2015年11月7日土曜日


浮世風呂

日本の垢を落としたい。浮き世の憂さを晴らしたい。そんな大袈裟なものじゃないけれど・・・

欧州の難民問題はシリア強奪を欧米が諦めれば解決出来る

2015-11-04 13:12:18 | 資料
ヨーロッパはなぜロシアのシリア政策を支持する必要があるのか

2015年11月 4日 マスコミに載らない海外記事

Finian CUNNINGHAM
2015年11月1日 | 00:00
Strategic Cultural Foundation

ロシアは単純かつ簡潔に述べた。もし難民危機を解決したいのであれば、ヨーロッパはシリア紛争を終わらせる必要があると。統合的な解決は、外国に支援された政権転覆を狙う秘密戦争を打ち負かす、主権を有するシリア政府を尊重することを意味している。

こ れは、自らの政治的将来を決定するシリア国民の権利を尊重することを意味する。そして、またシリアのバッシャール・アル・アサド大統領を打倒するというワ シントン、ロンドンとパリの違法な狙いを、ヨーロッパが拒否することを意味する。要するに、ヨーロッパが、シリアに対する政策で、ロシアと組むことを意味 している。

ウラジーミル・プーチン大統領は、モスクワに、ドイツのジグマール・ガブリエル副首相を迎え入れた際、シリアに対するロシアの立場を繰り返した。まるでモスクワ発言の重要性を強調するかのように、今週、欧州連合諸国間の関係で縫い目がほつれるような新たな展開をみせた。

未 曾有の難民の人数を巡るEUバルカン諸国間の緊張は、緊密な文化的結びつきがある二大筋金入りEU加盟国であるドイツとオーストリアを反目させるほどにま で悪化した。国境を越えて流入する難民を規制するため、国境沿いに塀を作ることを予定している二番目のEU加盟国となったことを、オーストリアが発表した 後に最近の口論がおきた。

ドイツのトーマス・デメジエール内相は、オーストリアの最近の動きを、“常軌を逸し た行動”だと呼んで激しく攻撃した。ベルリンは、ドイツが引き受けるよう、オーストリアは、国境で“夕暮れの難民投棄”をしているとまで非難した。一方、 ウィーンは、メルケル首相が、“門戸開放政策”で移民の流れを奨励しているとかみついた。

これは、主な根源が シリアにおける四年間の戦争に由来する移民である難民危機に起因するEU内部における関係悪化のもう一つの兆候だ。フランスの新聞ル・フィガロは、国境に 塀を設置するというオーストリアの決定を、EU圏内での人々の自由な移動を保障する根本的な協定“シェンゲン協定を脅かす”ものだとして、強烈に非難し た。

オーストリアの動きは、国境の塀を構築し、機動隊や軍の要員を配備するというハンガリー、スロベニア、ク ロアチアとブルガリアの決定に続くものだ。難民に対する高圧的な警備戦術の報道は、ブリュッセルで大きなろうばいを引き起こした。ドイツのドイチェ・ヴェ レ新聞は今月始め、彼の反移民政策と受け取られるものに対して“忍び寄る独裁制”を監督していると、ハンガリーのオルバーン・ヴィクトル首相を非難する記 事を載せた。

欧州委員会大統領ジャン=クロード・ユンケルは、そのような手段はEUの精神に反すると言って、難民を締め出す劇的な傾向を非難した。ヨーロッパの縫い目はほころびつつあるというのが、暗黙の了解だ。

一方ドイツ国内で、メルケルの与党キリスト教民主同盟は、有権者が余りに緩い難民受け入れ政策と認識するものを巡り、圧力を受けている。バイエルン、ハンブルクとドレスデンで反移民抗議行動が行われた。しかも激怒しているのは極右ペギーダだけではない。

世 論調査では、中道派のドイツ人の間でさえ、ドイツにやってくる外国人の急増を巡り、不安が増大していることが分かっている。ある世論調査では、ドイツ人の わずか三分の一しかメルケルの亡命希望者への“門戸開放”政策を支持していないことが判明した。今年ドイツは、800,000人の新たな亡命希望者を処理 すると報じられている。数値は150万人にのぼる可能性がある。一方イギリスとフランスは、それぞれ20,000人、30,000人という比較的取るに足 りない人数を受け入れると発表した。しかも、こうした僅かな人数でさえ、UKIPと国民戦線のような反EU政党に選挙上の弾薬をたっぷり与えることになっ ている。

この観点から見れば、ヨーロッパは、シリア危機に対する解決を見いだす必要があるというロシアの忠告 は極めて重要だ。もしシリア紛争が荒れ狂い続ければ、ヨーロッパを圧迫している難民の人数は増大し続け、それはやがてEU加盟国内の、実にとげとげしいい さかいや分裂を確実に招く。シリア紛争と、付随する難民危機が、文字通り、ヨーロッパを引き裂き、EU圏の存在そのものを危うくするという警告は誇張では ない。

難民に対する高圧的な警備や官僚の敵意は確かに遺憾ではあるが、同時に、未曾有の難民流入に直面する “最前線”のEU諸国における不満にも理由はある。比較的少ない人口と弱体な経済からして、スロベニアのように、わずか200万人しか国民がいない国々 が、戸口に絶望的な人々が突然急増したのを、歓迎されざる難題と思うのは無理もない。

ハンガリーのオルバン首相も、トルコは安全な国なのに、一体なぜそれほど多数の難民が、領土を通過してヨーロッパに向かうのを、アンカラ政府によって許されるのだろうかという妥当な指摘をした。

しかも、歴史的人数の難民の源泉であるシリア紛争で、大半のヨーロッパ諸国は、その発生に全く関与していない。

イ ギリスとフランスは、十分な証拠によって、アサド大統領を打倒するためのシリアでの紛争を醸成し、油を注いでいると非難されている。ロンドンもパリも、中 東における根気強い覇権の野望のため、ワシントンが率いる政権転覆計画を追求する上で。2013年に、元フランス外務大臣ローラン・デュマが、2009 年、イギリス当局から秘密裏に、アサド政権打倒の秘密計画を持ちかけられたことを明らかにしたことを想起されたい。それは、欧米マスコミが組織的にウソを ついてきた“民主主義志向の反乱”という装いの下、シリアで外国が支援する反乱が勃発する、少なくとも二年前のことだ。

過激派傭兵によって遂行されている欧米、アラブ諸国と、トルコが支援するシリアにおける秘密戦争の残忍な現実が、覆い隠すには余りにはっきりしてしまったため、“民主主義志向の抗議行動”という説明は雲散霧消した。

ワシントン、ロンドン、パリや地域同盟諸国が今週ウィーンでのシリア“和平交渉”で、ロシアやイランと共に集まったが、欧米諸国が政権転覆の狙いを放棄した兆しはない。

ア メリカのジョン・ケリー国務長官と、イギリスの相手方フィリップ・ハモンドは、アサドは“退任すべきだ”という傲慢な要求から、放棄される権力の移行過程 へと軟化したように見える。しかし狙いは依然として政権転覆だ。一方、フランスは、アサドの即時退任を要求し続けている。フランスのローラン・ファビウス 外務大臣は、ウィーンでの交渉前に“アサド退陣の明確な線表”を要求した。

だから、ワシントンとそのヨーロッ パの同盟諸国がシリア危機の“解決”について語る際、彼らが意図しているのは、彼らが長年抱き続けてきたシリア政権打倒計画という最終結果を実現させるこ とだ。これでは紛争の平和的解決を見いだす確約にはならない。更なる政治的手段による紛争の追求だ。しかも、これはシリアの国権に対する言語道断の侵害で あることを指摘しなければならない。

アメリカが率いる狙いで確実なのは、シリアにおける紛争を荒れ狂い続け、 難民の人数は増大し続けるだろうことだ。今週国連は人道支援が緊急に必要なシリア人の人数を1350万人に改めた。全国民の半分をはるかに上回る。更に一 体何百万人が悲惨な人々に仲間入りするのだろう? 更に一体どれほど多くの人々が最終的にヨーロッパに向かうだろう?

ヨーロッパの運命は、その手が既にシリア人の血にまみれている二つのアメリカ追従国家、イギリスとフランスにまかせるべきではない。ヨーロッパの国々にとって、自らが招いたわけではない難民危機という結果を背負い込まされるのは受け入れ難い。

シリア紛争の解決には、ワシントンと同盟国が国際法を順守し、即座に彼らの不法な政権転覆計画と、シリア国内で、彼らの戦争の犬たちの吠え声を止める必要がある。それは難民危機に対する全体的解決でもある。国際法の順守。実に単純ではないか?

ロ シアとイランは、シリアの国権は尊重されるべきだと主張して、この解決を明確かつ説得力をもって述べている。この政策で、ロシアとイランを支援し、ワシン トン、ロンドンとパリという犯罪的政権転覆枢軸と縁を切って指導力を示すのは、ドイツや他の好戦的でないEU諸国次第だ。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2015/11/01/why-europe-needs-back-russia-syria-policy.html

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-2965.html
サウジアラビア、カタール、クウェートやアラブ首長国連邦等の湾岸アラブ諸国のシリア難民受け入れはゼロだ。
4年前、シリアの経済改革を要求して行われた“数百人”の抗議行動が、一体なぜ、恐ろしい宗派内戦へと悪化し、過激主義を煽り立て、現在、世界を悩ませ、世界で二番目に大きな難民危機を生み出しているのだろう?

マスコミは、シリアのバシャール・アサド大統領の樽爆弾を非難し、政治評論家達は更なる対ISIS空爆と、より厳しい対シリア経済制裁を呼びかけ、危機が始まって4年目なのに、大半の人々は、この戦争が、一体どのようにして始まったのか全く知らない。

この“内戦”は、宗教を巡るものではない

シリアへの外国の介入は、シリアでの反乱開始の数年前に始まった。ウイキリークス は、内戦を引き起こして、シリア政府を打倒するというアメリカの計画と、こうした命令を、テル・アビブから直接受けていることを明らかにするアメリカ国務 省の2006年の漏洩電報を公表した。この漏洩は、サウジアラビア、トルコや、カタールや、エジプトの様な国々とのアメリカの協力関係同盟が、スンニ派 と、シーア派の分裂を利用して、シリアを分割し、イランとヒズボラを弱体化する為、シリアを不安定化させるのに、宗派心を利用するためであることを暴露し ている。イスラエルも、ゴラン高原占領を拡張する石油採掘を増加する為、この危機を利用しようとしていることが明らかにされた。
BBCや、AP通信等の主要マスコミによれば、シリアで行われたとされる抗議行動 は、わずか数百人の人々によるものだったが、更なるウイキリークスが公開した電報が、2011年3月という早い時期に、こうした抗議行動そのものを引き起 こす為の、シリア国内でのCIAの関与を明らかにした。
抗議行動は、わずか数カ月後に、CIAとつながる何百もの武装抗議行動参加者と化 し、デモが拡大し、シリア人でない武装反政府集団がシリアに押し寄せ、シリア全土を政府の厳しい弾圧が覆う中、アメリカ合州国、イギリス、フランス、カ タール、サウジアラビアやトルコが、反政府派を組織し、武器を与え、資金供給して、自由シリア軍を形成する好機に飛びついたことが明らかになった。(わず か数カ月前、ウイキリークスが、サウジアラビアの諜報情報を公開し、2012年以来、トルコ、カタールとサウジアラビアが、シリア政府を打ち倒すべく、反 政府派に武器を与え、資金を提供するのに協力して動いていたことをあきらかにした。)
“ヨーロッパに向けて、パイプラインを、東から西へ、イランとイラクから、シリアの 地中海沿岸で通すか、あるいは、 カタールと、サウジアラビアから、シリアとトルコ経由という、より北回り経路にするかを巡って、戦いがおこなわれている。こう着状態のナブッコ・パイプラ イン、実際、南ガス回廊丸ごとが、アゼルバイジャンの埋蔵量しか裏付けがないため、ヨーロッパへのロシアの供給には決して拮抗できないことを悟り、サウ ス・ストリーム建設を阻止する為、欧米はペルシャ湾からの資源で置き換える必要にせまられていた。シリアはこの連鎖における主要リンクであり、イランとロ シア寄りの傾向がある。そこで、欧米の首都で、シリア政権は倒して変える必要があると決定されたのだ。
石油、ガスと、パイプラインが問題なのだ!

実 際、ヨーロッパのガス市場が、ロシアの巨大ガス企業、ガスプロムの人質に取られてしまうのではという懸念の中、ロシア、アメリカと欧州連合の間の緊張が高 まった。ロシアから離れ、ヨーロッパのエネルギー供給を多様化するには、提案された、イラン-イラク-シリア ガス・パイプラインは、不可欠なのだ。

ト ルコは、ガスプロムの二番目に大きな顧客だ。トルコのエネルギー安全保障構造丸ごと、ロシアとイランからのガスに依存しているのだ。更に、トルコは、ロシ ア、カスピ海-中央アジア、イラクや、イランの石油、さらにはガスの、ヨーロッパへの輸出における戦略的分岐点になるという、オスマン帝国風な野望を抱い ている。

2013年8月、ガーディアンは、こう報じた。

“ア サドは、ヨーロッパ市場への供給目的で、重要なことに、ロシアを回避しながら、イランのサウスパース・ガス田と隣接しているカタールのノース・フィールド から、サウジアラビア、ヨルダン、シリアを経由し、トルコへ向かう、カタールと、トルコが提案したパイプラインの協定に署名することを拒否した。アサドの 論理は、‘ヨーロッパへの天然ガスの最大供給国である [彼の同盟]ロシアの権益を守るため’だった”。
http://www.theguardian.com/environment/earth-insight/2013/aug/30/syria-chemical-attack-war-intervention-oil-gas-energy-pipelines
シリアが、自国のエネルギー戦略において極めて重要な部分であるのを理解しているト ルコは、このイラン・パイプライン案は改め、 究極的に、トルコや湾岸アラブ諸国のガス供給支配の追求を満足させる、カタール-トルコ・パイプライン提案に協力するよう、シリアのバッシャール・アサド 大統領説得を試みた。しかし、アサドが、トルコの提案を拒否した後、トルコと同盟諸国は、シリア“内戦”の主要計画立案者となった。
https://www.youtube.com/watch?v=G1p_tFnKqMA
現在進行中の戦略の多くは、さかのぼって、アメリカ軍が資金を提供している2008年のRAND報告書“長い戦争という未来を明らかにする”の中で記述されていた。

http://www.rand.org/content/dam/rand/pubs/monographs/2008/RAND_MG738.pdf

ア メリカ、フランス、イギリス、カタール、サウジアラビアと、トルコ - 別名、新“シリアの友人”連合が、公式に、ガス・パイプラインへの署名をアサドが拒否した後、2011年から2012年の間、シリアのバッシャール・アサ ド大統領打倒を、公式に呼びかけ、シリアを、人道的危機に押しやるいわゆる“穏健”反政府派に与えるべく資金と武器が、シリアに流入した。反政府集団は、 あれやこれやの連中を組織したもので、その多くは外人戦士で、多くがアルカイダと同盟していた。

シリアは宗教的に多様なので、いわゆる“シリアの友”は、アサド打倒の為の“分割して統治”戦略の公式として宗派心を煽った。アメリカが支援する“穏健”反政府派による、アラウィー派が、スンニ派が多数派の国家を支配しているという主張が、スンニ派解放の主張となった。

こ の戦争は、大衆には、スンニ派-シーア派紛争として売り込まれているが、ISISや、 シリアのアルカイダ分派、アル・ヌスラ戦線等のいわゆるスンニ派集団や、“穏健派” 自由シリア軍までもが、無差別に、シリアのスンニ派、シーア派、キリスト教徒やユダヤ人を標的にしている。同時に、正に同じ諸外国が、国中をおおっている 多数派のシーア派による民主主義推進抗議行動に対する暴力的弾圧で、スンニ派だと主張しているバハレーン政府を支援し、武器まで与えている。

シリア政府軍自身、80パーセント以上がスンニ派で、本当の狙いの動機は、政治的なものであって、宗教的なものではないことを示している。

こ れに加え、アサド一家は、大半のシーア派が、この二つは無関係であることに同意しているのに、マスコミが、シーア派とひとまとめにしているイスラム教の宗 派、アラウィー派だ。更に、アサド一家は、非宗教的で、非宗教国家を支配しているとされている。アラウィー派を、シーア派として見なすのは、紛争の為に宗 派的枠組みを押しつける一つの方法に過ぎない。それが、シリア-イラン同盟が実際は経済関係なのに、宗教に基づくものだという前提を許容してしまう。

この枠組みは,イランが、イラク、シリアとレバノンに広げているとされるシーア派の影響力から自らを解放する為のスンニ派革命として、入念に仕立てられたシリア紛争だ。

だが、真実は、シリアのスンニ派社会は分裂しており、多くの人々が、自由シリア軍、ISISやアルカイダ等の集団に加わる為にくらがえした。また先に述べた通り、80パーセント以上のアサド軍兵士はスンニ派である。

◆米露、シリア空爆の衝突回避策で合意

2015年10月21日 BBC News

ロシアがシリアに投入した戦力

ロシアと米国は20日、シリアで過激派勢力「イスラム国」(IS)に対して行う空爆で、両国軍機の衝突を回避する措置に合意した。

米国防総省のピーター・クック報道官は、ロシアの要請で合意文書は公表しないとしたが、両国の連絡方法や、地上にホットラインを設置することが決まったと述べた。ただし、空爆対象に関する情報は交換しないという。

クック報道官はさらに、今回の合意で両国軍機が「安全な」距離を保つことが保障されるとしたが、具体的な距離が設定されたかどうかは明らかにしなかった。

ロシア国防省のアナトリー・アントノフ次官は、合意文書には「米国とロシアの軍機の事故を防ぐための、多くのルールや規制が含まれる」と述べた。

ロシアは先月30日からシリアでの空爆を開始している。米国は先週、両国の軍機が目視できる距離(15~30キロメートル)まで接近したことがあったと発表した。

合意をまとめるまでに3週間かかっており、内容も限定的だ。空爆そのものや空爆対象について調整はせず、軍事情報も交換しない。ただ単に軍機が接近しすぎないようにするのを目指している。

発表文書では、合意には操縦士としてのプロフェッショナルな行動の要請や、交信につかう具体的な無線周波数、地上での通信線が盛り込まれた。地上での連絡はバックアップとして想定されている。

合意はシリア領空内のみを対象としており、トルコが懸念するロシア軍機によるトルコ領空の侵犯については触れていない。しかし、米国主導の有志連合とロシアの軍機が衝突するリスクを軽減している。双方が合意を守ればの話だが。

(英語記事:US and Russia sign deal to avoid Syria air incidents)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151021-34589879-bbc-int

◆唯我独尊の米国には見えないロシアの乾坤一擲
シリア空爆と国連演説、プーチン大統領のしたたかな戦略

2015.10.22(木) W.C. JB PRESS


ニューヨークの国連本部で開かれた潘基文事務総長主催の昼食会合で、乾杯するウラジーミル・プーチン露大統領(右)とバラク・オバマ米大統領(左、2015年9月28日撮影)〔AFPBB News〕
 シリアの反政府勢力に対して、ロシアが空からの攻撃を始めてから3週間が経った。

 この攻撃開始に当たって米国へ仁義を切るために9月28日にニューヨークで行われた米露首脳会談の終了後、わずか一昼夜余の間に憲法に従う上院の対外軍事行動承認と、それに続くウラジーミル・プーチン大統領の爆撃指令を完了させ、9月30日には作戦が開始されている。

 ロシアはシリアへ、それまでに攻撃機50機以上、要員2000人前後をシリア政府の要請に基づく形で送り込んでいたとされる。

 この陣容による攻撃開始後の成果について、ロシア国防省は10月16日までの1週間だけで、攻撃機が394回出撃し、IS(イスラム国家)を称する占領者たちの通信・野戦施設ほか350カ所近くを破壊した、と発表している。

周到な準備を進めていたロシア

 カーネギー国際平和財団モスクワ・センターのドミトリー・トレーニン所長によれば、ロシアがシリアへの直接介入に向かって舵を切ったのは、9カ月前の今年の始めだった。

 その時点ではまだ方向性の決定であり、実際にやるか否かはその条件が整い次第、であったのだろう。その方針の下で、米国も含めた対IS国際統一戦線結成が第1案、これが達成されない場合に第2案のロシア単独での攻撃開始、という筋書きが組まれていったものと思われる。

 どちらの案でもロシアの空爆実施が含まれ、これには大統領府長官のセルゲイ・イワノフ氏と国家安全保障会議のニコライ・パトルシェフ議長が関わった、と別のロシアの事情通は述べている。

 以下、諸報道によりその後の経緯を見ると、米国をはじめとする国々のバッシャール・アル=アサド大統領即時退陣の主張を何とか押しとどめ(見返りにロシアとイランも、彼の再選は認めないという点で譲歩)、その一方で軍事行動への準備も進めていった。

 アサド政権の命脈が尽きたのではないか、との見方が広まりつつあった6月に、イランの革命防衛隊とレバノンのヒズボラがシリアでの戦力を増強し、その後これに呼応するかのようにシリアのラタキアでロシアの空軍基地増強も進められたようだ。

  7月末にはプーチン大統領の10年ぶりとなる国連総会出席が関係先に通告され(その時点で多くの外交筋は、ウクライナ問題で精々いつもの対米批判をやるだ けなのでは、と予想したのみ)、外交専門誌編集長のフョードル・ルキヤノフ氏は、遅くとも8月までには空爆実施具体案が準備され、それに対して米国がどう 出るかをロシアは窺い、その結果、互いに干渉しない、という合意がなされたのだろう、とメディアに述べている。

 確かに、9月28日のバラク・オバマ大統領の対プーチン会談までには、米国も徐々にではあるがロシアの対IS攻撃開始を容認する方向に傾いていたようだ。

 ジョン・ケリー国務長官はアサド退陣時期については交渉の余地ありと発言し始め、アシュトン・カーター国防長官も3月の就任以来、初めてロシアのセルゲイ・ショイグ国防相とシリア問題での電話会談を行っている。

 ロシアの描く筋書きは、遅くとも来年3月までにアサド政権の勢力を回復させ(人口が集中する地域と重要都市のアレッポを確保すれば十分で、国土の大部分を占める過疎地は当座の目標外)、反政府側(少なくともISは除く)との和平交渉に持ち込ませることに置かれている。

 その成否は、地上軍投入は行わないという前提のロシア軍の援助の下で、どこまでシリア政府軍が自力で失地回復を行うかにかかる、とされる。

米国の主張

  だが、9月28日の首脳会談を経て上述のようにロシアが即座に行動を起こし始めると、ロシアの攻撃対象がISではなく、米国やトルコ、湾岸諸国などが支援 する「自由シリア軍」他の反政府勢力になっている、と米国は強く批判し始め、これに英仏独とサウジアラビア、カタール、トルコも同調する(ロシアはこれを 否定したが、この点ではどうも分がよくない)。

 首脳会談へオバマ大統領がどのような姿勢で臨み、爆撃開始を通告するプーチン大統領に対して何と答えたのかは定かではないが、IS殲滅では合意できても、アサド政権をどれだけ延命させるかでは見解が一致していなかったのかもしれない。

 あるいは、米国側内部でプーチン大統領の動きに我慢ならんという面々が後になって突き上げたのだろうか。その真相がどうであれ、表に出ている動きだけで見れば、米露間の対立は深刻化の様相を呈し始めた。

 米側は次のように主張している。

●これまでに20万人以上の国民を殺戮したアサドを、欧米のみならずシリア国民の大多数や周辺国ももはや支持しておらず、彼に今後も国をまとめることなどできるはずがない。

●IS以外の反政府派の勢力を削いだりすれば、それだけISを拡大させ、ISへの転向者や結果として難民の数をさらに増やすだけとなる。

●アサド政権を助けようとするロシアの介入は、これまでの米国とその仲間による対ISへの攻撃とは趣旨が異なり、従ってシリア問題の政治決着と早期終結を困難なものにしてしまう。

 オバマ大統領は例によって、プーチン大統領への個人攻撃の形で、ロシアはこれまでの自分の戦略ではシリアを維持できないという、しょせんは弱い立場から首を突っ込んできたに過ぎず、こうした動きは必ず失敗する、とこき下ろす。

  米国は、ロシアに対抗する形でシリア内のクルド人勢力2万人ほかの反アサド派への武器供与を開始する。そして、ロシアが提案した反IS統一戦線結成への協 力を拒み、この問題を協議しようとロシアが持ちかけたドミトリー・メドベージェフ首相を団長とする訪米団の受け入れも拒絶する。

 だがプーチン大統領は怯む気配を見せない。彼の基本的な立場は、日本で大して注目されなかったものの、9月28日の国連総会で行われたその演説に示されている。

  この演説については、すでに何人かの識者が触れておられるので(1、2)、本稿では詳細を避けるが、総会の演壇から、「アフガニスタン、イラク、リビア、 そしてシリア、といった具合に、どれ一つまともな結果が出せていないではないか、『民主主義』革命の輸出でどれだけ多くの国を悲惨な状態に追いやったのか を、君たちはまだ分かっていないのか」と彼は欧米に詰め寄っている。2007年来の彼の持論となる、米国の一極支配思想への痛烈な批判である。

プーチンに差をつけられたオバマ

  そのうえでシリア問題を解決する道筋として、難民問題も発生地での正統政権の支配力を確立せねば止められるべくもない、として、これまでのアサド政権を相 手にしないという欧米の手法が大きな誤りであったと指摘、そして今必要なのは、シリア内で正統政権を維持しつつ、ISなどのテロ集団へ国際的な統一戦線結 成で対抗することである、と提言する。

 この演説の内容は、かなりメリハリが効いたものになっている。それ を、プーチン演説に先立って行われたオバマ演説と比較すれば、シリアをはじめとする中東で現実に何が起こっているのかという認識力の面で、オバマ大統領は プーチン大統領に少なからず差をつけられてしまっているようでもある(プーチンはこの演説が行われている時に漸くニューヨークに到着したばかりで、直接こ れを聞いていない)。

 傍若無人に独り善がりの思想を力ずくで振り撒き、その結果の始末も自分でできていない――。

 なるほど、これまでイラクでもシリアでも米国は支持する側の軍の養成に失敗し、最近はアフガニスタンからの撤退政策も失敗に終わっている。どれもこれも、オバマ政権が結末をつけられずにいる課題として残ってしまった。

  そうなった理由を、オバマ大統領の中途半端な政策が中東での米国の存在感低下を生んだ結果に求める声もあるが、さらにその政策の根底まで突き詰めてみれ ば、欧米流の民主主義が世界の地域・民族を超えての至高の価値観とならねばならないと信じ込む米国の普遍主義思考に行き着く。

 その政策は、いわば信仰に発しているようなもので、これに敵への恐怖感(ヒラリー・クリントン氏は、恐怖ではなく事実に基づき議論をしよう、と論じる)が加わると歯止めも効かなくなる。

 しかし、それは世界各地域での特殊性への知見や注意をかき消すことで、現実にそぐわない発想や政策を結果として生んでしまう。

  例えば、シリアには過激な反体制派のISと穏健な反体制派とがあり、後者を援護してアサド政権を打倒すべきと米国は主張するが、そもそも反体制派(クル ド、アルカイダ系組織、元シリア軍兵士等の「自由シリア軍」、IS、など)を綺麗に過激と穏健に分けることなど不可能以外の何物でもない、とロシアは指摘 する(中東の専門家にも同様の見解が多い)。

 であれば、穏健派に供与したはずの武器が、いつ過激派の手に 移ってもおかしくはない。○○派と称される面々が存在していても、次の瞬間に彼らは××派に衣替えしているかもしれない。それが現実であり、そもそも米が 主張する「自由シリア軍」なるものすらが本当に存在するのかも疑わしい、と露側は論じる。

 こうした点について、米側も西側のメディアもこれまでまともな反論なり説明なりを行ってきているようには見えない。正邪の二元論では解きようもない連立方程式だからだろう。ISと戦っている限り、タリバンや9.11の犯人とされるアルカイダは米国の味方になるのか?

ソ連の失敗になぜ学ばないのか?

  かつてソ連はアフガニスタンで失敗したが、相手を共産主義と言うプリズムを通してしか見ずに舐め切ったことがその敗因だったとすれば、米国は今、民主主義 という容器に相手の身体的特徴などお構いなしに無理矢理にでも押し込めようとして同類の過ちを犯している――。 プーチンにはそう見えるのだろう。

 総会の演説で彼は欧米に向かって、「なぜソ連が犯した誤りを学ぼうとしないのか」とすら言ってのけている。

 旧ソ連圏に「民主主義」革命の輸出を持ち込んでくることは、ロシアにとっても迷惑極まりない。しかし、プーチン大統領の対応を見ると、米国のやり方のナイーブさや無知に呆れて愛想を尽かしていることからの嫌悪感(あるいは侮蔑感)の方がむしろ強いのでは、とすら思える。

 対する米国は、ロシアの空爆開始直後の一斉批判に続く二の矢が継げていないようだ。それまでロシアを俎上に載せて批判した問題点の事実関係も、何やら曖昧になってきてしまっている。

 メドベージェフ首相の訪米団受け入れ拒否も、そのまともな理由が説明されていない。ロシアのメディアが評するように、今どうロシアに(ひいては中東問題に)対応すればよいのかが即座には分からずにいるようでもある。

 加えて、ロシアがイラン、イラク、シリアとの対IS共同戦線を結成したこと、特にイラクがこれに加わったことが米国には大きな衝撃だっただろう。これまで投入してきた膨大な人的・金銭的資源はいったいどこへ消えてしまったのか。

 イラクは米国の支援不足に十分過ぎるほど失望していたと言われる。その理由は西側のメディアが書くような強腰の軍事介入へのオバマの不作為だけではなく、中東情勢をどう扱ったらいいのかという点でのあまりに大きな米国の知見不足だったのではないだろうか。

 プーチン大統領の対米批判はそれとして、ロシアが今回の空爆参入に踏み切った直接的な動機や理由について、西側でも露側でも様々な解釈がメディアに登場する。

●アサド政権の救済と中東でわずかに残された自国の勢力圏・軍事基地の確保
●ウクライナ問題から関係者の目を自国のイメージアップによって逸らすこと
●国内の政権支持つなぎ止め
●CIS諸国・ロシアへのIS浸透阻止
●シリアをリビアの二の舞にしないことでロシアの世界での存在感を誇示

ロシアを見誤る米国

 米国では、これらのどの要素が主役なのか、そして、プーチン大統領が勝負に勝っているのかで、外交分析評価が分裂しているらしいが、実際にはどれも間違いではあるまい。

 これらのどれ一つをとってもロシアが考えていないはずはないし、そのいくつかが直接介入を現実的な検討課題に押し上げていったということなのだろう。

  そして、これらを満たしながらさらに先をプーチン大統領は見ているのではなかろうか。彼が狙うのは、ここで対米攻勢をかけて米の譲歩を引き出し、ウクライ ナ問題で始まった対ロシア経済制裁の解除や来るべき時代の露米関係への道筋確保、それにロシアの安全保障に関わる米国との合意(MD配置阻止や中東政策で の共同歩調)といった大きな目標にあるように思える。

 皮肉なことに、オバマ大統領が弱腰で米外交を駄目にした、といった論が米国内で強まれば、それだけ余計にそれを打ち消すべく、次期米政権は恐らく対露強硬策を志向せざるを得なくなる。ネオコンの理論家たちも、再度表舞台に出るべく蠢動し始めたようだ。

 米国の新政権とさらに8年間も対立を余儀なくされるような状況を避けるためにも、強硬策には出て来ないと見られるオバマ政権を相手に一刻も早く話をつけてしまわねばならない。

  その米国と対ロシア、対中東政策で必ずしも歩調が揃っているわけでもない欧州は、ギリシャ問題の小康状態で一息つけるかと思いきや、怒涛の如き難民問題、 さらにはVW(フォルクスワーゲン)の不祥事というオマケまでついてしまい、その体力も意思統一もヨレヨレの状態に瀕している。

 今なら、欧州を自分のペースに巻き込む可能性あり、とロシアは踏むだろう。

 急がねばならない理由はそれだけではない。空爆開始はロシアにとって相応のリスクも伴っている。

  まずは先立つもので、巡航ミサイルの投入は米国に戦闘能力で負けてはいないということを示す点で見栄えは良いものの、大変にお金がかかる。政府予算の緊縮 に狂奔する財務省を押し倒して、2016年度政府予算で軍事費は唯一増額(Rb.1650億)項目となった。第一副首相のイーゴリ・シュヴァロフ氏は、こ れはシリア問題への介入とは関係ない、などと述べるが、それを信じる向きはいないだろう。

 IEA(国際エネルギー機関)や世銀は原油価格が2016年も低調に推移するだろうと予測しており、ロシア政府の台所は火の車に近づいている。どう転んでも長期戦に対応できる余力があるようには見えない。 

国内にスンニ派を多く抱えるロシアの事情

 戦闘が想定外に長引けば、国内での厭戦気分も高まるかもしれない。空爆に今は国民の7割近くが賛成していても、万一地上軍の派兵などに至れば、アフガン出兵の苦い記憶が呼び起されて、国民は簡単にはついて来なくなるだろう。

 特に2000万人とも言われるロシア内のイスラム(ほとんどがスンニ派)がこれからどう反応して動くのかも要警戒事項となる。露紙によれば、彼らはアサドがISよりマシなどとは全く見ていない。

 そのアサドを援護するということは、基本的には世のスンニ派を敵に回すことになるのだから、そのスンニの中のISという不良分子退治、という筋書きで辻褄合わせができる時間内で物事を処理しなければならない。

 クルドが絡んで複雑化するトルコとの関係をはじめとして、イスラエルやサウジアラビア、湾岸諸国と同時に関係を維持・強化するには、ビスマルクなみの業が必要とされるだろう。

 そして、最も重要なのは、米国をともかくはロシアとの協議のテーブルに着かせるという目的達成のために、間違ってもシリアを舞台とする米国との代理戦争にのめり込まないことである。

 こうした制約条件の中での作戦遂行である。

  オバマ氏のプーチン批判に同調する西側メディアの論調は、効果を得るためにロシアは長期戦に突入せざるを得なくなる、 結局は地上戦にも踏み切ることになる、それは米国と同じ誤りを犯すことでありソ連のアフガンの二の舞にもなる、どうせ失敗するに決まっている――とこぞっ て冷ややかである。

 だが、ブルッキングス研究所のリリア・シェフツォヴァ氏は、ソ連崩壊時も、エリツイン政権の結果についても、そしてリセットの行方についても、20年にわたって西側はロシアを理解し損ねてきた、と指摘する。今度も多くの論者の見解がその憂き目に遭うのかもしれない。

  ロシアは、米軍が2万人殺しても同じ数の兵士が流入してくるというISを独力で根絶するといった目標は、初めから持ってはいないだろう。中東を舞台に自ら 軍事・政治の大冒険をやれるほどその中東を知り尽くしているとは思っていないし、イラクのISにまで攻撃を加える体制にもないはずである。

 何とか体裁の整ったシリア政府の再興(その結果でアサド大統領が退陣してもやむなし)と関係者の和平交渉に持ち込めれば(そして米国のこれまでの政策が誤っていたことを満天下に晒せれば)、それでことは成就するのである。

  換言すれば、民主主義の実現という米国の目標を批判はしても、それに代わる、来るべき中東社会のあるべき姿のロシア独自の像を持ち合わせているのかといえ ば、恐らくノーだろう。彼らにそれを求めても、返ってくる答えは「Inshallah(インシャ・アラー=すべてアラーの思し召し)」だけかもしれない。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45051


シリア強奪に失敗したオバマの企てた謀略が次々と暴露される

2015-11-03 10:12:06 | 資料
アメリカは、シリアに侵略の損害賠償をするべきではないだろうか

2015年11月 2日  マスコミに載らない海外記事

Eric Zuesse
Global Research
2015年10月31日

10 月30日、金曜日、アメリカのバラク・オバマ大統領は、シリアはアメリカの国家安全保障に対するいかなる脅威でもなく、いかなる国も侵略していないのに、 アメリカ特殊部隊兵士50人を、シリア領土に派兵するつもりだと発表した。実際、シリアは、アメリカ合州国やヨーロッパにも脅威となっているイスラム聖戦 士に対して戦っているのだ。

アメリカは、シリアの選挙で選ばれた、欧米同盟国の世論調査でさえ、いまでも大多 数のシリア国民に支持されていることを示している大統領を打倒するため、シリア(最初は爆撃で、そして現在は、最初の軍隊によって)を侵略している。 2012年、アル-ヌスラ(シリアのアルカイダ)に資金提供しているアメリカ同盟国のカタール政権が、シリアを調査すべく、世論調査会社を雇った際に判明 したのは、55%のシリア国民が、アサドにそのまま大統領でいて欲しいと考えていることだった。更に、2015年9月18日に私が報じた通り、“世論調査 では、シリア人は圧倒的にISISはアメリカのせいだと考えていることを示しており”こうした最近の世論調査はギャラップとつながっているイギリス企業に よるものだ。

ロシアは、アメリカと対照的に、シリアを全く侵略してはおらず、選挙で選ばれた政権から、侵略をしているイスラム聖戦士や、アメリカ爆撃機に対する防衛戦争を、支援するよう要請されたのだ。そして、ロシアは現在要求された支援を行っている。

シ リアを侵略し、世論調査では、いまだ大多数のシリア・スンナ派にさえ支持されているシリアのシーア派大統領を打倒しようとしているスンナ派勢力を支援す る、一体どのような権利をアメリカは持っているのだろう? 私は皆無だと思う。結果的に、シリア政府は、アメリカ合州国から損害賠償を要求すべきではあるまいか? そういう要求は一体いつ出されるのだろう? そういう要求は一体どのような出されるのだろう? アメリカ爆撃による、シリア・インフラの損害は既に莫大だ。

ア メリカは‘民主主義’を支持していると主張するが、実際は、全体主義でも、神権政治でも、王政でさえない、アサド政権を打倒しようとしている、二つの独裁 的な全体主義神権王政と同盟している。もっとも、もし彼の父親が作った政党が、シリアの指導者になるよう彼を選ばなかったら、現在の指導者(バッシャー ル・アル・アサド)は権力の座についていなかっただろう。しかし、それは、絶対君主制で、支配権が、もっぱら聖職者に依存している、サウジアラビアやカ タールとは、決して同じものではない。ところがアメリカは、反アサドで、この両国と同盟しているのだ。

アメリ カは、もちろん、サウジアラビアのサウド王家、カタールのサーニー王家というスンナ派の諸王家が、シリアにもスンナ派政権を据えつけ、シリアをカタール (あるいはサーニー家)のガスと、サウジアラビア(具体的には、サルマン王)の石油がEUへ流れるパイプライン経路にするのを支援している。アメリカ合州 国がこれを望んでいるのは、アメリカ政府が、ロシアの(非常に人気のある)ウラジーミル・プーチン大統領を大統領の座から無理やり追い出そうとしているか らで、それを実現するため、ロシア経済の息の根を止めようとしているのだ。ロシアのヨーロッパへの石油とガス輸出を止めるのは、この戦略の重要な一環だ。

ア メリカの狙いは、ロシアがそれで同盟国を失うことになる、破綻したシリア国家だ。そこで、10月13日、ブランドン・ターバヴィルは、“ロシアがISIS を爆撃するなか、アメリカはシリアの民間発電所を爆撃”という見出しの記事を書いた。アメリカは、シリアを破壊しようとしている。ロシアはシリアを救おう としている。そこで、ロシアはISISや他の聖戦士を爆撃しているが、アメリカはシリアのインフラを爆撃している。国を一つにまとめるためのインフラがな ければ、破綻国家だが、それが、アメリカの目標だ。

アメリカは、これが狙いだとは発表していない。そうではな く、アメリカは単に、バッシャール・アル“アサド・シリア大統領は辞任すべきだ”あるいは“バッシャール・アサド抜きの新政府”を作るべく“アサド大統領 が辞任すべき時は来た”と言うばかりだ。これは、ジョージ・W・ブッシュの“イラクでの政権転覆”というしつこい要求と同じだ。様々な国の指導者を置き換 え、こういうことをしていると主張しても、ナチスがニュルンベルクで絞首刑になった戦争犯罪、侵略戦争ではないにせよ、武力侵略という国際犯罪にならない 権利を、一体誰がアメリカに与えたのだろう?

一体どういう権限で、アメリカはこうしたことを行っているのだろう? 国際刑事裁判所は、一体なぜ公式に(大いに公式に)これを調査しようとしないのだろう?

掲 載するようお送りしたのに、そのどれも掲載されなかった、私のニュース報道や解説を受け取ったアメリカのニュース編集者(100人以上だ)の一人でも、是 非とも、各自のニュース報道で、公にこの疑問に答えていただけないだろうか? 私はここで各編集者の方々に問いたい。もしもアメリカが、こういうことをする権利を有しているとお考えであれば、公開で、一体なぜなのかをご説明いただけ るだろうか?

あるいは、もし説明頂けないのであれは、読者なり視聴者なりの方々に、この疑問をお考え頂けるよう、この疑問を呈しているこの記事を是非掲載してもらえるだろうか?

この記事は、事実上、全てのアメリカ報道機関に送付されている。いずれかが掲載してくれるか、あるいは、彼らが一体なぜアメリカのシリア侵略を支持するのかを説明してくれるかどうか、見ようではないか。

調査ジャーナリスト、歴史研究者のEric Zuesseは、新刊「彼らは全然違う: 民主党対 共和党の経済実績、1910-2010」および「キリストの腹話術師:キリスト教を生み出したイベント」と「封建主義、ファシズム、リバタリアニズムと経済学」の著者

本記事の最初の発表元はGlobal Research

記事原文のurl:http://www.globalresearch.ca/shouldnt-the-u-s-compensate-syria-for-invading/5485716

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-1a3c.html
◆オバマのシリア強奪が生み出す難民たち
http://blog.goo.ne.jp/yamanooyaji0220/e/47fc645e7f170eee472e254093ce97bc
シリアの内戦は宗教を巡る戦いではない。
シリアへの外国の介入は、シリアでの反乱開始の数年前に始まった。ウイキリークス は、内戦を引き起こして、シリア政府を打倒するというアメリカの計画と、こうした命令を、テル・アビブから直接受けていることを明らかにするアメリカ国務 省の2006年の漏洩電報を公表した。この漏洩は、サウジアラビア、トルコや、カタールや、エジプトの様な国々とのアメリカの協力関係同盟が、スンニ派 と、シーア派の分裂を利用して、シリアを分割し、イランとヒズボラを弱体化する為、シリアを不安定化させるのに、宗派心を利用するためであることを暴露し ている。イスラエルも、ゴラン高原占領を拡張する石油採掘を増加する為、この危機を利用しようとしていることが明らかにされた。
2012年シリア人でないCIAとつながる何百もの武装反政府集団がシリアに押し寄 せ、シリア全土を、アメリカ合州国、イギリス、フランス、カタール、サウジアラビアやトルコが、反政府派を組織し、武器を与え、資金供給して、自由シリア 軍を形成する好機に飛びついたことが明らかになった。(わずか数カ月前、ウイキリークスが、サウジアラビアの諜報情報を公開し、2012年以来、トルコ、 カタールとサウジアラビアが、シリア政府を打ち倒すべく、反政府派に武器を与え、資金を提供するのに協力して動いていたことをあきらかにした。)
◆深刻化する米欧の亀裂

2015年10月14日  岡崎研究所 WEDGE Infinity

9月8日付の米フォーリン・アフェアーズ誌のサイトで、米サウス・カロライナ大学のKonrad H. Jarausch教授が、近年の米欧間には齟齬が累積しているので、関係緊密化への努力が必要である、と説いています。

 すなわち、米欧間は一見、うまくいっているように見える。相互の観光客、留学生は多いし、貿易額も伸びている。しかしそ の陰で、米欧は相互に欲求不満を感じている。西欧はオバマ政権のパフォーマンスに不満であり、米国は西欧諸国の動きの鈍さに苛立っている。これらの不満 は、この数十年にわたって累積されてきたものである。

 現下の摩擦要因としては、TTIP交渉が停滞している こと、米諜報機関が西欧諸国指導者を盗聴していたこと、他方米国には西欧諸国がギリシャ救済に吝嗇すぎるように見えることなど、そしてより基本的には、オ バマ政権がアジア、アフリカの方を重視する姿勢を示したこと、米国社会の多民族化が進行して西欧に祖先を持つ者の比率が減少したこと、一方西欧の方では保 護者面をする米国を煙たがっていることがある。

 西欧諸国がシリアやウクライナについて、軍事介入より政治的 な解決を好むことも、米欧間の齟齬の一因である。また移民社会の米国は個人主義を前面に出すのに対して、西欧は社会保障を重視することも、齟齬の一因であ る。米国での銃砲の横溢や囚人の数の多さ、そして格差の大きさも西欧人の反感を買う。

 米国は「9.11」のテロ事件以降、PATRIOT法を採択して個人の権利を一部制限する動きに出ているが、西欧ではナチズムや共産主義の悪夢から生じたプライバシーを守ろうとする意識が強く、インターネットでの「忘れられる権利」を提唱したりしている。

 しかし、米欧は世界最大の経済関係を有する他、双方とも勤勉さや所有権保護という価値観を共有する。米欧の協力は、ウクライナ問題、プーチンの攻勢への対処、地球温暖化問題、イランの核兵器開発防止、そして移民問題の解決などにおいて、重要な意味を持っている。

  今や米欧間対話を活発化させるべき時である。双方の有識者は、21世紀の人権とはどのようなものであるべきか、自国民の人権だけでなく他国の人間の人権ま で気にかけなければいけないのか等、議論すべきである。また、米国における欧州研究、欧州における米国研究は促進されなければならない。

 米欧は利害と価値観を共有している。双方は、協力して、世界の諸問題を解決しなければならない。双方の未来はその努力にかかっている、と述べています。

出 典:Konrad H. Jarausch ‘The Divisions that Damage the U.S.–EU Relationship’(Foreign Affairs, September 8, 2015)
https://www.foreignaffairs.com/articles/united-states/2015-09-08/continental-drift

* * *

 普段、日本人はあまり意識しませんが、緊密な米欧関係は、世界の安全、繁栄、そして近代的価値観の維持のために最も重要な要素です。来年のG7首脳会議の議長国として、日本は、理念を固めておく必要があり、この論文は頭の整理に有用です。

  米欧同盟(NATO)は、欧州における米軍のプレゼンスを通じて、欧州の安全保障を担ってきました。米欧同盟はまた、産業革命後の近代文明・価値観を体現 するものでもあります。そして、米欧同盟が瓦解すれば、米国の超大国としての立場は失われ、世界の政治・経済体制は戦前と同様の流動的状態に陥るでしょ う。

 冷戦が終結し、ソ連が崩壊し、ドイツが再統一したことで、欧州の「へそ」とも称し得るドイツには、選択 の余地が出てきました。在独米軍に撤退を求め、ロシア、中国と関係を深めて地域覇権を確立することも可能になってきたからです。メルケル政権は 「NATO、EUの一員としてのドイツ」という立場を堅持していますが。

 他方、米国もNATOの決定はコンセンサスを要することに業を煮やし、アジアと同様、二国間ベースの安保取決めをバルト諸国、中東欧諸国と結び始めています。これら諸国にとっては、ロシアが未だ安全保障上の脅威だからです。

 日本にとっては、米欧関係が瓦解して米国が孤立し、世界の体制が流動化するより、米欧結束が維持され、グローバルなルールが保持されている方が利益にかないます。自由、民主主義、市場経済などの近代の価値観も、日本の社会に適合したものだと思います。

  米欧関係はすぐどうこうという状態にはありませんが、来年のG7首脳会議では先進国経済の底堅さを確認するとともに、この論文の言う「21世紀の人権」に ついて意識の摺り合わせを行い、それによって日米欧の結束を固めることができれば、日本外交にとって得点となるでしょう。途上国の人権向上については、 「民主派」に資金援助をするよりも、経済開発を助けることでその国の中産階級の比率を増加させるのが王道でしょう。日本のこれまでのODA・直接投資は、 いくつかの国でまさにそのような効果を生んできました。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5447

◆Times:シリアを救えるチャンスは米国よりロシアに大きい

2015年10月19日  Sputnik 日本

ロシアはシリアのアサド大統領を支援することにより、シリア紛争に終止符を打ち、難民の流れを止めることが出来るかもしれない。ワシントンタイムズの社説にそう記された。

同紙には次のようにある。
オバマ大統領が欧州諸国首脳とともに手をこまねいて、緊張した眼差しで状況を注視している一方、プーチン大統領は、アサド大統領支援を通じて、状況を変え、紛争に終止符を打ち、シリア人も自国にとどまるようになるかも知れない。
ロシアはシリア作戦を開始し、米国の不決断によって形成された中東における政治的空白を補填する固い決意を示した。ロシアの行動は、多数のシリア難民に過激派が紛れているかもしれない、との恐れに基づくものだ。シリアとロシアの距離はシリアとドイツの距離の半分だ。

なぜ米国はロシアと協力してテロと戦わないのか
© SPUTNIK/ ALEXEY NIKOLSKY

なぜ米国はロシアと協力してテロと戦わないのか
自国の国益に対する冷たい打算を根拠に行動するプーチン氏がシリア紛争に終止符を打つというのは現代のパラドックスである。これは、局外にとどまったままロシアが中東の尻拭いを買って出たことを不承不承首肯するだけの米国の「平和な大統領」の理解を超えることだ。
米紙は以上のように記した。

http://jp.sputniknews.com/politics/20151019/1049496.html

◆アフガニスタンの泥沼にはまり込んだオバマ大統領
出口の見えない辛い旅路

2015.10.20  Financial Times   JB PRESS
(2015年10月19日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)


アフガニスタンの首都カブールで撮影された治安部隊〔AFPBB News〕
 故リチャード・ホルブルック氏によると、バラク・オバマ大統領はアフガニスタンについて議論する際にベトナム戦争に言及 することを一切禁じた。オバマ氏の「アフパック*1」特別代表として2010年に仕事中に倒れて死去したホルブルック氏は、米HBOの感動的なドキュメン タリー番組「ザ・ディプロマット」で墓場から戻ってくる。

 来月の初公開は、時折あるタイミングの皮肉だ。ホルブルック氏は、オバマ氏が決めたアフガニスタンへの期限付き米軍増派はうまくいかないと明言していた。

 国を安定させるには、米軍駐留の期間が短すぎ、部隊が手を広げすぎることになる、というのがその理由だった。ホワイトハウスはホルブルック氏を排斥した。

 ところが先週、オバマ氏は暗黙のうちにホルブルック氏の主張を認めた。米軍はオバマ氏の大統領の任期が終わった後もアフガニスタンに残ることになった。これがどこで終わるのかは誰にも分からない。

ベトナム戦争との類似点

  ベトナム戦争との対比は大げさかもしれない。1968年のベトナム戦争のピーク時には、米国は50万人以上の兵士をベトナムに配備していた。一方、アフガ ニスタンには現在9万8000人の米兵が駐留しており、オバマ氏はほぼ来年いっぱい、この水準を維持する構えだ。ベトナムで6万人近い米兵が命を落とした のに対し、アフガニスタンでの死者数はこれまでで2500人足らずだ。

 だが、厄介な類似点もある。サイゴン では、カブールと同様、米国はゲリラ戦を繰り広げる一途な敵を相手に、成果を出せない文民政権を支えるのに苦労した。アシュラフ・ガニ大統領率いるアフガ ニスタン政府は、前任のハーミド・カルザイ氏の政府ほど腐敗していないかもしれないし、腐敗の度合いでは、サイゴンで米国が支援した歴代指導者よりはるか にましかもしれない。

 だが、いまだに、言及に値するようなアフガニスタン空軍は存在しない。一方、米国が訓練を施したアフガニスタン軍では、相変わらず任務放棄が多発している。誰もタリバンを訓練していないのに、タリバンはアフガン全土で領土を奪還し続けている。

*1=AfPakはアフガニスタンとパキスタンを合わせた造語。米国の外交政策関係者の間で使われ、両国を1つの作戦区域として指す言葉

 それ以上に重要なのは、オバマ氏の新計画に確かな終盤戦のプランがないことだ。この頭痛の種は、オバマ氏の後継者に受け継がれることになる。ベトナムとの類似点が最も著しいのは、ここだ。

 ホルブルック氏がキャリアのスタートを切ったのは、南ベトナムだった。

 押しの強い若手外交官だった同氏が上司らに言い続けたように、米国は、何千人もの人命喪失は国益によって正当化されないということを理解するのを拒んだ。

 外国勢力、特にソ連と中国がベトコンの反乱を煽るのを食い止めない限り、米国は負ける、と同氏は主張した。

  同じことがアフガニスタンにも当てはまる。パキスタンを正真正銘のパートナーに変える計画がなければ、それが書かれた紙より価値のあるアフガン戦略は存在 しない。ホルブルック氏は、自分の仕事は両国を含んでおり、アフパックには均等に重点が置かれなければならないと主張した。オバマ氏は15日の演説で、ア フガニスタンを28回引き合いに出した。これに対し、パキスタンに言及したのは2度だった。

アフガニスタンは新たなシリアと化すのか

  では、この最新のアフガン計画はなぜ、過去の計画より大きなインパクトを与えるのか。与えない、というのがその答えだ。最新の計画はそもそも、そのように 意図されていない。オバマ氏の部分的な方針転換は、14年間の米軍駐留のひどく脆い成果を支えることを目指している。大統領の決断は、米軍の司令官、特に アフガニスタン駐留米軍トップのジョン・キャンベル司令官の圧力を受けたものだった。

 キャンベル司令官は今月米議会で、タリバンが支配領土を拡張していると述べた。

 また、アフガニスタンで急速にフランチャイズ組織を広めている「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」を撃退するために、イランが今、タリバンに資金を供給していることを示す証拠もある。そうなると、イランは味方なのか、敵なのか。これは答えるのが難しい問題だ。

 それが何であれ、アフガニスタンは新たなシリアと化す恐れがある。ただし、1つ異なる点は、ここに地上部隊を派遣しているのが、ウラジーミル・プーチン大統領のロシアではなく米国だということだ。

3つの教訓

  アフガニスタンはオバマ大統領に厳しい教訓をいくつか与えた。1つ目は、アフガニスタンは米国の政治的な思惑に一切配慮しないということだ。オバマ氏は、 アフガニスタンとイラクでの戦争を終わらせるという公約に基づいて政権の座を手に入れた。米軍の兵士は全員帰国すると約束していた。先週、大統領はこの公 約を撤回し、勇気を見せた。オバマ氏が退任する時、アフガン、イラク両国に数千人の米兵がいることになる。

 イラク、アフガン両政府の脆さ、および双方を脅かすイスラム過激派の強さを考えると、次期大統領もオバマ氏の約束を果たすことはないだろう。

 オバマ氏の大統領在任期間はむしろ、イスラム主義との世代的闘争における――善意から出たとはいえ――混乱した小休止として記憶される可能性が高い。

  第2に、アフガニスタンは大部分において、問題の症状にすぎない。パキスタンは、それよりはるかに大きな問題だ。オバマ氏は今週、パキスタンのナワズ・ シャリフ首相と会談する。パキスタンは相変わらず複雑怪奇だ。一方では、パキスタンは自らが生み出したタリバンというフランケンシュタインの犠牲者と化し た。昨年のペシャワルの軍営学校に対する野蛮な襲撃事件が1つの転換点となった。

 その一方で、シャリフ氏の 率いる文民政権は依然、パキスタン軍の掌中にあり、その軍部はシャリフ氏の場当たり的な実績に苛立ちを募らせている。パキスタン軍はまだ国家内国家だ。パ キスタンの軍部は、国内ではイスラム主義勢力にあまり寛容ではないかもしれないが、アフガニスタンではいまだに「戦略的縦深性」に固執している。

  パキスタン軍がアフガニスタンのタリバンへの支援をやめたと考える人は誰もいない。オバマ氏には、パキスタン情勢を変える計画がない。そんな計画は誰も 持っていない。その間にも、パキスタンは核兵器の生産を増強している。これが1面のニュースになっていないということ自体、気がかりなことだ。

  第3に、ホルブルック氏の歴史的な対比は筋が通っている。ベトナム戦争の教訓は今日的な意味を持っている。2001年以降のアフガニスタンから得られる教 訓も同様だ。「どんなことも可能に思えた、タリバンが去った後の黄金期に、米国は我々がここで何をしているのか説明しなかった」。ホルブルック氏は映画の 中でこう語る。

 米政府はまだこれをはっきり説明していない。米軍が引き続き、決断を主導している。タリバンは勢力圏を拡大している。そして米国の指導者たちは依然、自分たちがコントロールする力をほとんど持たない出来事に翻弄されているのだ。

By Edward Luce
© The Financial Times Limited 2015. All Rights Reserved. Please do not cut and
paste FT articles and redistribute by email or post to the web.

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45034

◆米国が、友好国へのスパイを止めるはずがなかった!?

2015-10-25 世界のメディア・ニュース


AFPは2015年10月25日に、ドイツのニュース週刊誌シュピーゲル(Der Spiegel)は2015年10月24日に、NSA(National Security Agency/米国家安全保障局)が関与した新たなスパイ活動が行われていた疑いがあるとして、ドイツ連邦検察庁が捜査を開始したと伝えた。

http://time-az.com/main/detail/52868

シュピーゲルによると、捜査対象は「諜報活動」に関してこれまで知られていなかった複数の人物で、「レジン(Regin)」と呼ばれるスパイ・ウイルスに感染していたとされ、ドイツ首相府高官の個人用ノートパソコンが捜査の焦点になっていると報告している。

気の小さな米国が、むやみやたらに盗聴し、スパイをすることを止めるなどと考えていなかった。
とくに、スパイで経済復興していた米国が、スパイを止めたら、第2の平成経済大恐慌が起こる。

レジンは「トロイの木馬(Trojan Horse)」タイプのマルウエア(悪意のあるソフトウエア)で、昨年高官のノートパソコンで発見された。
これを使用すると、コンピュータに入力された全てのデータを監視し、感染させた当事者にデータを転送できるようになるという。

http://blog.goo.ne.jp/jiten4u/e/da22d21dcea865d5fdd5f48b6532c5db

◆TPP、大筋合意でも実効されない可能性大 大国・米国の自己都合

2015.10.27   小倉正行  Business Journal

 10月5日まで会期を延長したTPP閣僚会合(米国アトランタ)は、難題のバイオ医薬品のデータ保護期間や乳製品、自動車の原産地規則について合意が得られたとして、大筋合意の記者会見を行って終了した。
 今回の大筋合意によりTPP交渉は基本的には終了し、舞台は米国政府による米国議会への通告3カ月後の、早くても1月20日以降に予定される加盟12カ国による正式調印と、各国の議会承認手続きに移ることになる。
  TPPは条約なので、基本的には、加盟国のすべての議会で承認されて初めて発効することになる。ただし、議会承認国の合計GDPが加盟国全体の85%を上 回った場合は、その時点で発効するとの規定が盛り込まれており、日米含めて6カ国で承認されれば成立するという異例の条約となっている。逆にいえば、 GDPが1国のみで15%を超えている米国と日本のどちらかで承認がなされなければ、TPPは発効しないことになる。

米国議会

 なかでももっとも注視されているのが、米国議会で承認されるかどうかという点である。

 10月20日現在、米国政府から米国議会に対してTPP合意の通知はなく、TPP協定調印は前述のとおり来年1月20日以降となる。そのため、米国議会での審議開始は、協定調印から2カ月後の3月20日以降になる。

  米国議会は来年1月から始まるが、2月1日からは大統領選挙の予備選挙(アイオワ州党員集会)が始まり、3月1日がスーパーチューズデー、3月15日がオ ハイオ州、フロリダ州予備選挙と大統領予備選挙が最高潮に達し、その後も予備選挙は6月まで続き、7月18日〜21日の共和党全国党大会、7月25日から の民主党全国党大会での正副大統領候補決定と続くのである。

 また、大統領選挙と同時に、米国議会下院議員選 挙(全員)と米国議会上院議員選挙(定数の3分の1改選)も同時に行われる。米国議会では、選挙期間中は休会となり、それは「レームダック会期」 (Lame Duck Sessions of Congress)と呼ばれ、1980年代から現在に至るまで続いている。そのため、2月から始まる予備選挙から11月までの大統領選出まで、議会は開会 されていても事実上の休会状態になるのが通例である。

 つまり、TPPは調印をしても米国議会での承認手続き が進行しない可能性が高い。仮に大統領選挙を無視して無理やり議会承認手続きに入ったとしても、今回のバイオ医薬品のデータ保護期間の問題については、米 国医薬品多国籍企業は当初から保護期間12年を要求しており、今回の「実質8年」という合意内容に不満を持っている。これらの企業は議会に対して強い影響 力を持っているだけに、議会の承認手続きが難航することが予想されている。

カナダでは早くも批准難航

  また、米国議会は今回のTPP交渉について、議会の一括承認手続きを定めているTPA法案を6月の上下両院で可決したが、それも賛否ギリギリで可決しただ けでなく、議会が内容上問題があると判断したときは否認することができるという規定が盛り込まれたのである。それだけに、議会で否認されたならば、TPP は最大の推進国である米国が条約承認できないことになる。TPP承認が大統領選挙後になるか、否認されるか、いずれにせよTPPは発効できないまま推移す る可能性があるのである。

 民主党の大統領候補を争っているクリントン元国務長官は、TPP反対を表明した。また、対する共和党も自由貿易推進政党であり、いずれの政党の大統領が選出されても、大筋合意のTPPをそのまま受け入れるかどうかも疑問である。
 
 10月19日投票のカナダ総選挙も、その結果はTPP大筋合意を受け入れたハーパー首相率いる与党保守党が敗北し、自由党との政権交代という事態になった。これで、カナダにおけるTPP批准も難航することが想定されている。
 TPPの前途には、暗雲が垂れ込めているのである。
(文=小倉正行/ライター)

http://biz-journal.jp/2015/10/post_12114.html
◆ISの最重要スポンサーは麻薬マフィア、しかし「金づる」は他にも

2015年11月01日  Sputnik 日本

テロ組織「イスラム国(IS)」による石油の密売を米国は阻止できていない。リア・ノーヴォスチの取材に応え、テロ組織の資金調達法に詳しいノートルダム大(インディアナ州)の法学教授ジミー・ギュルレ氏が述べた。

「先 週、米国務省は、ISがいかにして闇市場に石油を販売しているかについての情報に対し、500万ドルの懸賞金をかけた。これすなわち、米国はISによるグ ローバル規模の石油売却・輸送がどうやって行われているのか、よく分かっていないということだ。仲介者の存在や、犯罪組織の暗躍が示唆されているが、具体 的に誰が仲介役を担っているのかについては依然よく分かっていない」とギュルレ氏。

ISの「ドル箱」原油取引、米らの空爆でも被害なし
イラン紙「イラン・プレス」編集長エマド・アブシェナス氏は500万ドルの懸賞金を受け取るチャンスがあるかも知れない。スプートニクのインタビューに応えた中で、氏はISの石油売却先を明確に名指ししてみせた。

「IS の活動は世界的石油安の主因の一つである。テロ組織はトルコ、ヨルダンの闇ブローカーに国際標準の半額という安値で石油を販売している。トルコにはそうし た石油を今度はイスラエルに転売する業者がいる。この3カ国の石油密売人らが石油を第3国に不法に売却する。しかし、ISによる石油密売が最も盛んに行な われているのは、やはりトルコである」。


ISの石油密売ルートはトルコ領内、元CIA職員の判断
米国の専門家らによれば、ISは毎日5万バレルの石油を売却し、年間5億ドルの利益を上げている。
IS はさらに大きな、年間10億ドルという利益を、自らの支配領域における麻薬輸送の通行料という形で上げている。麻薬マフィアこそがISの最重要スポンサー なのだ。これはロシア麻薬流通監督庁長官ヴィクトル・イワノフ氏が、28日開かれた中央アジア麻薬取締4者会議で語ったことだ。支配領域における麻薬輸送 の規模について、イラン紙「イラン・プレス」編集長エマド・アブシェナス氏は次のように述べた。

「ISの支配 領域では、麻薬販売は日常茶飯事だ。またIS戦闘員は強い向精神薬を常用している。つい最近も嘆かわしい事件があった。レバノンでサウジアラビアの王子た ちが逮捕された。IS戦闘員らに売却し、拡散させるために、カプトゴンと呼ばれる麻薬を密輸しようとしたのだ。ISが得られた資金で新たな犯罪を行っただ ろうことは疑いない」。

アブシェナス氏も指摘する通り、ISは国際法に違反する様々な手段で収入を得ようとしている。文化財の不法売却もそのひとつだ。

ユネスコによれば、シリアでは文化財の組織的強奪が行われている。博物館から文化財が持ち出され、闇市場に売却されているという。


ロシアによるシリアでの対「IS」空爆開始後 アフガンに戦闘員押し寄せる
「シリアの文化財の売却から得られる莫大な利益がイスラム 過激派に流入している。彼らはその金で、武器や装備を買い、戦闘員に給料を支払っている」。「ロシア新聞」の取材に応え、ユネスコのイリーナ・ボコワ事務 局長が述べた。ユネスコは今後もISによるシリア文化財の密売という問題に取り組む、とボコワ氏。
エマド・アブシェナス氏はスプートニクの取材に応え、組織の結成にあたってISがどこから資金を得ていたのかについて、次のように述べた。

「IS という組織はアルカイダの一部が分離独立するという形で形成された。また、イラク戦争の経験者や、フセイン時代のバース党支持者、さらにはフセイン政権陥 落後に形成されたイラク反体制派内のスンニ派アラブ人もそこに加わっていた。従って、フセイン時代から蓄えられた一定の活動資金が、当初からこのグループ にはあったのだ。ほかにも、アルカイダからの資金援助もあったし、さらには、ペルシャ湾岸の一部アラブ国家からの資金援助もあった」。

もっとも、ペルシャ湾岸諸国が今もISを直接的に支援しているかどうかは断言できない。湾岸諸国は国内不一致を来しており、指導者層も一枚岩ではないからだ。

IS 誕生については米国も一定の役割を果たしていた、と言われる。一年前のことだが、トルコ誌「ラジカル」の取材に応じ、CIAの上級分析官グラム・フラー氏 は、「何も米国がIS創設を企んだわけではないが、中東への介入とイラク戦争による不安定化がIS誕生の要因になった」と述べている。

パ キスタンにもISを間接的に米国が支援しているとする声がある。今年のはじめ、パキスタンにおけるISの幹部とされるユザフ・アル・サラフィなる人物がラ ホールで逮捕された。「尋問でサラフィ氏は、米国経由の資金で青年のリクルートを行い、またシリアにおける軍事行動を行っていた、と述べた」と当時、パキ スタン紙「ザ・エクスプレス・トリビューン」が匿名情報として報じた。その消息筋は、さらに、「米国はいつもISの活動を非難するが、自国から同組織へ資 金が流れることを止めようとしない」と語った。

http://jp.sputniknews.com/opinion/20151101/1106167.html#ixzz3qHDJdeXt

誰が考えてもISISに石油の生産や精製が出来るわけがない。
中東の石油産業を支配してきたアメリカがその気になれば、ISISが石油を生産、精 製、輸送、販売することは不可能に近い。ISISの販売を請け負っている会社はARAMCO、つまりSOCAL(スタンダード石油カリフォルニア)、テキ サコ、スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージー、ソコニー・バキューム(後のモービル)が出資している巨大企業だと言われ、トルコやイスラエルも輸 送や販売に協力していると伝えられている。

窮地のアンゲラ・メルケル首相 

2015-10-29 11:25:32 | 資料
ドイツ:難民危機が揺さぶるメルケル首相のイス
シリア難民への門戸開放が生んだ軋轢、欧州最強の指導者に正念場

2015.10.29  Financial Times  JB PRESS
(2015年10月28日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

欧州最強の指導者の座を固めたドイツのアンゲラ・メルケル首相(右)。難民危機への対応が命取りになる可能性が出てきた〔AFPBB News〕
 支持者から深く慕われるのが普通であるだけに、ドイツ東部の町シュクロイディッツで先日開かれた地方党大会はアンゲラ・メルケル首相にとってまさに衝撃的だった。

 メルケル氏の率いる保守政党・キリスト教民主同盟(CDU)の党員たちが、難民に「門戸を開く」同氏の政策をこれ以上ない厳しい言葉で非難したのだ。

 「どんな人が来るのか分からない」。集まった忠実な支持者1000人の前である代議員が発言した。「何人来るのかも分からない。すでに何人来ているのかも分からない」

 メルケル氏のリーダーシップを批判する参加者もいた。ある代議員は次のように言い切った。「『あんな首相はもう支持できない』と私に言ってくる市民がますます増えている」

 一方、メルケル氏が「これは私が首相として直面する最も大きな課題である。状況が厳しいことは承知しているが、私はあきらめない」と語り、「難民歓迎」の方針を貫くと誓うのを耳にして喝采を送る人もいた。

 しかし、シュクロイディッツで見た風景のうち脳裏にこびりついて離れなかったのは、次のような文句が書かれたプラカードだった。「難民による混乱を止めよ、メルケルは退陣せよ」

欧州最強の指導者に前例のない逆風

 欧州最強の指導者にそんな侮蔑の言葉が投げかけられたという話は、これまで聞いたことがない。だが同時に、この難民危機自体も過去に例のない規模になっている。

  問題を小さく切り分けることで知られるメルケル氏は、自身にとって最大の難問に真正面から取り組んでいるが、事態を収拾できるかどうかは誰にも分からな い。何しろ、押し寄せてくる亡命申請者の数は1日当たりで最大1万人に達しており、その合計は昨年の実績の5倍超に当たる100万人の大台をも突破しそう なのだ。流入は2016年になっても続くだろう。

 メルケル氏から見れば、最近行われたほかの地方党大会はシュクロイディッツのそれよりもはるかに順調に進んでいた。しかし、難民の流入ペースを遅くしたり、党内で強まる反対論を抑え込んだり、加速する支持率の低下を食い止めて反転上昇させたりする時間はあまりない。

 「今がメルケルの正念場だ」。マインツ大学のユルゲン・ファルター教授(政治学)はこう指摘する。「彼女には国民から信頼されているという大きなバッファー(緩衝材)があるが、それも縮小しつつある」

 懸念はほかの欧州連合(EU)加盟国にも広がっており、メルケル氏の難民政策を批判する向きは、ドイツ国内でのメルケル批判を見聞きして意を強くしている。ベルリン選出のある国会議員は、EUにはメルケル氏の苦境を見て喜ぶ人もいると話している。

  メルケルの退陣後はどうなるのかという話も、今となってはばかげているとは言えないようだ。高級紙「フランクフルター・アルゲマイネ」の政治担当エディ ター、ギュンター・バナース氏は言う。「政策に対する疑問から、首相としての能力についての疑問へと話が発展している。それ以上のところにはまだ進んでい ないが、絶対に進まないとは言えない」

 61歳のメルケル氏はもう10年近く首相の座にあり、その間にかなりの量の政治資本を蓄積している。ユーロ圏への脅威を乗り越え、経済成長を維持し、かつ外国から忍び寄る危険を回避してきた実績は国民から評価されている。

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナを侵攻して欧州の安定を揺さぶった時には、EUにおけるメルケル氏の中心的な役割が強化された。前回のギリシャ救済にあたって見せた非情なスタンスは国外で批判を招いたものの、ドイツ国内では受け入れられている。

  しかし、CDUとその姉妹政党でバイエルン州を本拠地とするキリスト教社会同盟(CSU)の支持率は下がっている。調査会社INSAの最新の調べによる と、保守のCDU・CSUの支持率はこの夏以来7ポイント低下し、2012年以来の低さになっている。とはいえ、下がる前の支持率は42%と高かった。国 会議員の任期半ばの与党の支持率としては、なかなか見られない高水準だ。


ドイツ南部ミュンヘンにある列車の駅に到着した、アンゲラ・メルケル独首相の写真を持つ難民〔AFPBB News〕

道義的信念に駆り立てられて

 難民危機は想定外の出来事だった。その勢いに圧倒された現地当局の職員らが助けを求め始めた8月の終わりごろには、首相の通常の対応――慎重さ――ではもう間に合わなくなっていた。

 メルケル氏は、ドイツはすべてのシリア難民を受け入れると表明し、シリアからやってきた亡命申請者を最初に入ったEU加盟国(普通はギリシャ)に送還する権利の行使も一時見合わせると発表して欧州諸国を驚かせた。

 メルケル氏はこれと同時に、申請を認められなかった亡命希望者の送還手続きを厳格にする計画も打ち出した。しかし、メディアが大きく取り上げたのは「シリア人歓迎」の約束であり、さらに多くの難民がドイツに押し寄せることになった。

 政界の盟友たちによれば、メルケル氏は道義的信念に駆り立てられ、難民を助けようという大勢のドイツ人ボランティアの姿にも心を打たれ、教会の指導者からドイツ最大の販売部数を誇る大衆紙「ビルト」に至るいろいろな人や組織に励まされたという。

 また評論家たちは、ドイツがユーロ圏危機で見せた厳格な現場監督のような顔ではなく優しい顔を見せるチャンスを、そしてナチスの過去からさらに遠ざかるチャンスをメルケル氏は恐らく見いだしたのだろうとの見方を示した。

背後には現実的な計算も

  しかし、メルケル氏の対応は現実を見据えたものでもあった。同氏はほかの対策――国境で難民の流入を制限する――のは実際的なやり方ではないと素早く結論 づけていた。警備隊が武力を使うことは、最後の手段としても認めるわけにはいかなかった。だが、武力を使えないとしたら、どうすれば人々の流入を止めるこ とができるのだろうか。「あれは計算だった」。ある政府高官はそう打ち明ける。

 メルケル氏の対応は、集中的 な外交努力を中心に行われている。まずシリアでの和平を要求し、トルコには人々の流出を制限するよう圧力をかけている。EUと非EU加盟国との国境管理強 化を望み、難民の影響を比較的受けていないEU加盟国には難民受け入れの拡大と、ドイツやオーストリア、スウェーデンなどが多めに被っている負担の共有を 促している。

 メルケル氏はこうした施策の助けになるように、亡命申請者に支給する現金の額を制限するという 緊急策も講じている。手続きの速度向上と亡命を認められなかった人々の送還の迅速化にも努めている。しかし、まだ人数を減らすには至っていない。新しい国 内ルールが適用できるか否かは、記録的な数に達している難民を急かされながらさばく職員の能力に決定的に依存している。

 国外に目を向ければ、シリアはまだ戦争状態にあり、トルコはわざとぐずぐずしている。欧州に突きつけた経済支援要求にドイツとEUがなかなかイエスと言わないからだ。一方、東欧諸国は、難民を再配分する計画に反対の声を上げている。

 そんなことをしている間にも、亡命を希望する人々は次々にやって来る。支援提供の最前線に当たる地方の議会は困窮している。リベラル派さえ反対の声を上げる始末だ。


欧州を目指して海を渡る難民、移民は後を絶たない(写真は10月27日、ギリシャのレスボス島に到着した少年たち)〔AFPBB News〕

 バーデン・ビュルテンベルク州テュービンゲン市のボリス・パルマー市長(緑の党所属)は、フェイスブックにこう記している。

 「もしこの状況が続けば、ドイツの人口は今後12カ月の間に365万人増えることになる。申し訳ないが、それを認めることはできない。政府は行動を起こさなければならない・・・さもなければ、社会の秩序が崩れてしまうだろう」

 多くのドイツ国民は、自分たちのアイデンティティーが脅かされると懸念している。この国は1980年代から、つまりドイツは移民に門戸を閉ざしていると国民が思っていた時代から大変な変化を遂げてきた。

 この国では労働力人口の高齢化が進んでおり、これを若返らせるために若い人々を必要としていたし、ベルリンの壁が崩れた後には東欧からの移民も入ってきたことから、国は大きく変わった。

 今日では国民の5分の1が、移民の第1世代か第2世代で占められている。

アイデンティティーの危機

  この多様性を称賛する人たちでさえ、その規模には耐えられないと感じている。CDUに所属し、ドイツ議会外交委員会の委員長を務めるノルベルト・レトゲン 氏は言う。「これは基盤に影響を与える。国家と我々のアイデンティティーの問題だ。多くの人は、両方が脅かされていると思っている」

 それと同時に、政治的な右派が勢力を伸ばしている。党内の分裂にもかかわらず、超保守派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は世論調査で全国的な支持率が8.5%と過去最高をつけ、2013年の選挙当時の4.7%から大きく伸長している。

 ドイツ西部より反移民感情がずっと強い元共産圏のドイツ東部では、同党の支持率は12%に上っている。


10月19日、ドレスデンでデモ集会を開く、移民受け入れに反対する団体「西洋のイスラム化に反対する愛国的欧州人(PEGIDA)」の支持者ら〔AFPBB News〕

 東部の街ドレスデンのポピュリズム運動で、定期集会に何千人もの参加者を引き寄せる「ペギーダ(PEGIDA)」は今月、強制収容所がもう機能していないのが残念だと述べた講演者を集会に招いた。

 さらに悪いことに、外国人嫌いの暴力が広がっている。今年に入ってから難民収容施設に対する襲撃事件が500件あり、2014年に通年で記録された170件の2倍以上に上っている。メルケル氏の盟友のトマス・デメジエール内相は「危ない急進化」について警鐘を鳴らした。

  こうした出来事を打ち消しているのが、ボランティアのネットワークに支えられ、難民を支援するために時間外労働をこなす何千人もの公務員たちだ。多くのド イツ人は、危機がドイツの一番いいところを引き出していると考えている。だが、そう思っている人でさえ、この状況がどれほど続き得るのか自問している。

 1991年に反移民暴動が起きたが、今では難民を受け入れているドイツ東部の街ホイエルスヴェルダのトマス・デリン副市長は「短期的にもっと大勢の人を受け入れるのは難しい」と言う。

 政府はことの緊急性を理解しており、年末までに難民の流入を減らしたいと考えている。CDU・CSU連合の議員らは、首相はこの約束を果たすのに「数カ月ではなく、数週間」の時間しかないと話している。

 左に目を向けると、メルケル氏が直面する困難は少ない。連立相手の社会民主党(SPD)と、議会の野党勢力である緑の党と極左の左派党はそろって、首相の開放的アプローチを支持している。問題は右側だ。

 保守派の有権者からの圧力とAfDの台頭の圧力にさらされ、CDUとCSUの議員の間では、政策変更、さらには180度の方針転換さえ求める人が増えている。

 批判が最も明白なのがCSUだ。ホルスト・ゼーホーファー党首の下で新しい国境管理を求める圧力が奏功しており、メルケル氏は国境中継施設を設置するというCSU主導の提案を支持している。難民手続きを現在のようにドイツ国内ではなく、国境で行えるようにする仕組みだ。

 もっと攻撃的に首相を批判する向きは、首相はさらに踏み込み、移住者が中継地帯を迂回するのを食い止めるためにフェンスを設置しなければならないと主張している。

 だが、そうした人でさえ、国境警備隊が武力を使ってはならないのだとしたら、どうやってフェンスを守るのか説明するのをためらっている。

  政治調査会社テネオ・インテリジェンスは、批判派にある程度譲歩するメルケル氏の戦略と中東外交が「やがて首相の支持率を安定させる助けになる可能性は十 分ある」と言う。しかし、配下の議員たちは待てるだろうか。最近の世論調査での支持率低下が2017年の次回選挙で繰り返されたら、CDU・CSU連合の 311人の議員のうち60人前後が議席を失うことになる。

我慢の限界

 久々にメルケル氏の指導者の地位に疑問符がついている。来年3月の地方選挙は簡単に、メルケル氏の難民政策――そして同氏の首相の座――を巡る国民投票と化してしまう恐れがある。

 ファルター教授はまだ、メルケル氏が首相の座にとどまり、2017年にCDU・CSU連合を率いていると見ている。だが、その確率は75対25程度だとしている。不人気なEUの指導者なら、そのような確率を喜ぶかもしれない。だが、欧州の女帝は違う。

  メルケル氏にとって幸いなことに、自然と後を継ぐ人はいない。最も有力な候補はタカ派の財務相、ヴォルフガング・ショイブレ氏だろう。同氏は難民政策を批 判することは避けたが、急激に膨れ上がるコストに言及し、自分が抱く懸念を示唆した。だが、73歳という年齢からすると、同氏は多くの議員にとって一時し のぎの候補でしかない。

 国内の圧力はEU内でもメルケル氏を傷つけている。東欧諸国の指導者はメルケル氏の難民政策に抵抗しただけではない。ハンガリーのビクトル・オルバン首相はドイツに介入までしてみせた。

 ゼーホーファー氏を訪ねた注目の会合で、ハンガリーの反移民フェンスを築いたオルバン首相は自身のことを「バイエルンの国境警備隊長」と呼んだ。

 難民の受け入れを渋る態度は、多くを物語っている。問題は東欧の人たちだけではない。英国はEU全域での難民再分配計画に参加するのを拒んだ。フランスはささやかな貢献しかしていない。

反対勢力には慣れているが・・・

 前出のレトゲン氏にとって、この協調の欠如はEU全体にとっての挫折だ。「難民に関して連帯を示せないことは、これまでで最大の欧州の敗北であり、将来の欧州の安定に影響する」と同氏は言う。

  メルケル氏にとって、反対は何ら目新しいことではない。何しろ彼女は、自身の属する党の重鎮たちの敵意にもかかわらず、権力の座に就いた控えめな東ドイツ の牧師の娘だ。新しいのは、彼女が直面するリスクだ。すぐにでも事態を掌握できなければ、メルケル氏の地位が危うくなりかねないのだ。

By Stefan Wagstyl
© The Financial Times Limited 2015. All Rights Reserved. Please do not cut and
paste FT articles and redistribute by email or post to the web.

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45122

アンゲラ・ドロテア・メルケル(ドイツ語: Angela Dorothea Merkel)

1954年7月17日ハンブルク生まれ
ポーランド系ドイツ人
エカチェリーナ2世を尊敬しており、オフィスに彼女の絵が飾られている
2000年よりキリスト教民主同盟 (CDU) 党首
第8代ドイツ連邦共和国首相(女性としては初)
1977年ウルリッヒ・メルケルと結婚4年後離婚
東ベルリンにある科学アカデミーに就職し、理論物理学を研究
1986年博士号取得(物理学者)
1989年ベルリンの壁崩壊
・現在の夫ヨアヒム・ザウアー(フンボルト大学ベルリン教授で量子化学者)と1998年結婚
・1990年12月2日の連邦議会選挙で故郷メクレンブルク=フォアポンメルン州から出馬して初当選
初当選議員ながら、第4次コール政権の女性・青少年問題相に抜擢され、1991年1月18日に就任
・1994年10月の連邦議会選挙により成立した第5次コール政権では環境・自然保護・原発保安担当大臣に就任
・2000年4月の党大会で承認されCDU党首に就任
・2005年11月22日、第8代連邦首相に51歳で就任

2014 年3月、習近平国家主席と会談した際、古地図を贈った。この地図は、宣教師がもたらした情報を元に描かれたもので、1735年時点での清朝の領域を示して いる。新疆、チベット、内モンゴル、尖閣諸島は、清朝の領域外となっている。しかし、一部の中国メディアは、地図をすげ替え、贈呈されたものとは違う古地 図を掲載し、報じた。

かなりのサッカー好きであり、「ドイツ代表12番目の選手」を自認している。

【語録】

・「私は体育の授業の間ずっと飛び込み台の板の上に立っていて、45分経ってようやく飛び込むタイプの人間です」(2000年)
・「多文化主義は見事に失敗した」(2004年)
・「窓ですね! こんなに頑丈で美しい窓を作れる国はないですから」(2004年、「ドイツと聞いて連想するものは?」と聞かれ)
・「赤緑連立(SPD+同盟90/緑の党)が治めていない一日一日が、ドイツにとってのいい日です」(2005年)
・「ドイツに仕えます」(首相候補に指名されての第一声)
・「女子代表はもう世界一になりました。女性に出来て男性に出来ない理由などないと思います」(翌年のワールドカップを控えて、2005年末の国民向け挨拶で)
・ 「ミュンヘンの人が『ベルリンへ行こう!』と叫ぶのは、何か素晴らしいことだと思う」(ワールドカップ中の2006年6月、ミュンヘンでドイツ代表がス ウェーデン代表を下し、歓喜するファンが「決勝戦の行われるベルリンへ行こう!」と叫んでいるのを受けて。聞きようによっては、この前年メルケル内閣への 入閣を拒否したシュトイバーへの嫌味とも取れる)
・「ヨーロッパがキリスト教クラブでないというのは正しい。しかしヨーロッパが人権と市民権を基本とするというのもまた事実です。そしてここドイツでは、人権と市民権をキリスト教的人間像に重ねているのです」(2006年のCDU党大会で)
・「中華人民共和国は、我々の様に知的財産権を尊重することを学ばねばならない。なぜなら、それを簡単にコピーすることは窃盗だからです」(2006年)
・「私の愛車はフォルクスワーゲンです」(2007年2月12日付の『フィナンシャル・タイムズ』紙ドイツ語版で、ドイツの野党議員の発言が切っかけに巻き起こった『日本車賛美論争』で発言)
・「私は時にリベラル、時に保守、時にキリスト教社会主義です。それこそがCDUをなしているのです」(2009年9月、ARDの番組にての発言)
・「国家は破綻する筈が無いという噂があります。この噂は正しくありません」(銀行家との会合での発言。『デア・シュピーゲル』誌、2009年第5号)
・「あなた方ハンガリー人は、ドイツ人の自由への意志に翼を与えました。あなた方の勇気が、ベルリンの壁を崩壊させる決定的な一撃となったのです」(2009年8月19日、汎ヨーロッパ・ピクニック20周年記念演説の一節)
・「『さあ、多文化社会を推進し、共存、共栄しよう』と唱えるやり方は、完全に失敗した」(2010年10月16日、自党の青年部会議における発言。)
・「シュタージの様だ」(2013年、アメリカ合衆国のNSAに、PRISMで携帯電話を盗聴されていた事に関して)。

公式サイト
http://www.angela-merkel.de/

(Wikipedia)

◆独情報機関、秘密裏に米やEU諸国の情報収集か 米国の諜報活動批判のメルケル政権 窮地に

2015.10.15 産経ニュース

 【ベルリン=宮下日出男】独誌シュピーゲル(電子版)は14日、ドイツの対外情報機関の連邦情報局(BND)が2013年まで長年に渡って、米国のほか、フランスなど欧州連合(EU)加盟国の大使館や関係当局から秘密裏に情報を収集していたと報じた。

 ドイツはこれまで米当局による情報収集活動に反発してきたが、報道が事実であれば、自国機関も同盟国の情報を集めていたことになり、苦しい立場に立たされる可能性がある。

 報道によると、収集された具体的な情報の内容は不明だが、BNDは13年秋まで監視システムを通じて、膨大な情報を傍受していたという。

 情報収集問題をめぐっては、独連邦議会(下院)の特別委員会が調査してきており、BNDの今回の活動については政府側が14日、特別委に報告したという。特別委は今後、情報収集を誰が指示していたかなどについて、関係者から事情を聴いて調査する方針だ。

 独メディアは今年4月、BNDがフランスの政府関係者や防衛企業の情報を収集して米側に提供していたとも伝えていた。

http://www.sankei.com/world/news/151015/wor1510150030-n1.html

◆独当局、情報機関機密資料暴露のジャーナリストを国家反逆容疑で捜査 メディアは「報道の自由への攻撃」と反発

2015.8.2  産経ニュース

  【ベルリン=宮下日出男】ドイツ情報機関の機密資料をインターネット上のサイトで暴露したとして、独当局が国家反逆容疑でジャーナリスト2人の捜査を始 め、波紋が広がっている。独メディアは、政界とメディアを揺さぶった50数年前の「シュピーゲル事件」と重ね、報道の自由への圧力であるとして批判を強め ている。

 捜査の対象となっているのは、ネット上の人権などに関する報道で知られるサイト「ネッツポリティク」の主宰者ら2人。7月30日に自らのサイトで、連邦検察庁から捜査の通知を受けたことを明らかにした。

 問題とされたのは、今年2月と4月の記事2本。情報機関の連邦憲法擁護庁が国内の過激派対策のため、ネット上の監視強化を図っているとの情報を内部文書の抜粋とともに報じ、擁護庁が検察庁に告訴した。

 ドイツでは近年、米当局などの情報収集活動が問題化し、当局側は機密漏えいに神経をとがらせている。だが、メディアは「報道の自由への攻撃」(独ジャーナリスト協会)と一斉に反発。検察は31日、容疑に該当するか、専門家の鑑定を待つ考えも明らかにした。

  最大で終身刑が科される国家反逆罪をジャーナリストに適用するのは異例。1962年、軍事機密を報じた独有力誌シュピーゲルをめぐる事件では、同容疑で拘 束された編集者らは証拠不十分で釈放されたが、報道の自由への介入との批判が高まり、当時の国防相が事実上、引責辞任した。

 シュピーゲル(電子版)は捜査について「62年を想起させる」とした上で、「再び記者が標的にされた」と懸念を示した。南ドイツ新聞も62年の事件に言及し、当局は情報提供者やメディアへの警告のため「小さなサイトを狙った」と批判した。

http://www.sankei.com/world/news/150802/wor1508020025-n1.html

◆メルケル、トルコを悪魔的に抱擁

2015年10月27日  マスコミに載らない海外記事

Finian Cunningham
公開日時: 22 Oct、2015 16:18
"RT"


ドイツのアンゲラ・メルケル首相と、トルコのタイィップ・エルドアン大統領 Tobias Schwarz / Reuters

EU難民危機を緩和する“代償”として、シリア国内に“安全地帯”を作るよう、トルコはドイツに圧力をかけている。これは、NATO軍が結局、ロシア軍と対立することになり、シリア紛争をエスカレートさせかねない悪魔的契約だ。

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、先週末大急ぎでイスタンブールにでかけ、トルコが強く望んできた欧州連合加盟に関する大転換で締めくくった。僅か数週間前、トルコ加盟反対を繰り返したのに、驚くべき動きで、トルコのEU加盟推進を支持するとメルケルは発表した。

“ト ルコが切り札を全部持っている”とドイツ・マスコミのドイチェ・ヴェレは述べた。第二次世界大戦以来、最大の人々の大規模移動である、ヨーロッパの移民危 機におけるトルコの極めて重要な役割を考えれば、これには同意せざるを得ない。国際移住機構によれば、今年だけで、約600,000人の難民がEU国境に 到来した。

大半の大移動は、現在250万人の難民を擁するトルコからのものだ。その大半は、トルコの南国境、シリアの約5年間にわたる紛争から生じている。

ト ルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領とアフメト・ダウトオール首相は、この危機がもたらした好機を、EUに、難民の流れを止めるには“トルコ が必要”だということを認めさせるに利用しようとしている。これこそ、メルケルや他のEU高官が、先週、アンカラ政権に、一体なぜ新たに芽生えた気遣いを 示したかという理由だ。

先週日曜、エルドアンとダウトオールと会うため出発する前、ドイツ首相は“あらゆる選択肢が議題だ”と述べた。後に、指導者たちは“行動計画”を作り上げたと語り、計画は、ベルリンとアンカラで計画されている、よりハイ・レベルの会合で、今後数週間でまとめられる予定だ。

分かっていることは、今やメルケルが、28か国のEUへのトルコ加盟を巡る交渉復活を支持していることだ。2005年以来 トルコの人権問題実績と、少数派クルド住民に対するアンカラの弾圧を巡るEUの懸念から、交渉は棚上げになっていた。

メルケルが確認したもう一つの明らかなEUの譲歩は、トルコが現在世界で最大と言われる大量難民を受け入れていることに対する支援として、30億ユーロ(34億ドル)の支払いだ。アンカラは国内にいる難民の面倒を見るため、既に80億ドル費やしたと主張している。

アンカラがEU要求にしている三つ目の妥協は、北シリアに“安全地帯”を設定するという以前からの要求の受け入れだ。メルケルは、ダウトオールと記者会見を行った際、その話題については留保したが、トルコ首相はこの問題について抑えようとはしなかった。

“シリア国内での安全地帯設置は、トルコの絶対要求だ”とダウトオールは述べた。“シリアに安全地帯を設置し、難民をシリア国内に止めておく必要性を、私が繰り返す理由だ”と彼は補足した。


ドイツ、ベルリンの保健社会局(LaGeSo)前の敷地で、登録のために並ぶ移民 Fabrizio Bensch / Reuters

戦 争が2011年3月に勃発して以来、トルコは、北シリアに、いわゆる安全地帯を設置することを強硬に主張している。しかしワシントンもヨーロッパ同盟諸国 も、この考え方にはしり込みしている。本質的にシリア政府軍の排除を意味する、シリア国内のそのような緩衝地帯を維持するには、欧米諸大国による大規模軍 事介入が必要になるからだ。実際、それを実施するには、アメリカとNATO戦闘機と地上軍を必要とする飛行禁止空域なのだ。

し かし、悪化する移民危機が情況を変え、トルコに決定的影響力をもたらしているようだ。特にメルケルは、難民の奔流を止めるよう圧力を受けている。彼女のこ れまでの亡命希望者に対する“門戸開放政策”は、他のEU加盟国が更なる負担を分け合うことを拒否して、まずい結果を招いている。

今 週ドイツでは、右翼のペギダ運動が開催した反移民抗議集会があった。しかも、それが動員しているのは、極右だけではない。多くがメルケルのキリスト民主党 の中核的支持者である中道派ドイツ人すら、難民流入をめぐる懸念で増えている。ある最近の世論調査では、メルケルの受け入れ姿勢を支持するドイツ人は、わ ずか三分の一しかない。

ハンガリー、クロアチアとスロベニアが国境検問所を閉鎖したため、冬が近づく中、何万 人もの難民が地獄のような状態に直面しており、多くがオーストリアとドイツへ向かう必死の旅に向かっている。ぬかるむ野原で凍えている移民家族が機動隊と 争っている、マスコミ映像で、EUのイメージは国際世論の非難の的になっている。危機がどうしようもなくなり、メルケルは明らかに、それに関して何かする よう強いられたのだ。

トルコは好機に更につけこもうとしているようだ。メルケル出国後、ダウトオールは、トルコは決して“強制収容所”にはならないと警告した。

首 相はトルコ・マスコミにこう語った。“‘お金をくれれば、彼らをトルコに留まらせる’というような考え方は受け入れられない。”ダウトオールは、挑戦的 に、こう補足した。“メルケル首相にも言った。トルコがあらゆる難民が暮らす強制収容所のような国になるのを受け入れる人などいない。”

国 連難民機関UNHCRは、トルコを出て、ギリシャに行き、更にヨーロッパへと向かう移民の数は、ここ数週間で増えていると報じている。これは、トルコ当局 が、結果として生じる移民の流れで、EUに対するアンカラの交渉力が強化できることを知って、難民のヨーロッパ移動を開放するという暗黙の政策を活用して いる可能性を示唆している。

もしEUが、メルケルの指揮のもと、北シリアに安全地帯を設定するというトルコの 要求に応じれば、それは良からぬ影響をもたらすだろう。トルコはかつて、こうした地域を、戦略的に重要な北部の都市アレッポ近くまで侵入させることを要求 していた。安全地帯は“反政府戦士”の避難所としても利用されよう。トルコや欧米の同盟諸国は、こうした反政府派を“自由シリア軍”“穏健派”戦士と呼ん でいる。しかし自由シリア軍は、様々なアルカイダ集団や「イスラム国」過激派聖戦士に対する虚構の偽装であるのは公然の秘密だ。

エルドアンとダウトオールのトルコ政府は、欧米のシリア政権転覆秘密作戦における過激派傭兵の主要支援者と見なされている。トルコの野党やシリア政府によれば、トルコは、外人聖戦士と武器の主要輸送路として機能している。

アンカラが“安全地帯”の設置を主張するのは、紛争で難民になった一般市民を支援するのが主な動機だというが、政権転覆用の傭兵に、シリア政府軍による軍事攻撃からの援護を与えることが本当の狙いであるのは明らかに思える。

ロシア戦闘機が シリア政府を支援し、様々な過激派軍団を現在激しく攻撃しているので、トルコ国境沿いに設置される飛行禁止空域は、NATO軍をロシア軍と直接紛争させることになる。

シ リアのバッシャール・アル・アサド大統領に対するあからさまな計画を遂行するというトルコの狙いを、ドイツ政府が感じている可能性はある。しかし、ヨー ロッパ移民危機が激化するにつれ、メルケルは、言いなりになっているかのように見える。特に自国民の間で不満が増大しているため、彼女は早急に難民危機を 食い止める必要に迫られている。

しかしながら、もし彼女がアンカラの“安全地帯”要求に譲歩すれば、今度はNATOがロシアと対抗することになり、シリア紛争は計り知れないレベルにエスカレートされる。

ずっと単刀直入で効果的な代案がある。シリアのアサド大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領が打ち出したものだ。つまり、ワシントンと、トルコを含む同盟諸国が、犯罪的な政権転覆策謀をやめて、シリア政府の主権を尊重することだ。

Finian Cunningham(1963年生まれ)は、国際問題について多く書いており、彼の記事は複数言語で刊行されている。アイルランドのベルファスト生まれ の農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまで、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務した。20年以上、ミラーや、アイリッ シュ・タイムズや、インデペンデント等の大手マスコミ企業で、彼は編集者、著者として働いた。現在は、東アフリカを本拠とするフリーランス・ジャーナリス トで、RT、Sputnik、Strategic Culture Foundationや、Press TVにコラム記事を書いている。

本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。

記事原文のurl:https://www.rt.com/op-edge/319416-merkel-turkey-migrants-syria/

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/post-ccd7.html
◆【速報】ドイツ・メルケル首相 フォルクスワーゲンの不正を知っていながら隠蔽していた

アンゲラ・メルケルは昨日フォルクスワーゲン騒動に巻き込まれました。 
>ドイツの野党政治家が彼女の政府が放出結果を浪費している会社を前もって知っていたと発言。 
ドイツの緑の党は、排出検査で不正を行っているフォルクスワーゲンについて大臣がすでに夏に知っていた。 
しかし、『不正操作と詐欺』が『ウィンクで受け入れられた』と言いました。 
http://www.dailymail.co.uk/news/article-3246844/Did-Merkel-cover-Volkswagen-scandal-car-maker-s-boss-quits-German-leader-accused-accepting-trickery-wink.html 

引用元:http://hayabusa3.2ch.sc/test/read.cgi/news/1443223074

 世界最大の華僑 「李嘉誠」とは何者か?

2015-10-25 14:39:55 | 資料
中国の対英国投資はどれほどのものか

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成27年(2015)10月23日(金曜日)弐
         通算第4696号 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 習近平訪英で総額7兆円の投資を約束したが
  李嘉誠たったひとりの対英投資だけでも、かるく中国を凌駕していた
**********************************

 訪英はしたものの、英国王室と政界は騒いだが、庶民はさっぱり。産業界は疑いの目でみている。とくに鉄鋼業界は反中国感情が露骨であり、原子力業界は、中国の原子炉技術を疑う。
英マスコミの対中論調も冷たい。

 投資額に目がくらんでいるのではないかとする声もあるが、たいした金額ではない。香港財閥第一の李嘉誠は、たった一人での英国投資は、かるく中国一国の投資額を超えていた。

 2010年以来、李嘉誠が率いる長江実業と和記グループは総額250億ポンド。それまでの中国の対英国投資は総額で141億ポンドである。
 欧州全体に対する中国の投資額は過去十年間に1550億ポンド、フランス、ドイツ、英国の順だった。

 英国は李嘉誠に爵位を授与してもてなし、その破天荒な投資を歓迎してきた。

ちなみに李嘉誠がなした英国投資を一覧すると、
 2000年 36億ポンドを投じて3G(電信送信企業)を買収
 2010年 90億ポンドを投資し英国電網を買収
 2011年 39億ポンドを投じて水力供給企業を買収
 2012年 30億ポンドを投じてガス供給企業を買収
 2014年 15億ポンドを投じて、商業地区施設を買収
 2015年 10億ポンドで鉄道企業を買収し、同年103億ポンドで「02UK」社買収を提案。
 これらは主としてユテリティ分野だが、ほかに高級住宅地開発、マンション群の建設を販売を手がけている。

http://melma.com/backnumber_45206_6276688/
◆李嘉誠系、英水道大手を買収:総額48億ポンド、投資が急拡大[建設]

2011/08/04   NNA.ASIA

イ ンフラ事業を手掛ける長江基建(CKI)は2日、親会社の長江実業グループ、同グループ会長で大富豪の李嘉誠氏による慈善財団「李嘉誠基金会」と共同で、 英国の水道サービス大手、ノーサンブリアン・ウォーター(NW)を買収すると正式発表した。買収額は24億英ポンド(約3,000億円)。NWが抱える同 額の負債も引き継ぐため、実質的な投資総額は48億英ポンドに達する。

2010年に買収した発電所のシーバン ク・パワー、送電を手掛けるUKパワー・ネットワークスに続き、この1年半でCKIによる英国でのインフラ事業買収は3件目。投資総額は1,300億HK ドル(約1兆2,900億円)に達し、ここへきて英国における投資が急拡大している。

05年に買収したガス供給を手掛けるノーザン・ガス・ネットワークス、07年に獲得した水道サービスのサザン・ウォーターを含めると5件目となる。NWの買収は10月に完了する見込みだ。

3日付信報によると、CKIの甘慶林社長は英国でのインフラ事業を強化する狙いについて、「まず利回りが高く、次に安定性 があるため」と説明。英国のように制度が整備された国ではインフラ事業における規制の透明性が高く、利益が確保しやすいとして投資を強化しており、同国を 含めた海外で、現在も20項目以上の投資案件を物色中という。

■株価は2カ月で3割急騰

CKI、 長実グループ、李嘉誠基金会が、それぞれ40%、40%、20%出資し、設立した合弁会社UKウォーター(2011)がNW買収の実務を担う。ロンドン市 場に上場するNW株1株当たりでは4.65英ポンドの買収提案額となり、プレミアムは同社株の1日終値に比べ3.3%。2日の買収発表後には、同社株が寄 り付きで前日比4%超も上昇した。買収報道が出た6月に比べると、同社株はこの2カ月近くで約3割も急騰した計算になる。

李嘉誠氏はこれまで、投資物件を長期間保有するスタイルで大きな利回りを実現しており、市場の期待も高いようだ。

NWはイングランド北東部、南東部でサービスを提供しており、顧客数は450万人に及ぶ。前年度の純利益は1億8,000万英ポンド。同社株式の27%を保有するカナダのオンタリオ州教職員年金基金も既に買収提案に賛同しているという。

また、NW買収に伴い、英競争委員会の審査を避けるために売却を検討していた同業のケンブリッジ・ウォーターについては、HSBCグループに4,590万英ポンドで売却することに合意したとしている。<香港>

http://news.nna.jp.edgesuite.net/free/news/20110804hkd002A.html

◆李嘉誠氏の長男、英ガス会社を買収、英紙「イギリスをほぼ買い取った」

2012年12月5日  朝日新聞デジタル

 写真左は李沢鉅氏
【中国証券網】 香港の大富豪、李嘉誠氏の長男である李沢鉅(ビクター・リー)氏は英国の天然ガス会社ウェールズ&ス ウェストユーティリティーズ(WWU)を買収した。これに先立ち、英国の電力会社と水道会社を買収している。英紙は「李沢鉅氏がイギリスをほぼ買い取っ た」と報じている。

世界の株式市場が低迷する中で、李沢鉅氏は7月25日、WWU社を77億5300万香港ドルで買収した。これは李沢鉅氏が父の後を継ぎ、中国一の富豪になって以降、初の大型取引となる。

WWUは英国の8大ガス管運営会社の1つ、ウェールズとイングランド西南部を主な市場とし、天然ガス運輸資産の管理や天然ガスの運輸、天然ガスメーターサービスを手掛ける。英国の土地面積の6分の1の740万の顧客を持つ。

WWU を買収後、李沢鉅氏は3割近くの英天然ガス市場を制覇し、4分の1の英国人に天然ガスを供給することになる。また、同氏傘下の長江基建は、2010年と 2011年に英国の電力会社と水道会社を買収しており、同国の約4分の1つの電力市場と約5%の水道市場が李ファミリーの資産となった。

李沢鉅氏は1985年に米スタンフォード大学を卒業し、21歳に父が創設した長江集団に入社した。長江基建の分割上場を担当したことがあり、長江基建の主席を務めた。2003年に米情報誌「タイムズ」に「世界の商業界で最も影響力のある人物」の1人に選ばれた。

李嘉誠氏は今年7月に財産分与を行い、李沢鉅氏は時価総額8500億香港ドルに上る22社の上場企業を持つ長江集団を引き継いだ。李沢鉅氏の総資産は2900億香港ドル以上となり、李嘉誠氏の昨年の1708億香港ドルを抜けて中国一の富豪となった。

(翻訳 王秋/編集翻訳 伊藤亜美)

http://www.asahi.com/business/news/xinhuajapan/AUT201212050126.html
 ◆李嘉誠が英国通信最大手を買収へ

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成27年(2015)2月2日(月曜日)
    通巻第4452号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 李嘉誠の「脱香入欧」(香港を捨てて欧州へ投資)が本格化
  今度は英国通信大手「02」社買収へ動く
********************************

 香港最大財閥(世界富豪ランキングでも十四位)の李嘉誠は旗艦の長江実業と和記を統合し、本社をケイマンへ移籍することは既報の通りだが、とりわけ英国ロンドンへの投資が勢いを増し、中核の不動産開発ビジネスから、つぎは移動通信事業への本格進出を果たそうとしている。

 150億米ドル(邦貨換算1兆8000億円)を投下して、通信王手の「02」に買収をかけた。
  「02」社は英国最大の通信網を誇り、2006年にスペイン企業が買収した。その後、現金フローが悪く、有利子負債がかさんで経営状態が思わしくなくな り、身売り話が持ち上がっていた。現在ロンドンの当該管轄機構(日本で言う公正取引委員会)が審査を開始し、この買収が適当かどうかの判断を下す。

 李嘉誠グループはすでに英国で「英国電力網洛」(英国で30%の電力供給)、「THREE電信」(顧客800万台)、「ノースアンブライン」(下水処理企業)などを買収しており、今回の「02」は移動通信企業として2400万台を抱える大手だ。

 このように李嘉誠は、江沢民と親しかった政治的条件を利用して香港ばかりか、中国大陸で幅広くビジネスを展開してきたが、新しい梁震英・香港行政長官と折り合いが悪く、同時に江沢民の影響力低下にともなって大陸でのビジネスに見切りをつけた。

大陸内に保有してきた物件をほぼ売りはらい、もてあますキャッシュをカナダと英国の企業買収ならびにロンドンでの不動産開発プロジェクトに投資してきた。

http://melma.com/backnumber_45206_6159573/
◆李嘉誠氏が800億元の投資を撤収 上場会社の登録地も移転

2015年09月22日  新華ニュース

2013 年から、華人富豪の李嘉誠氏が中国本土部の不動産と資産を投売りするといった情報が流れた。不完全な統計ではあるが、2014年1月から2015年4月ま でに李嘉誠氏は資産譲渡又は他の方式で738億余元の現金を獲得したことになる。販売中の陸家嘴プロジェクトを加えれば、李嘉誠氏が販売した人民元建ての 資産総額は1000億元を超える見通しだ。

2015年初め、李嘉誠氏は「長江実業と和記黄埔(ハチソン・ワン ポア)の合併後に成立した長和グループは長江実業及び和記黄埔の全ての非不動産類の資産を持っている。また長江実業地産も6月に香港に上場した」と発表し た。関係メディアは「分割と再編により、李嘉誠氏は傘下の関係会社の登録地を香港からケイマン諸島やバミューダ諸島などの知名なオフショア金融センターに 移転した」と報じた。

李嘉誠氏は財務弾力性を高めるため、登録地を移転したとの見方を否認したが、周囲は李嘉 誠氏が中国本土部への投資を撤収しているとしている。新華社傘下のシンクタンク瞭望智庫が「李嘉誠を逃がすな」という羅天昊と署名した文章を発表し、話題 を呼んだ。その後、李嘉誠氏が率いた長和グループは投資撤収説を否認し、「売買は正常な商業行為だ」と強調した。

一部の人がこれを李嘉誠氏が中国経済の成長性を悲観視している信号と見なしたことに対し、中国国家発展改革委員会の連維良副主任は、「より多くの海外投資家は中国に投資することに自信を持っている。改革における重要な目標は開放型経済の新体制を構築することだ」と述べた。

(翻訳 劉英)

http://www.xinhuaxia.jp/social/80810

李嘉誠(り かしん、広東語:Li Ka Shing)

1928年に中華民国の広東省潮州市に生まれ
日中戦争の戦火から逃れ1940年家族とともにイギリスの植民地の香港に逃れた。しかし、太平洋戦争の勃発により、香港も日本軍の占領下に入り、父も間もなく亡くなったため、学業を断念してセールスマンとなった。
最終学歴は中卒(高校中退)。
1949年香港にプラスティックの工場を作り、造花を売り出したところ、「ホンコンフラワー」として大当たりとなった。
1958年に不動産業に転身し、長江実業有限公司を設立して香港最大の不動産ディベロッパーとなった。
1979年に和記黄埔(ハチソン・ワンポア)、
1985年に香港島の電力供給を独占する香港電灯を買収し規模を拡大した。
1989年に天安門事件が発生して外国企業が中華人民共和国から避難したとき、逆に中華人民共和国への投資を拡大して香港最大の企業集団として台頭した。
主に中華人民共和国の発電所建設に当る長江基建などを所有し、中華人民共和国の指導者とも深いつながりがある。
左派資本家の霍英東や、マカオのカジノ王(香港でもグループ企業を持つ)スタンレー・ホーとも親しい。
ただし、北米などへも投資していることから、全国政治協商副主席への就任を断ったとも言われている。

2013年度世界長者番付によれば、その資産は310億米ドルとされ、世界8位の富豪である。
李の日常生活は質素で、李嘉誠基金会を通じて多額の献金を行っている。
1981年には20億香港ドルを投じて故郷の潮州の近くに汕頭大学を創設。
2004年のスマトラ沖地震では300万米ドルを寄付した。

・長男のヴィクター・リー(李沢鉅)は長江実業の副会長兼社長として後継者の地位にある。
1996年誘拐され、身代金10億香港ドルを払ったとされる。犯人は後に中国で逮捕・処刑された。
・次男のリチャード・リー(李沢楷)は香港最大の通信会社であるPCCW(パシフィック・センチュリー・サイバー・ワークス)を率い、東京の丸の内にパシフィックセンチュリープレイス丸の内を建設したことで日本でも知られる。
・妻の荘月明は既に亡くなっているが、自殺ではないかとも噂されている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%8E%E5%98%89%E8%AA%A0

◆長江実業

現会長の李嘉誠が1950年代に長江工業有限公司として創業し、その後香港の発展と共に主導的地位を築きあげた。
長江実業として1972年に香港証券取引所に上場。香港で最大の不動産開発企業のひとつであり、商工業などその他の産業でも重要な地位を占める。
現社長兼副会長は、現会長李嘉誠の長男、李澤鉅(Victor Li)。

現 会長の李嘉誠が1950年代に長江工業有限公司として創業し、その後香港の発展と共に主導的地位を築きあげた。長江実業として1972年に香港証券取引所 に上場。香港で最大の不動産開発企業のひとつであり、商工業などその他の産業でも重要な地位を占める。現社長兼副会長は、現会長李嘉誠の長男、李澤鉅 (Victor Li)。

資本金 11億58百万香港ドル
売上高 423億59百万香港ドル
総資産 3,731億86百万香港ドル(2011年12月期)
決算期 12月末日
主要株主 Li Ka-Shing Unity Trustee Company Limited 40.43%

公式サイト
http://www.ckh.com.hk/en/global/home.php

 支那共産党が大陸本土を支配したが、香港では李嘉誠と包玉剛の香港財閥が 「HSCB」と深く結びついていた。李嘉誠の財閥は「長江実業」を創立し海運業に進出した。包玉剛は「恒生銀行」を中心に金融財閥を拡大していった。香港 が支那に返還された現在でも、李と包の2大財閥はいずれも、「HSBC」の最高幹部である。
 1992年、支那空前の企業買収劇となり世界を瞠目させたCITIC・中信 による企業・恒昌の買収も、実は李嘉誠が実働部隊であった。

 この中信の「花形」であるハイテク部門・中信技術公司の総技師長(技術部長)が鄧小平の次男・鄧質方であり、現在では出世し、中信グループ全体を仕切る中信興行公司総経理の地位に就いている。

 また中信の軍需部門、つまり支那の軍事産業の中核企業・保利公司の総経理には鄧小平の娘婿・賀龍(支那軍の元帥)の息子・賀平が就任している。

 文字通り「株式会社・支那」である。

それが李一族の手によって経営されている。

 この支那の軍需産業の中核をも担う中信は、米国のウォルマートの支那支部、ウォルマート華東を共同経営している。このウォルマートは、米軍の下部組織である。

 「株式会社・支那」は李一族である。

麻薬ディーラーとしてアジアの地下経済に通じたイスラエルは、アジアの「統一支配者」李一族と既に提携している。

 台湾の李登輝元首相一族、中国の李鵬元首相一族と李先念国家主席一族、中国・香港の支配者李嘉誠(リカシン)一族、シンガポールの元首相李光耀(リークアンユー)一族。
これら李一族は全て同一血族であり、アジアの表経済、地下経済は李一族とパーミンデックスが既に固めている。黒社会しかり。

◆中国1の大富豪・李嘉誠氏 週刊紙にプライベート語り話題に

2014.01.03  zakzak

 香港の大富豪で、世界の中国系実業家のなかでもトップの資産を有する李嘉誠10+ 件(り・かしん)長江実業会長がこのほど、広東省の人気週刊紙「南方週末」による単独インタビューに応じ、話題を呼んでいる。

 めったに明かされない李氏の毎日のプライベートな習慣などが語られているほか、1996年に長男で後継者の李澤鋸(ビクター・リー)氏が誘拐された際に誘拐犯の香港マフィアのボスとのやりとりを明かすなど、興味深い内容になっている。

  李氏は1928年生まれの85歳。故郷は福建省潮州市だが、日中戦争により日本軍が潮州市に侵攻してきたため、李氏一家は1940年、香港に逃れる。とこ ろが、その翌年には香港も日本軍の統治下に置かれるなか、1942年には父親が肺結核で死亡。14歳の李氏は母親や幼い弟や妹を養うため、学業を断念して セールスマンになり生活費を稼ぐことになった。

 ところが、李氏自身も肺結核を患っていることが分かり、死の恐怖にさらさられる。「このときが私の人生で最大の危機だった」と李氏は振り返る。

 肺結核を克服した李氏はセールスマンをしてためたわずかな資金をもとに、1949年にプラスティック工場を立ち上げ、造花を生産、これが「香港フラワー」として大評判となり、世界中で売れ、一財産を形成し、現在の大実業家の基礎を築いた。

 さらに、不動産開発などさまざまな業種にわたり幅広くビジネスを展開し、今年で「中国の長者番付」で15年連続トップの座を維持している。

  これについて、李氏は「わたしは他の企業にも関心を向け、それらの年報を読み込むなど数字はほとんど記憶してきた。また、現時点の儲けばかりでなく、さま ざまなニュースやデータを分析して、1年後、2年後など近い将来の経済情勢を思い浮かべるようにしてきた。だから、2008年のリーマン・ショックなどの 経済危機も予測できたのだ」と述懐する。

 この鋭い分析力の基本が毎日の習慣だ。李氏は毎朝6時前に起床し、テレビニュースを見る。朝食後、1時間半ゴルフをする。これで、身も心をすっきりして、香港中心部にあるオフィスに入る。

 オフィスのデスクには毎朝、ウォールストリート・ジャーナルやフィナンシャルタイムズ、エコノミストなど英語の経済紙誌が置かれており、李氏は関心のある記事をチェックすると、会社のスタッフがすぐに中国語に翻訳し、李氏の元に届けられる。

 ビジネスばかりでなく、教養を身につけるため、毎日寝る前に一定の時間、国際情勢や外交、政治、社会問題などの専門書を読むことにしているほか、夕食後は毎日、20分間程度、英語のニュース番組をみているという。

 李氏の人生で最もドラマチックなことといえば、長男のビクター・リー氏の誘拐だ。リー氏は1996年のある朝、自動車で通勤途中に、マフィアのボス、張子強らの一団に誘拐される。張は電話で李氏に「20億香港ドル(約300億円)」の身代金を要求する。

 李氏は張に「私の手元には現金で10億香港ドルちょっとがある。これは、すぐに渡すことができる。だが、絶対に20億香港ドルが必要というのならば、銀行に連絡しなければならないので、時間がかかる。君はどちらを選ぶかね」と尋ねたという。

 張は「あなたは、なぜそのように冷静なのか」と質問すると、李氏は「私ほどの有名人が長男のビクターの身辺警護についてもっと真剣に考えなかったことが私の誤りだった。私の過失だから、いくらでも金は出さなければならない」と答えたという。

  李氏はゴルフに行くとみせかけて、午前5時に自身で現金の受け渡し場所に出かけ、張に現金を渡したが、その際、「あなたはこの金を子分らに分けて、好きな ように使うだろうが、それは君のためにならない。しっかりと将来のために使うように考えるべきだ」と説いた。これを一笑に付していた張だが、その後も李氏 に電話をかけて、「どのように使えば良いのか」と質問。李氏は「保険への投資がよいのでは」と答えたという。

 結局、張はバンコクに高飛びしたが、行方を追っていた中国当局に逮捕され、死刑に処せられた。

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140103/frn1401031658002-n1.htm

◆李嘉誠氏、長江実業を2社に再編、中国投資を整理、欧州インフラ投資を拡大

2015年09月07日  THINKING LIVE 

*李嘉誠氏は90年代?に英国でsirの称号を授与されている、その面でも、英国は李氏にとって、権力闘争最中の、中国よりもリスクは小さい国である?もっとも、英労働党は急進左派が急上昇、鉄道を再び国営化しよう、と言い始めている、

WSJ、【香港】李嘉誠氏(87)は、対中国で、パニックボタンを押さねばならない理由はない。この数年、中国への依存度を減らす動きをひそかに加速させてきたからだ。というよりも一国依存を最大にしない、と言う鉄則がある、

 李氏は11年以降、中国における不動産ポートフォリオを圧縮している。また中国の国際貿易・金融の窓口である香港にある港湾・小売業の持ち株を売却した。

  代わりに李氏は、自ら保有する2つの主要コングロマリットである和記黄埔(ハチソン・ワンポア)と 長江実業の一部事業を欧州にシフトさせ、過去18カ月間で200億ドル(約2兆4000億円)以上を各種の企業買収に投入した。例えば英国第2位の携帯電 話会社、オランダの薬局チェーン、そして英国の鉄道車両メーカーの買収だ。また自ら保有するイタリアの通信会社をより大手のライバル会社と合併させた。こ れらの取引案件の価値は、これに先立つ過去10年間で李氏が手掛けた欧州買収案件の総額を上回った。

 これらの一連の買収以前でさえ、12年のハチソンの営業利益に占める欧州の比率は大中華圏のそれをわずかに上回っていた。昨年、欧州は全体の利益の42%で、大中華圏(香港含む中国)は30%に縮小した。

 

 李氏の事業に近い3人の関係者は、中国よりも欧州でもっと稼げるとの李氏の考え方も一因だと述べた。会社関係者は、欧州における投資機会の規模とスケールは、李氏が資金を注ぎ込む分野がほとんど残されていない香港のそれを凌駕していると述べた。

  今や中国の経済鈍化、株価急落、そして人民元の突然の切り下げをめぐる懸念で世界市場が揺らいでいる中で、李氏の動きは先見の明があったと言えるようだ。 しかし会社内部関係者や、李氏の動きを研究している学者は、李氏はまたユーロ安にも動機付けられて買収を活発化している面もあると述べている。ユーロ安を 受けて、安定したリターンを提供する欧州の資産が中国の資産と比較して割安になっているためだ。

 香港の中文大学のウッディ・ウー教授(会計学)は「李氏が真に傑出しているのは、彼の売りのタイミングだ」と述べ、「彼は価格が正しい限りにおいて、売りを出す。彼はファイナンスの面では天才だ」と語った。

  李氏は、米誌フォーブスによって9月5日時点で248億ドルの資産を持つとされており、一大企業帝国を築いている。それは大きく分けて4つに分かれる。不 動産、電気通信、港湾・インフラ、そして小売・エネルギーだ。今年、李氏は2つの旗艦会社をCKハチソン・ホールディングスに統合し、その不動産事業をス ピンオフ(分離)して別会社チョンコン・プロパティー・ホールディングスを設立した。これらの会社の合計市場価値は約770億ドルだ。

両 社の株価はいずれも、香港の指標であるハンセン指数をアウトパフォームしている。同指数は6月12日以降24%近く下落した。CKハチソンはこの期間中に 10%下落し、不動産部門のチョンコン・プロパティーは21%下落した。つまり李氏は中国の成長鈍化に対して決して無傷ではなかった。

*記事は一部削除や加筆があります、

http://blog.goo.ne.jp/thinklive/e/57cb5dc2342ac41fa3c35d225543bf99

◆アジア最高の経営者が、中国から逃げ出すワケ
「超人」李嘉誠が試みる「脱亜入欧」

2013年10月31日 野嶋 剛 :ジャーナリスト 東洋経済 

アジアトップの大富豪である李嘉誠。彼の「脱亜入欧」の動きが物議を醸している(写真:ロイター/アフロ)

資産を拡大し続けるスーパーマン企業家

アジアで最も成功した企業家とされる香港の李嘉誠が率いる長江・和記黄埔グループが、中国・香港の資産を次々と売却し、欧州に移転させる「脱亜入欧」を進めている――そんな観測が、ここ数カ月、関心を集め続けている。

現 在、80歳を超える李嘉誠は、香港では「李超人(スーパーマン・李)」と呼ばれている。常人離れした洞察力で、アジア経済危機、中国SARS問題、リーマ ンショックなどの危機でも巧みに資産を守っただけでなく、逆のその危機を生かして李一族の企業グループを雪だるまのように大きくしてきた。

通常、代表的な企業家としてもてはやされる期間は長くて10年だ。企業には栄枯盛衰があり、どうしても全勝ではいられない。

しかし、李嘉誠は半世紀近く、つねに香港の企業家のトップに君臨し続けている。そのすごさに敬意を込め、香港人は「超人」と呼んでいるのである。

そ んな李嘉誠の「脱亜入欧」の動きに、皆が注目している。誰も無視できない。「中国や香港から逃げ出す気はない」「あくまでもビジネス上の決定にすぎない」 と対外的にコメントしているが、その言葉を額面どおり受け取る人は少ない。いったい「超人」は何を狙っているのか、投資家や経営者たちを疑心暗鬼にさせて いる。

李嘉誠は総資産310億米ドル、世界トップ10人にランクされる資産家で、アジア人としては最も成功したビジネスマンとして世界に認知されている。その人生そのものが、華人の成功物語の一代記だと言える。

李 嘉誠は潮州人だ。潮州人は日本では知名度は高くないが、東南アジアでは福建人、広東人に並ぶ一代勢力で、独自の金融・物流ネットワークを張り巡らしている ことで知られる。李嘉誠は広東省と福建省の境界にある潮州で1928年に生まれ、日中戦争のさなかに家族とともに香港に逃げた。

家は非常に貧しく、高校も卒業できずに働くことになった。戦後の香港で造花を売って稼いだ資金で、不動産会社「長江実業」を設立。現在に至るまで長江実業の社名は李嘉誠の成功の象徴となっている。

鄧小平、江沢民の信頼を獲得

李嘉誠のビジネスの特徴は「逆張り」の一言に尽きる。

1967年の香港暴動で暴落した香港の土地を買いあさって、その巨大ビジネスの基礎を築いた。1989年の天安門事件では、皆が中国から逃げ出すところを逆に中国進出を加速させて、鄧小平、江沢民の信頼を獲得し、中国の発電インフラなどの大型案件を次々と引き当てた。

なにしろ、長江実業など傘下のグループ企業は、香港の株式時価総額の3分の1をコントロールしている。李嘉誠の名前をもじって香港を「李家城」と呼ぶぐらいだから、その行動の影響力は香港経済、そして、中国経済をも直撃するインパクトを持ちうる。

香港では、英国統治時代から中国返還後の現在に至るまで、真の意味で香港人の政治権力が存在したことはない。徹頭徹尾の経済都市であり、香港経済のトップ、すなわち香港のトップはいつも李嘉誠であった。

そ んな李嘉誠氏のグループは、この数カ月で、香港のビジネスセンター、電力企業、香港のスーパーマーケットチェーン「百佳超級市場」、上海の東方匯 經センター、広州ショッピングセンターなどを売却するか、売却する方針を明らかにした。その総価格は400億香港ドルを超える見通しだ。

一方、今、李嘉誠がチャンスととらえているのが金融危機後のヨーロッパ市場だ。英国など各国のエネルギー関連への投資を急速に増やしており、この3年間での欧州への投資額は、李ファミリーが営む事業の3分の1に達するとも言われている。

問 題は、普段から「愛香港」「愛中国」を口癖のように語ってきた李嘉誠が、今の時点で中国と香港に「売り」を仕掛ける理由が、どこにあるのかである。 中国では、人件費が10年で数倍にも上がり、製造業には以前のようなうまみがなくなってきている。薄地価や株価も一部では頭打ちになってきているし、シャ ドーバンキングの問題など、金融システムの不安もささやかれて久しい。

思わしくない政治状況

李 嘉誠が最も懸念していると言われているのが、中国での政治リスクの問題だ。共産党一党統治による法制度の恣意的運用の問題は相変わらず深刻で、自己本位的 な理由で中央や地方の政府の政策変更も頻繁に行われる。こうした「人治」の問題が、企業にとって政治リスクであることは間違いない。

李 嘉誠はもともと江沢民をバックにつけてきたので、政治リスクという点でも十分に安全圏にいることができた。しかし、江沢民もすでに高齢に達して健康不安が ささやかれるうえ、習近平指導部が発足したことで、相対的に江沢民系の力が弱まったとされる。李嘉誠が将来に不安感を抱いても不思議ではない。

盤石に見える李一族のビジネスだが、それは基本的に法治が保証された世界でのことであって、中国共産党式の人治社会では、ビジネスマンの繁栄など一瞬にして無に帰する。

一 方、香港でも、李嘉誠にとっては思わしくない政治状況が生まれている。2012年の香港特別政府のトップを決める長官選挙で、李嘉誠など香港財界が推した ヘンリー・タン(唐英年)氏が、当初、本命と見られていたにもかかわらず、親中色の濃いC・Y・リョン(梁振英)氏に予想外の敗北を喫した。その背後に、 中国政府の意向が働いたと見る向きは少なくない。

いつでも逃げられる態勢づくり

香港返還からすでに20年近くが経過した。「港人治港」や「一国家二制度」は、十分に定着したとは言いがたく、むしろ中国との関係においては矛盾点のほうが目立つようになっている。

も ともとリベラルな思想の持ち主が多い香港財界が政治的リアリズムに基づいて、中国政府と適度な距離を保ちながらうまく付き合ってきたのが、 1997年の香港返還後の香港財界のあり方だった。しかし現在の香港では、共産党の意向で物事が一気に変わりかねないとみる向きもある。

その反動もあって、最近の香港では市民の間に反中国感情が強まり、中国との一体化を批判するデモが多発している。また、李ファミリーの香港支配を批判するデモやメディアの記事も増えている。

筆 者は李嘉誠の行動が、共産党による一党支配の下で資本主義経済を維持している中国・香港の政治・経済システムの「不確実性」に対するリスク分散である可能 性が高いとみている。同時に、中国・香港の成長局面は近いうちに限界に達するという予測もあるだろう。李嘉誠が中国や香港を完全に捨て去るとは考えられな いが、両足とも中国にはまり込んでいたところから、片足を抜いて、いつでも逃げられる態勢に変えようとしているとは言えそうだ。

「超人」李嘉誠の行動は、ほかの企業家や市民に対する心理的影響は大きい。北京はしばらく李嘉誠の動向に頭を悩ませそうである。

http://toyokeizai.net/articles/-/23002?display=b 

事の本質が見えない(見ようとしない)日本のジャーナリスト達

2015-10-23 00:06:39 | 資料
原発、不毛な活断層議論の代償 電気料金の高止まりを国民に強いる政府の無策
2015.10.21 Business Journal
文=町田徹/経済ジャーナリスト
 東通防潮堤
まるで城壁のようだ――。
 先週、本州最北端の下北半島にある東北電力の東通原発を3年半ぶりに取材して、筆者はこう感じずにいられなかっ た。東通は、東日本大震災に遇いながら、深刻な事故を起こした福島第一原発と違って、無傷で地震と津波を乗り越えた原発だ。あの震災を上回るような津波が 押し寄せても重要な設備が水没しないよう、新たに高さ3m、周囲の長さ2kmに及ぶ防潮堤が原発を取り囲むように建設され、外観が一変した。この防潮堤 は、幾重にも安全対策を張り巡らせた東通原発を象徴する構造物といえる。
 しかし、安全対策に万全を期す企業努力は報われるのだろうか。東通原発の再稼働は遅れる一方だ。震災後に降って沸いた活断層議論に振り回されているからである。
  確かに、震災直後と違い、東通原発の運転停止が直ちに東北地方の電力供給不足を引き起こす懸念はほとんどなくなった。東北電力が非常用電源の確保、買電、 火力発電所の復旧・刷新などの手を打ってきたからだ。しかし、原発の運転停止が、この地方の利用者に高負担を、供給事業者の東北電力に高コストを、そして 地元の経済に需要不足を強いている現実はなんら変わらない。
 不毛な活断層議論を続ける政府の姿勢は、政権が交代しても肝心なことを決められない政治の無責任さの象徴としかいいようがない。
村の雇用の4分の1が原発関連
 戊辰戦争で新政府に敗れ、福島県の会津地方からこの地に移封された斗南藩が餓死者を出したことでも知られるように、下北半島は気候の厳しい地方 だ。年間の平均気温は10℃に満たず、稲作などの農業がほとんど根付かない。古くから産業といえば漁業で、集落も点在する程度だった。
 今回の取 材では、羽田空港からの航空便がある三沢空港で前泊。10月13日の朝早く東通原発に着いた時は快晴で、ヤマセに吹かれた3年半前とは違うと内心喜んだ。 ところが、事務棟で挨拶を済ませ、原発敷地内の取材を始めた途端、にわかに辺りが暗くなり、まだ10月と思えない冷たい雨に降られた。
 そんな土地柄だから、地元経済は厳しい。内閣府の統計で、青森県の1人当たり県民所得(2012年)は242万2000円と、全国平均(297万2000円)を下回っている。
  村は、1889年(明治22年)に村として発足したものの、財政は困窮し、役場の庁舎を隣接する田名部町(現むつ市)に置くような状況だった。現在の立派 な庁舎に移転したのは、発足から100年を経た88年(昭和63年)のことである。今年8月末の村の人口は6910人。東通原発では、東北電力の社員が 270人(今年7月末)、協力会社の従業員が583人(同)、合計で815人(同)が働いているというから、村の雇用の4分の1程度を占めている計算だ。
 それでも、原発の運転期間中やその前後の定期点検時に比べて、発電所の従業員は少なめだ。宿泊客や飲食客が減り、地元の政治家や商工業主から「早く運転を再開してほしいとの要望が絶えない」と、東北電力執行役員で東通原子力発電所長の金澤定男氏は話す。
  敷地内の取材で最も印象的だったのは、前述の防潮堤だ。中世の城郭のように、原発を取り囲んで建設され、巨大津波への万全の備えができたようだった。この 防潮堤は、東北電力が自主的な安全対策強化の一環として建設方針を打ち出したものだ。前回(12年5月)の取材の際に、当時の津幡俊所長が「雪解けが待ち 遠しかった。ようやく着工できた」と話しており、13年5月に完成したと聞いていたので、確認したいと考えたのである。
 土にセメントを加えた壁面には雑草がびっしりと生い茂り、すでに完成から2年以上が経っていることを物語っていた。また、津波の内部への侵入に備えて設置された排水用のフラップゲート(開閉扉)も目を引いた。
 だが、この防潮堤は、あくまでも万が一の事態に備えたものだ。というのは、東通原発の主要設備は海抜13mの高台に設置されているからだ。東日本 大震災の際に押し寄せた津波も、この辺りでは高さ2.6m以下。地震の揺れにも津波にも、当時定期点検中だった東通原発はなんら被害を受けていない。そも そも原子力史上に残る大事故を引き起こした福島第一や、全電源喪失に至った福島第二、東海第二と、周辺住民の避難所となった女川やまったく無傷の東通では 被害の程度に大きな差があった。
 それでも、東北電力は慢心は禁物と、防潮堤や緊急用電源の確保、原子炉建屋などの扉の水密扉(水を通さない扉)への付け替えなどを自主的に打ち出した。その後、政府の緊急対策の指導に従って講じたものを合わせると、その対策は30以上の項目にわたる。
 さらに、新規制基準に適合するため、原子力規制庁のお墨付きを得られる基準地震動を決め、その性能を満たす免震重要棟を新たに建設するという。
神学論争
 今回の取材では、原子炉の中に入るだけでなく、燃料棒を差し込む受け皿の下部に入り込んで、さまざまなセンサーが取り付けられている様子を見るこ ともできた。構造の違う加圧水(PWR)型の原子炉の内部を取材した経験はあるが、報道関係者が東通原発のような沸騰水(BWR)型原発の原子炉内へ立ち 入るのは異例のことだろう。
 広大な東通原発の敷地内では、南南東の地域を中心に、あちこちで穴があいていた。これは、東日本大震災から1年半後の12年秋、それまで一部の学者が主張していた東通原発の敷地内の断層が「活断層」であるとの疑いを払しょくするために、調査を始めたことでできたものだ。
 同地は原発立地に決まる以前の74年から96年にかけて、369カ所のボーリングと58カ所のトレンチを行い、国の安全審査にパスしていた。だが、原子力規制委員会の専門家調査団が活断層の疑いが強いとしたことから、新規制基準の適合審査が長引くと予想されている。
 これに対して、東北電力は震災前年の10年からこれまでの間に、109カ所のボーリングと12カ所のトレンチを追加し、反論してきたため、穴だらけになってしまったのだ。
 だが、この活断層議論は、重要な原子力設備の真下に活断層が存在する可能性が指摘されながら、旧原子力安全・保安院の要求を拒んで十分な調査・反 論をしてこなかった敦賀原発の活断層議論と違って、あまりに唐突だった。しかも、地震学は他の多くの自然科学の学問と違い、実証実験ができるものではな い。勢い、神学論争にならざるを得ないのだ。
 東通原発の敷地内の断層は、国も歴史的に活断層でないとの立場を採ってきたもので、敦賀原発と違い、重要な施設の下を通っているわけでもない。ま た、「福島第一とは原子炉の形が違うPWRは安全なので、再稼働を優先すべきだ」という根拠薄弱な議論が罷り通っているのが実情だ。
 東通原発は、東日本大震災を無事に乗り切り、早期に再稼働できた。それにもかかわらず、供給不足を補うために早期再稼働が切望されながら、運転を 再開ができなかった。それどころか、活断層という名の神学論争に無為に時間を費やし、今なお、再稼働に向けた新規制基準の適合性審査で後回しにされる憂き 目を見ている。
 繰り返すが、こうした政府の姿勢は、電気料金や供給コストの高止まりを招き、国民や事業者を圧迫するだけでなく、地元経済の成長を阻害するものである。そろそろ無責任な姿勢を改める時期に、政府は直面しているのではないだろうか。
(文=町田徹/経済ジャーナリスト)
http://biz-journal.jp/2015/10/post_12025.html
ジャーナリストは政治の仕組みも知らずにふたこと目には政府の無策と言うが、三条委員会の規制委員会は内閣総理大臣の指揮命令が及ばない組織で民主党政権の管直人政権で設置された。
菅直人は反原発を推進する左翼にとって実にいい仕組みを残したと言える。
だから三条委員会の規制委員会なんてろくなことにならなかったんだ。
そこに左翼のメンバーを送り込む。内閣から独立した組織とすることで、政権交代が起こっても自分たちの日本破壊のための政策を継続して実施することができるからだ。
もしこれで人権委員会が出来ていれば、在日や左翼の悪口や批判などすれば、幾らでも逮捕されることになっていた。
お前らは法の支配の確立とかよく言うけど、日本は韓国みたいな独裁国家じゃないんだぞ。
三条委員会の怖さが良く分っただろう。
◆日本がじれったい米国~南シナ海の中国人工島がどれだけ日本を脅かすか分かっているのか?

2015.10.22   北村 淳  JB PRESS

軍用機から撮影した南沙諸島(英語名:スプラトリー諸島)のミスチーフ礁(2015年3月11日撮影、資料写真)。(c)AFP/RITCHIE B. TONGO〔AFPBB News〕
 南沙諸島(スプラトリー諸島)に中国が建設している人工島をめぐって、アメリカと中国の間で応酬が激しくなっている。ところが、日本では南沙諸島や南シナ海の問題はさしたる関心が持たれていないようである。

  南沙諸島問題の渦中にあるアメリカ海軍関係者の中には、「国際社会に向かって積極的平和主義を標榜し、国内でも新安保法制を成立させた安倍政権は、国際平 和秩序を揺るがしつつある南シナ海問題に積極的に関与してくるものと思っていた。だが、その動きが見られない。相変わらず南沙諸島紛争は“対岸の火事”と 考えているのであろうか?」と疑問の声を上げる者もいる。

激しさを増す米中間の応酬

 アメリカでは、中国の人工島建設に関して、太平洋軍の主導のもとに国防当局が強硬スタンスに舵を切り始め、オバマ政権としても口先だけの強硬姿勢では済まなくなってきている。

 もちろんアメリカ海軍が強硬姿勢を取り始めたといっても、南シナ海に空母打撃群を派遣して威嚇しようというわけではなく、中国人工島の12カイリ内水域や上空に軍艦や航空機を派遣しようというだけである。

 アメリカ海軍は、このような作戦の公式の目的として「中国が国際海洋法的に認められている自由航行の原則を尊重しているのか?」を確認することを挙げている。「中国人工島が中国の領土であることをアメリカは認めない」という姿勢を示すためではない。

 しかしながら現実には、中国の人工島建設、そして人工島への軍事施設の設置に対するアメリカ海軍による警告という意味合いの作戦であることは見え見えである。そのため、ことここに至ってもオバマ政権内には躊躇する雰囲気も少なくない。

  また、連邦議会などの対中強硬派やメディアなどは、アメリカ海軍の強硬姿勢を中国人工島の領有権問題と結びつけてしまっているため、中国当局はそのような アメリカでの論調を逆手に取って、米海軍の12カイリ内接近パトロールは中国の主権に対する軍事的威嚇であると騒ぎ立てて、オバマ政権に対して警告を発し ている。

 いずれにしても、アメリカ軍、アメリカ政府、中国当局のあいだで、南沙諸島をめぐる三つ巴の駆け引 きは激しさを増している。そして、フィリピンをはじめとする南シナ海沿岸諸国や、人工島軍事基地によって脅威を受けかねないオーストラリアなどでは、この 問題について高い関心が持たれている。

遮断される南シナ海のシーレーン

 ところが、南沙諸島や南シナ海での中国の動きにきわめて密接な影響を受けることになる日本政府からは、何ら真剣な反応が聞こえてこない。

 そのため、アメリカ海軍やシンクタンクの戦略家たちから、「積極的平和主義を喧伝し、平和安保法制を誕生させても、日本の防衛姿勢は何ら変わる兆候を見せないではないか」との声が聞こえてきている。

  南沙諸島の中国人工島には、3000メートル級滑走路を有する3カ所の航空基地をはじめとする海洋基地群が設置されている。それらが稼働し出すと、日本と 中国が決定的な対立状態に陥った場合、南シナ海のシーレーンとフィリピン海を迂回するシーレーンが共に人民解放軍によって遮断されてしまう(この問題は本 コラムでも繰り返し指摘している)。


 これらのシーレーンはアメリカ海軍にとっても重要なルートである。アメリカ海軍関係者の多く は、「人工島の3カ所の航空基地は、ある意味では空母10隻分に相当する。それだけではない。人工島に強力なセンサー類が設置されるのは言うまでもなく、 地対艦ミサイルや地対空ミサイルも持ち込まれるであろう。我々にとってはまことに厄介な軍事拠点が誕生しつつあり、早急に対抗策を打ち出さなければならな い」と危機感を強めている。

 そして彼らは「日本政府は、南シナ海のシーレーン確保について、なぜ深刻に受け止めていないのだろうか?」と不思議に思っているようだ。

 同時に、「南シナ海に限らず世界中の日本のシーレーンは我々(アメリカ海軍)が守ってきている。しかし、いつまでもこれまでの状況が続く保障はない」と同盟国日本のシーレーン防衛意識を危惧している。

国際海洋法秩序に挑戦する「海洋国土」という概念

 シーレーン問題以上に、今後アメリカ側から疑義が呈されると思われるのが、大戦略レベルでの安倍政権の消極的な姿勢である。

 南沙諸島での7つの人工島建設、そしてそれら人工島への軍事施設の設置によって、中国政府による「海洋国土」の主張が具体的施策として表れてきた。しかし、安倍政権はなんの反論も行おうとしない。

  中国共産党政府によると、中国大陸に接している東シナ海と南シナ海の多くの部分は中国の海洋国土であるとされている。そして「東シナ海や南シナ海への海洋 権益拡張ではなく、もともと中国の領域である海洋国土における主権的権益を守っているのだ」というスタンスになっている。

 この海洋国土という主張を具体的に示しているのが南シナ海の「九段線」である。具体的に示しているといっても、大雑把な短い9本の点線によって海洋国土の限界を定義しているため、かなり曖昧なボーダーラインとみなさざるをえない。


中国「海洋国土」を示す九段線
 地理的な曖昧さ以上に曖昧なのが海洋国土の意味合いである。中国の主張からは海洋国土と、国際海洋法で言う領海、接続水域、排他的経済水域がどのような関係になるのかは明確ではない(もともと曖昧な概念だから当然なのであろうが)。

 しかし、海洋国土の概念の出発点である九段線」の概念はすでに1930年代(共産党はまだ国家を樹立しておらず中国国民党政府であったが)に誕生しており、「国連海洋法条約などよりはるか以前から存在していたもので、中国の既得権である」ということになるであろう。

 そもそも、アメリカが振りかざしている国際海洋法秩序に対しても、中国共産党政府によれば「暴力によって世界を支配した欧米の都合によってつくり出されたものであり、そのような欧米の横暴にいつまでも付き従わねばならなう道理はない」ということになる。

 したがって、中国政府は「中国に歴史的に存在する中国固有の権利である海洋国土と抵触しない範囲で、国連海洋法条約は有効となる」と解釈する。そのことを我々は認識しておかねばならない。

国際法秩序に味方するのか? 中国に味方するのか?

 現在は南シナ海で「九段線」という海洋国土を主張して周辺諸国と紛争中の中国は、やがて東シナ海でも海洋国土の概念を持ち出して日本に対して攻勢をかけてくることは間違いない。

 しかしながら、海洋国土は、国際海洋法秩序とは一線を画する中国独特の立場である。日本が既存の国際社会のルールに則って中国の海洋国土獲得の動きに対処していくのであるならば、中国共産党政府と妥協する余地はない。

 つまり、中国との東シナ海での領域確定問題は外交的な手段だけによって解決することは不可能に近いと肝に銘じておかねばならない。したがって、外交の延長である軍事的手段も用いて、尖閣諸島を含めて東シナ海での日中境界線確定を決着させるという覚悟が必要である。

  このような状況であるにもかかわらず、積極的平和主義を国際社会に向かって喧伝しまくっている安倍政権が、国際海洋法秩序への真っ向切っての挑戦である海 洋国土を振りかざす中国政府に対して何ら積極的な対抗措置を打ち出さないとなると、近いうちにアメリカをはじめ国際社会から「日本政府は国際海洋法秩序の 味方なのか? それとも、中国の主張に妥協するつもりなのか?」といった疑念を抱かれることは必至である。

 もちろん、その選択は日本自身にあり、アメリカなどにとやかく言われる筋合いのものではない。当然のことであるが、日本が国際海洋法秩序陣営から離れるときは、同時に日米同盟は終結する。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45040

この記事を読んで思うことは、如何にジャーナリストというものが自己中かと言うことに尽きる。
何でも最終的に政府に責任を押しつければ、自己の論理が正当化されると思っているところにある。
政府の抗議や非難宣言が何度出されても、国連でいくら論戦が戦われても、日本のマスゴミが流さなければ、日本政府はなんら発言せず放置していると結論付ける。

むしろ非難すべきは、こういった現在進行中の侵略行為やチベットやウイグルで行われている民族虐殺に全く触れず、日本政府が支那の暴虐に対処する行為を、戦争になるとか徴兵制になるとか国会やデモ行為で騒ぐ野党やプロ市民活動家に対し向けられる言葉だろう。

日本は法治国家であり、支那や半島のような独裁政治国家では無い。憲法解釈にしろ憲法の改正や現代憲法の作成にしろ、国会や法律に従い進行される民主主義国家である。巷で騒ぐ独裁政権ではない。

前回の衆議院選挙で は、自民党は安保法制と集団的自衛権の解釈変更を掲げて勝利している。選挙で勝ったから突然言い出した分けではない。高々2万や3万のデモ参加者が居て、 「これだけの圧倒的多数が反対と言っているのに」と言ったところで有権者は数千万人以上居る。しかもデモ参加者の多くは日本人ですらない。

味 噌も糞も一緒にしたような論理で語られるような簡単なものでは無いと言うことだ。なぜ野党や支那や半島に抗議の声をジャーナリストというものは声を上げな い。常に、「政府は何とかしろ」「政府は無策」あげくに何か対策を採ろうとすると、「政府の横暴はゆるされない」「国民を戦場に送る気か」と全てを政府の 所為にして自分たちは被害者面をする。

現状を招いているのは日本では無く、全て近隣の反日国家である。その行為の責任は、反日国家にこそ起因して日本も日本国民も被害者側である。事の本質そのものを日本政府への転嫁で済まそうとする。
つまり反日国家の行為を結果的に容認し認めていることに繋がるのではないか?常に悪いのは日本政府なのか?

◆米国は日本に戦争に加わってほしいとは思っていない~元米国防総省高官が語る「日本に期待すること」

2015.10.21  古森 義久   JB PRESS


2015年9月19日、参議院本会議場で安全保障関連法案が可決された。(資料写真)。(c)AFP/TOSHIFUMI KITAMURA〔AFPBB News〕
平和安保法制関連法は国会での長い審議の末、成立し、日本の集団的自衛権も一部を行使することが可能になった。

 だが、反対派はこの法律が日本を自国の安全保障とは関係のない米国の戦争に巻き込むことになると主張する。

 実際のところ、日米同盟の運用にはどんな影響を与えるのか? 米国政府で長年、同盟諸国との集団防衛や多国間の安全保障を担当してきた元国防総省高官に尋ねてみた。

 同高官は、日本の安全とは直接的な関係がない米国の軍事行動に、日本が意思に反して参加させられる可能性は現実にはないという。そして、今回の安保関連法が日米同盟の強化に大きく役立つと明言した。

  元米国防総省高官ブルース・ワインロッド氏はレーガン政権でNATO政策担当の国防次官補代理前を務め、前ブッシュ政権では国防総省北大西洋条約機構 (NATO)駐在首席代表を務めた。その間、多国間同盟のNATOの機能、特に集団的自衛権の発動に関する戦略を扱った。同氏は民間の「ジャパン・ソサエ ティー」の特別研究員として半年ほど日本に滞在し、日米同盟について研究したこともある。

以下はワインロッド氏との一問一答である。

米国は超党派で歓迎している

――日本の平和安保法制関連法案が国会で可決され、実際の法律となったことを、米国の立場からどう見ますか。

ブルース・ワインロッド氏(以下、敬称略) この法律は、米国と共同防衛することに関する日本のより大きな責任と意欲を示しており、米国では超党派で歓迎されています。

 ブルース・ワインロッド氏
 米国 は本来、日本が武力攻撃された際に日本の防衛努力を支援することを誓約しています。今回の新法の大きな目的は日本が防衛で米国との協力を広げるわけですか ら、米国側の『日本防衛への堅固な誓約』を強める効果を持つでしょう。さらに国際安全保障への寄与という意味もあります。

――この法律が国際安全保障に寄与するということですか。

ワインロッド はい。近年、東アジアの地域的安全保障への脅威が深刻となっています。最も直接的なチャレンジは中国から発せられています。中国は南シナ海、東シナ海の広大な海域を制圧する権利を主張し、軍事費を大幅に増やして軍事能力を強化しています。

 北朝鮮の脅威も重大です。多数の弾道ミサイル、そして核兵器も事実上すでに保有しています。新法の有無にかかわらず、北朝鮮は日本にとって現実の脅威であるわけです。

 新法は日本にとって、この種の脅威に対処するうえで立場を同じくするアジア、太平洋の他の民主主義国家、例えばインドやオーストラリア、さらには韓国、フィリピンなどとの地域的な安保協力を可能にするでしょう。

 有志連合での地域的な安保協力ができる。多国間的な地域安全保障協力への参加も可能になる。もちろん日本自身がそういう選択肢を選べば、ということですが。

 歴史的に見ても、拡張主義をとったり、あるいは好戦的な国家というのは、利害がぶつかる相手が弱いとき、あるいは孤立しているときに軍事行動をとりがちです。日本が他の民主主義諸国と安保協力を強めれば、潜在敵国の軍事行動をそれだけ抑止することになります。

集団的自衛権の行使容認は自国の防衛にも役立つ

――今回の安保法制関連法は、日本の集団的自衛権の行使を容認することで、国連や多国籍の平和維持活動への参加も容易にするはずです。しかし、日本国内の議論ではあまり話題になりませんでした。

ワ インロッド 日本は1990年代前半の第1次湾岸戦争の際、多国籍軍を支援して機雷除去の掃海活動を行いました。アフガニスタンでテロ勢力と戦う多国籍軍 の艦艇に対しては、インド洋で給油支援をしました。さらにアフリカ沖では、米国、インド、オーストラリアなどとともに海賊を防ぐ活動にも加わりました。

 日本はすでに長年にわたり、カンボジア、イラク、ハイチ、南スーダン、ゴラン高原などでも国際平和維持活動に参加しています。

 その際は集団的自衛権の行使禁止のために現地で他国軍と協力することが難しかったのですが、今後はその種の国際的協力が円滑に行えるようになるでしょう。この点は日本側でも認識しておくべきです。

――集団的自衛権の行使容認は、日本の自国防衛のために具体的にどう役立つのでしょうか。

ワインロッド まず、米国との共同ミサイル防衛を大幅に強化することができるでしょう。米国以外の民主主義国家と安保協力を深めることも日本の安全に寄与します。民主主義国家同士があまり戦争をしないことは歴史的に証明されています。

 現在、アジア・太平洋地域では、日本を含む民主主義諸国への軍事的脅威が高まっています。その状況のなかで、今こそ日本が安保面での国際的な貢献を増やす時期であり、その貢献が日本自体の防衛にもつながります。

日本は米国の戦争に巻き込まれるのか?

――日本国内では、今回の法律で日本の防衛政策ががらりと変わり、対外的にも打って出るようになると予測する向きもありますが。

ワインロッド 今回の法律が施行されても、日本の従来の安保政策が過激に変わることを示す要素は見出すことができません。新法によって拡大できる防衛努力も、基本的には専守防衛の範囲でしょう。

 集団的自衛権というのは国連憲章の第51条で明確に認められた、どの国も保持して行使のできる権利です。日本は成熟した民主主義国家として、その権利を慎重に自国の防衛のために使うということであって、他の国への軍事侵略を始めるようになるとは考えられません。

――それでも日本国内には、安保法制法の成立によって「日本が自国の安全に関係のない米国の戦争に巻き込まれる」という主張が一部に根強く存在します。その種の主張をどう考えますか。

ワインロッド 米国の軍事行動は全世界的です。軍事行動の対象地域を主眼に、米軍主体の態勢を組むため、その地域に直接関わりのない国の軍事支援を求める必要はありません。例えばバルカン半島での紛争で日本に軍事支援を要請する理由はないのです。

 もし米国が日本に軍事的支援を要請しても、今回の日本の新法では、日本の安全保障利害を左右する、あるいは日本自体の存立に関わる事例でなければ、日本は何もできないことが規定されています。

 日本は日本独自の判断で米国からの要請を拒むことができるはずです。実際に米国のその種の要請を同盟国が断ることは頻繁にあります。

米国が日本に期待すること

――米国が、日本に直接関わりのない紛争や戦争に日本の支援を求める可能性はあるのでしょうか。

ワインロッド 米国には、遠隔地の紛争で日本に米軍への支援をしてほしいというような期待はまったくありません。

  ただしこれまで、日本の防衛に直接的に寄与する米国側の安保努力、防衛努力に対しては、日本の領土や領海を少し離れた範囲までは日本に支援してほしいとい う期待はずっとありました。しかし、日本の国家安全保障が影響を受ける状況下でも、日本は集団的自衛権の禁止を理由に米国の防衛努力に協力をしませんでし た。

 その状態がこのまま続けば、米国の国民や議会から、米国がなぜ日本防衛のためにこれほどの軍事関連資産を投入し続けるのか、米国の青年男女がなぜ日本のために生命を犠牲にする危険を冒すのか、という疑問が必ずや投げつけられることになったでしょう。

――日本が集団的自衛権の行使をいつまでも禁止していると、米国からの日米同盟への支援を減らしてしまう危険がある、ということでしょうか。

ワインロッド そのとおりです。もし日本がいつまでも集団的自衛権の行使容認を拒むならば、日米同盟の基盤はやがて確実に深刻な浸食の危機に瀕することになったでしょう。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45039

日本駐留の第七艦隊が他国に出動するには、日本の許可と集団的自衛権行使の燃料や物資の供給が必要になる。南シナ海出動が遅れたのは国会で野党が時間を遅らせ停滞したことと無縁ではない。
◆【日本の解き方】再増税阻止チャンスは一度! 針の穴に糸を通すような困難

2015.09.11 zakzak

 国内外の経済環境に不透明感が増しているが、2017年4月の10%への消費再増税はどのようにすれば止められるのだろうか。

 まず、現状をきちんと理解しておくと、民主党時代に制定された消費増税法はまだ生きている。その中で、17年4月からの消費増税は既に法定化されている。

 昨年12月の衆院選で、安倍晋三政権は今年10月から予定されていた10%への消費再増税の実施時期を17年4月に延期した。これがなければ、今頃は日本経済が奈落の底に沈む寸前にいたかと思うと、衆院を解散してまでも延期したのは正解だった。

 延期の際、景気情勢によって増税を停止できる「景気条項」を削除した。その解釈として、「景気がどうなっても消費再増税する」という話が流れたが、まったくの事実誤認である。

 これまでに本コラムでも指摘したが、そもそも消費増税法の付則であった景気条項は、消費増税を止めるためにはまったく役立たないものだった。

 政権運営に不慣れな民主党議員に対して、「景気条項があれば、増税を止められる」との説明も一部にあったようだが、それは事実ではない。景気条項を使っても、新たに法案を出す必要があり、それが政治的に困難だからだ。

  昨年12月の衆院選がなければ、消費再増税は延期できなかったというのが事実だ。あの段階で、もし安倍首相が「増税を止めるための法案を作ろう」と言った ら、政局になって首相の座から引きずり下ろされただろう。そうした政局の動きを封じるために、衆院議員は全員クビというのが解散・総選挙であった。景気条 項の有無は、消費再増税をスキップするための政治的な意味はまったくない。

 重要なのは、国政選挙で、どのよ うな公約を掲げて、選挙に勝つかという点だ。昨年の衆院選では、消費増税スキップを公約として自民党が勝ったので、それが実現された。17年4月からの消 費再増税を止めるには、遅くとも16年9月までに、意思を固めて国民の審判を受ける必要がある。その審判とは16年7月の参院選である。

 ただし、通常のように悠長に公約作りをしながらであると、財務省がつぶすだろう。それを封じるには、その時、衆院を解散してダブル選挙にした方が、成功する確率は高くなる。そこが唯一のチャンスである。

  一方、消費税が争点にならなければ、今の法律通りに17年4月から消費再増税になる。もし、その時の経済状況からみて延期がふさわしく、選挙の争点にして 勝利すれば、消費再増税は延期される。逆にいえば、この一点しか延期される可能性はないだろう。この意味で、消費再増税を止めるのは、針の穴に糸を通すよ うなものだ。

 このタイミング以外で政治的に仕掛けても、政治巧者の財務省が各方面へ根回しすることで、もくろみは不発となるだろう。財務省はマスコミ、財界、学会、海外などへ大きな影響力もあるので、侮ってはいけない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150911/dms1509110830009-n1.htm

◆財務省発表の1053兆円の政府債務の中身

まず政府短期証券117兆円を国の借金に加えているが、これは為替介入をいつでもできるようにする準備金に過ぎません。

日本は為替介入をしていないので使っていないのですが、法律上3ヶ月ほどで借りては返す行為を繰り返している。

借金として存在していないので、これを政府の借金に計算するのは間違いです。

財政投融資残高163兆円は特殊法人への赤字補填や予算配分に使われました。

特殊法人の中には福祉や復興事業など公的な仕事もあるが、天下りに金をばら撒くだけの機関も多い。

大半は「国の事業」ではないので、これを全額政府債務にするのも間違いです。

建設国債残高250兆円は道路建設などで使われました。

ところがこの建設国債は高速道路料金や、ガソリン、自動車税などで支払う事になっており、一般税収から支払っているわけではない。

外国では高速道路を建設して料金で返済するような借金を、政府債務に含めては居ません。

例えばアメリカは道路建設費などを、政府債務に含めていません。

利用者が高速料金やガソリン代から支払って建設するのは「政府の借金」ではないからです。

これらを引いて残った日本の「本当の政府の借金」は多く見て500兆円という所で、発表の半分しかありません。

さらにこれだけではなく、日銀が国債のうち300兆円を買い取りました。

日銀が買い取った国債は、返済も利払いもしなくて良いので実質的に消滅します。

国債の償還日から10年間経過すると、支払い請求権が消滅し、正式に無効になります。

すると日本の現在の「政府の借金」は

200兆円しかないのです。

財務省はもういい加減、オオカミ少年を演じて注目されようとするのを、辞めた方が良いです。

中国、韓国、アメリカは存在する借金を無いように見せて、借金を小さく発表しているが、

日本の財務省はありもしない借金をでっち上げて国民の足を引っ張っています。

http://blog.livedoor.jp/abechan_matome/archives/45325398.html

               目覚めよ日本!

0 件のコメント:

コメントを投稿