力整備においてもAAV7(水陸両用強襲車)やオスプレイの導入を決定したところである。
海上自衛隊においては水陸両用戦に供する艦を建造する予定であり、航空自衛隊においては対地攻撃能力の向上を目標とし、陸上自衛隊においては水陸機動旅団を創設することになる。
今後もアイアンフィスト、ドーンブリッツには積極的に参加する、引き続き支援をお願いしたい。(アイアンフィスト=陸自と米海兵隊の合同演習、ドーンブリッツ=米軍主導の多国間水陸両用訓練)
ダンフォード海兵隊司令官 沖縄にはⅢ MEF(第3海兵遠征軍)が展開しており、ウィスラー司令官よりオスプレイの運用要領や水陸両用戦についての助言を受けることができると考える。私は過去に、1日陸海軍(原文ママ)の両用戦を学んだので愛着を感じているところ。
河野統幕長 沖縄県知事選時にはリバティーポリシーの実施、地域情勢に配慮して頂き感謝する。結果として普天間移設反対派の知事が就任したが、辺野古への移設問題は政 治レベルの議論であるので方針の変更はないとの認識である。安倍政権は強力に推進するであろう。(リバティーポリシー=米兵の夜間外出禁止などの勤務時間 外行動指針)
ダンフォード海兵隊司令官 沖縄には3回勤務をしているので地元の状況については良く認識している。この様な問題には忍耐が必要であり状況が好転するまで待つことも必要である。しかしながら、安倍総理は移設を現行計画どおり実施し、沖縄の基地負担を減じる努力をしていくと理解している。
河野統幕長 衆院選挙においては安倍政権与党が圧勝した。安倍首相のリーダーシップによりこのような問題も進展していくものと認識している。
ダンフォード海兵隊司令官 本日、ウィスラー中将とVTC(テレビ会議)を実施するが、強固なREINFORCEMENT(強化、増援)を太平洋で実施すると言うつもり。ウィスラー中将、トゥーラン中将とも連携を強化して欲しい。
河野統幕長 辺野古への移転やキャンプハンセン、キャンプシュワブでの共同使用が実現すれば、米海兵隊と自衛隊との協力が一層深化すると認識している。これにより沖縄の住民感情も好転するのではないか。
ダンフォード海兵隊司令官 北朝鮮の政治状況如何?
河野統幕長 現在、北朝鮮は金正恩体制であり、一見安定している様に見える。しかしながら、何の実績もない金正恩の妹を政府の要職へ配置したり、まだ確定していないが ソニーピクチャーズへのサイバー攻撃といい余裕のない性格と見ている。一見安定しているようで脆いのではないか。不測事態が起きる可能性は否定できない。
ダンフォード海兵隊司令官 北朝鮮は中国と距離を置いているように見えるが?
河野統幕長 中国とのパイプ役であった張成沢が処刑された以降、中国との距離はあるようだ。一方でロシアとの連携を強化しようとしている傾向がある。
現在ロシア空軍のTU-95爆撃機の日本周辺空域での活動、バルト艦隊や黒海艦隊の太平洋における活動も活発化しており、自衛隊としてこれを警戒している。
我々は北方領土問題を抱えているため、西側諸国と同調しつつロシアとの最低限の関係は維持していきたいと考えている。
ダンフォード海兵隊司令官 ロシアはバック トゥー ザ フューチャーだ。
河野統幕長 貴官はアフガンでの勤務が長いと認識しているがISILの状況はどうか?
ダンフォード海兵隊司令官 デンプシー議長とウィニフィルド副議長との間で話があったが、アフガニスタンの状況はパキスタンにおけるタリバンとの関係が深い。パキスタン、アフガニス タン、イラクの状況はそれぞれ個々の問題を有しているが、対処としては共通のものもあると認識している。それは各国の部隊の能力を構築することであり、こ れが米軍としての焦点である。
政治状況としてはアフガニスタン、イラクの大統領が交代し、現時点において事 態は好転しているものと考える。アフガニスタンにおける政権交代当初は我々の努力の効果を下げるものであった。イラクにおいてはマリキ政権時よりも今の方 が色々とやりやすくなっている。いずれにせよ、個々の問題に対処するため、政治、経済、軍事面での取り組みをバランスよく長期的に実施する必要がある。イ ラクでの教訓を生かした政治体制整整備(原文ママ)も重要となる。大統領声明のとおり、イラク、パキスタンへの米国の支援はそれぞれの国、自らが上手く やっていくこと、すなわちガバナンスの構築に重点が置かれているものである。
アフガニスタンにおいては民衆に希望を与えることが重要であり東京会合はこの役割を果たしている。
河野統幕長 衆院選で安倍政権与党が圧勝した。今後は集団的自衛権の議論が進み、集団的自衛権の行使が可能となった場合は自衛隊の役割も拡大することができ、自衛隊と米軍の協力も進化するものと確信している。
ダンフォード海兵隊司令官 水陸両用の訓練、ドーンブリッツやアイアンフィストにおいて、水陸両用の能力、相互運用性は高まった。今後は政治的な法解釈の枠組みが整備されることで真の意味で役割が拡大すると考える。MV-22、AAV7への協力はおしまない。
河野統幕長 オスプレイ、AAV7の話に戻ると、貴官の権限ではないとは思うが、日本としてはオスプレイのリージョナルデポ(地域整備拠点)についても日本に置いて頂きたいと考えている。
ダンフォード海兵隊司令官 岩田陸幕長からも書簡を頂いており、国防長官にも報告している。日本は主要な候補となっていると認識している。
来年1月に硫黄島における日米イベントがあり日本に立ち寄る予定である。東京に行くことが出来れば是非、貴官にも会いたいと考える。本日はお越しいただき感謝する。
(了)
http://dailynk.jp/archives/51416?krkj=51397
◆共産党に流出の「統幕文書」全文(その3)…ワーク国防副長官との会談
取扱厳重注意
別紙第3
ワーク国防副長官との会談結果概要
1 日時及び場所
平成26年12月18日(水)1030-1100 米国防総省
2 会談概要
河野統幕長 本日は時間をとっていただき感謝する。今回は統合幕僚長就任にあたりデンプシー議長に表敬するため訪米した。
ワーク国防副長官 お会いできて光栄である。
河野統幕長 現在、ガイドラインの見直し作業に取り組んでいる。この点に関してOSD(国防長官室)の日本部長ウィンターニッツ氏の貢献に感謝する。
ワーク国防副長官 ガイドラインの見直し作業は進展しており、私だけでなくヘーゲル長官や我々の政治チームも10月の中間報告には満足している。現在は4月の作業完了を期待している。
河野統幕長 我々も集団的自衛権行使に関する閣議決定がなされたことから、改訂されたガイドラインには期待している。
今回は現在検討中である法制をガイドラインの見直し作業と同調させる必要があることから延期となったと認識している。先日の衆議院選挙においける(原文ママ)与党の勝利により政治はさらに安定し、これら作業も進展するであろう。
ガイドライン見直し後は自衛隊と米軍の協力はより深化するものと認識しており、これらの連携強化についてはデンプシー議長とも議論したいと考えている。
ワーク国防副長官 今回の勝利について安倍首相にお祝い申し上げる。これは我々にとっての助けになるだけでなく、安保法制の検討中である日本にとっても良いことであると認識している。
今回はエボラ熱対処に関して安倍首相から尽力していただき、日本は最大のドナーとして連絡官派遣等の貢献に感謝する。連絡官派遣については継続することが適当ではないかと考えている。
河野統幕長 エボラ熱は未だ収束していないが、エボラ熱対処後も連絡官派遣を継続したいと考えており、連絡官を通じ情報を収集、我々のできることを検討して参りたい。 また、自衛隊は海賊対処を実施しているが、ジブチは海賊対処のみならず、他の活動における拠点にしたいと考えている。さらには防衛駐在官の増派も検討して おり、AFRICOM(アメリカ・アフリカ軍)との連携を強化したい。
ワーク国防副長官 自衛隊はこの1年来、防衛能力向上のための様々な取組をしてきた。このような努力の継続のため予算的な制約はあるか?
河野統幕長 これまでの10年間においては防衛予算は減少傾向にあったが、安倍政権になってからは増加傾向にある。中国の活動が活発化していることを踏まえると今後も 防衛予算は増える傾向にあると考える。このような流れの中でF-35、E-2D、グローバルホーク、オスプレイの導入が決まった。
これらの取り組みは日米の相互運用性の向上につながるものであり、日米同盟の強化に資するものである。
また、今回F-35のリージョナルデポ(地域整備拠点)が日本に決まり、貴官をはじめとする関係者に感謝するとともに、本件は相互運用性向上のために重要 な決定であると認識している。オスプレイのリージョナルデポについても日本に置いて頂けるとさらなる運用性の向上となる。
ワーク国防副長官 その件についてはまだ私まで報告がされていない。オスプレイ導入に関して日本国民の不安は低減されただろうか?
河野統幕長 以前に比べ低減されたように思う。
ワーク国防副長官 オスプレイは海兵隊の装備の中ではもっとも安全性の高いものである。しかしながら初期の事故により不公平な評価を受けることとなり残念である。
河野統幕長 オスプレイに関しての不安全性を煽るのは一部の活動家だけである。
ヘーゲル長官が交代することとなり、予算の厳しい中で米国のリバランス政策は継続するのか?
ワーク国防副長官 これは絶対に変わらないものである。大統領も防衛費、非防衛費を問わず予算の強制削減は不適切であると考えている。このような状況の中、大統領は予算を追加したという経緯がある。
来年2月に2015年度の予算が決定するが、その予算の内容としては太平洋における能力強化のための予算の全てが含まれている。
冷戦後、重要な4つの分野、すなわち在韓米軍基地、岩国基地、FRF(普天間代替施設)、グァム移転問題における予算については100%確保されており、計画通りに進捗すると考える。特にグァム移転に関する予算は議会からの制約が解除されたことは大きな変化であった。
このようなことからも議会もリバランス政策を支持しているということであり、国防総省としてもリバランス政策指示の姿勢を継続していく。
河野統幕長 沖縄知事戦(原文ママ)では普天間移設反対の候補者が当選した。普天間移設問題は地方の問題ではなく国の問題であり、安倍政権として立場を変えないものと認識している。
本日は時間をとっていただき感謝する。
ワーク国防副長官 最後に付言させていただきたい。これまで何度も強調してきたことであるが、尖閣問題は5条事態(日米安保条約第5条に当てはまる事態)の対象であると大統 領の他、ヘーゲル長官も明示しているところである。現在の政権が継続する限りこのコミットメントは変わるものではなく日米同盟の強化につながるものである と認識している。
今日は有意義な議論ができた。感謝する。
(了)
http://dailynk.jp/archives/51484?krkj=51416
◆共産党に流出の「統幕文書」全文(その4)…スイフト米海軍作戦部幕僚部長との会談
2015年09月06日 DailyNK
取扱厳重注意
別紙第5
スイフト海軍作戦部幕僚部長との会談結果概要
1 日時及び場所
平成26年12月18日(水)1130-1200 米国防総省
2 会談概要
河野統幕長 太平洋海軍司令官に就任するとのことであり、お祝い申し上げる。太平洋海軍に貴官が、太平洋軍司令官にハリス大将が就任するということで最強の布陣であると認識している。
今後、イージス艦が2隻、横須賀に入港し、ジョージワシントンの後継としてロナルド・レーガンが就役すると認識している。本件は中国に対しての抑止力になると認識している。これに関し、国内的には問題はないもと(原文ママ)考えている。
スイフト海軍作戦部幕僚部長 空母の交代については日本の協力に感謝する。できる限りスムーズな移行が出来るよう尽力したい。また日米合同での出港行事をサンディエゴで実施したいと考えている。空母の運用を支障なく実施するためにも日米で世界にアピールしたいと考えている。
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取扱厳重注意
別紙第5
スイフト海軍作戦部幕僚部長との会談結果概要
1 日時及び場所
平成26年12月18日(水)1130-1200 米国防総省
2 会談概要
河野統幕長 太平洋海軍司令官に就任するとのことであり、お祝い申し上げる。太平洋海軍に貴官が、太平洋軍司令官にハリス大将が就任するということで最強の布陣であると認識している。
今後、イージス艦が2隻、横須賀に入港し、ジョージワシントンの後継としてロナルド・レーガンが就役すると認識している。本件は中国に対しての抑止力になると認識している。これに関し、国内的には問題はないもと(原文ママ)考えている。
スイフト海軍作戦部幕僚部長 空母の交代については日本の協力に感謝する。できる限りスムーズな移行が出来るよう尽力したい。また日米合同での出港行事をサンディエゴで実施したいと考えている。空母の運用を支障なく実施するためにも日米で世界にアピールしたいと考えている。
河野統幕長 尖閣周辺での状況は貴官が第7艦隊司令官時代よりも厳しいものとなっている。中国の船舶が2~3隻活動しており、接続水域にも近付いている。第一義的には 海上保安庁の対応となっているが、領海に侵入する場合は海上自衛隊による対処となる。引き続き冷静に対応し、CUES(海上衝突回避規範)を活用し不測事 態を回避するように指示している。
スイフト海軍作戦部幕僚部長 私は艦長として状況が緊迫しているのならどの様な形であれ、上級司令官の指示に従いCUESでなくても、使える手段を使用してコミュニケーションを図る必要があると考えている。
河野統幕長 CUESでさえ返答があったりなかったりする状況である。これまでの傾向としてはシニアの艦長であるソブレメンヌイ級の大型艦はこちらの問いかけに答えないようである。
スイフト海軍作戦部幕僚部長 中国海軍により運用される尖閣対応の艦長は厳選された者であると考えている。
我々は日米でCUESを使用したコミュニケーションについての経験、知見を共有すべきであると考えている。地域全体でのコミュニケーションの問題を全体的に把握する必要があると考える。
河野統幕長 ロシアの活動について話をしたい。ロシアはTU-95の日本周回飛行やバルト艦隊や黒海艦隊の太平洋での活動が活発化している。ベトナムはカムラン湾を給油のために使用させている模様。
スイフト海軍作戦部幕僚部長 海上自衛隊はルーマニア、ウクライナとの演習を黒海で実施するのか?
河野統幕長 そのような計画はない。
スイフト海軍作戦部幕僚部長 この質問をした理由はロシア問題はヨーロッパ、地中海、カスピ海に渡る広域の活動として捉える必要があると考えているからである。
尖閣の問題も、尖閣だけの問題として捉えるのではなく中国の問題として捉える必要がある。個別的に問題を捉えるのではなく全体として問題を捉えることで、 他国の状況を踏まえて協力することが必要となってくる。個別的に問題を扱うと孤立してしまう可能性がある。すでに中国の潜水艦2、3隻がインド洋に進出し ていることも全体として捉える必要がある。
河野統幕長 安倍政権において中国の力による現状変更は認めないという認識のもと、フィリピン、ベトナム等 ASEAN諸国と協力しているところである。
スイフト海軍作戦部幕僚部長 インドは南シナ海での演習の際にベトナムをはじめとする様々な寄港を実施している。この様に戦略的な寄港を実施すべきではないか。
河野統幕長 現在日本は海賊対処のために海上部隊をジブチに派遣している。派遣の際には戦略的な寄港を実施している。
スイフト海軍作戦部幕僚部長 シンガポールやクアラルンプールなど経路上にない港にも寄港し、メッセージを発出すべきではないか。
河野統幕長 対外的なメッセージのためにそのような戦略的寄港は行っている。
時間となってしまった、太平洋海軍司令官の交代式の際にハワイで会えるのを楽しみにしている。
(了)
http://dailynk.jp/archives/51522?ky=yh906
中国を誰も止められない、南シナ海の人工島を2017年までに「完全武装」化も―豪紙
2015年9月1日 レコードチャイナ
2015 年8月31日、中国・環球時報によると、30日付の豪紙シドニー・モーニング・ヘラルドは同国政府消息筋の話として「中国は島しょ建設を完成させ、南シナ 海争奪戦の第1ステージで勝利した。新たなステージでの中国の勝利をもはや誰も止められないだろう」と報じた。
軍事専門家の分析によると、中国による南シナ海の島しょでの港湾、軍営、陣地、砲火、空港、レーダーなどの建設作業は、2017年に完成を迎える。南シナ海全域をカバーする軍事力が現実のものとなる。
中 国外交部の報道官は、南沙(英語名スプラトリー)諸島および周辺海域について「中国は争いのない主権を有しており、いかなる島しょでの行動も主権の範囲内 だ」と再三強調してきた。同諸島での建設についても「軍事的防衛の必要性に加え、多くは民間の需要を満たすためのものだ」と表明している。
米 国は今年5月、偵察機と艦船を中国の人工島の周辺12海里以内に入らせると宣言。オーストラリアも支持を表明した。だがいまだ実現していない。豪政府消息 筋は「米国と豪を含むその同盟国は実際の行動を起こせていない」と指摘する。戦略アナリストも「中国に友好的なラオスがASEANの持ち回り議長国から外 れ、米国の新政府の状態が整う、少なくとも2017年までは、中国の行動は大きな拘束を受けることはないだろう」との認識を示している。(翻訳・編集/柳 川)
http://www.recordchina.co.jp/a117937.html
◆【世界を斬る】米海軍、新トップに“戦いの素人” 中国と対決できない「オバマ氏の暴挙」
2015.06.10 zakzak
南シナ海の人工島をめぐって、中国が「米国が介入してきたら戦争だ」とわめいているとき、オバマ大統領は米海軍の最高指揮官に技術担当の海軍大将を任命した。海軍の新トップは、中国と戦うことなど全く考えていない。
日本では、なぜか、「海軍作戦部長」と翻訳されている海軍総司令官に就任したジョン・リチャードソン海軍大将は海軍原子力推進局長で、海軍総司令官への昇 進順位でいえば5番目だった。だから、今度の人事は大抜擢で、誰もが驚き、海軍関係者の間では懸念と不安が高まっている。
米海軍を退役したばかりの元提督の友人は、こう言った。
「オバマ大統領の今度の決定は、米海軍に魚雷攻撃をかけて沈没させてしまうようなものだ。海軍が中国と対決することはとてもできなくなる」
オバマ大統領は2012年にも、太平洋防衛の最高指揮官である太平洋軍司令官に、中国に対する弱気で懸念されていたサミュエル・ロックリア海軍大将を任命 した。ロックリア氏は、中国が米空母キラーとよばれるクルージングミサイルDF21を実戦配備しようとしたとき、いち早く西太平洋から米海軍を撤退させよ うとした超本人だ。
私の知るかぎり米海軍の最高指揮官は長い間、第一線で活躍した提督ばかりだった。ブッ シュ前大統領が任命したゲイリー・ラフヘッド海軍総司令官は長い間、駆逐艦の艦長として活躍し、私は仕事の上で何度も会ったことがある。戦う意志に溢れた 海の男で「必要なら、米海軍はどこにでも乗り込んでいく」といつも言っていた。
その後任のジョナサン・グリナート海軍大将も優秀な潜水艦乗りで、私とのインタビューでも、「中国の潜水艦などは米国の技術をもってすれば敵ではない」と中国をのんでかかっていた。
一方、リチャードソン新海軍総司令官は、原子力エンジンの開発や整備に関しては世界的に知られている。空母や潜水艦を含む米海軍艦艇の原子力エンジンが過去64年間、事故を起こしたことがないのは、彼の功績とされている。
だが、南シナ海では今、中国が不法な軍事行動をとり、核戦力を使ってでもアメリカと対決しようとしている。そんな現状で、原子力エンジンだけを仕事にしてきた技術担当の提督を、海軍の総司令官にする人事は、オバマ大統領の暴挙としか言いようがない。
米海軍は現在、原子力空母を3隻、攻撃型原子力潜水艦を10隻あまり建造中で、潜水艦や機雷の能力を急速に向上させている。だが、肝心の最高指揮官が“戦 いの素人”とあっては、米海軍と協力してアジア西太平洋の安全を維持しなければならない日本には、まことに気がかりなことだ。
■日高義樹(ひだか・よしき) 1935年、名古屋市生まれ。東京大学英文科卒。59年NHKに入局し、ワシントン支局長、理事待遇アメリカ総局長を歴任。退職後、ハーバード大学客員教授・同大諮問委員を経て、現在はハドソン研究所首席研究員、全米商工会議所会長顧問。
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150610/dms1506101550007-n1.htm
◆ヨーロッパを破壊するアメリカ
2015年8月11日 マスコミに載らない海外記事
Eric ZUESSE
2015年8月7日 | 08:00
Strategic Culture Foundation
リ ビア、シリア、ウクライナや、ヨーロッパの周辺部や端にある他の国々で、アメリカのバラク・オバマ大統領は、不安定化政策や、爆撃や他の軍事援助を追求 し、何百万人もの避難民を、こうした周辺地域から、ヨーロッパへと追い出し、移民排斥という極右の火に油を注ぎ、周辺諸国のみならず、遥か北ヨーロッパに 到るまで、ヨーロッパ中で、政治的不安定化をもたらしている。
2015年8月3日「オフ-ガーディアン」の “シリア内のオバマ‘安全地帯’は、この国を新たなリビアに変えることを目指すもの”という見出しの記事で、シェイマス・クックは、オバマが、トルコの 為、これまで法的強制力のなかった、シリア上空の飛行禁止空域でのアメリカによる航空支援を承認したと報じている。アメリカは、これから、シリア領土の広 大な部分を占領したISISを含む過激派イスラム集団を標的とする、シリアのバシャール・アル-アサド大統領の、あらゆる飛行機を撃墜することになる。
クックはこう報じている。
“ト ルコは、シリア戦争が始まって以来、オバマに、この飛行禁止空域を要求してきた。紛争中ずっと、そしてここ数カ月間も、議論されてきているが、真の狙いは 常にシリア政府だった。そして、突如、飛行禁止空域が実現しつつある - トルコがずっと望んでいたまさにその場所に - ところが、適切な名前 '反クルド・反シリア政府派用安全地帯”の代わりに、 '反ISIS' 派の安全地帯というレッテルを貼られている。
ニュー ヨーク・タイムズは、 7月27日こう報じている。"この計画は、比較的穏健なシリア武装反抗勢力が、アメリカと、おそらくはトルコの航空支援を得て、領土を得ることを目指して いる。”ところが、タイムズは、(いつも通り)お上の速記役で、アメリカ政府情報筋から(そして、アメリカ政府の宣伝活動の為に)こう報じている。“比較 的穏健”を定義しそこねているが、全てのシリア“比較的穏健な武装反抗勢力”集団は、ISISと協力して、彼等が、そこにいるあらゆる非イスラム教徒を見 つけ出し、斬首し、時には、人質に取って身代金を要求するのを手伝っている。アサドの下、シリアは聖職者支配国家ではなく、信仰の自由を享受しているが、 アサド支配に反対するシリア反政府派は全て、世俗主義と無縁だ。今やアメリカは、これまで以上に、明らかに、反アサド、親イスラム主義者寄りだ。
セ イモア・ハーシュは、ロンドン・レビュー・オブ・ブックスで、2014年4月17日に報じている。2011年のオバマ政権によるリビア爆撃作戦は、オバマ が既に、リビアで、まんまとしでかした様に、サリン・ガスを、リビアから、シリアのアル=ヌスラ戦線へと移動し、一般市民に対する毒ガス攻撃を引き起こす のを手助けし、アメリカ政権が、アサドの罪になすり付けて、シリアを爆撃する口実とするという広範な計画の一環だった。二人の独裁者、カダフィとアサド は、ロシアと同盟しており、特にアサドは、カタールのガス供給にとってではなく、ロシア・ガス供給輸送ルートとし、ロシアにとって重要だった。 カタールは、ヨーロッパに対する最大のガス供給国としてのロシアの立場にとって、主要な潜在的脅威なのだ。
国際関係の、そして軍事政策のオバマの第一目標は、ロシア打倒であり、ロシアの政権転覆を強いて、ロシアをアメリカ帝国の一部にし、ワシントンの支配に抵抗する主要大国でなくすることだ。
2011 年に、アメリカがリビアを爆撃するまで、リビアは平和で繁栄していた。2010年、一人当たりGDP (収入)は、IMFによれば、12,357.80ドルだったが、我々がリビアを爆撃し、破壊した年、2011年には、わずか5,839.70ドルへと急落 した。(ヒラリー・クリントンがこう大言壮語したのは有名だ。“来た、見た、彼は[カダフィ]死んだ!”) (しかも、アメリカの同盟国サウジアラビアとは違って、一人当たりGDPは、驚くほど平等に分配されており、教育も医療も公営で、全員が享受できていた。 貧しい人々さえも。) より最近、2015年2月15日、NPR記者のレイラ・ファデルは“油田を攻撃されている、リビアの経済的将来性は暗い”と全段見出しで報じた。“生産担 当の人物が、将来が暗いことを知っている。 '我々は生産できない。我々は生産の80パーセントを失っている。' と、リビア石油公社総裁ムスタファ・サナッラは語る”のを彼女は公表した。ワシントンの指示により、2011年以降、IMFのリビアのGDP数値報告は信 頼できなくなり、現地の状況は、迅速に正常に復帰した(正常以上に良くなった。2012年、一人当たり13,580.55ドル GDP)だとしているが、 誰もがそれがウソであることを知っている。NPRでさえも、実際、それは真実ではないと報告している。2012年、リビアの一人当たりGDPを、不合理に も、23,900ドルと、CIAは推計し、(彼等は、その年以前の数値は全く示していない)、リビアの一人当たりGDPは、その後、ごく僅か落ちたと言 う。アトランティック・カウンシルは、2014年1月23日付けの、リビア経済に関する最新の体系的報告に、“リビア: 2014年、経済崩壊に直面”という見出しを付けて、少なくとも事態を正直に説明しようと努力しているが、公式推計で信頼できるものは皆無だ。
リビアは、ヨーロッパにとって大問題だ。何百万人ものリビア国民が、リビアの混乱から逃げ出している。彼らの中には、地中海を渡り、南イタリアの難民キャンプにたどり着く人々もいる。ヨーロッパの他の場所に避難している人々もいる。
そ して、今やシリアは、ロシアを征服する為に破壊されつつあるもう一つの国なのだ。プロパガンダ活動があからさまな、ニューヨーク・タイムズですらも、その ‘ニュース’報道で認めている通り、"トルコも、シリア武装反抗勢力も、シリアのバシャール・アル-アサド大統領打倒を最優先事項と考えている。”そこ で、ロシアの同盟者バシャール・アル-アサドを打倒し、彼の非宗教政府を、イスラム教政権と置き換える為に、アメリカ爆撃機が、シリアの一部に、飛行禁止 空域を設けたので、 '反ISIS'云々は、うわべだけなのだ。PRであり、プロパガンダなのだ。大衆は、ロシア打倒なぞより、遥かにISIS打倒を期待している。ところが、 アメリカ支配層のものの見方は違うのだ。彼らの狙いは、アメリカ帝国の拡大だ -彼等自身の帝国拡張だ。
同様 に、2014年2月、オバマは、‘イスラム・テロに反対する’やら、だまされやすい連中をけむに巻くのに、アメリカ政府が良く使う文句の様なインチキ偽装 の代わりに、‘民主主義’デモというインチキ偽装によって、ウクライナで、ヴィクトル・ヤヌコーヴィチの中立的な政権を打倒し、猛烈な反ロシア、人種差別 主義者-ファシスト、つまりナチス政府を、ロシアの隣国ウクライナに、アメリカが据えつけ、支援した。アメリカが侵略し破壊するまでは、リビアが平和だっ た様に、アメリカとトルコが侵略し破壊するまでは、シリアが平和だったのと同様、ウクライナも、アメリカがクーデターをしでかし、ナチスを据えつけ、民族 浄化作戦を実施し、ウクライナも破壊してしまう前は平和だったのだ。
カダフィ打倒前のリビア、あるいは、アサドを打倒しようという現在の取り組み前のシリア、あるいは、より最近では、ウクライナの民主的に選出されたヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領の見事な打倒と同様、全てが、ロシア打倒を目指しているのだ。
オ バマや他のアメリカの保守派、帝国主義者に、押しつけられた惨状を、ヨーロッパの全てが、共有している事実は、ワシントン DCの権力者にとっては、ほとんどどうでも良いことだが、万一、彼等にとって、何か意味があるとすれば、それはおそらく、この広範な作戦の魅力的な側面だ ろう。中東の国々のみならず、ヨーロッパの各国を弱体化させることによっ、オバマの対ロシア戦争は、アメリカが引き起こす混沌と破壊が終わった後、アメリ カが“最後まで生き残った男”になるのを確実にするのだ。
結果的に、例えばアメリカ国際戦略からすれば、対ロシア経済制裁が、ヨーロッパ諸国経済に大変な損害をもたらしているという事実は、悪いことではなく、良いことなのだ。
あらゆる競技で勝利の道は二つある。一つは、自らの能力を向上させることによるものだ。もう一つは、何としてでも競争相手の能力を弱体化させることによるものだ。アメリカ合州国は、現在、もっぱら後者の戦略に依存している。
調査ジャーナリスト、歴史研究者のEric Zuesseは新刊「彼らは全然違う: 民主党対 共和党の経済実績、1910-2010」および「キリストの腹話術師:キリスト教を生み出したイベント」と「封建主義、ファシズム、リバタリアニズムと経済学」の著者。
記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2015/08/07/us-is-destroying-europe.html
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2015/08/post-05ee.html
◆アメリカの「世界の警察官退任」発言に対する歴史的教訓
2015年1月24日 グローバル・アメリカン政論
バラク・オバマ大統領がアメリカはもはや世界の警察官ではないと発言した際、それを歓迎する声はほとんど聞かれない。イラク戦争を「傲岸不遜」とし て反対した者達さえも、あまりに唐突な一言に当惑している。重要な問題は、アメリカが本当に世界の警察官から本当に降りる気なら、その責任の一部でも分担 できるパートナーを指名する必要があるということだ。歴史を振り返れば、アメリカはベトナム戦争後に国際的な関与を弱めると表明した。今日と同様にアメリ カ国民の間には長い戦争に対する厭戦気運が広まっていた。しかしベトナム戦争後のアメリカを率いたリチャード・ニクソン氏はバラク・オバマ氏よりもはるか に責任ある行動をとっていた。
まずニクソン・ドクトリンについて述べたいが、これは1969年にニクソン大統領が戦争のベトナム化を表明したものである。当時、世界各国のオピニ オン・リーダー達はアメリカの衰退を語り、アメリカが世界の安定の礎であり続けるかどうかにさえ疑問を呈した。現在のオバマ大統領と同様にニクソン大統領 も同盟諸国に広まるポスト・アメリカ世界への不安を宥めるため、アメリカは条約上の遵守し、同盟国が死活的な安全保障上の権益を脅かされれば支援をしてゆ くというメッセージを発した。他方でニクソン氏は、アメリカは敵の脅威に直面している国を背後から支援し、自国の防衛に第一の責任を持つのはそうした国々 だと強調した。これらの点はオバマ政権の外交政策と方向性が似ている。しかし超大国がその地位を降りるあるいはその責任を他の国に委譲するというなら、そ のためのパートナーが負担を分担できる能力を持てるように支援する必要がある。この点に関する限る、オバマ政権はニクソン政権よりもはるかに稚拙である。 両者の顕著な違いが見られるのは中東政策においてである。
ニクソン大統領が自らのドクトリンを公表してからほどなく、パーレビ王政下のイランがペルシア湾の憲兵として台頭するための支援に乗り出した。この ことが典型的に表れているのは、ニクソン政権がイラン帝国空軍の強化に対して行なった好条件で迅速な支援である。1970年代初頭のイランはソ連による領 空侵犯に悩まされていた。特に高速で飛行するミグ25戦闘機はイラン空軍のF4戦闘機でも侵入を阻止できず、イランはソ連空軍のなすがままに偵察され放題 であった。イランは自国の主権下にある領土を守るためにも、最先端の戦闘機を必要としていた。そのため、モハマド・レザ・パーレビ国王は1973年7月に ワシントン郊外のアンドリュース空軍基地でニクソン大統領と会談した。ニクソン氏はF14かF15のどちらでもイランの防空に好ましい方を選ぶようにと、 同基地での飛行デモストレーションにシャーを招待した。両機の飛行を見たシャーが躊躇なく選択したのはF14である(“Thirty minutes to choose your fighter jet: how the Shah of Iran chose the F-14 Tomcat over the F-15 Eagle”; Aviationist; February 11, 2013)。
帰国したパーレビ国王は翌年1月に30機のF14を発注すると、6月には矢継ぎ早に50機のF14をAIM54フェニックス・ミサイルとともに発注 した。ニクソン政権の迅速な行動によりイランは1976年1月に最初のF14を受け取り、それとともにイラン空軍のパイロットもアメリカから集中的な訓練 を受けた(“Grumman F-14 Tomcat#Iran”; Wikipedia)。その結果は目覚ましい成果となった。1977年8月にはイラン空軍のF14がフェニックス・ミサイルの発射テストで無人機を撃墜 し、ソ連の侵入に対するイランの防空能力を誇示した。それ以来、恐るべきミグ25がイランの領空に飛来することもなくなった(“Aircraft/Jet fighters/F-14”; IIAF.net)。ニクソン氏が公約を果たしたと言えるのは、シャーが自国を充分に防衛できるだけでなく、ペルシア湾の憲兵としてアメリカの代役を務め られるほど軍事力を備えるなでになったからである。この件から我々が学ぶべき重要な教訓は、アメリカが世界への軍事的な関与を削減できるのはその地域に強 固で信頼性の高いパートナーがある場合だけだということである。
上記の歴史的事例と比較すると、オバマ大統領が世界の警察官から降りると発言したことは著しく思慮を欠いていた。ニクソン政権と違い、オバマ政権に は中東の地域安全保障でアメリカの責任を委譲できるほど信頼できるパートナーはない。特にイラク政策は稚拙をきわめ、ISISの台頭に見られるように地域 の不安定化を深めている。ニクソン政権はパーレビ王政下のイランが地域の警察官を担えるほどの軍事力強化を支援したが、オバマ政権はイラクの治安部隊の再 建も行なわずに撤退してしまった。湾岸戦争勃発時にサダム・フセインが空軍機の多くをイランに疎開させ、残りの空軍機もイラク戦争で破壊されてしまったの で、イラク空軍は実質的に存在しなかった。よってアメリカとの安全保障合意を結んで地上のテロリストを掃討するためにも、イラク空軍の地上攻撃能力の再建 は必要不可欠であった(“Iraq to Have Some Air Strike Capability, U.S. Says”; Assyrian International News Agency; December 6, 2007)。
このため、イラクはF16戦闘機とアパッチ攻撃ヘリコプターの購入を決断した。マリキ政権はブッシュ政権末期にF16の購入を検討し始めた (“Iraq Seeks F-16 Fighters”; Wall Street Journal; September 5, 2008)。彼らが決断を下したのはオバマ政権の発足から数ヶ月後である(“Procurement: Iraqis Put Up The Bucks For F-16s”; Strategy Page; April 9, 2009)。イラクは2011年にまず36機を発注することでアメリカとの間で最終的に合意に達したが、UPI通信の報道によればそれでもイラク全土をカ バーするには不十分だという(“Iraq F-16 Order Finally Confirmed”; Iraq Business News; December 7, 2011)。問題はサダム・フセインが政権の座を追われてからイラクにはジェット戦闘機がなかったので、そのような先進機器を使いこなせるパイロットがほ とんどいないということである(“Iraq Has Brand New F-16s, But Can't Use Them Against ISIS Yet”; International Business Times; June 12, 2014)。さらにISISの攻撃から教官とイラク軍パイロットの安全を期すため、F16の飛行訓練地はイラク北部のバラド空軍基地からアリゾナ州ツーソ ンに変更された。そのうえ、イラク軍パイロットには長時間の集中的な訓練が必要である。よってF16がイラクに引き渡されるのは2017年になるという (“Islamic State threat delays delivery of F-16s to Iraq”; Military Times; November 10, 2014および “Iraqi F-16 pilots need years more training in U.S.”; Military Times; December 11, 2014)。イラク議会はF16の引き渡しがさらに遅れる事態に苛立ちを募らせている(“Iraq urges US to explain delay in F-16 jets delivery”; Islam Times; 25 December, 2014)。
イラクがアメリカから輸入しようとした地上攻撃用の航空兵器にはAH64アパッチ・ヘリコプターもある。しかしオバマ政権がイラクとの合意に達する と、民主党のボブ・メネンデス上院議員が委員長を務めていた上院外交委員会は、シーア派のマリキ政権がISISや反乱分子との戦闘よりも少数派のスンニ派 への抑圧にアパッチを利用するのではないかとの懸念を提起した(“Agreement Reached to Sell Apache Helicopters to Iraq”; Defense News; January 27, 2014)。合意には何とか達したものの、イラク政府は両国で合意した24機に加えて6機のリースを要求した。最終的にイラクはその合意を破棄した (“Iraq passes on Apache buy”; Jane Defence Weekly; 25 September, 2014)。F16の場合と同様に、オバマ政権はイラク政府が要求してきた機数を迅速に引き渡すことができなかった。
上記のような失敗を重ねたためにイラクはISISだけでなくイランに対しても脆弱になった。オバマ政権はISISとの戦いでイランに協調を依頼しな がら難しい核交渉を行なう羽目になった。さらにイランはイラクでは南部のシーア派を通じて影響力を浸透させている厄介なアクターである。今やイラク政府は シーア派民兵への依存度を高めている。オバマ氏はイランとの反ISIS提携を一時的なものと考えているかも知れないが、それではイラクの治安には長期的な 悪影響を及ぼす。イランは依然としてシリアのアサド政権を支持している。また、シーア派民兵はスンニ派住民を自分達の周囲から追い出そうとしている。そう した宗派間の亀裂を克服する唯一の方法は、中央政府があらゆる民族と宗派を取り込んだ強固な治安部隊を作り上げることである(“The U.S. and Iran are aligned in Iraq against the Islamic State — for now”; Washington Post; December 27, 2014)。
イラク国内でアメリカの重要な同盟者であるクルド自治政府は多国籍軍の空爆によってISISの脅威は相対的に封じ込められたが、シーア派民兵を通じ たイランの影響力の浸透に非常な危機感を募らせている。それら民兵の内でもアサイブ・アール・ハクとバドル民兵がクルド人にとっては重大な脅威で、双方と もイラン革命防衛隊と緊密な関係にある。シーア派勢力が最も活発なのはクルド地域とイランとも境界を接するディヤーラー県で、彼らはさらに北のキルクーク にまで進出している(“Forget ISIS: Shia Militias Are the Real Threat to Kurdistan”; National Interest; January 7, 2015)。そうした問題にもかかわらず、オバマ政権は核交渉のためにイランに対する政策を緩和しようとしている。それは一般教書演説で議会の反発を呼 び、オバマ氏はイランの脅威を理解しているのか疑問視される有り様である(Unanimity at last: Obama is delusional on foreign policy”; Washington Post; January 21, 2015)。そうした批判は当然のことで、オバマ氏はまるで中東の安全保障をイランに委任しているかのようにさえ見える。
アメリカがイギリスの覇権を引き継いで以来、その力は好調な時期も不調な時期もあった。ニクソン政権とオバマ政権の歴史的背景はきわめてよく似てい るが、それに対応する政策には著しい違いがある。オバマ政権は世界の警察官という責任を投げ出してアジア転進政策をとろうとしているが、その準備は何もし ていない。多くのコメンテーターが表面的なアメリカの衰退を議論しているが、本当に問題なのはリーダーシップの質である。ニクソン氏とは違いオバマ氏には 外交政策のビジョンがない。パーレビ国王にはニクソンおよびフォード政権との相互信頼があったが、マリキ氏もアバディ氏もオバマ氏との信頼関係にはない。 ニクソン氏にはヘンリー・キッシンジャー氏がいたが、オバマ氏には頼るべき外交政策の助言者がいない。両大統領の歴史的な比較によって、今日のアメリカ外 交に多大な示唆を与えてくれるものと信じている。
http://newglobal-america.tea-nifty.com/shahalexander/
◆オバマ政権も海軍も 中国と波風を立てたくない米国
リムパックに再び招待?米軍と中国軍の関係がますます緊密に
2015.9.3 北村 淳 JB PRESS
リムパック 2014 に参加した各国軍艦(写真:米海軍)
安倍首相の「70年談話」が国内世論を考慮して中国側の予想より“トーンダウン”していたため、人民日報、環球時報などの英文ウェブ版を中心とした対米プロパガンダマシンも騒ぎ立てることができなかった。
そこで、それらの中国英文メディアは「70年談話」の代わりに「抗日戦勝70周年パレード」の準備状況に関する話題を連日写真入りで報道しまくっていた。もちろんパレード開催後しばらくはパレード成功の模様を流し続けるものと思われる。
歴史を歪める中国の「抗日戦勝70周年」行事
「抗 日戦勝70周年パレード」に関する宣伝報道に関しては、もちろん人民解放軍の動向を注視している米軍関係者たちの関心は高い。ただし、どの国の軍隊がパ レードで行進するのか? どの国の政府首脳がパレードを観覧するのか? といった話題よりは、あたかも中国人民解放軍が日本軍を打ち破ったごときイメージ を作り上げ、国際社会に定着させようとしている情報戦の進行状況に注目し、危惧しているのである。
さすがに 台湾では軍首脳などから、中華人民共和国が日本に勝利したようなプロパガンダに対して反発する声が上がっている。日本軍との正規の交戦主体は中華民国軍で あって、抗日戦争時に中華人民共和国は存在していなかった。だが、国際社会における中国の強力な情報戦の前には、台湾からの正論は全く気にもかけられなと いった状況だ。
台湾軍部と同様に、太平洋戦争だけでなく大東亜戦争の経緯を学んだことのあるアメリカ軍関係者たちも、中国の「抗日戦勝70周年」には下記のように大きな疑義を呈している。
「8 月15日から9月2日(米国時間)に日本が公式に降伏した時点では、アメリカ軍が主導した太平洋戦域では日本海軍は壊滅しており、太平洋の数多くの島嶼守 備隊やフィリピンの日本軍も完全に敗北していた。ビルマからインドにかけての戦線でも日本軍は壊滅していた。そして満州にはソ連軍が侵攻したため関東軍は 壊滅し満州国は崩壊してしまった」
「しかし、中国戦線では支那派遣日本軍は敗北してはおらず、中華民国軍との間で膠着状態が続いていた。ただし、本国との補給を絶たれ、満州からもソ連軍が南下してくる状況では、支那派遣日本軍の命脈も長くは持たなかったであろう」
「も ちろん日本という国家が連合軍に降伏したのであるから、中国戦線の日本軍も中華民国軍に結果的に敗北したことには変わりはない。しかしながら、日本軍の投 降を受け入れたのは中華民国軍であって、中国共産党の八路軍でも新四軍でもない。人民解放軍は、連合軍から対日戦の勝利を横取りし、独り占めしようとして いるようである」
支那事変勃発以降の中国での戦争は、交戦主体が日本軍対中国軍というように単純な国家間戦争の様相を呈していないため、上記のようないきさつを知る人々は、英語圏では軍事関係者たちの間でも少数である。もっとも歪んだ歴史教育のせいで日本でも少数派かもしれない。
したがって、中国政府が華々しく「抗日戦勝70周年パレード」をぶちあげて、「抗日戦勝」を繰り返し国際社会に向け発信し続けていけば、そう遠くない将来には、従軍慰安婦と同様に中国バージョンの「抗日戦争史」が世界の歴史のスタンダードになりかねない。
アメリカ軍と人民解放軍の関係はより緊密に
軍事専門家たちだけではなく、政治家などの中にも「抗日戦勝70周年」プロパガンダに眉をひそめている人々は少なくない。そのため、さすがのオバマ“親中”政権といえども、政府高官を「抗日戦勝70周年パレード」に列席させるわけにはいかなかった。
しかしながら、その代わりとしてスーザン・ライス国家安全保障担当大統領補佐官を北京に派遣して、習近平国家主席や人民解放軍首脳たちとの会談がとり行わ れた。アメリカでの国家安全保障担当大統領補佐官の位置づけと派遣のタイミングから判断すると、オバマ政権の中国重視ぶりが如実に示された出来事である。
ライス大統領補佐官は、中国による南シナ海での人工島建設やアメリカに対するサイバー攻撃などに懸念を表した。それに対して習主席は、中国もアメリカもそ れぞれの「核心的利益」を尊重しあい、両国間の意見の相違を縮小し、大局的立場で両国関係を発展させるように提案した。
要するに、良好な米中関係の維持は最大限に重視しているものの、「核心的利益」すなわち南シナ海問題と東シナ海問題では妥協する気がない旨を改めて表明したのだ。
一方、ライス長官と人民解放軍首脳との会合では、アメリカ軍と人民解放軍の関係をより緊密にすることが確認された。両軍が相互理解を深め、互いの違いを認 識することで、とりわけ海軍や航空戦力の間における思わぬ誤解に基づいた軍事衝突が避けられ、両国関係の安定に寄与することになる。そのため米中両軍は、 より一層首脳レベルでの密接な交流や、共同訓練などの様々な形での軍事交流を推し進める、ということで合意した。
米海軍首脳部はリムパックへの中国海軍の参加を容認
ライス補佐官が中国指導部と「米中間の新たな軍事交流の推進」を確認し合っていた頃、アメリカでは海軍作戦部長(アメリカ海軍における軍人のトップ)のグリーナート提督が、人民解放軍海軍(以下「中国海軍」)トップとのビデオ電話会談でのやり取りを語った。
「中 国海軍は、強くリムパック(RIMPAC:環太平洋合同演習)2016への参加を望んでいるようである。米海軍は中国海軍との間で、互いの誤解にもとづく 衝突を防止するための様々な努力を重ねてきている。今後もそのような努力を続け、中国海軍や中国海警とアメリカ海軍との間に不測の事態が起こらないように すべきである」
このように提督は、暗に米海軍首脳部はリムパック2106への中国海軍の参加を容認するような発言をした。
リムパックとはアメリカ太平洋艦隊が主催してアジア太平洋地域の海軍や海兵隊などが参加して行われる“世界最大規模”の海洋軍事演習である。2年ごとにホ ノルルを中心としたハワイ海域で行われており、日本は1980年以降毎回参加している。昨年のリムパック2014には中国海軍が初めて参加し各国海軍の注 目を集めた(本コラム「リムパックで特等席を与えられた自衛隊『いせ』」参照)。
中国海軍を「二度と招待するな」という声
しかしながら、太平洋艦隊や太平洋海兵隊などリムパックのホスト部隊では、依然としてリムパック2016に中国海軍を招くことに反対する意見が多い。
昨年のリムパックでは中国海軍は演習に参加する艦艇以外にも情報収集艦を演習海域に派遣し、米海軍空母をぴったりマークするなどしてスパイ活動を展開した (本コラム「ホノルル沖に出現した招かれざる客、中国海軍のスパイ艦『北極星』」参照)。そのため、当時の太平洋艦隊司令官ハリス提督(現在は太平洋軍司 令官)をはじめとする主催者側は、国際信義にもとる行為と中国を批判した。また、米連邦議会でも中国封じ込め派の議員たちから「友好国の海軍合同演習には 二度と人民解放軍など招待すべきではない」という声が上がった。
アメリカ海軍の“中国招待反対派”の人々は、アメリカ政府のみならず海軍首脳部も中国招待に傾いていることに失望を隠せない。そして、次のように反発を強めている。
「確 かに海軍軍人、とりわけ海軍首脳にとっては、他国海軍との“予期せぬ衝突”を何としてでも避けたい、というのは職責上当然のことである。したがって中国海 軍も含めてCUES(アメリカ、日本、中国などを含むアジア太平洋地域21カ国の海軍間で合意された取り決めで、海洋上での予期せぬ軍事衝突を防止するた めの行動指針)を締結し、さらにそれに中国海警をも取り込んで、南シナ海でアメリカ海軍が中国側と不測の事態に陥らないよう努力しているのは理解できる」
「し かし海軍作戦レベルで考えると、リムパックは自衛隊のような同盟軍や友好国の海軍が集まって共同作戦の指揮統制を身につける貴重な場である。海軍行動の指 揮統制をある程度共有する訓練は、まさに“親密な友人”だけの間の訓練でなければならない。そのような場に、中国海軍を加えて、将来の不測の事態を回避し よう、などというのは本末転倒と言わざるをえない」
また、対中強硬派のフォーブス議員などは、「リムパック 2014への中国海軍の参加や、その後の米中両軍の相互交流の努力などによっても、中国エンゲージメント(取り込み)政策などは全然進展していないではな いか!」と、中国をリムパック2016へ招待することには強く反対している。
結局、中国海軍は参加することに?
しかし、前述したようにライス補佐官と中国最高指導部との会談では米中間の軍対軍関係の密接な交流促進が特に強調されたし、9月下旬に国賓として訪米する習主席も、改めて人民解放軍とアメリカ軍の友好的関係の強化を話題にするはずである。
世界最大規模の多国籍間軍事演習であるリムパックに人民解放軍を招待することは、両国軍の関係緊密化を謳い上げるシンボルとしてこの上もない意味を持っている。
何よりもリムパックに招待する海軍を最終的に決定するのは、太平洋艦隊司令官でもアメリカ海軍作戦部長でもなく、ホワイトハウスである。したがって、オバマ政権の判断は「結局呼ぶことになる」と考えている人々が多い。
日米同盟だけにすがりついていてよいのか
日本では、安倍政権が「安全保障法制」を成立させ、また辺野古埋め立てを開始して、いわゆる普天間移設問題を解決することで日米同盟が強化されるとしてい る。日本政府には確固たる自主防衛戦略が欠落しており、そのような戦略を構築しようともしていない。そんな日本にとっては、日米同盟の強化、そして日米同 盟にすがりつくことだけが、日本を中国などの軍事的脅威から守るための切り札と認識されているようである。
しかしながら、アメリカは中国との間に直接領域紛争を抱えているわけではない。また、アメリカ(少なくともオバマ政権)にとっては同盟国である日本はもちろん大切であるが、同盟国ではなくとも軍事大国である中国は軍事的には日本以上に大切なのだ。
そのことは、ホワイトハウスが「抗日戦勝70周年パレード」に政府高官は出席させない代わりにパレードの直前にライス大統領補佐官を習主席のもとに派遣し たことや、アメリカ海軍のトップと中国海軍のトップがしばしばビデオ電話会談を実施して意思疎通を図っていること、などが物語っている。
日本政府にとっては日米同盟“だけ”が国防の決め手であるかもしれない。しかし、アメリカの国防にとっては、日米同盟はあくまでも多数あるツールのうちの1つにすぎない。我々はそのことを肝に銘じておかねばなない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44673
目覚めよ日本!
2015年9月1日 レコードチャイナ
2015 年8月31日、中国・環球時報によると、30日付の豪紙シドニー・モーニング・ヘラルドは同国政府消息筋の話として「中国は島しょ建設を完成させ、南シナ 海争奪戦の第1ステージで勝利した。新たなステージでの中国の勝利をもはや誰も止められないだろう」と報じた。
軍事専門家の分析によると、中国による南シナ海の島しょでの港湾、軍営、陣地、砲火、空港、レーダーなどの建設作業は、2017年に完成を迎える。南シナ海全域をカバーする軍事力が現実のものとなる。
中 国外交部の報道官は、南沙(英語名スプラトリー)諸島および周辺海域について「中国は争いのない主権を有しており、いかなる島しょでの行動も主権の範囲内 だ」と再三強調してきた。同諸島での建設についても「軍事的防衛の必要性に加え、多くは民間の需要を満たすためのものだ」と表明している。
米 国は今年5月、偵察機と艦船を中国の人工島の周辺12海里以内に入らせると宣言。オーストラリアも支持を表明した。だがいまだ実現していない。豪政府消息 筋は「米国と豪を含むその同盟国は実際の行動を起こせていない」と指摘する。戦略アナリストも「中国に友好的なラオスがASEANの持ち回り議長国から外 れ、米国の新政府の状態が整う、少なくとも2017年までは、中国の行動は大きな拘束を受けることはないだろう」との認識を示している。(翻訳・編集/柳 川)
http://www.recordchina.co.jp/a117937.html
◆【世界を斬る】米海軍、新トップに“戦いの素人” 中国と対決できない「オバマ氏の暴挙」
2015.06.10 zakzak
南シナ海の人工島をめぐって、中国が「米国が介入してきたら戦争だ」とわめいているとき、オバマ大統領は米海軍の最高指揮官に技術担当の海軍大将を任命した。海軍の新トップは、中国と戦うことなど全く考えていない。
日本では、なぜか、「海軍作戦部長」と翻訳されている海軍総司令官に就任したジョン・リチャードソン海軍大将は海軍原子力推進局長で、海軍総司令官への昇 進順位でいえば5番目だった。だから、今度の人事は大抜擢で、誰もが驚き、海軍関係者の間では懸念と不安が高まっている。
米海軍を退役したばかりの元提督の友人は、こう言った。
「オバマ大統領の今度の決定は、米海軍に魚雷攻撃をかけて沈没させてしまうようなものだ。海軍が中国と対決することはとてもできなくなる」
オバマ大統領は2012年にも、太平洋防衛の最高指揮官である太平洋軍司令官に、中国に対する弱気で懸念されていたサミュエル・ロックリア海軍大将を任命 した。ロックリア氏は、中国が米空母キラーとよばれるクルージングミサイルDF21を実戦配備しようとしたとき、いち早く西太平洋から米海軍を撤退させよ うとした超本人だ。
私の知るかぎり米海軍の最高指揮官は長い間、第一線で活躍した提督ばかりだった。ブッ シュ前大統領が任命したゲイリー・ラフヘッド海軍総司令官は長い間、駆逐艦の艦長として活躍し、私は仕事の上で何度も会ったことがある。戦う意志に溢れた 海の男で「必要なら、米海軍はどこにでも乗り込んでいく」といつも言っていた。
その後任のジョナサン・グリナート海軍大将も優秀な潜水艦乗りで、私とのインタビューでも、「中国の潜水艦などは米国の技術をもってすれば敵ではない」と中国をのんでかかっていた。
一方、リチャードソン新海軍総司令官は、原子力エンジンの開発や整備に関しては世界的に知られている。空母や潜水艦を含む米海軍艦艇の原子力エンジンが過去64年間、事故を起こしたことがないのは、彼の功績とされている。
だが、南シナ海では今、中国が不法な軍事行動をとり、核戦力を使ってでもアメリカと対決しようとしている。そんな現状で、原子力エンジンだけを仕事にしてきた技術担当の提督を、海軍の総司令官にする人事は、オバマ大統領の暴挙としか言いようがない。
米海軍は現在、原子力空母を3隻、攻撃型原子力潜水艦を10隻あまり建造中で、潜水艦や機雷の能力を急速に向上させている。だが、肝心の最高指揮官が“戦 いの素人”とあっては、米海軍と協力してアジア西太平洋の安全を維持しなければならない日本には、まことに気がかりなことだ。
■日高義樹(ひだか・よしき) 1935年、名古屋市生まれ。東京大学英文科卒。59年NHKに入局し、ワシントン支局長、理事待遇アメリカ総局長を歴任。退職後、ハーバード大学客員教授・同大諮問委員を経て、現在はハドソン研究所首席研究員、全米商工会議所会長顧問。
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150610/dms1506101550007-n1.htm
◆ヨーロッパを破壊するアメリカ
2015年8月11日 マスコミに載らない海外記事
Eric ZUESSE
2015年8月7日 | 08:00
Strategic Culture Foundation
リ ビア、シリア、ウクライナや、ヨーロッパの周辺部や端にある他の国々で、アメリカのバラク・オバマ大統領は、不安定化政策や、爆撃や他の軍事援助を追求 し、何百万人もの避難民を、こうした周辺地域から、ヨーロッパへと追い出し、移民排斥という極右の火に油を注ぎ、周辺諸国のみならず、遥か北ヨーロッパに 到るまで、ヨーロッパ中で、政治的不安定化をもたらしている。
2015年8月3日「オフ-ガーディアン」の “シリア内のオバマ‘安全地帯’は、この国を新たなリビアに変えることを目指すもの”という見出しの記事で、シェイマス・クックは、オバマが、トルコの 為、これまで法的強制力のなかった、シリア上空の飛行禁止空域でのアメリカによる航空支援を承認したと報じている。アメリカは、これから、シリア領土の広 大な部分を占領したISISを含む過激派イスラム集団を標的とする、シリアのバシャール・アル-アサド大統領の、あらゆる飛行機を撃墜することになる。
クックはこう報じている。
“ト ルコは、シリア戦争が始まって以来、オバマに、この飛行禁止空域を要求してきた。紛争中ずっと、そしてここ数カ月間も、議論されてきているが、真の狙いは 常にシリア政府だった。そして、突如、飛行禁止空域が実現しつつある - トルコがずっと望んでいたまさにその場所に - ところが、適切な名前 '反クルド・反シリア政府派用安全地帯”の代わりに、 '反ISIS' 派の安全地帯というレッテルを貼られている。
ニュー ヨーク・タイムズは、 7月27日こう報じている。"この計画は、比較的穏健なシリア武装反抗勢力が、アメリカと、おそらくはトルコの航空支援を得て、領土を得ることを目指して いる。”ところが、タイムズは、(いつも通り)お上の速記役で、アメリカ政府情報筋から(そして、アメリカ政府の宣伝活動の為に)こう報じている。“比較 的穏健”を定義しそこねているが、全てのシリア“比較的穏健な武装反抗勢力”集団は、ISISと協力して、彼等が、そこにいるあらゆる非イスラム教徒を見 つけ出し、斬首し、時には、人質に取って身代金を要求するのを手伝っている。アサドの下、シリアは聖職者支配国家ではなく、信仰の自由を享受しているが、 アサド支配に反対するシリア反政府派は全て、世俗主義と無縁だ。今やアメリカは、これまで以上に、明らかに、反アサド、親イスラム主義者寄りだ。
セ イモア・ハーシュは、ロンドン・レビュー・オブ・ブックスで、2014年4月17日に報じている。2011年のオバマ政権によるリビア爆撃作戦は、オバマ が既に、リビアで、まんまとしでかした様に、サリン・ガスを、リビアから、シリアのアル=ヌスラ戦線へと移動し、一般市民に対する毒ガス攻撃を引き起こす のを手助けし、アメリカ政権が、アサドの罪になすり付けて、シリアを爆撃する口実とするという広範な計画の一環だった。二人の独裁者、カダフィとアサド は、ロシアと同盟しており、特にアサドは、カタールのガス供給にとってではなく、ロシア・ガス供給輸送ルートとし、ロシアにとって重要だった。 カタールは、ヨーロッパに対する最大のガス供給国としてのロシアの立場にとって、主要な潜在的脅威なのだ。
国際関係の、そして軍事政策のオバマの第一目標は、ロシア打倒であり、ロシアの政権転覆を強いて、ロシアをアメリカ帝国の一部にし、ワシントンの支配に抵抗する主要大国でなくすることだ。
2011 年に、アメリカがリビアを爆撃するまで、リビアは平和で繁栄していた。2010年、一人当たりGDP (収入)は、IMFによれば、12,357.80ドルだったが、我々がリビアを爆撃し、破壊した年、2011年には、わずか5,839.70ドルへと急落 した。(ヒラリー・クリントンがこう大言壮語したのは有名だ。“来た、見た、彼は[カダフィ]死んだ!”) (しかも、アメリカの同盟国サウジアラビアとは違って、一人当たりGDPは、驚くほど平等に分配されており、教育も医療も公営で、全員が享受できていた。 貧しい人々さえも。) より最近、2015年2月15日、NPR記者のレイラ・ファデルは“油田を攻撃されている、リビアの経済的将来性は暗い”と全段見出しで報じた。“生産担 当の人物が、将来が暗いことを知っている。 '我々は生産できない。我々は生産の80パーセントを失っている。' と、リビア石油公社総裁ムスタファ・サナッラは語る”のを彼女は公表した。ワシントンの指示により、2011年以降、IMFのリビアのGDP数値報告は信 頼できなくなり、現地の状況は、迅速に正常に復帰した(正常以上に良くなった。2012年、一人当たり13,580.55ドル GDP)だとしているが、 誰もがそれがウソであることを知っている。NPRでさえも、実際、それは真実ではないと報告している。2012年、リビアの一人当たりGDPを、不合理に も、23,900ドルと、CIAは推計し、(彼等は、その年以前の数値は全く示していない)、リビアの一人当たりGDPは、その後、ごく僅か落ちたと言 う。アトランティック・カウンシルは、2014年1月23日付けの、リビア経済に関する最新の体系的報告に、“リビア: 2014年、経済崩壊に直面”という見出しを付けて、少なくとも事態を正直に説明しようと努力しているが、公式推計で信頼できるものは皆無だ。
リビアは、ヨーロッパにとって大問題だ。何百万人ものリビア国民が、リビアの混乱から逃げ出している。彼らの中には、地中海を渡り、南イタリアの難民キャンプにたどり着く人々もいる。ヨーロッパの他の場所に避難している人々もいる。
そ して、今やシリアは、ロシアを征服する為に破壊されつつあるもう一つの国なのだ。プロパガンダ活動があからさまな、ニューヨーク・タイムズですらも、その ‘ニュース’報道で認めている通り、"トルコも、シリア武装反抗勢力も、シリアのバシャール・アル-アサド大統領打倒を最優先事項と考えている。”そこ で、ロシアの同盟者バシャール・アル-アサドを打倒し、彼の非宗教政府を、イスラム教政権と置き換える為に、アメリカ爆撃機が、シリアの一部に、飛行禁止 空域を設けたので、 '反ISIS'云々は、うわべだけなのだ。PRであり、プロパガンダなのだ。大衆は、ロシア打倒なぞより、遥かにISIS打倒を期待している。ところが、 アメリカ支配層のものの見方は違うのだ。彼らの狙いは、アメリカ帝国の拡大だ -彼等自身の帝国拡張だ。
同様 に、2014年2月、オバマは、‘イスラム・テロに反対する’やら、だまされやすい連中をけむに巻くのに、アメリカ政府が良く使う文句の様なインチキ偽装 の代わりに、‘民主主義’デモというインチキ偽装によって、ウクライナで、ヴィクトル・ヤヌコーヴィチの中立的な政権を打倒し、猛烈な反ロシア、人種差別 主義者-ファシスト、つまりナチス政府を、ロシアの隣国ウクライナに、アメリカが据えつけ、支援した。アメリカが侵略し破壊するまでは、リビアが平和だっ た様に、アメリカとトルコが侵略し破壊するまでは、シリアが平和だったのと同様、ウクライナも、アメリカがクーデターをしでかし、ナチスを据えつけ、民族 浄化作戦を実施し、ウクライナも破壊してしまう前は平和だったのだ。
カダフィ打倒前のリビア、あるいは、アサドを打倒しようという現在の取り組み前のシリア、あるいは、より最近では、ウクライナの民主的に選出されたヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領の見事な打倒と同様、全てが、ロシア打倒を目指しているのだ。
オ バマや他のアメリカの保守派、帝国主義者に、押しつけられた惨状を、ヨーロッパの全てが、共有している事実は、ワシントン DCの権力者にとっては、ほとんどどうでも良いことだが、万一、彼等にとって、何か意味があるとすれば、それはおそらく、この広範な作戦の魅力的な側面だ ろう。中東の国々のみならず、ヨーロッパの各国を弱体化させることによっ、オバマの対ロシア戦争は、アメリカが引き起こす混沌と破壊が終わった後、アメリ カが“最後まで生き残った男”になるのを確実にするのだ。
結果的に、例えばアメリカ国際戦略からすれば、対ロシア経済制裁が、ヨーロッパ諸国経済に大変な損害をもたらしているという事実は、悪いことではなく、良いことなのだ。
あらゆる競技で勝利の道は二つある。一つは、自らの能力を向上させることによるものだ。もう一つは、何としてでも競争相手の能力を弱体化させることによるものだ。アメリカ合州国は、現在、もっぱら後者の戦略に依存している。
調査ジャーナリスト、歴史研究者のEric Zuesseは新刊「彼らは全然違う: 民主党対 共和党の経済実績、1910-2010」および「キリストの腹話術師:キリスト教を生み出したイベント」と「封建主義、ファシズム、リバタリアニズムと経済学」の著者。
記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2015/08/07/us-is-destroying-europe.html
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2015/08/post-05ee.html
◆アメリカの「世界の警察官退任」発言に対する歴史的教訓
2015年1月24日 グローバル・アメリカン政論
バラク・オバマ大統領がアメリカはもはや世界の警察官ではないと発言した際、それを歓迎する声はほとんど聞かれない。イラク戦争を「傲岸不遜」とし て反対した者達さえも、あまりに唐突な一言に当惑している。重要な問題は、アメリカが本当に世界の警察官から本当に降りる気なら、その責任の一部でも分担 できるパートナーを指名する必要があるということだ。歴史を振り返れば、アメリカはベトナム戦争後に国際的な関与を弱めると表明した。今日と同様にアメリ カ国民の間には長い戦争に対する厭戦気運が広まっていた。しかしベトナム戦争後のアメリカを率いたリチャード・ニクソン氏はバラク・オバマ氏よりもはるか に責任ある行動をとっていた。
まずニクソン・ドクトリンについて述べたいが、これは1969年にニクソン大統領が戦争のベトナム化を表明したものである。当時、世界各国のオピニ オン・リーダー達はアメリカの衰退を語り、アメリカが世界の安定の礎であり続けるかどうかにさえ疑問を呈した。現在のオバマ大統領と同様にニクソン大統領 も同盟諸国に広まるポスト・アメリカ世界への不安を宥めるため、アメリカは条約上の遵守し、同盟国が死活的な安全保障上の権益を脅かされれば支援をしてゆ くというメッセージを発した。他方でニクソン氏は、アメリカは敵の脅威に直面している国を背後から支援し、自国の防衛に第一の責任を持つのはそうした国々 だと強調した。これらの点はオバマ政権の外交政策と方向性が似ている。しかし超大国がその地位を降りるあるいはその責任を他の国に委譲するというなら、そ のためのパートナーが負担を分担できる能力を持てるように支援する必要がある。この点に関する限る、オバマ政権はニクソン政権よりもはるかに稚拙である。 両者の顕著な違いが見られるのは中東政策においてである。
ニクソン大統領が自らのドクトリンを公表してからほどなく、パーレビ王政下のイランがペルシア湾の憲兵として台頭するための支援に乗り出した。この ことが典型的に表れているのは、ニクソン政権がイラン帝国空軍の強化に対して行なった好条件で迅速な支援である。1970年代初頭のイランはソ連による領 空侵犯に悩まされていた。特に高速で飛行するミグ25戦闘機はイラン空軍のF4戦闘機でも侵入を阻止できず、イランはソ連空軍のなすがままに偵察され放題 であった。イランは自国の主権下にある領土を守るためにも、最先端の戦闘機を必要としていた。そのため、モハマド・レザ・パーレビ国王は1973年7月に ワシントン郊外のアンドリュース空軍基地でニクソン大統領と会談した。ニクソン氏はF14かF15のどちらでもイランの防空に好ましい方を選ぶようにと、 同基地での飛行デモストレーションにシャーを招待した。両機の飛行を見たシャーが躊躇なく選択したのはF14である(“Thirty minutes to choose your fighter jet: how the Shah of Iran chose the F-14 Tomcat over the F-15 Eagle”; Aviationist; February 11, 2013)。
帰国したパーレビ国王は翌年1月に30機のF14を発注すると、6月には矢継ぎ早に50機のF14をAIM54フェニックス・ミサイルとともに発注 した。ニクソン政権の迅速な行動によりイランは1976年1月に最初のF14を受け取り、それとともにイラン空軍のパイロットもアメリカから集中的な訓練 を受けた(“Grumman F-14 Tomcat#Iran”; Wikipedia)。その結果は目覚ましい成果となった。1977年8月にはイラン空軍のF14がフェニックス・ミサイルの発射テストで無人機を撃墜 し、ソ連の侵入に対するイランの防空能力を誇示した。それ以来、恐るべきミグ25がイランの領空に飛来することもなくなった(“Aircraft/Jet fighters/F-14”; IIAF.net)。ニクソン氏が公約を果たしたと言えるのは、シャーが自国を充分に防衛できるだけでなく、ペルシア湾の憲兵としてアメリカの代役を務め られるほど軍事力を備えるなでになったからである。この件から我々が学ぶべき重要な教訓は、アメリカが世界への軍事的な関与を削減できるのはその地域に強 固で信頼性の高いパートナーがある場合だけだということである。
上記の歴史的事例と比較すると、オバマ大統領が世界の警察官から降りると発言したことは著しく思慮を欠いていた。ニクソン政権と違い、オバマ政権に は中東の地域安全保障でアメリカの責任を委譲できるほど信頼できるパートナーはない。特にイラク政策は稚拙をきわめ、ISISの台頭に見られるように地域 の不安定化を深めている。ニクソン政権はパーレビ王政下のイランが地域の警察官を担えるほどの軍事力強化を支援したが、オバマ政権はイラクの治安部隊の再 建も行なわずに撤退してしまった。湾岸戦争勃発時にサダム・フセインが空軍機の多くをイランに疎開させ、残りの空軍機もイラク戦争で破壊されてしまったの で、イラク空軍は実質的に存在しなかった。よってアメリカとの安全保障合意を結んで地上のテロリストを掃討するためにも、イラク空軍の地上攻撃能力の再建 は必要不可欠であった(“Iraq to Have Some Air Strike Capability, U.S. Says”; Assyrian International News Agency; December 6, 2007)。
このため、イラクはF16戦闘機とアパッチ攻撃ヘリコプターの購入を決断した。マリキ政権はブッシュ政権末期にF16の購入を検討し始めた (“Iraq Seeks F-16 Fighters”; Wall Street Journal; September 5, 2008)。彼らが決断を下したのはオバマ政権の発足から数ヶ月後である(“Procurement: Iraqis Put Up The Bucks For F-16s”; Strategy Page; April 9, 2009)。イラクは2011年にまず36機を発注することでアメリカとの間で最終的に合意に達したが、UPI通信の報道によればそれでもイラク全土をカ バーするには不十分だという(“Iraq F-16 Order Finally Confirmed”; Iraq Business News; December 7, 2011)。問題はサダム・フセインが政権の座を追われてからイラクにはジェット戦闘機がなかったので、そのような先進機器を使いこなせるパイロットがほ とんどいないということである(“Iraq Has Brand New F-16s, But Can't Use Them Against ISIS Yet”; International Business Times; June 12, 2014)。さらにISISの攻撃から教官とイラク軍パイロットの安全を期すため、F16の飛行訓練地はイラク北部のバラド空軍基地からアリゾナ州ツーソ ンに変更された。そのうえ、イラク軍パイロットには長時間の集中的な訓練が必要である。よってF16がイラクに引き渡されるのは2017年になるという (“Islamic State threat delays delivery of F-16s to Iraq”; Military Times; November 10, 2014および “Iraqi F-16 pilots need years more training in U.S.”; Military Times; December 11, 2014)。イラク議会はF16の引き渡しがさらに遅れる事態に苛立ちを募らせている(“Iraq urges US to explain delay in F-16 jets delivery”; Islam Times; 25 December, 2014)。
イラクがアメリカから輸入しようとした地上攻撃用の航空兵器にはAH64アパッチ・ヘリコプターもある。しかしオバマ政権がイラクとの合意に達する と、民主党のボブ・メネンデス上院議員が委員長を務めていた上院外交委員会は、シーア派のマリキ政権がISISや反乱分子との戦闘よりも少数派のスンニ派 への抑圧にアパッチを利用するのではないかとの懸念を提起した(“Agreement Reached to Sell Apache Helicopters to Iraq”; Defense News; January 27, 2014)。合意には何とか達したものの、イラク政府は両国で合意した24機に加えて6機のリースを要求した。最終的にイラクはその合意を破棄した (“Iraq passes on Apache buy”; Jane Defence Weekly; 25 September, 2014)。F16の場合と同様に、オバマ政権はイラク政府が要求してきた機数を迅速に引き渡すことができなかった。
上記のような失敗を重ねたためにイラクはISISだけでなくイランに対しても脆弱になった。オバマ政権はISISとの戦いでイランに協調を依頼しな がら難しい核交渉を行なう羽目になった。さらにイランはイラクでは南部のシーア派を通じて影響力を浸透させている厄介なアクターである。今やイラク政府は シーア派民兵への依存度を高めている。オバマ氏はイランとの反ISIS提携を一時的なものと考えているかも知れないが、それではイラクの治安には長期的な 悪影響を及ぼす。イランは依然としてシリアのアサド政権を支持している。また、シーア派民兵はスンニ派住民を自分達の周囲から追い出そうとしている。そう した宗派間の亀裂を克服する唯一の方法は、中央政府があらゆる民族と宗派を取り込んだ強固な治安部隊を作り上げることである(“The U.S. and Iran are aligned in Iraq against the Islamic State — for now”; Washington Post; December 27, 2014)。
イラク国内でアメリカの重要な同盟者であるクルド自治政府は多国籍軍の空爆によってISISの脅威は相対的に封じ込められたが、シーア派民兵を通じ たイランの影響力の浸透に非常な危機感を募らせている。それら民兵の内でもアサイブ・アール・ハクとバドル民兵がクルド人にとっては重大な脅威で、双方と もイラン革命防衛隊と緊密な関係にある。シーア派勢力が最も活発なのはクルド地域とイランとも境界を接するディヤーラー県で、彼らはさらに北のキルクーク にまで進出している(“Forget ISIS: Shia Militias Are the Real Threat to Kurdistan”; National Interest; January 7, 2015)。そうした問題にもかかわらず、オバマ政権は核交渉のためにイランに対する政策を緩和しようとしている。それは一般教書演説で議会の反発を呼 び、オバマ氏はイランの脅威を理解しているのか疑問視される有り様である(Unanimity at last: Obama is delusional on foreign policy”; Washington Post; January 21, 2015)。そうした批判は当然のことで、オバマ氏はまるで中東の安全保障をイランに委任しているかのようにさえ見える。
アメリカがイギリスの覇権を引き継いで以来、その力は好調な時期も不調な時期もあった。ニクソン政権とオバマ政権の歴史的背景はきわめてよく似てい るが、それに対応する政策には著しい違いがある。オバマ政権は世界の警察官という責任を投げ出してアジア転進政策をとろうとしているが、その準備は何もし ていない。多くのコメンテーターが表面的なアメリカの衰退を議論しているが、本当に問題なのはリーダーシップの質である。ニクソン氏とは違いオバマ氏には 外交政策のビジョンがない。パーレビ国王にはニクソンおよびフォード政権との相互信頼があったが、マリキ氏もアバディ氏もオバマ氏との信頼関係にはない。 ニクソン氏にはヘンリー・キッシンジャー氏がいたが、オバマ氏には頼るべき外交政策の助言者がいない。両大統領の歴史的な比較によって、今日のアメリカ外 交に多大な示唆を与えてくれるものと信じている。
http://newglobal-america.tea-nifty.com/shahalexander/
◆オバマ政権も海軍も 中国と波風を立てたくない米国
リムパックに再び招待?米軍と中国軍の関係がますます緊密に
2015.9.3 北村 淳 JB PRESS
リムパック 2014 に参加した各国軍艦(写真:米海軍)
安倍首相の「70年談話」が国内世論を考慮して中国側の予想より“トーンダウン”していたため、人民日報、環球時報などの英文ウェブ版を中心とした対米プロパガンダマシンも騒ぎ立てることができなかった。
そこで、それらの中国英文メディアは「70年談話」の代わりに「抗日戦勝70周年パレード」の準備状況に関する話題を連日写真入りで報道しまくっていた。もちろんパレード開催後しばらくはパレード成功の模様を流し続けるものと思われる。
歴史を歪める中国の「抗日戦勝70周年」行事
「抗 日戦勝70周年パレード」に関する宣伝報道に関しては、もちろん人民解放軍の動向を注視している米軍関係者たちの関心は高い。ただし、どの国の軍隊がパ レードで行進するのか? どの国の政府首脳がパレードを観覧するのか? といった話題よりは、あたかも中国人民解放軍が日本軍を打ち破ったごときイメージ を作り上げ、国際社会に定着させようとしている情報戦の進行状況に注目し、危惧しているのである。
さすがに 台湾では軍首脳などから、中華人民共和国が日本に勝利したようなプロパガンダに対して反発する声が上がっている。日本軍との正規の交戦主体は中華民国軍で あって、抗日戦争時に中華人民共和国は存在していなかった。だが、国際社会における中国の強力な情報戦の前には、台湾からの正論は全く気にもかけられなと いった状況だ。
台湾軍部と同様に、太平洋戦争だけでなく大東亜戦争の経緯を学んだことのあるアメリカ軍関係者たちも、中国の「抗日戦勝70周年」には下記のように大きな疑義を呈している。
「8 月15日から9月2日(米国時間)に日本が公式に降伏した時点では、アメリカ軍が主導した太平洋戦域では日本海軍は壊滅しており、太平洋の数多くの島嶼守 備隊やフィリピンの日本軍も完全に敗北していた。ビルマからインドにかけての戦線でも日本軍は壊滅していた。そして満州にはソ連軍が侵攻したため関東軍は 壊滅し満州国は崩壊してしまった」
「しかし、中国戦線では支那派遣日本軍は敗北してはおらず、中華民国軍との間で膠着状態が続いていた。ただし、本国との補給を絶たれ、満州からもソ連軍が南下してくる状況では、支那派遣日本軍の命脈も長くは持たなかったであろう」
「も ちろん日本という国家が連合軍に降伏したのであるから、中国戦線の日本軍も中華民国軍に結果的に敗北したことには変わりはない。しかしながら、日本軍の投 降を受け入れたのは中華民国軍であって、中国共産党の八路軍でも新四軍でもない。人民解放軍は、連合軍から対日戦の勝利を横取りし、独り占めしようとして いるようである」
支那事変勃発以降の中国での戦争は、交戦主体が日本軍対中国軍というように単純な国家間戦争の様相を呈していないため、上記のようないきさつを知る人々は、英語圏では軍事関係者たちの間でも少数である。もっとも歪んだ歴史教育のせいで日本でも少数派かもしれない。
したがって、中国政府が華々しく「抗日戦勝70周年パレード」をぶちあげて、「抗日戦勝」を繰り返し国際社会に向け発信し続けていけば、そう遠くない将来には、従軍慰安婦と同様に中国バージョンの「抗日戦争史」が世界の歴史のスタンダードになりかねない。
アメリカ軍と人民解放軍の関係はより緊密に
軍事専門家たちだけではなく、政治家などの中にも「抗日戦勝70周年」プロパガンダに眉をひそめている人々は少なくない。そのため、さすがのオバマ“親中”政権といえども、政府高官を「抗日戦勝70周年パレード」に列席させるわけにはいかなかった。
しかしながら、その代わりとしてスーザン・ライス国家安全保障担当大統領補佐官を北京に派遣して、習近平国家主席や人民解放軍首脳たちとの会談がとり行わ れた。アメリカでの国家安全保障担当大統領補佐官の位置づけと派遣のタイミングから判断すると、オバマ政権の中国重視ぶりが如実に示された出来事である。
ライス大統領補佐官は、中国による南シナ海での人工島建設やアメリカに対するサイバー攻撃などに懸念を表した。それに対して習主席は、中国もアメリカもそ れぞれの「核心的利益」を尊重しあい、両国間の意見の相違を縮小し、大局的立場で両国関係を発展させるように提案した。
要するに、良好な米中関係の維持は最大限に重視しているものの、「核心的利益」すなわち南シナ海問題と東シナ海問題では妥協する気がない旨を改めて表明したのだ。
一方、ライス長官と人民解放軍首脳との会合では、アメリカ軍と人民解放軍の関係をより緊密にすることが確認された。両軍が相互理解を深め、互いの違いを認 識することで、とりわけ海軍や航空戦力の間における思わぬ誤解に基づいた軍事衝突が避けられ、両国関係の安定に寄与することになる。そのため米中両軍は、 より一層首脳レベルでの密接な交流や、共同訓練などの様々な形での軍事交流を推し進める、ということで合意した。
米海軍首脳部はリムパックへの中国海軍の参加を容認
ライス補佐官が中国指導部と「米中間の新たな軍事交流の推進」を確認し合っていた頃、アメリカでは海軍作戦部長(アメリカ海軍における軍人のトップ)のグリーナート提督が、人民解放軍海軍(以下「中国海軍」)トップとのビデオ電話会談でのやり取りを語った。
「中 国海軍は、強くリムパック(RIMPAC:環太平洋合同演習)2016への参加を望んでいるようである。米海軍は中国海軍との間で、互いの誤解にもとづく 衝突を防止するための様々な努力を重ねてきている。今後もそのような努力を続け、中国海軍や中国海警とアメリカ海軍との間に不測の事態が起こらないように すべきである」
このように提督は、暗に米海軍首脳部はリムパック2106への中国海軍の参加を容認するような発言をした。
リムパックとはアメリカ太平洋艦隊が主催してアジア太平洋地域の海軍や海兵隊などが参加して行われる“世界最大規模”の海洋軍事演習である。2年ごとにホ ノルルを中心としたハワイ海域で行われており、日本は1980年以降毎回参加している。昨年のリムパック2014には中国海軍が初めて参加し各国海軍の注 目を集めた(本コラム「リムパックで特等席を与えられた自衛隊『いせ』」参照)。
中国海軍を「二度と招待するな」という声
しかしながら、太平洋艦隊や太平洋海兵隊などリムパックのホスト部隊では、依然としてリムパック2016に中国海軍を招くことに反対する意見が多い。
昨年のリムパックでは中国海軍は演習に参加する艦艇以外にも情報収集艦を演習海域に派遣し、米海軍空母をぴったりマークするなどしてスパイ活動を展開した (本コラム「ホノルル沖に出現した招かれざる客、中国海軍のスパイ艦『北極星』」参照)。そのため、当時の太平洋艦隊司令官ハリス提督(現在は太平洋軍司 令官)をはじめとする主催者側は、国際信義にもとる行為と中国を批判した。また、米連邦議会でも中国封じ込め派の議員たちから「友好国の海軍合同演習には 二度と人民解放軍など招待すべきではない」という声が上がった。
アメリカ海軍の“中国招待反対派”の人々は、アメリカ政府のみならず海軍首脳部も中国招待に傾いていることに失望を隠せない。そして、次のように反発を強めている。
「確 かに海軍軍人、とりわけ海軍首脳にとっては、他国海軍との“予期せぬ衝突”を何としてでも避けたい、というのは職責上当然のことである。したがって中国海 軍も含めてCUES(アメリカ、日本、中国などを含むアジア太平洋地域21カ国の海軍間で合意された取り決めで、海洋上での予期せぬ軍事衝突を防止するた めの行動指針)を締結し、さらにそれに中国海警をも取り込んで、南シナ海でアメリカ海軍が中国側と不測の事態に陥らないよう努力しているのは理解できる」
「し かし海軍作戦レベルで考えると、リムパックは自衛隊のような同盟軍や友好国の海軍が集まって共同作戦の指揮統制を身につける貴重な場である。海軍行動の指 揮統制をある程度共有する訓練は、まさに“親密な友人”だけの間の訓練でなければならない。そのような場に、中国海軍を加えて、将来の不測の事態を回避し よう、などというのは本末転倒と言わざるをえない」
また、対中強硬派のフォーブス議員などは、「リムパック 2014への中国海軍の参加や、その後の米中両軍の相互交流の努力などによっても、中国エンゲージメント(取り込み)政策などは全然進展していないではな いか!」と、中国をリムパック2016へ招待することには強く反対している。
結局、中国海軍は参加することに?
しかし、前述したようにライス補佐官と中国最高指導部との会談では米中間の軍対軍関係の密接な交流促進が特に強調されたし、9月下旬に国賓として訪米する習主席も、改めて人民解放軍とアメリカ軍の友好的関係の強化を話題にするはずである。
世界最大規模の多国籍間軍事演習であるリムパックに人民解放軍を招待することは、両国軍の関係緊密化を謳い上げるシンボルとしてこの上もない意味を持っている。
何よりもリムパックに招待する海軍を最終的に決定するのは、太平洋艦隊司令官でもアメリカ海軍作戦部長でもなく、ホワイトハウスである。したがって、オバマ政権の判断は「結局呼ぶことになる」と考えている人々が多い。
日米同盟だけにすがりついていてよいのか
日本では、安倍政権が「安全保障法制」を成立させ、また辺野古埋め立てを開始して、いわゆる普天間移設問題を解決することで日米同盟が強化されるとしてい る。日本政府には確固たる自主防衛戦略が欠落しており、そのような戦略を構築しようともしていない。そんな日本にとっては、日米同盟の強化、そして日米同 盟にすがりつくことだけが、日本を中国などの軍事的脅威から守るための切り札と認識されているようである。
しかしながら、アメリカは中国との間に直接領域紛争を抱えているわけではない。また、アメリカ(少なくともオバマ政権)にとっては同盟国である日本はもちろん大切であるが、同盟国ではなくとも軍事大国である中国は軍事的には日本以上に大切なのだ。
そのことは、ホワイトハウスが「抗日戦勝70周年パレード」に政府高官は出席させない代わりにパレードの直前にライス大統領補佐官を習主席のもとに派遣し たことや、アメリカ海軍のトップと中国海軍のトップがしばしばビデオ電話会談を実施して意思疎通を図っていること、などが物語っている。
日本政府にとっては日米同盟“だけ”が国防の決め手であるかもしれない。しかし、アメリカの国防にとっては、日米同盟はあくまでも多数あるツールのうちの1つにすぎない。我々はそのことを肝に銘じておかねばなない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44673
目覚めよ日本!
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