話題になっている台湾映画『KANO』
kano予告編
公式サイト→http://kano1931.com/

脚本/プロデューサー魏徳聖氏インタビュー字幕書き起こし
kano魏徳聖
【youtube】【台湾チャンネル】第76回、「KANO」の魏徳聖プロデュ―サーが語る台湾の心・台湾のAIIB参加問題・他[桜H27/4/11](なぜか動画埋め込みが出来ない)

22:28~
今日は本当に嬉しいです
「KANO」の日本上映は
公開期間が長く反響も良かった
そして今日もここに招かれた訳ですから
作品が評価されたということでしょう
そこで今日はもっと深い話ができるかも知れません
台湾人の内面的な話などです

ーー「海角七号」に次いで「KANO」も日本人を感動させました
ーー台湾や日本での反響をどう受け取りますか?
もともと期待はしていました
日本公開がうまく行けば
大きな注目を集められるかと
日本の皆さんに台湾史を伝え日本と台湾の間には
共通の思い出があるのが理解されると期待していました
現在 台湾と日本はそれぞれ危機に直面していますが
今後もお互い色々な形で励まし合うことができるでしょう

ーー日本時代をどう評価しますか?
好いか悪いかは断定しにくいですね
あの時代は台湾人が中心ではありませんでした
つまり二等国民だった訳です
ただ 台湾の近代化建設の過程で
日本は大きなものを与えてくれました
特に衛生やインフラ建設の面においてです
そうした事もまたこれらの映画を作った理由なのです
もう一度 歴史の好い面と悪い面を考えてみたいと思ったのです
そうしたことが理解できてはじめて
自分自身と和解できるのです
大切なのは他人とではなく
自分自身と和解すること

少しわかりにくいですが
たとえば私があなたの土地に侵入しながら
あなたに一番好い物を与えたとします
それが好い事か悪い事かは判断が難しい
ただ少なくとも現在の台湾から言えば
それもかつての歴史の一部なのです
あの時代の歴史には悲しい面があると同時に
美しい面もあったはずです

ーーたくさんの日本人が「KANO」に涙しました
ーー台日間に横たわる情感を直視することになった訳ですが、これは予想されましたか

それは予想外でした
しかし誰でも一つの物語から
得る物がそれぞれあるものです
スポーツの好きな人はスポーツの精神を吸収し
ビジネス志向の人はチームワークを学ぼうとしたかも知れません
政治 民主や歴史に関心がある人は
更に歴史や文化的な情感の融合を感じ取ったのではないでしょうか
同じ物語から角度次第で色々な思考を得られるのです
これが映画の魅力でしょう
我々はただ一つの物語を組み立てるだけで
作品の色々な効果はその後の自然な発酵を待つのです

ーー次回作が期待されていますがまた台日関連のテーマを扱いますか
次は台日とは直接関係ありません
少しは触れますが直接とは言えません
舞台は400年前のオランダ時代の台湾で
オランダと台湾へ来始めた漢人と
沿海部の原住民平埔族(へいほぞく)との物語です
当時は日本人も台湾に渡航していたので
物語に関係はしますがしかしその程度になりそうです

ーー台湾に対する思いをお聞かせ下さい
台湾は私の家です
私が育った場所であり守って行くべき場所です

ーー台湾人としての誇りは?
辛いですね
誇りはありますが 辛い 本当に辛い
自分ではわかっていてもはっきり物を言えない事が多い
はっきりと言う力に欠けているのです
多くの台湾人は独立自主の思考を持てずにいる
何のせいかと言えば・・・・
とにかくとてもやるせない
自分自身が何者であるかはっきりしないまま
他人から支持を得られますか?
自分自身を助けられない人を誰が助けてくれるのか
”天は自ら助くる者を助く”です
先ず自分を助けないと
しかし私たちはそうした面がとても弱く
いつも他人の支援を待ってしまう
または他人にすり寄ろうとしたがる
相手にすり寄れば他の人を敵に回すことになるのに
これはとてもおかしなことです
そこでいつも言うのです
「孤児も大人になれば孤児ではない」と
大きくなっても孤児のままではみじめ過ぎます
孤児も大きくなれば家庭を築かなくてはいけない
そして自分の子を孤児にしてはいけない
そうすることが今の私達の使命です
すっかり大人なのにまだ孤児と自称して
周りに援助を求めることが使命ではない

ーー自分自身で立ち上がれということですね
そうです
先ず自分が立ち上がること
他人に養ってもらおうと考えていてはだめなのです

ーー「KANO」は広い支持と同時に圧力も受けました
今後も理想を貫き圧力には屈しませんね
屈する屈しないではなく
ただやりたい事を続けるだけです
圧力などは感じません
あちら(政府)も映画を撮るなとは言っていません

ーー今後もあなたの表現方法で撮るのですね
私がやりたい事は幾つもありません
それらさえ成し遂げればそれで完了です
それ以上語るべき物語もありません
つまり自分が構想している物語を撮り終えたら
それで満足だということ
映画作りの目的は自分が語りたい話を語ること
他人に語れと言われて語ることではありません
そんなことをさせられるなら今の仕事は止めます
もっと儲かる仕事はいくらでもあるのですから

ーーあなたの台湾への貢献にはとても大きいものがあります
そのような事まで考えていません
好い題材があればそれを書いて撮る
それだけの単純な話です
映画を学んだ者としては
好い題材があれば撮らないと後悔しますから

ーーファンの皆さんに最も伝えたいメッセージは?
「海角七号」「セデックバレ」「KANO」の三作品が
伝えたいのはただ一つ
それは台湾のつまり私たち自身の
歴史や文化とは何かを
根本から正しく理解しようということ
そしてその上で それらを受け容れ 自分の体の一部にしようということです
そこでぜひ これらの作品を見てほしいのです
悲しい話もエキサイティングな話もありますが
台湾人には誇りある過去が
あったということをお分かりいただけるでしょう
過去を誇りにして未来へ向かいましょう

ーーあなたや台湾を応援する日本の皆さんにも一言
皆さんのご支持に感謝しています
私達の作品からもお分かりのように
私達はただの友人ではなく親友なのです
今後台湾を巡り何が起こるかわかりませんが
どんな時でも強く支持して下さい



とても穏やかに語る魏徳聖氏
本土の人の話す中国語と同じとは思えない(失礼)
台湾の誇りは、と問われて
「很辛苦」(とても辛い)と答えた

偶然にもこの中に「和解」という言葉があった
「歴史和解」「対話」「記憶」「謝罪と賠償」
どこかの国のお得意の言葉だが
災厄をもたらした「歴史の和解」
魏氏はそのような文脈ではなく「自分自身との和解」と言った

歴史の和解と声高に言う人達に問いたい
これほど差しのべられた手を見て見ぬふりする理由は?

在日台湾同郷会会長 岡山文章氏
kano在日台湾同郷会会長2
今後台湾人は孤立感を味わなくていいでしょう

kano在日台湾同郷会会長3
すでに友人の存在を知ったのですから

我々にはまだ友人たる資格があるだろうか・・・・