2015年11月29日日曜日
露尻とイラン vs. 仏土とサウジ
2015年11月26日(木) P.7 国際2面
『シリア・原油、駆け引き続く』=ロシア/サウジ/イラン/トルコ
シリア内戦と原油相場の行方。
この2つが微妙に絡み合いながら、ロシアとサウジアラビア、イランの接触が続いている。
そこに、トルコによるロシア軍機撃墜が起き、過激派「イスラム国(IS)」に対する国際的な包囲網構築の難しさを露呈した。
各国の思惑はどのように重なり、食い違っているのかーー。
石油輸出国機構(OPEC)の内部では、シェアの確保を優先するサウジなどが、価格を市場に委ねる基本方針を変えていない。
高い価格を望んでいたイランも、核開発問題を巡る制裁が解除されれば、すぐに日量50万バレル、さらに1年以内に同50万バレル、原油輸出を増やす計画を優先する。
だから、OPECが12月4日の総会で生産上限を引き下げる可能性は乏しい。
そういう状況でサウジ政府は23日、閣議後の声明に「市場と価格の安定に向けOPEC、非OPEC諸国と協力する用意」という一文を盛り込み憶測を呼んでいる。
サウジが生産調整を拒む理由の一つは、非OPECのロシアによる原油増産だった。サウジもこれ以上の価格下落は避けたい。
OPECの生産上限を変えないとしても、イランの増産分を吸収する余地を作るため、サウジがロシアに減産を促すシグナルを送ったのかもしれない。
ロシアのプーチン大統領は23日、8年ぶりにイランを訪れ、最高指導者ハメネイ氏らとシリア対応で意見を交わし、エネルギー分野の協力拡大で合意した。
プーチン大統領は、この2カ月余りサウジのサルマン国王とも電話協議を繰り返し、先週初めにトルコで開いたG20首脳会議の際に直接話し合った。
26日にはモスクワで両国政府が経済協力について協議する。
シリアではロシアとイランがアサド政権を支援し、サウジやトルコは反体制派を支援する。
だが中東での影響力回復を戦略目標とするロシアが、アサド大統領に引導を渡す可能性もあり得る。
プーチン大統領は、米国、サウジ、トルコに対し将来の大統領選にアサド大統領が出馬しないと個人的に保証すると伝えたとの説もある。
シリアを巡る多国間協議ではサウジなどがアサド退陣の確約を迫る。
ただしシーア派に近いアラウィ派に属しイランと同盟関係にあるアサド大統領がいずれ退陣し、スンニ派が移行政権のトップに就く方向が見えれば、サウジのメンツは立つ。
だが、そのシナリオには宗派のつながりでイラク、シリア、レバノンに影響力を広げてきたイランが同調できない。
米国の関与が弱まった中東では、地域大国の思惑が前面に出やすい。
トルコは、ロシア主導で動き出し過激派排除を共通の名文として米欧も相乗りする外交の展開に懸念を強めていた。
トルコの反政府クルド人勢力と関係の深いシリアのクルド人組織を、米国がISと対抗する穏健勢力として支援することにトルコは反発。
トルコが支援する反体制グループがロシアの攻撃で弱体化することも警戒していた。
ロシア機撃墜に伴う対立激化で、天然ガス供給などエネルギー面の協力でロシアがトルコを懐柔するのは難しくなった。
それでも、代案がないから、シリア対応で広範な連携を探る動きが止まるわけではない。
(本社コラムニスト 脇祐三)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM25H61_V21C15A1FF2000/
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