最近、オリンパスのお陰でまたケイマン諸島の租税回避地(タックスヘイブン)が脚光を浴びている。
08年の同社による英医療機器メーカー・ジャイラス買収において、総額22億ドルの買収金額の約3分の1に相当する多額の報酬金を、買収を仲介した だけのフィナンシャルアドバイザーで、世界的な租税回避地(タックスヘイブン)であるケイマン諸島に所在する、いまだ所有者不明のAXAMという会社に支 払っていた問題である。
昨年10月14日、オリンパスの菊川剛会長は記者会見で、「日常の業務で組織を無視した指示があり、グループ全体が混乱していた」ことを理由に、 同社取締役会がマイケル・ウッドフォード社長を解任し、菊川氏が社長職を兼務することを発表。同年4月の社長就任からわずか半年のスピード解任となった。
説明を聞く限り、あたかも前社長に100%非があるように受け取れるが、冒頭のFTの記事によると、前社長が同社の主に2つの不正会計を社内で追及しようとしたことが解任理由だというのだ。
ひとつめは、2006~08年に同社が計7億7,300万ドルを投じた非公開企業3社の買収について、その後投資額の約7割が減損処理されていた問題。ふたつめは、冒頭のジャイラス買収の仲介に多額な仲介料を払ったとされる問題である。
ここはオリンパスの問題は他にお任せするとして、租税回避地(タックスヘイブン)について考えたいと思う。
タックスヘイブンはグローバル化の流れとともに1970年代から急速に拡大し、今や世界経済を動かす心臓部になっている。何十兆ドルという資金がオフショ アにおかれ、世界貿易の大半がここを経由する。カリブの小さな島にへそくりを隠すなんてイメージがあるが、実態ははるかに複雑なネットワークであり、英国 の金融の中枢であるロンドンの「シティ」そのものが世界最大のタックスヘイブンなのだと言われているのだ。
著名なタックスヘイブンはみな旧英国植民地。ケイマン諸島やバミューダ諸島、ジブラルタルなどは海外領土、英国近隣のジャージー島、ガーンジー島、マン島などは王室属領で、いずれも英国の支配下にありながら自治権を持つ「内」でも「外」でもないオフショア領域である。
こうした世界中の飛び地が怪しい資金の受け皿になり、最終的にはロンドンのシティに還流される。第二次大戦後に植民地が次々独立して大英帝国は解体 したが、実はこっそり再編されて、それに代わる秘密のオフショア金融帝国が誕生していた。これがポスト植民地時代の英国が金融立国で栄えた理由である。
タックス・ヘイヴン(tax haven)とは、一定の課税が著しく軽減、ないしは完全に免除される国や地域のことである。租税回避地(そぜいかいひち)とも呼ばれる。
日本の法律では租税特別措置法で、法人税の実効税率が平成22年税制改正後20%以下となる国や地域を、事実上タックス・ヘイブンと認定している。
世界の貿易取引の半分以上が、少なくとも書類上はタックスヘイブンを経由している。すべての銀行資産の半分以上、および多国籍企業の海外直接投資の3分の1がオフショア経由で送金されている。
国際的な銀行業務や債券発行業務の約85パーセントが、いわゆるユーロ市場----国家の枠外のオフショア・ゾーンで行われている。
IMF(国際通貨基金)は2010年に、島嶼部の金融センターだけで、バランスシート(貸借対照表)の合計額は18兆ドル----世界総生産の約3分の1に相当する額----にのぼると推定した。しかも、これはおそらく過少評価だろうと付記したのである。
アメリカ会計検査院(GAO)は2008年に、アメリカの大手100社のうち83社がタックスヘイブンに子会社を持っていると報告した。タックスヘ イブンを監視する国際市民団体、タックス・ジャスティス・ネットワークが翌年、オフショアのより広い定義を使って行った調査では、ヨーロッパの大手100 社のうち99社がオフショアの子会社を使っていることが明らかになった。どの国でも、こうした子会社を最も多く使っているのはダントツで銀行だった。
いくつかの特徴がタックスヘイブンを見分ける手がかりになる。
第一に、これらの場所はすべて、何らかの形の守秘性を提供しており、程度はまちまちながら、他の法域との情報交換を拒否している。「守秘法域」という言葉は1990年代末にアメリカで登場したものだ。
タックスヘイブンのもう一つの共通の特徴は、もちろん税金がまったくないか、税率がきわめて低いことだ。これらの場所は人々に合法的に、もしくは違法に、税金逃れをさせることによって、マネーを引き寄せているのである。
たとえば、人口2万5千人足らずのイギリス領ヴァージン諸島には80万社もの企業が置かれている。
もともとは、「本土の近くにある島」(たとえば、イギリスのマン島)がイメージされていた。「すぐに行くことができるが、本土の規制が及ばない(あるいは緩和されている)」という意味である。
ポイントは、法人税が高い本社ではあまり利益を上げず、法人税の安い国の子会社で利益を多く計上することだ。
すると、当然、税引き前当期純利益に法人税が課せられるので節税になるというわけだ。
タックスヘイブンを活用するのとしないのとでは、単純に次のような違いが出る。
日本で1億円の利益→4000万が法人税(40%)
韓国で1億円の利益→2400万が法人税(24%)
シンガポールで1億円の利益→1700万が法人税(17%)
比べて見ると一目瞭然だ。当然、シンガポール のほうが良いわけだ。韓国企業なら、本来は韓国での利益が一番高くなるはずだが、利益を分散させて税金を安くする、という事が制度上できる。シンガポール は法人税率が17%であり、他の指定国よりもかなり高税率だが、日本の村上ファンドが行ったように、匿名口座の情報交換に応じないのがその人気の原因と なっている。
このタックスヘイブンを利用して、一番国内で節税しているのが、実はサムスンなのだ。
サムスンは、香港とマレーシアに各々12社の系列会社を、シンガポールに8社、オランダに5社、パナマに1社など、総38社の三星海外系列の会社がタックスヘイブンに分類された地域に所在しているという。
つまり、税金逃れが一番上手く、韓国政府にとっては本来もっと得られるはずの法人税収入が減少させている企業なわけだ。また、タックスヘイブンはマネーロンダリングの温床にもなると警告されていることに注意したい。
サムスンは巨大企業だが、韓国経済に多大に貢献しているわけではない。それは実はタックスヘイブンだけではなく、海外に会社を作るので韓国人の雇用にもほとんど貢献していない。
さらに興味深い事実を一つ指摘しておくと、サムスングループの半分の株は実は外国人が所有していたりする。もっと言えば韓国の財閥グループ株、銀行株などは、ほとんどは外資に握られているという信じられない現実がある。
そう考えると、サムスンとは韓国人にとって何なのか、という疑問がわいてくるだろう。
タックスヘイブンとは、所得税を徴収しない国である。対照的に、アボイダンス・ヘイブンとは、実際には税金が徴収される人がほとんどいないものの、制度上は完全な租税制度を持つ国のことであり、例えば、イタリア、ギリシャ、インドなどがそれにあたる。
カナダなどの税率の高いOECD加盟国は、タックスヘイブンが、外国から資本を誘引して秘密裏に他国の課税権を害し、当該国内の政府支出プログラム を浸食する効果を持つとして、その存在を嫌っている。しかしながら、カナダには、その最高裁によって認定されているタックスヘイブンが、太平洋側から大西 洋側まで合計数百も存在しているのだ。その謎は、実はカナダにはインディアン保留地が存在するからである。
中国人富裕層のマネーロンダリングに利用されるマカオのカジノ
2011年12月10日、英誌エコノミストは、マカオのカジノが中国人富裕層のマネーロンダリングに利用されていると報じた。12日付けで環球網が伝えた。
マカオの成功は外国への資金流出の手段となっていることが一因のようだ。マカオのカジノ収入は、今年11月の時点で昨年1年分より44%増加しており、ラスベガスの4倍の規模に成長している。
中 国人がマカオに行くのはギャンブルのためだけではない。人民元持ち出し制限を逃れるため、汚職公務員などが仲介人を利用してカジノのチップを香港ドルに両 替して香港や海外へ送金しているのだ。マネーロンダリングは驚異的な規模に膨れ上がり、マカオ大学の馮家超(フォン・ジアチャオ)カジノ学研究所所長によ ると「想像を絶する方法でロンダリングが行われている」という。
中国では個人資産への法的保護が弱く、富裕層が資金を国外に移す動きをみせている。メリルリンチは海外に流出する「ホットマネー」が金融不安を招く恐れがあると警告しており、中国政府も2008年から中国本土住民のマカオビザ発給を制限し始めている。
ま た、中国人富裕層が事業や投資に失敗すれば、彼らに資金を貸し付けている仲介人が損失を被る可能性もある。今のところ不良債権が出た話は聞かれないが、重 大犯罪が起これば中国政府もカジノ業への関与を強めることになる。あるカジノのマネージャーは、仲介人の破産よりもマカオ政府職員の汚職やカジノで殺人事 件などが起こることを危惧しているという。
http://news.livedoor.com/article/detail/6115882/
2011年5月19日香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは記事「太陽、ビーチ、そして山ほどのホットマネー」を掲載した。22日環球時報が伝えた。
カリブ海英領ヴァージン諸島の一つ、トルトラ島。タックスヘイブンとして知られるこの地には90万社もの企業が登記され、資本家の正体を隠す"隠れ蓑"として機能している。
かっては欧米の顧客が多かったが、現在では中国本土の富豪が主な顧客だ。2006年以来、対バージン諸島の投資額で中国本土は2位。香港に続く地位を占めている。ヴァージン諸島を経由した中国本土富豪の資金は、中国本土へと還流する。
2010年、対中国海外直接投資のうち、10%はヴァージン諸島からのものだった。その金額は英米仏カナダの総計を上回る。
◇2009年の英国で行われたG20の会議上で、フランスのサルコジ大統領が香港とマカオをタックスヘイブンのリストに入れるべきと発言し、これに対して中国が猛反発し、米国の仲裁により、香港とマカオがリストには載ることなく終了した。
G20首脳陣はタックスヘイブンの国と地域に制裁処置をとることで合意し、経済協力開発機構(OECD)が国際合意規準の履行を拒絶している非協力的タックスヘイブンの「ブラックリスト」と履行の承諾はしているが履行に至らない「グレーリスト」を発表することになった。
経済協力開発機構(OECD)が発表したブラックリストとグレーリスト
<ブラックリスト>
フィリピン、マレーシア(ラブアン島)、ウルグアイ、コスタリカ
<グレーリスト>
オーストリア、スイス、ルクセンブルグ、アンドラ、シンガポール
モナコ、リヒテンシュタイン、英バージン諸島 など
◆スイスの金融機関はマネーロンダリング防止法により、入金があった場合、組織犯罪などに係わっている疑いがあるだけで、当局へ報告する義務がある。銀行のみに課せられていたこうした義務を1998年4月から、保険会社やカジノにも課せられるようになった。
マネーロンダリング管理当局は年間、数百件のマネーロンダリングの疑いがある資金の流れを調査しているが、マネーロンダリングとしての事件が管理局から摘 発される件数は少ないが、これは「各金融機関が、顧客情報を徹底して集めるようになったため。マネーロンダリングが目的の客は、受け付けなくなっている」 と今の制度が効果的に機能していると自信があると語っている。
通常、管理局は企業の届け出リストや新聞などの報道を通して、違法行為を発見しているが、警察などの関係当局および個人の通報も寄せられるという。
日本のヤクザ、五菱会(ごりょうかい)系の組 織に所属し、「ヤミ金融の帝王」と呼ばれた梶山進被告がスイスの銀行口座に預けた資金が2003年末、凍結された。チューリヒ州検察局が凍結した金額は、 6,100万フラン(約51億円)。ほとんどがヤミ金融で違法に得た収益と見られる。
日本でもタックスヘイブン税制が施行されている。
タックスヘイブン税制とは、日本法人がタックスヘイブンに設立した海外子会社を利用した租税回避行為を防止するため、海外子会社の留保所得を、その持分に応じて、親会社の所得に合算して課税する制度のこと。
しかし、各国がマネーロンダリングに注意を払い、タックスヘイブンの各国や地域が調査に協力したとしても、それを上回る知恵をもっているのも富豪とそれをアシストする弁護士やコンサルタント達だということだろう。
事実、日本国内でも数多くのタックスヘイブンを勧める広告がある。参考としてGoogleで「タックスヘイブン」で検索を行うと出てくるだろう。中にはかなり怪しい業者も存在する。
しかしブラックリストやグレーリストでも、近年は各国当局の求めに応じて調査に協力する傾向にある。国税調査などで発覚すれば、まず間違いなく悪事は暴かれると覚悟がいるだろう。
08年の同社による英医療機器メーカー・ジャイラス買収において、総額22億ドルの買収金額の約3分の1に相当する多額の報酬金を、買収を仲介した だけのフィナンシャルアドバイザーで、世界的な租税回避地(タックスヘイブン)であるケイマン諸島に所在する、いまだ所有者不明のAXAMという会社に支 払っていた問題である。
昨年10月14日、オリンパスの菊川剛会長は記者会見で、「日常の業務で組織を無視した指示があり、グループ全体が混乱していた」ことを理由に、 同社取締役会がマイケル・ウッドフォード社長を解任し、菊川氏が社長職を兼務することを発表。同年4月の社長就任からわずか半年のスピード解任となった。
説明を聞く限り、あたかも前社長に100%非があるように受け取れるが、冒頭のFTの記事によると、前社長が同社の主に2つの不正会計を社内で追及しようとしたことが解任理由だというのだ。
ひとつめは、2006~08年に同社が計7億7,300万ドルを投じた非公開企業3社の買収について、その後投資額の約7割が減損処理されていた問題。ふたつめは、冒頭のジャイラス買収の仲介に多額な仲介料を払ったとされる問題である。
ここはオリンパスの問題は他にお任せするとして、租税回避地(タックスヘイブン)について考えたいと思う。
タックスヘイブンはグローバル化の流れとともに1970年代から急速に拡大し、今や世界経済を動かす心臓部になっている。何十兆ドルという資金がオフショ アにおかれ、世界貿易の大半がここを経由する。カリブの小さな島にへそくりを隠すなんてイメージがあるが、実態ははるかに複雑なネットワークであり、英国 の金融の中枢であるロンドンの「シティ」そのものが世界最大のタックスヘイブンなのだと言われているのだ。
著名なタックスヘイブンはみな旧英国植民地。ケイマン諸島やバミューダ諸島、ジブラルタルなどは海外領土、英国近隣のジャージー島、ガーンジー島、マン島などは王室属領で、いずれも英国の支配下にありながら自治権を持つ「内」でも「外」でもないオフショア領域である。
こうした世界中の飛び地が怪しい資金の受け皿になり、最終的にはロンドンのシティに還流される。第二次大戦後に植民地が次々独立して大英帝国は解体 したが、実はこっそり再編されて、それに代わる秘密のオフショア金融帝国が誕生していた。これがポスト植民地時代の英国が金融立国で栄えた理由である。
タックス・ヘイヴン(tax haven)とは、一定の課税が著しく軽減、ないしは完全に免除される国や地域のことである。租税回避地(そぜいかいひち)とも呼ばれる。
日本の法律では租税特別措置法で、法人税の実効税率が平成22年税制改正後20%以下となる国や地域を、事実上タックス・ヘイブンと認定している。
世界の貿易取引の半分以上が、少なくとも書類上はタックスヘイブンを経由している。すべての銀行資産の半分以上、および多国籍企業の海外直接投資の3分の1がオフショア経由で送金されている。
国際的な銀行業務や債券発行業務の約85パーセントが、いわゆるユーロ市場----国家の枠外のオフショア・ゾーンで行われている。
IMF(国際通貨基金)は2010年に、島嶼部の金融センターだけで、バランスシート(貸借対照表)の合計額は18兆ドル----世界総生産の約3分の1に相当する額----にのぼると推定した。しかも、これはおそらく過少評価だろうと付記したのである。
アメリカ会計検査院(GAO)は2008年に、アメリカの大手100社のうち83社がタックスヘイブンに子会社を持っていると報告した。タックスヘ イブンを監視する国際市民団体、タックス・ジャスティス・ネットワークが翌年、オフショアのより広い定義を使って行った調査では、ヨーロッパの大手100 社のうち99社がオフショアの子会社を使っていることが明らかになった。どの国でも、こうした子会社を最も多く使っているのはダントツで銀行だった。
いくつかの特徴がタックスヘイブンを見分ける手がかりになる。
第一に、これらの場所はすべて、何らかの形の守秘性を提供しており、程度はまちまちながら、他の法域との情報交換を拒否している。「守秘法域」という言葉は1990年代末にアメリカで登場したものだ。
タックスヘイブンのもう一つの共通の特徴は、もちろん税金がまったくないか、税率がきわめて低いことだ。これらの場所は人々に合法的に、もしくは違法に、税金逃れをさせることによって、マネーを引き寄せているのである。
たとえば、人口2万5千人足らずのイギリス領ヴァージン諸島には80万社もの企業が置かれている。
◆ ケイマンは「タックスヘイブン」である(「ケイマン諸島」という表現が用いられることが多いのだが、経済活動が行
なわれているのは「グランド・ケイマン島」だけである)。ヘイブン(haven)とは「港」という意味だが、たんなる港でなく、「嵐を避けて逃げ込む安全
な場所」というニュアンスがある。タックスヘイブンには税がないか、あるいは税率が非常に低い。したがって、「税」という嵐を避けて逃げ込む場所になって
いるわけだ。
世界中から資金が集まるため、ケイマンはまた、金融取引の場にもなっている。この取引は、「オフショア金融取引」と
呼ばれている。「オフショア(offshore)」とは、「岸から離れた」とか「沖合いの」という意味だ。ケイマンは独立国ではなく、イギリスの海外領土
なのだが、「イギリスから離れている」という意味でこういっているのだ。イギリス本土から離れているため、イギリス国内の通常の取引に対する制約や規制
が、ここには届かない(そもそもタックスヘイブンになっていること自体が、イギリスと別の仕組みをもっていることの結果だ)。
タックスヘイブンとオフショアは別のことであるが、ケイマンはどちらの性格ももっている。
ケイマンは人口が4万人強しかいないが、銀行が570行以上ある。タックスヘイブン/オフショア市場と観光以外には、格別の産業はない。ただし、輸入関税と観光収入だけで政府の収入が賄える。
ケイマンのタックスヘイブン機能は、どのように利用されているのだろうか。まず、ケイマンに法人を設立する。これ
は、簡単にできる。その法人の所得に対して、ケイマンでは税がかからない。だから、税率の高い国(たとえば、アメリカ)から金を持ち込んで、その法人の所
得ということにすれば、アメリカの高い税率を回避することができるわけだ。
ケイマンの銀行は悪の手先か?
もちろん、これだけですむほど現実は簡単ではない。所得を獲得するための工場や支店など、経済活動の拠点がアメリカ国内に存在していれば、それがケイマン法人のものであっても、アメリカ国内で課税される。だから、上記のようなことができる経済活動は、限られたものだ。
その一つとして非合法な経済活動がある。ジョン・グリシャムの小説『法律事務所』(The
Firm) には、シカゴのマフィアであるモロルト・ファミリーが登場する。ファミリーは、ギャンブル、麻薬などから年間3億ドルの利益をあげている。こ
の利益の大部分は、アメリカの課税当局には申告されていないだろう。だから、得た資金をアメリカの金融機関に預けることはできない。そうすれば、所得の存
在がわかってしまうからだ。かといって、キャッシュや金の延べ棒でもっているのは手間がかかるし、投資収益もあげられない。
そこで、資金をケイマンに持ち込んでケイマンの銀行に預け、ケイマン法人の所得とするのである。そうすれば、アメリ
カでの課税を免れることができる。そして、ケイマンからアメリカに投資をすることができる。モロルト・ファミリーの傘下企業であるケイマン法人は、ケイマ
ンの銀行からの電信送金によって、テキサスの綿花畑、ベヴァリーヒルズの宝石店、そしてアパートメントやホテルなどを買っている。
これが、「マネーロンダリング」(不正資金洗浄)だ。それを手助けし、税務や法律関係の業務を引き受けているのが、小説の主人公が所属するメンフィスの法律事務所なのである。
こうした目的に使えるためには、ケイマンの法人の事業内容などが秘密に保たれる必要がある。ケイマンでは法人の情報開示義務がないし、銀行は取引内容について秘密を守るので、これができる。
かくして、ケイマンは、つぎのような機能を果たしていることになる。
(1)租税回避(その大部分は、違法な租税回避である脱税)
(2)マネーロンダリング
(3)規制を受けない自由な金融取引
(2)マネーロンダリング
(3)規制を受けない自由な金融取引
こう列挙すると、ケイマンの銀行は、いかにも「悪の手先」というイメージになってしまう。そうした側面があることは
否定できないのだが、それだけではない。実際、ケイマンの銀行が相手にしているのは、マフィアだけではない。またケイマンに設立されている法人の親会社
も、いかがわしいものだけではない。世界中の大企業が、ここに法人を設立している。そのなかには、日本の超一流企業も含まれている。
ケイマン諸島が新しい巧みなオフショアの抜け道を編み出したら、アメリカは対抗措置をとり、ケイマン諸島はその新し
い措置の裏をかく新しい抜け道を生み出すだろう。戦いはさらに続き、アメリカの税制はますます複雑になる。その結果、富裕な人々と彼らの狡猾なアドバイ
ザーたちが拡大した法の茂みの抜け道を見つける新しい機会が生まれてくる。租税回避産業を顧客とする巨大な産業が成長し、世界経済に途方もない非効率が生
まれることになる。
ところで、ケイマンへの資金の持ち込みはどのようになされているのだろうか?
まず第1に、銀行を通じての合法的な送金がある。これは、国際収支表にも現われる。投資収益について、ケイマンから
の流入が国際収支表に記載されている。資本収支にもケイマンとの取引が記録されている。たとえば2007年においては、日本からケイマンに対して、3兆
9659億円の資金流出になっている(http://www.mof.go.jp/index.htm)。これは、アメリカへの資金流出3兆5647億円を超える規模であり、国・地域ベースでは最大の相手になっている。
ただし、いうまでもないが、こうした方法で送金すれば、所得の存在が当局に明らかになってしまう。上で述べたような場合には、当局に把握されないかたちで現金を持ち込む必要がある。では、どのようにするのだろうか?
いろいろな方法があるのだが、ジョン・グリシャムの『法律事務所』には、法律事務所が所有する小型ジェット機で現金
を運ぶ場面が出てくる。100ドル札と20ドル札を段ボールに入れて25個、650万ドル(6億円ほど)をケイマン諸島まで運ぶ。これはもちろん違法だ
が、ケイマンの税関や銀行などに賄賂を使って実行しているらしい。
「運び屋」を使う場合もあるのだそうだ。1万ドル以下の現金は税関の申告が不要なので、チンピラやその情婦たち、学
生、その他のフリーランスに現金9800ドルとケイマンやバハマへの航空券を渡して運ばせ、現地の銀行に預金させる。タダで休暇旅行ができるのだから、志
願者はいくらでもいる。これは、合法的な方法だ。1回で運べる金額は大したものではないが、300人の人間が年に20回運べば、6000万ドル近く(60
億円弱)を持ち出せることになる。この方法は、「スマーフィング」(smurfing)と呼ばれる(この言葉は、英和辞典には載っていない。「密輸」とい
う意味のsmugglingからつくった言葉だろうか?)。
これは素人をその都度契約して運ばせる方法だが、プロが行なう場合もある。100万ドル程度(1億円弱)の現金を、
空港の探知機で見つからないように巧妙に新聞紙でくるみ、ブリーフケースに入れて機内に持ち込んで運ぶ。これは違法な方法なので、たまに捕まる場合もあ
る。しかし、運び屋はけっして口を割らない。また、運び屋が現金をもったまま姿をくらましてしまうこともある。しかし、必ず探し出されて、消されてしま
う。
このとおりのことが現実に行なわれているのかどうか、私には確かめようがない。ただし、これに類似した方法での持ち出しが行なわれていることは、間違いない。その証拠は、国際収支表に「誤差脱漏」という項目が現われることである。
日本の場合にも、誤差脱漏がある。その値は、2006年まで、大幅な資金流出であった。つまり、日本から実際には資
金流出があったのだが、それが把握されていないため、国際収支表ではバランスをあわせるためにマイナスの「誤差脱漏」を計上しなければならなかったのであ
る。その額は、2003年以降、毎年2兆円程度という巨額なものである。03年から06年までを合計すると、10兆円近くになる。それが今も続いているの
である。
オフショアとはもともとは、「本土の近くにある島」(たとえば、イギリスのマン島)がイメージされていた。「すぐに行くことができるが、本土の規制が及ばない(あるいは緩和されている)」という意味である。
しかし、最近では、物理的には本土内で行なわれていても「オフショア」と呼ばれることがある。その代表例は、アイル
ランド政府が1987年に設立した「ダブリン国際金融サービスセンター」である。アイルランド政府は、法人税の特別措置を与えたりして、世界各国から金融
機関を中心に多くの企業を集めた。これまで約1000社の事業を認可し、500社を超える現地法人が設立されたといわれる。
オフショア世界はわれわれのまわりのいたるところにある。
国や地域全体
がオフショアになっている場合もある。その代表例はシンガポールだ。68年にアジアダラー市場が創設され、83年には先物・オプションなどを取引する「シ
ンガポール国際金融取引所」(SIMEX)が創設された。香港でも同様の金融センター活動が行なわれている。
韓国30大グループ系列会社、タックスヘイブンに231社
WowKorea 2011年2月14日
【ソウル14日聯合ニュース】タックスヘイブン(租税回避地)といわれる国・地域に韓国の資産順位上位30財閥グループが持つ海外系列会社は、昨年4月現在で231社に上ることが分かった。
財界情報サイトの財閥ドットコムが14日、30グループの海外系列会社現況の調査結果を明らかにした。30グループの海外系列会社は全1831社で、その12.6%に当たる。1グループ当たり平均で7~8社をタックスヘイブンに置いていることになる。
タックスヘイブンは企業や個人の所得に対する税金がほとんどなく、会社の設立または外国為替業務に対する規制もないため、多国籍企業のマネーロンダリング (資金洗浄)や不正資金の隠し場所として利用されている。経済協力開発機構(OECD)は英領ケイマン諸島、同バミューダ諸島、マーシャル諸島など35の 国と地域をタックスヘイブンと認定している。
また、タックスヘイブンは課税のない「タックス・パラダイス」、条約提携国に低税率を適用する「ロー・タックス・ヘイブン」、国外所得に課税しない「タックス・シェルター」、特定事業などに税制上の優待措置を取る「タックス・リゾート」と、4分類される。
30グループが系列会社を設立しているのは、タックス・シェルターの香港が72社で最も多く、ロー・タックス・ヘイブンのシンガポールが47社、タック ス・シェルターのマレーシアが39社と、アジア地域が半数を超える。欧州のタックス・リゾート、オランダが33社、アイルランドが9社、ルクセンブルクが 4社、スイスが2社と続く。
所得税が全くつかないためペーパーカンパニーが集まるバージン諸島(10社)、ケイマン諸島(5社)、パナマ(5社)、バミューダ諸島(2社)、キプロス(2社)、マーシャル諸島(1社)などタックス・パラダイスにも、25社があった。
タックスヘイブンに置かれる海外系列会社は、貿易業と物流業が92社で全体の39.8%を占めている。次いで金融投資業が73社で31.6%、製造業が24社で10.4%と続く。残りはITサービスやレジャー業、宿泊業、飲食店業、コンサルタント業などだった。
これら海外系列会社のうち、ケイマン諸島、英領バージン諸島、マレーシア・ラブアンなどに所在する一部金融会社は、帳簿上の資産があるだけで実績がなく、海外ファンド管理のためのペーパーカンパニーと推定される。
タックスヘイブンに置く系列会社が最も多かったのはサムスンで、香港、マレーシアに各12社、シンガポールに8社、オランダに5社、パナマに1社など計 38社。OECDが指定するタックスヘイブンではないが、フィリピンにサムスン電機が39.8%の持ち株出資しているペーパーカンパニーがある。
2位はロッテで、香港に18社、英領バージン諸島に8社、オランダに3社、マレーシア、シンガポール、ケイマン諸島に各1社の計32社だった。ケイマン諸島に、ロッテショッピング香港子会社の99.5%持ち株出資で設立した非金融持ち株会社がある。
次いで、SKが香港8社、シンガポール6社、オランダ4社、ケイマン諸島3社、バージン諸島2社、バミューダ諸島とマレーシア各1社の25社。LGがマー シャル諸島とパナマに各1社など21社と続く。以下、CJ19社、斗山17社、GS9社、現代8社、STX7社、韓進、大韓電線各6社、東洋5社、現代自 動車、現代重工業、錦湖、大林、東部が各4社、ハンファ、LS、暁星、KCC、韓進重工業が各3社、東国製鋼が2社、熊津が1社。
新世界、OCI、現代百貨店、コーロン、現代産業開発、永豊はタックスヘイブンに系列会社がなかった。
一方、30グループの海外系列会社1831社は、中国(香港を除く)所在が530社(29.2%)で最も多く、中国が韓国企業の最大市場だということを立 証した。米国が255社で2位、香港が72社で3位。ベトナム58社、ドイツ53社、インドネシア52社、英国49社、日本とシンガポールが各47社だっ た。
財界情報サイトの財閥ドットコムが14日、30グループの海外系列会社現況の調査結果を明らかにした。30グループの海外系列会社は全1831社で、その12.6%に当たる。1グループ当たり平均で7~8社をタックスヘイブンに置いていることになる。
タックスヘイブンは企業や個人の所得に対する税金がほとんどなく、会社の設立または外国為替業務に対する規制もないため、多国籍企業のマネーロンダリング (資金洗浄)や不正資金の隠し場所として利用されている。経済協力開発機構(OECD)は英領ケイマン諸島、同バミューダ諸島、マーシャル諸島など35の 国と地域をタックスヘイブンと認定している。
また、タックスヘイブンは課税のない「タックス・パラダイス」、条約提携国に低税率を適用する「ロー・タックス・ヘイブン」、国外所得に課税しない「タックス・シェルター」、特定事業などに税制上の優待措置を取る「タックス・リゾート」と、4分類される。
30グループが系列会社を設立しているのは、タックス・シェルターの香港が72社で最も多く、ロー・タックス・ヘイブンのシンガポールが47社、タック ス・シェルターのマレーシアが39社と、アジア地域が半数を超える。欧州のタックス・リゾート、オランダが33社、アイルランドが9社、ルクセンブルクが 4社、スイスが2社と続く。
所得税が全くつかないためペーパーカンパニーが集まるバージン諸島(10社)、ケイマン諸島(5社)、パナマ(5社)、バミューダ諸島(2社)、キプロス(2社)、マーシャル諸島(1社)などタックス・パラダイスにも、25社があった。
タックスヘイブンに置かれる海外系列会社は、貿易業と物流業が92社で全体の39.8%を占めている。次いで金融投資業が73社で31.6%、製造業が24社で10.4%と続く。残りはITサービスやレジャー業、宿泊業、飲食店業、コンサルタント業などだった。
これら海外系列会社のうち、ケイマン諸島、英領バージン諸島、マレーシア・ラブアンなどに所在する一部金融会社は、帳簿上の資産があるだけで実績がなく、海外ファンド管理のためのペーパーカンパニーと推定される。
タックスヘイブンに置く系列会社が最も多かったのはサムスンで、香港、マレーシアに各12社、シンガポールに8社、オランダに5社、パナマに1社など計 38社。OECDが指定するタックスヘイブンではないが、フィリピンにサムスン電機が39.8%の持ち株出資しているペーパーカンパニーがある。
2位はロッテで、香港に18社、英領バージン諸島に8社、オランダに3社、マレーシア、シンガポール、ケイマン諸島に各1社の計32社だった。ケイマン諸島に、ロッテショッピング香港子会社の99.5%持ち株出資で設立した非金融持ち株会社がある。
次いで、SKが香港8社、シンガポール6社、オランダ4社、ケイマン諸島3社、バージン諸島2社、バミューダ諸島とマレーシア各1社の25社。LGがマー シャル諸島とパナマに各1社など21社と続く。以下、CJ19社、斗山17社、GS9社、現代8社、STX7社、韓進、大韓電線各6社、東洋5社、現代自 動車、現代重工業、錦湖、大林、東部が各4社、ハンファ、LS、暁星、KCC、韓進重工業が各3社、東国製鋼が2社、熊津が1社。
新世界、OCI、現代百貨店、コーロン、現代産業開発、永豊はタックスヘイブンに系列会社がなかった。
一方、30グループの海外系列会社1831社は、中国(香港を除く)所在が530社(29.2%)で最も多く、中国が韓国企業の最大市場だということを立 証した。米国が255社で2位、香港が72社で3位。ベトナム58社、ドイツ53社、インドネシア52社、英国49社、日本とシンガポールが各47社だっ た。
韓国の経済状態
が最悪であるということは、数々のニュースでも報じられている。政府が企業に対して徴税体勢を確立出来ていないことも大きな要因である。ただ殆どの企業の
大株主は米国が占める。米国とのFTAによりグローバル企業がなだれ込み、改善の道はより厳しくなるということになる。
企業が海外(法人税の最も低いシンガポール)に子会社を作る。そして、材料、部品、機械などを子会社に言い値で購入して利益をあげてもらう。ポイントは、法人税が高い本社ではあまり利益を上げず、法人税の安い国の子会社で利益を多く計上することだ。
すると、当然、税引き前当期純利益に法人税が課せられるので節税になるというわけだ。
タックスヘイブンを活用するのとしないのとでは、単純に次のような違いが出る。
日本で1億円の利益→4000万が法人税(40%)
韓国で1億円の利益→2400万が法人税(24%)
シンガポールで1億円の利益→1700万が法人税(17%)
比べて見ると一目瞭然だ。当然、シンガポール のほうが良いわけだ。韓国企業なら、本来は韓国での利益が一番高くなるはずだが、利益を分散させて税金を安くする、という事が制度上できる。シンガポール は法人税率が17%であり、他の指定国よりもかなり高税率だが、日本の村上ファンドが行ったように、匿名口座の情報交換に応じないのがその人気の原因と なっている。
このタックスヘイブンを利用して、一番国内で節税しているのが、実はサムスンなのだ。
サムスンは、香港とマレーシアに各々12社の系列会社を、シンガポールに8社、オランダに5社、パナマに1社など、総38社の三星海外系列の会社がタックスヘイブンに分類された地域に所在しているという。
つまり、税金逃れが一番上手く、韓国政府にとっては本来もっと得られるはずの法人税収入が減少させている企業なわけだ。また、タックスヘイブンはマネーロンダリングの温床にもなると警告されていることに注意したい。
サムスンは巨大企業だが、韓国経済に多大に貢献しているわけではない。それは実はタックスヘイブンだけではなく、海外に会社を作るので韓国人の雇用にもほとんど貢献していない。
さらに興味深い事実を一つ指摘しておくと、サムスングループの半分の株は実は外国人が所有していたりする。もっと言えば韓国の財閥グループ株、銀行株などは、ほとんどは外資に握られているという信じられない現実がある。
そう考えると、サムスンとは韓国人にとって何なのか、という疑問がわいてくるだろう。
しかし、上記の日本の法人税40%は異常に高いと思われるだろうが、先進国では特別に高い税率というわけではない。経団連や企業の経営者が企業減税を政府に迫るが、下のグラフを見ていただければそれが如何にまやかしかが分かる。
大企業には輸出に消費税を納めていなくても戻し税があり、海外に工場をどんどん移転し国内の労働条件を空洞化すれば、補助金が有る。しかし彼らが法人税を口にするときは必ず「現在の40%は高すぎる」と言うのである。
メディアはスポンサー様の言葉を、ただオウム返しに報じるだけである。今までの消費税のほとんどは、法人税の減税分で消えている。今後消費税増税が目的税で無いだけに、何に使われるか国民にはまず知らされないであろう。
その上に利益がタックスヘイブンを経由されていては、税収が正しく計上されると誰が保証できるのであろうか。
◆オバマ政権は、個人の相続税、贈与税、所得税を逃れた脱税資金で、不足資金のある部分を補おうとしている。というと、日本人は、脱税資金を挙げたところで、所詮、焼け石に水程度だろうと思っているだろうが、この考えは余りにもアメリカを知らない。
米 議会に提出をされたアメリカの個人の租税回避行為防止法案は、”Stop Tax Haven Above Act”(タックスヘイブン乱用防止法)と呼ばれる。タックスヘイブンとは、税金が全くかからない、あるいは、かかっても極めて低い国をいう。有名な5カ 国は、アンドラ、リヒテンシュタイン、サンマリノ、モナコ、スイスである。特にリヒテンシュタインはヨーロッパ諸国から地続きであるので、利用者が多く問 題となっている。次に問題なのがスイス。
これらタックスヘイブンに存在する金融機関にある匿名口座の資金総額をご存知だろうか。びっくり しないで欲しい。約7兆ドル(700兆円)なのである。ちなみにIRSによれば、毎年個人の課税漏れの資金のうち10兆円がタックスヘイブン諸国に流れて いるという。700兆円のうち10%の70兆円はドイツ人の課税漏れ分だとドイツ政府が言っている。アメリカ分は500兆円だという説もある。いずれにし ても、オバマ大統領もこれだけあれば、今の経済危機が救えると思っても不思議ではない。
乱用防止法案は4章から成り立っているが、タッ クスヘイブンを利用することを事実上できなくしている。さらには、租税回避等のプランを立案して事業としている専門家に対する規制も盛り込まれている。ア メリカの歴史上、これほど富裕層をターゲットにした税制はかつてなかった。
米 議会に提出をされたアメリカの個人の租税回避行為防止法案は、”Stop Tax Haven Above Act”(タックスヘイブン乱用防止法)と呼ばれる。タックスヘイブンとは、税金が全くかからない、あるいは、かかっても極めて低い国をいう。有名な5カ 国は、アンドラ、リヒテンシュタイン、サンマリノ、モナコ、スイスである。特にリヒテンシュタインはヨーロッパ諸国から地続きであるので、利用者が多く問 題となっている。次に問題なのがスイス。
これらタックスヘイブンに存在する金融機関にある匿名口座の資金総額をご存知だろうか。びっくり しないで欲しい。約7兆ドル(700兆円)なのである。ちなみにIRSによれば、毎年個人の課税漏れの資金のうち10兆円がタックスヘイブン諸国に流れて いるという。700兆円のうち10%の70兆円はドイツ人の課税漏れ分だとドイツ政府が言っている。アメリカ分は500兆円だという説もある。いずれにし ても、オバマ大統領もこれだけあれば、今の経済危機が救えると思っても不思議ではない。
乱用防止法案は4章から成り立っているが、タッ クスヘイブンを利用することを事実上できなくしている。さらには、租税回避等のプランを立案して事業としている専門家に対する規制も盛り込まれている。ア メリカの歴史上、これほど富裕層をターゲットにした税制はかつてなかった。
カナダなどの税率の高いOECD加盟国は、タックスヘイブンが、外国から資本を誘引して秘密裏に他国の課税権を害し、当該国内の政府支出プログラム を浸食する効果を持つとして、その存在を嫌っている。しかしながら、カナダには、その最高裁によって認定されているタックスヘイブンが、太平洋側から大西 洋側まで合計数百も存在しているのだ。その謎は、実はカナダにはインディアン保留地が存在するからである。
中国人富裕層のマネーロンダリングに利用されるマカオのカジノ
2011年12月10日、英誌エコノミストは、マカオのカジノが中国人富裕層のマネーロンダリングに利用されていると報じた。12日付けで環球網が伝えた。
マカオの成功は外国への資金流出の手段となっていることが一因のようだ。マカオのカジノ収入は、今年11月の時点で昨年1年分より44%増加しており、ラスベガスの4倍の規模に成長している。
中 国人がマカオに行くのはギャンブルのためだけではない。人民元持ち出し制限を逃れるため、汚職公務員などが仲介人を利用してカジノのチップを香港ドルに両 替して香港や海外へ送金しているのだ。マネーロンダリングは驚異的な規模に膨れ上がり、マカオ大学の馮家超(フォン・ジアチャオ)カジノ学研究所所長によ ると「想像を絶する方法でロンダリングが行われている」という。
中国では個人資産への法的保護が弱く、富裕層が資金を国外に移す動きをみせている。メリルリンチは海外に流出する「ホットマネー」が金融不安を招く恐れがあると警告しており、中国政府も2008年から中国本土住民のマカオビザ発給を制限し始めている。
ま た、中国人富裕層が事業や投資に失敗すれば、彼らに資金を貸し付けている仲介人が損失を被る可能性もある。今のところ不良債権が出た話は聞かれないが、重 大犯罪が起これば中国政府もカジノ業への関与を強めることになる。あるカジノのマネージャーは、仲介人の破産よりもマカオ政府職員の汚職やカジノで殺人事 件などが起こることを危惧しているという。
http://news.livedoor.com/article/detail/6115882/
2011年5月19日香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは記事「太陽、ビーチ、そして山ほどのホットマネー」を掲載した。22日環球時報が伝えた。
カリブ海英領ヴァージン諸島の一つ、トルトラ島。タックスヘイブンとして知られるこの地には90万社もの企業が登記され、資本家の正体を隠す"隠れ蓑"として機能している。
かっては欧米の顧客が多かったが、現在では中国本土の富豪が主な顧客だ。2006年以来、対バージン諸島の投資額で中国本土は2位。香港に続く地位を占めている。ヴァージン諸島を経由した中国本土富豪の資金は、中国本土へと還流する。
2010年、対中国海外直接投資のうち、10%はヴァージン諸島からのものだった。その金額は英米仏カナダの総計を上回る。
◇2009年の英国で行われたG20の会議上で、フランスのサルコジ大統領が香港とマカオをタックスヘイブンのリストに入れるべきと発言し、これに対して中国が猛反発し、米国の仲裁により、香港とマカオがリストには載ることなく終了した。
G20首脳陣はタックスヘイブンの国と地域に制裁処置をとることで合意し、経済協力開発機構(OECD)が国際合意規準の履行を拒絶している非協力的タックスヘイブンの「ブラックリスト」と履行の承諾はしているが履行に至らない「グレーリスト」を発表することになった。
経済協力開発機構(OECD)が発表したブラックリストとグレーリスト
<ブラックリスト>
フィリピン、マレーシア(ラブアン島)、ウルグアイ、コスタリカ
<グレーリスト>
オーストリア、スイス、ルクセンブルグ、アンドラ、シンガポール
モナコ、リヒテンシュタイン、英バージン諸島 など
◆スイスの金融機関はマネーロンダリング防止法により、入金があった場合、組織犯罪などに係わっている疑いがあるだけで、当局へ報告する義務がある。銀行のみに課せられていたこうした義務を1998年4月から、保険会社やカジノにも課せられるようになった。
マネーロンダリング管理当局は年間、数百件のマネーロンダリングの疑いがある資金の流れを調査しているが、マネーロンダリングとしての事件が管理局から摘 発される件数は少ないが、これは「各金融機関が、顧客情報を徹底して集めるようになったため。マネーロンダリングが目的の客は、受け付けなくなっている」 と今の制度が効果的に機能していると自信があると語っている。
通常、管理局は企業の届け出リストや新聞などの報道を通して、違法行為を発見しているが、警察などの関係当局および個人の通報も寄せられるという。
日本のヤクザ、五菱会(ごりょうかい)系の組 織に所属し、「ヤミ金融の帝王」と呼ばれた梶山進被告がスイスの銀行口座に預けた資金が2003年末、凍結された。チューリヒ州検察局が凍結した金額は、 6,100万フラン(約51億円)。ほとんどがヤミ金融で違法に得た収益と見られる。
日本でもタックスヘイブン税制が施行されている。
タックスヘイブン税制とは、日本法人がタックスヘイブンに設立した海外子会社を利用した租税回避行為を防止するため、海外子会社の留保所得を、その持分に応じて、親会社の所得に合算して課税する制度のこと。
しかし、各国がマネーロンダリングに注意を払い、タックスヘイブンの各国や地域が調査に協力したとしても、それを上回る知恵をもっているのも富豪とそれをアシストする弁護士やコンサルタント達だということだろう。
事実、日本国内でも数多くのタックスヘイブンを勧める広告がある。参考としてGoogleで「タックスヘイブン」で検索を行うと出てくるだろう。中にはかなり怪しい業者も存在する。
しかしブラックリストやグレーリストでも、近年は各国当局の求めに応じて調査に協力する傾向にある。国税調査などで発覚すれば、まず間違いなく悪事は暴かれると覚悟がいるだろう。
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